時間が真実を証明してくれる。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前先生の「エコハウスのウソ2」という書籍がとても売れているという話しを先日した。この書籍の中で6年前(2015年)にオーブルデザインの主張が正しいことが裏付けられた。

最新の断熱気密そして省エネの事がその本に記載されているが、そこにははっきりと近年の「エアコンの最も効率が良いのは定格出力の半分くらい」だと書いてある。また昨年のユーチューブで前先生と建研の三浦先生が対談されていた動画でも、両先生がそれを肯定されていた。これから話すことは何かを誹謗中傷する事では無く、時間が当時正論と認められなかった主張を証明してくれる良い例として紹介する。まずは下のリンク先をご覧頂きたい。↓

もの申す!やっぱりエアコンについては譲れない・・・
昨日は栃木県足利市に着工する「家富町の家」の施工をして頂ける工務店さんへ伺って詳細の話をしてまいりました。ウインドで三...
" class="blog-card-thumbnail-link">もの申す!やっぱりエアコンについては譲れない・・・
昨日は栃木県足利市に着工する「家富町の家」の施工をして頂ける工務店さんへ伺って詳細の話をしてまいりました。ウインドで三...

上のブログで紹介しているのがHEAT20が発行している「設計ガイドブック」というマニュアル。↓

超高断熱高気密住宅を造る上で必ずHEAT20というキーワードが出てくる程、現在最も有名な団体。

この書籍のP140 には下のような設計方針が記載されている。

この抜粋は上のHEAT20の書籍(2015年発行)でP140に記載されている。表題にしているくらいだから、記載が単純なミスでは無い事がわかる。

私の専門分野は環境系であり博士論文では「家庭用エアコンと特性とその効果的な使い方」について書かせて頂いた。その2007年において既に家庭用エアコン(壁掛け型)では、定格の半分くらいが最も効率が良くなる部分と研究結果がでていたし、家庭用エアコンの専門家はそのように認識していた。ところが2015年発行のHEAT20の発行した書籍のP140には

エアコン暖房は定格付近で長時間運転することを想定して計画する

との表題の元、2ページにわたってその記載が説明されている。

HEAT20といえば、日本の省エネ住宅を造る人の中では知らない人はまずいないと言われるほど有名な団体である。その中で提言しているG1,G2という断熱指標が現在の省エネ住宅業界のスタンダート指標としてつかわれるくらいである。

高気密高断熱住宅でのエアコンの使い方。まとめ 2010年新潟県版
2016年08月緑字加筆 さてエアコンについていろいろ申し上げて来ましたが2010年のまとめです。 その前にもう少...
2010年には既に定格出力の半分がよいと伝えた。

しかし私が論文を書いた2007年頃には既に一般的な壁掛けエアコンの暖房特性は、定格出力の半分以下が最もCOPが高くなる結果を複数で得られていたし、そのような事をこのブログでもこの書籍が発刊される5年前の2011年から広くお伝えしている。この書籍が発刊された2015年頃、

「浅間さん、エアコンの特性は定格出力付近が一番効率がよいとHEAT20の本には書いてあるよ」と何度か業界内で言われた。

当然一介の建築士が発言していることと、大学の先生が集まっている団体のHEAT20が発行している書籍の内容が違う場合は、ほとんどの人はHEAT20さんの書籍を信じるだろうから、その時はとても困った。それで上でリンク先を案内したブログを書いた。

https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2015/10/31/post-0-439/

しかし今2021年において業界内のエアコンについて詳しい人の大方の認識が

「エアコン暖房は定格の半分付近で長時間運転することを想定して計画する」

に変化している。

このように発言当初はほとんどの人に否定される内容でも、時間が証明しそれが正しいこととして改められることがある。それが今回の暖房時のエアコンの運転効率(COP)特性のことである。

そして次の期待は・・・

お風呂のCF(循環ファン)だろう。お風呂のCFは今まで常識であった排気型換気扇による風呂の換気は、これからの空調を中止中心とした家では全く省エネではないと2013年のホームページ↓やブログでお伝えしている。

https://arbre-d.sakura.ne.jp/main/column/1-2/

こちらも家中空調や全館空調が普及するころ(2024年)には、肯定されその市販品まで販売されると私は予測し、時間(トキ)が証明してくれると思っている。

PS 
冷房時は単純に効率だけ判断できない。冷房時にはSHF(顕熱比)が重要なファクターなので、私は暖房時とは違い定格運転時が最もよい冷房運転位置だと考えている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする


コメント

  1. Asama より:

    匿名新潟様
     
    コメントありがとうございます。

    >具体的にエアコンをどのように設定すればよいか示さればいいと思うのです。

    10年前から変わっておりませんが、↓ページにあるとおり簡単です。

    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2010/06/21/post-0-1809/

    最も簡単に選定方法を紹介すると・・・

    手順(新潟県の新築住宅場合)

    1.建物のUA値時に算出される新Q値を把握(旧Q値でも可)
    2.新Q値が1.0w/m2kの場合、延床面積が100m2なら 建物暖房負荷は100w/kとなる。
    3.都市の1月の日平均気温が2度なら室内温度24度として平時の暖房負荷を計算する。
    4.100w/k×(24-2)=2200Wとわかる。この倍の定格暖房能力のエアコンを選ぶ。
    これだけです。補足ですが
    5.エアコンのカタログで定格暖房能力を調べる。
    6.仮にそれが5Kwであるとすると1/2としたときに2.5kw=2500Wとなりこれが合致する。
    7.複数台のときは按分してよい。例えば定格暖房の力2.5kwの機器を2台で同じ結果になる。

    ・・・これで一応効率がよくなるエアコンの選定が終了。
    最初のUA値(新Q値)はその家の設計者さんに伺って頂くことになります(新築時)。

    簡単に選定する方法は以上です。最近はシミュレーションソフトを使う設計者が多いので、それで平時の暖房負荷計算すればもっと正確に把握できます。

    • 匿名新潟 より:

      早速のお返事ありがとうございます。
      しかも具体的で大変感謝いたします。
      私の理解を復唱しますと、
      1.建物のQ値と延床面積を把握する
      2.Q値(w/k)×延床面積(m2)×(維持したい室内温度ー屋外気温の月平均値)=平時暖房負荷
      3.定格暖房能力が2.で求めた平時暖房負荷の倍あるエアコンを選定する
      となります。
      また按分可能とのことで理解しました。

      エアコンにはオートやエコ運転なる機能があります。
      なるべく住人に簡単な方法がよいと思うのですが、これらの機能は使用せずに、「設定温度一定で風速を変化させることで調整」という方法がよいのでしょうか。

      • Asama より:

        >エアコンにはオートやエコ運転なる機能があります。
        なるべく住人に簡単な方法がよいと思うのですが、これらの機能は使用せずに、「設定温度一定で風速を変化させることで調整」という方法がよいのでしょうか。

        一概には言えません。
        そのエアコンの配置、家の性能、住人の住い方、快適性とエアコンの効率・・・その全てで結論は変わります。
        言えるのは、「良い」の意味がエアコンの効率重視だけなら風速は常に最大がよい・・・です。

  2. 匿名新潟 より:

    大変おもしろいブログで勉強させて頂いています。

    次の世代によりよい状態の新潟県を引き継げるよう、歯に衣を着せないことが大切だと考え、
    匿名で投稿ができるブログの運営をしています。

    日本の住宅は残念ながら新築直後から価値が下がる消費財扱いですが、そんな中でも、価値の減少がゆるやかになるよう、シンプルな形状+高耐久性+高気密高断熱を追求することが次世代につけを残さないために大切だと考えています。
    ブログ主様はこれらのまとめて「無難なつくり」と表現していると解釈しております。

    さて、新潟県の様々な問題へ具体的に提案できたらと思って情報収集しているのですが、今回の「エアコン暖房は定格の半分出力、冷房は定格出力で常時稼働させるのが最も効率がいい」との記事を多くの人に伝えるにはまだまだ内容が難しいと感じています。
    具体的にエアコンをどのように設定すればよいか示さればいいと思うのです。
    各メーカー毎に共通化できる表現で知りたいのですが教えていただけないでしょうか。
    あるいは、「消費電力計のようなものを各自が導入して、エアコン毎のくせを個々につかむ」という表現しかできないでしょうか。

    引用する際は引用元にリンクを貼らせて頂く予定です。
    よろしくおねがいします。