昨日急遽事務所から300km離れた長野県諏訪郡原村に新築中の「原村の家」の現場に向かった。その前日の夕方に連絡を頂き根切り底を見ることができる日が、昨日しかないとのことだったので、急ではあったが都合をつけて車を走らせた。
原村の家は標高1300m、また建物が接する高低差が2mちかくもあり、通常の工事監理感覚ではないところからスタートする。凍結深度の深いので、地盤面がよく直接基礎(地盤改良無し)でできると思ったが、下手のほうで一部弱いところがあり、そこだけ表面改良を施す。よって基礎の大部分を支える地面はそのままのため、根切り底の確認は大変重要である。
現場に着くと予想通り水みちが目視でき、根切り底に水がたまっていた。上手の根切り底から下手に水が流れないように水中ポンプで除きながらの掘削である。
地盤調査の推測どおり地層は3段に分かれる。第一層目はつい最近堆積した層で、木々の葉や動物の死骸など有機物が沢山含まれる腐葉土が300から500mm、その下部に粘土層が400mm~600mmでその下が礫が混じる層となる。この粘土層と礫層の間に水道があるようで、想定した設計GL~1300程度より200~500mm程深い。
また通常の浸透雨水は腐葉土層を抜け粘土層で一度流れていることも想定し、腐葉土下から礫層までの水を上手で抜く暗渠とするように施工会社さんと打ち合わせした。水は基礎断熱の断熱性を奪うので、できるだけ建物下から排除したい。特に流れのある水は要注意。
その一方、根切り底にスコップを突き立ててその地盤面の堅さを確認すると、地盤調査通りとても堅く100KN/m2以上はあろうかとおもう良い地盤。但し一部木々の抜根時に深く掘られた所だけ少し緩く感じられたので、改めて締め固めをお願いした。
いつも想うことは、建物設計は敷地を含む環境条件によって変わることが難しい。これは狭い地域でしか仕事をしていないとわからないことで、新潟県内でも北の平野部と南の山間部は大きく環境条件がちがう。ましてや県外なら環境条件が違うと風習や習慣も違う。このところにも注意する必要がある。またそれと同じかそれ以上に怖いのは生物である。生物は移動しているので、今見ているその環境に感じられなくともその脅威がある時だけ突然襲ってくる。このような生物の怖さは特別であり、注意深く環境を眺めてもこれだけは地域の住民等の話を伺うしかない。
そういえば自然の驚異として最近報道されているのが「雹」の被害。実は先週「緑の家」でも被害にあってしまった。
群馬県の高崎市でピンポン球くらいの雹が降り、車の屋根やボンネットを凹ましただけでなく(これも大被害)、雨樋を貫通して穴をあけてしまったとのこと。
これには驚くしかない。幸い総合火災保険でカバーできるとのことであるが、この威力なら太陽光発電パネルの保護ガラスなんて簡単にヒビが入るだろうし、実際入ったとの報道も聞く。このパネルには保険がてきようされるのだろうか・・・。
さて原村から帰ると既に21時・・・。流石に夜帰りの往復600kmは危険と感じスタッフMに同行を依頼したのでより安全に帰ることができた。