「無難な屋根」そして雪止めでわかる家の耐雪深

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「緑の家」の25年続く標準屋根 SGLのAT葺き(長尺横葺き)

無難とは「難」が「無い」と書く。住宅にとって最も「難」である事象は雨漏りである。屋根の目的は雨を長期に渡ってしのぐ事だから、無難な屋根といえばまずは雨漏りがない事をさす。

「今時雨漏りがない屋根はあたりまでしょう」と言われそうだが、確かに15年から20年くらいは雨漏りがないことが一般的である。しかし15年経過すると突然雨漏りが始まる家も結構ある。その原因がいわゆる「シーリング切れ」である。

シーリングとはコーキングとも言われ、ゴム状になる半練り材で隙間や穴を埋めることである。しかしゴム状のため経年劣化で口があき、おおよそ15年でシーリング切れをおこす。このとき以降雨漏れが始まり、当初はわずかに小穴から染みこむだけとたかをくくっていると、それ原因で木材がふけて数年で腐朽する。

ピンク矢印部分が全て板金のカシメだけの無難な屋根。

「緑の家」のAT葺き切り妻屋根では、このシーリングを原則屋根面で使わない施工をする。上の写真の矢印部分(屋根頂部際、屋根頂部側面)に通常はシーリングを施すことが多いのであるが、すべてカシメ留める。当然棟換気もないことでシーリングが必要なくなるので、シーリング切れはなく屋根の素材の寿命(SGLなら35年以上)まで雨漏れがないといえる。これが「無難な屋根」の根拠である。特に2ヶ月間も雪を乗せっぱなしの耐雪住宅は、限りなくシーリングは排除したい。

次ぎに・・・

新潟県の屋根には雪止めアングルがとりつくことが多い。このアングル(L型の金属棒)の留めつけ金物を見ると、その家の耐雪深さがわかる。

耐雪2mの三国街道の家の屋根

例えば「緑の家」で三国街道の家の屋根(3寸勾配)場合、耐雪2mのためアングル間隔が3m以内であればアングルを留めつける金物は455mmピッチでOKとなる。雪は勾配のある屋根面を滑り落ちようとするから、下に向かう力が働き、積雪量がふえれば比例してこの力は大きくなる。

例えば上の写真の屋根アングルを見ると、留めつけ金物が910mmピッチであり他は三国街道の家とほぼ同じ。910ピッチは455の倍であるから耐雪量は1/2となって耐雪1mの家とわかるである。

こんな気をつかった屋根に穴をあける太陽光発電設置が、大変野暮となることは説明の必要がないが、最近では穴を開けないホールレス設置が一般的になってきており、太陽光発電を載せたい人はそれを選ぶとよいだろう。

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