2022年建築学会の学術講演梗概集から⑦ 環境 古民家リノベの空気環境

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岩手県のある古民家を裸同然から造りなおし、現代の高性能住宅にリノベした室内温湿度環境と浮遊微生物の測定の報告をご紹介する。

発表者は毎年注目している本間先生である。本間先生は昨年宮城学院女子大学から国立保健医療科学院に移られたようであり、益々このダンプネス関連の専門に近いところで研究されるようで大変期待している。しかも「はじめに」の説明で「古民家改修では温熱環境の改善での健康上の配慮はむろん、ダンプネスによる空気環境への配慮が肝心である」としており大変共感できる。古い木はそれだけで表面の防かび物質がなくなりカビの温床になりやすい。それらをあえて再使用するわけだから注意が必要でこのような実測をされている例は大変少ない。古くは囲炉裏で燻され殺菌されていた古材※であるが、近年はそのような材はなくその点が昔のリサイクル材の建築とは違う。
※燻されると殺菌作用のあるカルボニル化合物、木クレオソート等が付着し、ベーコンなどはこれらの成分で腐りにくい。

青線は私が強調して書き込んだ。また改修後の写真はぼかし加工をしたがとてもすてきな家である。

古民家の概要は上のとおりで、等級7(G3)レベルの断熱性能を持つ改修建物である。本研究とは関係ないが気になったのは青線部に記載があるスラブの下の断熱材であるが、2(または3)地域のような寒冷地なのでやむ得ないのだろう。またストレージルームからのOAとなっているのも少し不思議感はある。私は住宅内のストレージルームを知らなかったので調べると普通に納舎、納戸等の事であろう。しかしそんなところからわざわざOAを取り入れた事にはどんな理由があるのだろうか。

いつもどおりまとめを先に載せる。

赤囲みは私が強調して書き込んだ。

赤部分はとても興味深いところ。そのあとの「床下空間が突出して高い」ことは床下空間が温熱的には居室内部空間であるが、床下暖房などのように積極的に居室空気と混じっていないせいでもあるかなと思う。だからこの部分だけ濃度が高くともすぐには影響がないので特に問題ないといえる。

一方したのとおりOAの取り入れ口に対しては懐疑的な説明もある。

浮遊微生物の実測結果のグラフがしたのとおり。

床下以外は悪くても外気とほぼ同じ濃度であるため特に問題ないといえるだろう。しかし床下の細菌SCDが2桁大きいオーダー。この細菌濃度で健康上の被害があるのだろうか知りたいところである。

その床下はスラブに覆われているので地面との接触は無く、一般的に階上を通して外気につながっていると思われる。もし外部環境が原因なら居室も影響を受けるだろう。よって建物周囲環境がこの原因ではなく、やはり建物内部にあるとみるべき。となると内部構成(矩計)は知らないが、常識として古材である柱や土台がむき出しなのはこの床下だけであろうから、古材が何らかの原因であると勝手に推測している。本州での古材使用は微生物リスクがあるのかもしれない。

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