住宅の換気の選定 その3

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その1では第一種換気の方が卓越風に影響されない換気効率が高い換気が無難にできる。その2では高性能フィルターを取り付けることで多少の空気の汚れを除去できることがよいとお伝えした。その3では少しメンテナンスについてと先日お伝えした一人あたり20~35m3/hの換気が簡単にそして無難にできることを伝えたい。

まず最初に掃除機の歴史を考えると自身にふさわしいメンテナンスが見えてくる。大昔の掃除機は紙パック以前の布捕集で、ゴミがいっぱいになるとその袋から出し洗う。袋の後ろにはスポンジがありこれも洗う。これが面倒で紙パック式になった。その後エコ運動が起こり同時にサイクロン式の掃除機が流行、紙パックから昔のようにカップ式や布式のパックになり再利用に戻る。これらをすべて経験し使ってみて普段の家の掃除には紙パック式が衛生的で簡単なため私に合っていると思い、現在は使い捨て紙パック式を選んでいる。それでもフィルター以後の中の汚れは気にしないで壊れるまで使う。

この思考は換気システムも同じだった。最初は第三種換気だったので当然不織布の給気フィルターだったが、洗っているうち乾かすことが面倒で汎用の取り換えフィルターにした。レンジフードも同じでやはり取り換え式がずぼらな自身にふさわしいと感じ、使い捨てフィルターになっている。このようにどのタイプが自身にあっているかで決めてよいとおもっている。仮に洗えるフィルターでも水で洗って乾くのを待っていられない。それと給気口内が汚れていても高性能フィルターで漉してくれた空気の方がフィルター無しの大気より気持ちがよいとフィルターの汚れをみると思ってしまう。つまりメンテナンスが少なくてよいとのことは、逆を返せば汚れを通過させているだけともとらえることができる。当然エアコンのように自動お掃除機能があればよいのだが・・・。

次に換気量からみる給気口であるが、これも第一種換気システム特にダクトレスタイプ(熱交換無)に分がある。ダクトレスと言っても下の写真のように国産の給気ファン(熱交換無)である。

このタイプの給気量は25~30m3/h個がほとんどで、家族が4人いれば4個設置する。この給気口を2個に減らして排気用ファン優勢のシステムを組んでもよいが、下の図の通り-20Paの負圧がかかってようやく40m3/h個なので、少したりない。30Paでようやく50m3/h個の給気が入ってくる。しかし30Paの負圧を作れる排気用のパイプファンはほとんどない。しかしホント・・・このように給気扇の負圧時のP-Q曲線まで公開してくれる国内メーカーの換気扇に対する矜持はすごい。これを見ると自然給気口でのフィルターごとのP-Q曲線及びDCモーター時の消費電力変化※特性の公開がない換気扇メーカーを信用しろと言われても難しい。
※DCモーターはその特性でACモーターより消費電力の変化が大きい。

負圧時性能まで公開してくれる三菱の給気ファンのP-Q曲線。50m3/hには-30Pa以上の静圧が必要。

下は三菱の代表的なパイプファン150φのP-Q曲線特性図。せいぜい静圧は23Paだがこのときの風量は0m3/hである。20Pa時でも15m3/hと全く足りない。つまり給気量と排気量を同じくしないと第一種ダクトレス換気(熱交換無)は難しいとわかる。

代表的な排気用のパイプファンのP-Q曲線。最大静圧は25Paもないので、家の内外差圧は10Pa程度となることを理解する。

話は戻るが、人が中心の換気計画は、やはり給気量とそのルートが肝心で排気量が中心となるのではないと私は考えている(キッチンやトイレのような換気はその汚れさえ屋外に出せばOKなので排気量とルートが重要)。そこで多くの給気ファンは25m3/hであるため家族4人であれば最低4個必要な給気ファンである。ところが第三種換気の自然給気口はその給気風量分配が難しい。というよりまず分配が可能な気密性能を維持しなければならない。よくプロの方でも勘違いされているが、100m2の気密C値が0.2cm2/m2の大変高性能の家があったとしよう。このときの家全体の隙間は約20cm2である。しかしこれは給気口を閉じているときの性能である。給気口が5つ(75φ)あったとしてこれを全開で使っているときには、更に221cm2も穴があいている建物である。つまりこのときの実際のC値は2.0にもなる。仮に穴を1/3に絞っても74m2となるので合計94cm2の穴があるときの強制排気差圧しかかからない換気システムである(c値0.74cm2/m2の差圧時の排気量で計画)。このためはやり温度差と卓越風の差圧の影響を受け、そこに高抵抗のフィルターを設置したなら給気口の位置ごとに風量を測らないと正しく換気計画ができない。つまりある程度給気量を正確に測るには冬期に一回、夏期に一回はかり調整して最適な面積を決める。このように一人年間の25m3/h程度の換気ルートを決めるには結構大変である。従ってほとんどの第三種換気システムは給気側が大ざっぱな換気計画となっている。これが駄目かというと、そもそも目に見えない空気だから気にしなければある程度いい加減でもよいと考えればOKで、それでも気にしたい人はCo2濃度計を買って寝室において測定すればよいだろう。その点第一種換気システムの給気扇は気密性能によらず、温度差換気にもあまり影響を受けることなく、また設計施工の技術力によらず設置するだけで測定しなくとも、大体給気量25m3/h人を守れるのである。つまり「緑の家」が第一種換気を標準とするのは、給気風量測定しなくとも設計どおりの換気が行える無難な方法だからである。当然第三種換気でも給気風量測定し、設計通りの換気が確認できればよい。またこれでもCo2濃度計で寝室くらいは測るべきだと思う。目に見えない空気だから給気風量測定か、Co2濃度測定はその換気効率の目安として必須と思う。

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