換気・湿度対策が矛盾する冬期

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最初に私自身は住宅内のRH(相対湿度)が低くても良いと思っている。例えば22度で35%などは快適で24度で30%でも良い。しかし住宅内の湿度は冬期でも40~60%が良いと考えている人も多い。乾燥肌など病気関連でやむ得なく高いRH(相対湿度)が必要である人は仕方ないが、健康な人には多少低めのRH(相対湿度)でも問題ないと思っている。

COVID-19が流行する前の年に次のブログを書いた。

この時期だから RH(相対湿度)とインフルエンザ
今、インフルエンザが流行しているらしい。 この時期になると何時もそう・・・。 ではなぜ冬になるとインフルエンザが流行...

一方多くの人が冬期期間に今でも下の図のとおりにインフルエンザウイルスを少なくしようとしてRH(相対湿度)40~60%に近づけようとして苦労している。

この図は住宅関連で頻繁に出てくるが、ウイルス関連ではまだ検討の余地があると思う。

そこである矛盾に気がつく。

今年からコロナで空間内換気を多くしようとの施策が住宅内にも浸透してきたら、上のインフルエンザ対策としてRH(相対湿度)40~60%を実施できる環境と相反する事になる。

その説明の前に住宅内の適正な換気量はどのくらいか?をあらためて明らかにしておきたいが、一般的に現在は

1.シックハウス法で定められた所謂0.5回/時間の換気量

2.一人あたり必要換気量(15~30m3/時間)

の多い方を採用することになる。

1は法律の制限で施工上義務(設備設置制限)であり2は法による根拠ではなく、建築環境学で薦めている数値となる。

先々週から新幹線の換気について話題したが、住宅では空間あたり人口密度が低いため、この2つの機内より多くの空気が外気と入れ替わっているので十分な換気量とあらためて思う。よってこれ以上の換気は必要無いと私は思うが、COVID-19の家庭内対策として換気量をより多くとのことであれば当然増やす事はできる。一例がレンジフードの換気装置を「弱」でも運転すれば通常150m3/h~200m3/hの追加換気が可能なため、換気回数は倍の1回/時の換気量になる。

闇雲に換気量を増やしても風上に感染者がいれば感染症対策からみると効果的でない。それを踏まえて効果的なCOVID-19対策をした住宅換気方法が今月号(2020年11月号)の日経ホームビルダーに掲載されているが、簡単な仕組みとは言えずまた部屋間、階間の気密性、卓越風など一定か?など難しい。せめて部屋間の空気差圧力計を設置して常に負圧が逆転したらブザーでもなるようなシステムにしないと机上の空論となるのではないか。しかも今日の本題で、冬期にある空間を強制的に負圧にするために換気量を増やせば、室内は過乾燥になることのデメリットがでてくる。

もし仮に真冬に換気量を0.5回/時から倍の1.0回/時にシミュレーションすると

条件:外気2度RH95%(固定)で室内22度40%からスタート。室内水分放出量は12L/日として換気回数1回/時、吸放湿物質、外皮からの放出は影響が小さいので無視。 

4時間くらいで定常状態になりこの時の室内RH(相対湿度)は29%と明らかに過乾燥と言われる20%台にはいり、仮に室内での水分放出量が半分の6L/日に減っても28%とわずかに1%だけしか下がらない。そのくらい換気量は室内RH(相対湿度)を支配するのである。・・・との説明ですんなり腑に落ちる方は下の湿り線図などを理解している方だけだろう。この説明は13年前のこのコラムで・・・。

空気中の湿気量は100年以上前から科学的にわかっている。それがこちらの湿り線図。

私は住宅内でのCOVID-19感染症対策としての換気増量は必要無いと思っている。住宅は家族集う場所で有り、日本だけをみるとこの程度の感染症で家族が普通に家庭内介護(無症状陽性者)できないとは思えない。

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