新型コロナCOVID-19と換気

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私の所属する日本建築学会と(公)空気調和・衛生工学会が、3月23日に「 新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して 緊急会長談話 」を発表した。現在の空調学会会長は当ブログにも何度か論文を紹介している田辺新一先生である。

全文は↓

https://www.aij.or.jp/jpn/databox/2020/200323.pdf

日本建築学会HP

当ブログの読者さんは換気を理解している特異な集まりで 、普通 換気と言えば窓開け換気しか思い浮かばない方が多く、 一般的に換気を正しく理解している人はとても少ない。

従ってこの表明はコアな皆さん向けではなく、一般の人向けであるためとても物足りない表明である。とはいっても複雑な話では表明にはならずこの程度がよいといえる。

簡単にまとめれば、
新型コロナCOVID-19対策なら、換気をいつも意識して定期的な窓開けや、機械換気の場合はいつもより多めに換気量を増やすこと・・・
となる。

通常住宅なら一時間あたり0.5回の空気の入れ換えである。この時もこの回数を30分に一度の窓開け換気だと勘違いされる人も多いとのこと。0.5回とは部屋の空気容積の半分が一時間で換わる事を示している。

一方公演を聞く集会場なら一人あたりの専有面積から換気量を計算する。仮に20m×20m=400m2の床面積の集会場なら400人から600人程度は入るとすると、12000m3/hという換気量が最低必要となる。しかしこの基準は今回のような最小限の換気量ではなく、許せる限り多くの換気量を想定していると思われ、この12000m3/hの2倍の24000m3/hはほしいところ。これは家庭用レンジフードの最強運転550m3/hが43個必要とわかる。とてつもない大きな換気装置が必要になる。一方会議室などを利用して小講演会で50人定員なら2000m3/hの換気量が望ましいと言える(通常の2倍の40m3/人h)。これを部屋あたりの換気回数にすると2000m3の気積のある部屋なら1回/時間の換気量となる。しかし・・・いつも講義を聴きに行く会場はそんな通常時の2倍にまで引き上げられる換気装置があると思えない。

そのように考えると屋内において今の人が集まらないよう国が要請することは、急激な感染拡大予防の一つの手段といえる。

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コメント

  1. Asama より:

    赤林先生へ

     いつもありがとうございます。こちらのサーバーの手違いでタイムリーに掲載できず申し訳ありません。今後とも暖かいコメントを宜しくお願いいたします。

  2. 赤林伸一 より:

     教室の換気に関して私見を私の研究室のHPに載せてみました。医者は窓を開けることを換気と考えている様です。換気回数1回/hは一時間に1回窓を開けることだそうです。
    http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/ventilation.pdf