木の抗菌成分の分布

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昨日の15時ごろの三条市の温湿度。露点温度は一気に13度と先週の24度より11度低下して一気に秋風となる。

先週の土曜日には青木村の家の地鎮祭が執り行われ参加させて頂いた。まだこの日は夏の空気が少し残り、上着では汗ばむ陽気である。

そういえば先週地鎮祭が行われた2棟の家はいずれも木の外壁である。外壁は家の印象を形作る大事な部分。その外壁はタイル、窯業系(ALC含)、金属系、木系、樹脂系、モルタル系(漆喰含)とあるが、各特長がある。それを建築会社さんでもないユーチューバーさんが簡単にまとめた動画があり、大方間違いない印象を受けたので感心した。

この動画の中で「木の外壁は古くから使われてきてその欠点があるので一度は窯業系などに置き換わった歴史がある」と告げている。その欠点とは動画中ではその木の特性である「腐る」「色が変わる」「メンテナンスが大変」とあるが、窯業系やトタン板外壁に置き換わった一番の理由は、22条地域と言われる防火構造に対応できなかったためである。当時木の外壁で防火構造に対応するためには土壁の外壁が原則となり、土壁で建物を作るとコストは無論、工期がやたら長くなり世間からの要望に応えることができなかったためで、22条でない田舎では土壁にする必要がないためそんなに廃ることもなく作られ続けてきた。この点は専門分野のためこの動画では触れられていない。

自宅のある寺泊では私の住んでいるあたりから22条地域を外れ、防火構造でなくともよいので木の外壁としている。

22条地域でないため木の外壁やポリカの屋根等も使えるができる限り準防火仕様としている。

さてその外壁の木だが、腐るかどうかについては結論から言えば腐る。しかし腐るためには腐朽菌の活動が必要で、菌であるがゆえに水分、栄養、酸素、温度の4条件が適正にないと活動ができない。この中で人が制御できるのが水分であり、水分とは雨がかりをできる防止して可能かな限り乾かすことである。よって木の外壁の時には屋根をできる限り大きく作ることが原則となる。

一方木の外壁で多いのが杉であるが、赤みを使えば多少雨がかかる構造でも腐りにくいとの情報があるが、それは半分事実であり、半分は違う。赤身は木が腐朽菌から自身を守る策として抗菌成分があると過去の論文があり、それが多いのが赤身部分でありその内容は下の通りである。

抗菌成分は赤身に多いことは上のように事実であるが、この文にもあるとおりそれは芯材に近いほど減ってしまい白み部分と同じくらいになっていることが報告されている。木の樹種は杉ではないが、概ねこの傾向がある。また文の最後にあるが、「素材耐朽性は、同一樹種でも個体差があり、同一個体内でも部位によって異なると考えるべきである」とまとめられている。同一個体差内でも異なる一例として目回り部分(胸高)に最も抗菌成分があり頂部に行くほど少なくなるとある。

つまり・・・

杉の赤身だから抗菌成分が多く耐朽性があるのは本当であるが、それは同一樹種内でも違いどの部位を製材したかわからない以上、半分程度の確率と考えるべきである。だから木の外壁はその抗菌成分に頼らずできる限り屋根を大きくして木にかかる雨水を少なくし、早く乾くように通気層を確実に担保することが王道となる(歴史が証明している)。屋根の出が全くない場合はガルバニューム等にするほうが無難といえる。

上の木の耐朽性のソースは4年前(2020年)の下の記事からの抜粋なのでリンクを置く。

国総研の資料2  木の耐久性
以下資料は全てこの報告書からの転載である。 2回目は木の耐久性である。このことはブログで何回も登場しているので根...
国の研究機関である「国総研」の報告書なので信用性では随一となる。

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