新たな古民家リノベーションは来年からもうできないのか・・・1

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130年前につくられた小屋組み

2025年4月から住宅など木造建築物の審査が厳しくなることはすでに周知されてきている。以前も申し上げたが、新築よりもリフォーム、リノベーションが相当厳しくなるのであろう。たぶんほぼ古民家のリノベーションは・・・今後難しくなる。

築135年目にはいるotomo vie cent

私が携わっている「otomo vie cent」は4年前からリノベーションしているので、このまま進行しても特に問題はない。しかしこのような築130年も経た建物を大規模な改修となるリノベーションしようとすると、今度は確認申請が必要になる※。築50年程度なならコンクリートでできた基礎があるので、その状態で現在の耐震基準をクリアーしようと思えば何とか可能であるが、「otomo vie cent」は基礎がない柱建ての建築である。柱建ての建築で現在の耐震基準をクリアーしようとすると、私の知る限りでは、限界耐力計算となる。これはとんでもなくハードルが高い。

現在行っているリノベーションで、もし2025年4月から始めると確認申請が必要な改修は・・・

1.床(剛床の時)の大部分を畳から土間コンクリートにする時。

2.階段の傷んだところを直すのに過半を超える修繕を行った時。

で、これは大規模な修繕・模様替えに該当するからである(2024年までは主要構造部として剛床や階段の修繕が明確に規定されていなかった。但し一階床で剛床はほとんどなく通常2階床が該当する)。

畳の床を全部剥がして土間にする。

元々130年前の古民家は畳床よりも土間(三和土)が過半を占めていたが、時代と共に、畳床に改修されてきた。それを再び土間に戻そうとしてリノベーションしているが、それを行うと確認申請が必要になる可能性があり、2025年の耐震性や温熱基準に合わす必要がある。そんなことをしたら、古民家が台無しになったりそれより膨大なコストがかかる。また当時の階段は勾配がきついのでそれを改善しようとすると、これも2025年の法律に沿った確認申請が必要になる。

タタミを全部剥がし土間にするために下地も全部撤去。

「otomo vie cent」では上の2つだけだが、一般的な古民家改修はまず最初に外壁と屋根の修繕になる。通常屋根の回収は屋根瓦だけでなく野地板が腐っていることが改修の目的であるため、この野地板の過半を取り替えると確認申請が必要。さらに外壁も以前国交省から指針が示されて、「外壁は良いがタイベックなど防水層の過半を変えると確認申請が必要」とのこと。これは大きなこと。外壁は多分木だろうが、現在の暖房する家の壁構造は通気層が必要。通気層には透湿防水層が必要なので防水層を作ると確認申請が必要になる。また2025年の改正により、改修に際して確認申請が不要とされる場合であっても、改修後の建物が構造的に安全であることが明らかでない場合は、設計段階での構造安全性の確認や必要な補強が求められる

このように書くと2025年の法改正に否定的かと思われるが、実は確認申請に関して今回はそのとおり。確認申請は現在の技術基準の価値で判断されるので、今までのように建築士が自身の工学的な判断で建物の安全性をいくら訴えても確認申請が下りることはない。となると・・・このような古い建物は全て現代の基準に合致するように変更することになり、古い建物の良さはもうないと思われる。

※「古民家の大半は都市計画区域外であり、その地域であれば確認申請が不要では?」と考える人がいるだろうが、それは間違い。確かに確認申請は不要だが、法律は適用される。だから2025年から始まる耐震性の確保等は都市計画区域外だから免除されることはない。ただ行政のチェックが義務でないだけで上の1と2に該当すればすべての建物にかかる規制だ。

築135年経過した建物においてotomo vie centが最後の大きな土間キッチンになる・・・と思われる。

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