
名古屋市に建築中の「緑の家」が完成間近。今回の立地は住宅密集地で、準防火地域にもかかわらずUa値は0.25で等級7を耐震等級3の長期優良住宅で取得※。お隣さんとの距離もほとんどなく、隣地からの離れ寸法が民法上の規定500㎜未満も多く残る地域。その中で無理せず目いっぱいに建築したのが今回の名古屋千種の家である。
※準防火地域ではサッシも防火タイプとなるため断熱性能が1ランク以上低くなる。防火シャッターを使えばよいが防火シャッターでは火災の時に誰が下げるのか不安が残るのでできるだけ避けたい。

特に今回気を使ったのが「居室の採光」の法律を守ること。このような密集地では、法律上有効な窓は、道路側と天井にしかない。天井につける窓はトップライトといわれ最近は人気がない。屋根に太陽光発電を設置することが多いのでトップライトはつける優先順位は低いのである。また雨仕舞の耐久性が少し他の部分より劣るので、できる限り避ける状況に現在はなっている。しかし名古屋市千種の家ではトップライトを2つ設けないと、居室の採光条件を満たすことができなかったので当初から計画した。
実はこの「居室の採光」は確認申請時に行政のチェックを受けずに建築することができたためグレー的な家も多いが、来年の2025年4月工事着手建物から、行政のチェックを受けることが決まっており、いままで気にしていなかった方※には大きな変化となる。
※有効な採光が取れなければこれは法律違反

トップライトを久しぶりに計画してみると、その特徴的な明るさにはやはり魅力的。天井から光が差し込むその配光はいい。「緑の家」も20年以上前では全体の1/3の家でトップライトがあった。このトップライトは10年ごとにメンテするのがトップライトメーカーから推奨されており、トップライト有する多くの建て主さんでは10年から15年でメンテナンスをする。またメンテナンスをせずに20年ほど経過して雨漏りが始まった時点でメンテナンスをする方もいらっしゃるが、それでもこのトップライトがあったほうがよいとおっしゃるくらい魅力的な採光装置なのである。
とはいってもトップライトにだけたよらないのが「緑の家」である。写真のように限りなく大きな窓を道路側に設け採光を重要視する。

名古屋千種の家の次の特徴は、作り付けキッチンでそれがまさしくスタンダートなメラミンであること。以前沢山作っていたが、流行のステンレス天板が多くなり最近は計画していなかったが、この名古屋市のような都会にはこのような白いキッチンは似合う。そもそもメラミン製のキッチンの歴史は大変古く、もう50年ほど前から一般的といえ、現在も家具工事で作られることが多い

そしてやはり高基礎が効果的で両隣は3階建てであるが、ほぼその高さにまであるので、上から見下ろされることはほとんどないのでトップライトのガラスはトーメイにしている。

また高基礎は床下暖房のムラをなくし、そのスペースはすべて収納とできる(収納できるの一階の半分となり、残りの半分はメンテナンスの通路だったり、配管の空間となる)。玄関からもキッチンからも直接入ることができるため、その使い勝手は普段使いになる。

2025年1月完成だがこちらも床下収納をみていただくためのプチ見学を予定しているが、日程が厳しいのできるかどうかは1月上旬に決めたいと思う。


定番の壁色で統一され、こんな街中である条件でも室内は明るいところが「緑の家」らしい。