拘りは優しい木の素地-無塗装の木に拘り28年目。

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事務所インテリアイメージは優しい素地色と無塗装の手触り。とにかく木は無塗装・・・。

新しくなった事務所の打ち合わせスペースでは古い事務所で使っていた木の椅子を使っていたが、新たな試みで「ある」椅子を設置してみた。

事務所の打ち合わせ椅子は1997年から無塗装に限定している

「緑の家」の拘りは・・・手で触れる木は全部無塗装にすることである。これは1997年事務所設立以来変わっていないインテリアポリシーである。それは日本の古来からの木の使い方である。多分この使い方を28年間変わらずに行っているのは当事務所くらいであろうと思うし、簡単にはまねできない特異なことだと思う。

お出迎えするスペースに設置している↓のデザイナーズ椅子も無塗装で特注したが、まず楢の木の無塗装椅子は普通の発想ではない。

こちらのデザイナーズチェアーも無塗装の特注。

一方こんなに動かしやすく軽い椅子でも杉の床には固い。ちょっとの移動動作で床が傷むことはやむないが、打ち合わせ時はテーブルから何度も離れることも多く、椅子から立ち上がり動かすたびに傷がつく。仕方ないと思っていたが、スタッフMが発想の転換というか、ダイニングテーブルにそんなことあり?という回転式の椅子が良いのではないかと言い出した。回転イスといえば必ずキャスターがついてくる発想なので、キャスター椅子なら楢(オーク)のようなとても固い素材以外では痛むので頭からそんな回転椅子の発想はない。しかし回転すれば椅子を引いて立ち上がる動作はほとんどなくなる。

との事で、回転式の椅子を探すことになった。しかし業界にながい私が知らないくらい回転式のダイニングチェアーはほとんど販売されてない。あってもデザインがゴツク気に入らないし、何より既製品では無塗装がなくオーダー品なら無塗装は作ってくれるが保証がうけられないリスクがある。そんなことで2か月探していたが当初から目星をつけていたが、聞いたことがないメーカーのため迷っていた椅子を1脚だけ購入することにした。

箱には無塗装の大きな文字。
厳重にくるまれた梱包材から足の裏がのぞく。

組み立て式なので、イケアの椅子ような難しさを少し心配していたが、届いてみると最も難しい足の組み立てはできており、上下の連結という簡単なものだった。

回転する椅子は座面がとても厚くしっかりしている。上の限りなく薄いデザイナーズチェアーと真反対の座面だが、重くても動かすことが少なくなるため特に問題がない。

それでも足の裏にあるフェルトは薄く気休め仕様だったので、まずはここを厚さ4mmあるフェルトに取りかえた。

左が4mm以上あるフェルト。厚さの違いが一目瞭然。

フェルトは椅子が傾いたときに集中荷重を和らげてくれる大事な靴のようなもの。

純正のフェルトを剥がす。無塗装だから気兼ねなくできる。

一脚の組み立ては5分くらいと簡単で、出来上がってみると無塗装の色がやはりいい。木は無塗装で初めて本来の色と感触が生まれると私は思っている。

この無塗装の色合いと何よりもこの絹のようなさらっとした肌触りが最高によい。樹種は堅木でよくある木。

特に最も手が触れるこの背もたれの部分の肌触りがよく、この価格(デザイナーズチェアーの1/5)でこの仕様なら間違いなく価値はあると考え、新たに4脚を発注。

ディスプレーに向けて体ごと回転させると大変楽である。出入りも椅子を動かす必要がない。なぜこの発想が今までなかったのか。

設置して使ってみると最もよかったことは回転する事。新たな事務所になってからは、プレゼンテーションは65インチのタッチ式モニターパネルが中心になっており、テーブル上の図面と同様にモニターを見る事になる。モニターはテーブルと90度位置を変えているので首だけを90度振ると疲れし痛くなるが、椅子を回転させ体ごとモニターに向けることで首が痛くならない。これは大変なメリット。ダイニングチェアーというと回転する椅子は考えないが、やはり常識で物事を考えるだけではいけない。テーブルの上の紙やタブレットを見て打ち合わせをする事は過去になり、今はデジタルサイネージやディスプレーによる案内がどこでも当たり前。そんなモニターをみるときに回転し体ごと向きを容易に変えることが必要。確かに会議室の椅子は回転式も多い・・・というより回転式が普通である。住宅の打ち合わせはダイニングチェアーで且つ木の固定椅子という凝り固まったこの頭をいつもスタッフMが真顔で打ち砕く。座ったり、立ち上がったりするときもに椅子を動かすことが少なくなり、床と椅子の足のこすれ傷もないし、体を捻じ曲げる無理な姿勢による椅子への偏心荷重がないことで、床への凹みも限りなく防止できる。

既存の無塗装の椅子だったときは、ハイバックで開放感が少ない。
このコンパクトなデザイナーズ椅子なら上のハイバックより空間は広く見える。
低重心の椅子のためテーブルから突き出ないので最も空間が広く感じる程の変わりよう。机も打ち合わせ時用に変形して大きくしている仕様の時は、この椅子巾でも最大で片側4脚並ぶ。

そして低い重心のデザインであるため、背もたれの高い椅子のような不安定感と圧迫感が少ないこともよかった。

打ち合わせ時にお子様が待っているスペースの机も杉の無塗装。

このように変わった椅子でも28年間変わらない「緑の家」の仕様がある。それが木の無塗装・・・この28年で大きく時代は変わったが、この木の無塗装の使い方だけは変わらないし、これからもそう思う。

お子様用机も杉の「無塗装」。一度無塗装にハマるとそれ以外は木ではない気がする。

これで新たな事務所の木はほとんど無塗装・・・ほんとに無塗装の木にハマると塗装した木は全てプラスチックか塩ビのようなさわり心地で嫌いになる。お子様の待合空間のある机も無塗装の杉である。とにかくほとんどが無塗装の木で囲まれた事務所は大変好きな空間である。

但しデメリットして無塗装の木は大きな温湿度変化を与えると木が割れてしまうことがある。今回の五脚のうち一脚が2週間で割れてしまった。しかしこれが木の特性のため交換要望は無理だし行うつもりも毛頭ない。

この椅子で注意するのは、ハイバックではないためこの椅子で常時背もたれに寄りかかりリラックスも兼ねるような使い方の人にはふさわしくない。打ち合わせや、事務、勉強等背もたれを重要視しない用途にはよい選択である。

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