ちょっと一般の建て主さんには今回の記事はわかり難いかもしれませんので、スルーして頂ければと思います。
BELS(ベルス)って知ってますか?
多分、ZEH(ゼッチ)認定を取得された方ならわかります。
BELSとは国が行う建物の省エネ性評価です。
BELS申請は当事務所として初めてで、上山の家でZEH取得されるということでそれに必要な評価書の一つがBELSだったのです。
評価書中身を見てびっくり・・・
「緑の家」のUa値が0.23w/m2と大変優れているのはあたりまえですが・・・換気設備の一次エネルギー消費量が基準より3倍も多い・・・って???
これは・・・
まず上山の家の換気設備が特殊で、
「緑の家」で標準で使うセパレート型全熱交換換気扇(商品名ロスナイ)と、セントラル全熱交換型換気扇(所謂ダクト式換気扇)を両方採用していることと、評価の算定式が汎用計算である事が原因です。
換気設備を複数使った時の一次エネルギー計算における評価は、効率の悪い方を全部使った計算になります。これは評価の算定式が誰にでも入力可能なように、単純化され一つの換気設備しか想定されておりません。よって安全側の効率の悪い方の設備の数値を入力する事になります。これが原因で大きく消費する換気設備として評価されてしまいますが、実際はもっとよくなるでしょう。
また・・・換気量は建築基準法で部屋の気積に対し0.5回/時以上の換気量に規定されておりますが、夏期のシックハウスを想定され作られたこの換気量は、現在の建材や材料の安全性と冬期の気温が低いときの揮発性有機化学物質の量は無視、および冬期の温度差換気による自然換気量を考慮していない、更にトイレ、台所レンジ、(風呂)換気を無考慮のため、冬期は相当換気過多になります。よって冬期の機械換気量は少なめでよいと記載がある国のマニュアルが当初からありますし、私もそう思います。よって私はこの温度差が20度以上且つ強風が強い日本海側では、24時間換気システムは家全体の気積の0.35回/時でよいと考えております。しかしBELSで使う一次エネルギーの算定式では、年中0.5回/時で計算されることになり、多分実際と乖離します。ただ・・・自分の考えだけで評価するとその評価はバラバラとなるので0.5回/hの基準は必要で有り、今の実務者レベルでは止む得ないことだと理解しております。
さて、
それにしても換気の評価についてはどんどん変化しております。逆にこれが原因で旧Q値の評価が実質出来なくなったともいえますから当たり前の進化です。
国の省エネ評価ツールである「エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)Ver. 2.3.1」
は既に2.3.1になり換気の入力方法が再び大きくかわりました。
「換気」のタグと「熱交換」のタグが有り、換気のタグは以前と変わっておりませんが、「熱交換」のタグ内が一見簡単に見えますが・・・
実は結構変更内容は濃く
「給気と排気の比率による温度変換効率の補正」という、
昔の表現では多分「有効換気率」に該当する部分がデフォルトでは0.9とされ、もし必要とあれば手入力出来るように単純化されております。
そして次の入力項目で
「排気過多時における住宅外皮経由の漏気による温度交換率の補正係数」
という設計者でも?と思う言葉ですが、簡単な表現にすると
「局所換気と併用したときの温度変換率の補正」
となるのではないかと思います。
これは以前から当ブログ↓で申しあげているとおり、
第一種熱交換型換気(特に全熱換気)のときには、お風呂の排気とトイレの排気とキッチンの調理コンロ排気はある程度のまとまった量になるのに、熱交換されずに排気される。これが熱交換換気の弱点でこの考慮をしない限り、熱交換時のメリットは机上の空論になる可能性があります。それを解消しようとしたのがこの「排気過多時における住宅外皮経由の漏気による温度交換率の補正係数」ではないかと思われます。
それとどのようなリンクになるかわかりませんが、下のような解説があります。
家族4人で平日は2人在住(母と子)が主とし、週末は土曜日が日中不在(外出)で日曜日は家族4人が在宅とした場合、148.75MJ/年の電力消費量となります。これを仮に床面積が100m2の場合とすると1.5MJ/m2・年となります。これを一次エネルギーに直すと4MJ/m2・年になり、これは大変少ない数値で上のBELSの機械換気設備で示した規準値37.81MJ/m2・年の1/10です。本当でしょか・・・。上の表C1で休日の夜を見ると4人家族で1時間辺り0.5wの消費電力ですが、お風呂場の換気扇は5w以上あります。変ですね・・・少し調査しますね。
「緑の家」ではお風呂はCFを使い、トイレは短時間換気を標準採用しできる限り「排気過多時における住宅外皮経由の漏気による温度交換率の低下」を抑えるようにしているのです。
換気はこのようちょっとした盲点がありでここを克服する事が、第一種熱交換換気システムを有効に利用するコツになると考えます。