夏に外気で通風(窓開け)すると黴びる理由・・・その1

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先週だったか事務所で建て主さんに説明していたときに、

「夏は通風する方がカビが生えやすくなる。窓を閉め切ってエアコンが空調がよい」

と説明していたのだが、ブログ内の資料でははっきりと「なるほど」と普通の方が頷くページがなかったので追加する。

真冬のこんな時期に夏の話とは・・・

この日経ホームビルダーのこの号では、2017年に建築学会(夏季建築大会)で発表された論文を記事にしている。この号は是非購入してほしい。

その中の

「外気流入  窓開けでカビが成長」

の見だし記事。

この記事は「通風すると床下にカビが生えやすい」とのこと。井上先生はこれら住宅の分野で博士を取得された。その先生の論文~の記事である。

それによると↓(井上雅登先生の論文から表にした)

調査箇所 平均菌糸長(μm) 夏季の数週間 カビ指数
コウジカビ 乾きコウジカビ ススカビ
外気 138 316 0 6.6
浴室 546 673 556 9.3
浴室床下内 39 75 0 3.6
リビング床下内 0 0 0
洗面床下内 0 0 0

との結果が得られたとのこと。

簡単にすると、一番カビが生えやすい環境は浴室(換気仕様は不明)で、次に外気中であるとのこと。

その外気を家内に多量に持ち込めば(所謂窓を開けて通風すること)、家中至る所で外気と同じようにカビが生えやすい環境になると言うことを示す。

つまり・・・

窓開け=黴びやすくなる

になる。しかしこれが信じられず、カビ対策には窓開けがよいという神話が出来たのは、

「人の暮らす時に発生する水分(湿気)があるので、その湿気を外気に捨てなければ(窓を開けなければ)、外気状態より更にカビが生えやすくなる。」

この赤字が抜かれた事による誤解である・・・はたまた意図的か?

2年前に仮説を立てて家の建て替えはカビが大きいとの見出しをつけたこの記事↓

建て替え理由はカビ・・・その④
結果に影響を与える原因の拾い出しが十分であったか、原因が時間の経過で変化しないか・・・ この言葉・・・ 先日のブロ...

そのブログにある下の通風抜群の自然素材の木で出来た手水舎の天井がカビだらけ・・・。

つまり・・・通風では自然素材の代表で住宅内では最もポピュラーな杉材へのカビは防げない事になる。

今、私達はエアコンという文明の利器がある。薬剤を使わずカビや微生物(ダニ)を排除出来る魔法のようなエアコンを使わない手はない。車と同じようにその時代時代にあった家の使い方があるのだ。

そしてとうとう市街地の殆どの小中学校にも昨年の猛暑から学びでエアコンが取付けられる事になった。また現在真夏に窓を開けて走っている車があるだろうか?そんな時代なのに・・・エアコンは体に悪いからと言った勘違いの通風信仰はそろそろ終わりにしたい。

とは言っても、窓を開けたい自由は無論・・・大いに尊重する。だから「緑の家」でも殆どのの窓は開けることが出来る。

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