2022年建築学会の学術講演梗概集から⑨ 環境 床下と階間の隙間

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年を越したが、もう少し学術講演概要をお伝えする。
その⑨は床下暖房に関連する床下⇔階上の隙間に関すること。

以下全ての画像と図、表は冒頭の論文からの抜粋

報告者は床下を使った全館空調の研究の第一人者である井口先生らのグループ。研究目的は上のとおり「床下と居室にある床板の隙間の調査を行い、通気率と隙間特性値の実測を行う」とある。

本論文と関係ないが左側住宅の全熱交換型換気扇のSAが、床下内に放出されているところが気になる。

まずどのように測定しているかであるが、上の図のとおりである。家自体はYUCACO採用の家であると思われ、本来は住宅Bのように専用の空調室を持つが、住宅Aのようによく見る床下エアコンの配置(但し二階の階間にもある)も行っている。住宅Aは下の表1にあるとおり送風のアクティブファンがあるのでYUCACOの派生形?ないのかもしれない。

一階に風呂があるように見受けられるが、そこまで詳しく記載されていない。風呂や階段は一階と二階をつなぐダクトのような空間になっていることが多いのでこの点は記載があると親切である。

一般的な市販されている気密測定器によって測定は行われているが、一階と二階の隙間と特性を切り分けるために、一階を測定する時に二階も同差圧になるように減圧しているとのこと。ここでどのように隙間を特定し流量を把握できるのだろうかその理屈がわからない。

吹き出し口と押し入れ口をふさぐとある程度気密であることわかる。
ここまでの全ての画像と図、表は冒頭の論文からの抜粋

まとめでは「床板の隙間」とあるが、床板だけではなく間仕切りのコンセントスイッチ又は照明器具に周辺にも隙間があると思われるので多分床板等の隙間になるであろう。サーモグラフィーで撮影すると実際スイッチから漏れ出る暖気が写る。床下⇔床上の隙間を把握することは温風循環にアクティブファンを使わない「緑の家」のような床下暖房時にとても重要で、過去何度無くそのことを申し上げてきた。下は2016年頃の写真であるが、意図しない隙間から漏れ出ている暖気で温度があがっていることからよくわかる。

この写真は「緑の家」のもの。

さてこの論文から私が興味を持ったのは床下エアコンが稼働中の床上と床下内の差圧である。つまり吹き出し口に目張りしていない時の実測値。「緑の家」の床下エアコン暖房の原理は、圧力差による吹き出しであり、私が仮定数値で計算するとにその差圧は1~2Paである。そこでエアコンだけで行う床下エアコン暖房の実際の差圧があるか知りたくて差圧計を購入した。

測定精度は、±(2.0%F.S.+1digit) at 23℃でレンジ0~50Paの許容表示誤差は±1.1Pa。よって実際1から5Pa位あればはなんとかわかるはず。

測定できる差圧は0~50Paとわずかな微差圧で、写真のとおり表示スケールは小数点があるが、実際は誤差±1.1Paあるので小数点以下は無視する。しかしゼロ校正は簡単に正確に出来るのでこれで「緑の家」の床下と一階の差圧を測定しようと思う。

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