床下暖房でのペットボトル型蓄熱の効果
  その2  建築学会査読論文から 

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ここから下の図、表(写真を除く)は全てこの論文からの抜粋。尚、カラーで示された部分はわかり易くする為、浅間が手を加えた事をお許し頂き、この場を借りてお願いしたい。

さて飲料水のペットボトルタイプの蓄熱としての効果は・・・これは査読論文※からです。

※査読論文とはこちら

青色が基礎の中央部の熱の出入り、緑色がPCM(相変化温度30度、潜熱量6.7MJ品)の熱の出入り、そしてピンク色がペットボトルの熱の出入り。ピンク色が圧倒的に蓄熱材として機能している。ペットボトルが1000本(500ml)=500Lでこの効果は凄い。因みに106%となっているのは、放熱時に入っても吸熱をしているからとの事。

この仙台の家に設置されたペットボトルは500mlで1000本。これを床下の一番上部となる大引きのあたりに並べたととの事です。この位置もよかったでしょう。床下内の温度分布は基礎内断熱下のとおりになり、上部ほど暖かいので吸熱にはもってこいです。

中央部は二年目からは上下温度差が無くなるが、周囲は依然上下温度差がある。

一方放熱時には下部より悪いはずなのですが、ならしてみると上部の方がよいと思われます。「緑の家」の場合は下部においておりますが、エアコン吹き出し暖気の真下なので、風の当たる半分くらいは上部と同じ吸熱効果が期待され、一方放熱時にはこの部分は温度差が大きくなるので最もよい放熱効果を発揮するでしょう。

このペットボトル蓄熱の発案者さんの床下では、最も効果的な置き方をしている。

今回の実測された家ではペットボトル500mlが1000本で500Lと比較的少なめですが、それでも基礎中央部より蓄熱利用される効果は2倍もあります。ペットボトルの表面積、設置場所、温風温度が違うので比例しませんが、「緑の家」のように1000Lなら倍の効果になります。

また・・・実はこの効果が薄い基礎部分蓄熱ですが、「緑の家」の基礎はここで実験された基礎高の2倍以上はありますから、その中央部にある立ち上がり高さも2倍以上の容量が有ります。つまり蓄熱量は数倍になる・・・。

ただし・・・

「緑の家」の建築地域は太陽光が降り注がない日本海平野部なので、蓄熱される熱は太陽光のようなタダでは無く深夜電力で割安ですが電気代が掛ります。

3.11以後原発が止まったので深夜電力の価格が1.5倍に上がりました。それでも深夜電力料金は日中の1/2.5以下なので電気代としては安価。この蓄熱を使う事で昼間の高い電気代を使う事が少なくなります(実際昼間のエアコンは殆ど使っていないオーナーさんもいらっしゃいます)。なんといってもこのペットボトルの水は、消費期限内なら非常時の飲料水、消費期限を越えているなら断水時の中水にも変わりますから、大変優れものです。

声を大にしていえることは・・・

ペットボトル設置型の蓄熱利用は床下でないと効果が薄いばかりか、階上設置にすると地震に対して弱い家になります。その点からも床下空間が高い「緑の家」の基本構造はすばらしい・・・この高基礎による床下暖房は、今回のように数年後どこかの機関で実証して頂け、それが浅間の狙ったところと同じ結果がでる・・・と自画自賛です。

この論文の各住戸の条件は下の表をご覧ください。またこの論文の全文掲載は私企業での実験棟の内容が多いので、このブログでの公開は控えます。もし必要な方は浅間までお問い合わせ頂ければPDFで全文をお送りします。何事も理由(裏付け)があって仕様が決まります。

流石にQ値という数値は既にない。表記はq値で換気による損失を含まず また床面積あたりではない。

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