あれから12年・・・

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未曾有の長時間の揺れを感じたあの日から12年経過した。想うことは「災害は忘れた頃にやってくる」ということ。忘れがちだから家作りでは耐震性は常に最優先として意識していたい。

家の耐震性は最重要な性能であると、昨日のブログではお伝えしている。その構造で最も注意するのが木造と鉄筋コンクリートの境目をつなぐアンカーボルトである。

グレーの線が基礎の立ち上がり部分で、黒丸がM12アンカーボルト。三角がM16アンカーボルト。

こちらはある「緑の家」の基礎にあるアンカーボルトの配置。アンカーボルトとは基礎に埋め込まれた金属の棒で、この棒によって上部の木造部分の応力が基礎に確実に伝わり家の倒壊を防ぐ。

白矢印がアンカーボルト。全て計算で必要箇所にいれる。基礎巾150の時の外壁芯割り振りでは60-90となる。外貼り断熱時はこの方が外壁が安定する。

そしてこのアンカーボルトの耐力がとても大事であり、一本でもその基準値を満たさないと、構造計算はNGとなる。

M12アンカーボルトではヒノキ土台の耐力は17.97KN、米ヒバ土台による耐力は14.2KNまで下がる。その理由がすぐにわかる人がいればその方は構造を知っている人。

上の図は基礎アンカーボルトに対応している柱にかかる引き抜き力というか、逆にこの引き抜き力を満足するようにアンカーボルトをセットする。このあたりのチェックを私たち建築士は最も注意して行うのである。例えばM12のアンカーボルトでヒノキの土台なら短期許容引き抜き耐力が17.97KN(HSS金物HSP-190 )であるが、これが米ヒバになると14.2KNに下がる。つまりヒノキ土台ではM12のアンカーで問題ないのが、土台の樹種が変わったりするとアンカーボルトはM16にかわる。これは大変大きな違いである。しかしアンカーボルト自体は土台を貫通し土台に触れない構造なので、土台樹種が変わっても耐力に変化がおこるとは普通の施工者は思わないところがやっかいなのである。

このことを知っているので安易なリノベーションやリフォームをお薦め出来ないと伝えている。更にいえばこの耐力はアンカーボルトの埋め込みが300mm時で有り、昔の200mm程度の埋め込みでは相当下がるが、既存基礎なら埋め込み長さは壊さないとわからない。目がX線のようにコンクリートを透過できる特技があれば別だが・・・。

ところで・・・このような細かい部分も含め構造チェックを2025年から行政も行う予定。果たして無事に発進し軌道に乗ることができるのだろうか。私はこれが無事に運用継続できたら拍手喝采ものであると思うほど凄い住宅改革になると考えている。それほど構造計画と計算は手間がかかる。よってこの確認申請代は現在(1.5万程度)の2倍を超え3倍近くになる事も考えられる。最終的にこれらは全て建て主さんのご負担となる。

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