「緑の家」の耐震壁

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仮筋かいと筋かいの混同する現場状態。この後残りの2階床が貼られ仮筋かいが撤去される。このやり方は昔ながらの大工さんの段取り。

「緑の家」の耐震壁は筋かい、合板、特殊合板 etc・・と何でも使います。

これは、国が定めた方法をきちっと行えば(設計、施工)、決められた以上の耐力が必ず得られるからです。特別この工法がよいとか、この合板がよいと訴えるつもりはありません。

外周廻りは極力上下耐力壁が連続するように心がける。その方がデザイン的にも安定する。

家らしくなってきたすみれ野の家(北区)。今日は耐力壁検査にいってきました。

その前に・・・
お盆前に木造住宅業界を揺らす事件がおこりました。それはあの大手「住友林業」さんの違法建築が3500棟ほどあると報道されたからです。↓

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201208/2012081001193

適切な施工がされていないと国交省が指摘して発覚したようです。釘の長さが足りない・・・初歩的なミスですが、とてもありがちな事です。緑の家でも似たような事が起こり、直すのに施工会社は最大の努力をして修繕しておりました。ミスは誰にでもあるので、それを如何に少なくし、発見し易くする体制やシステム(ダブルチェック)が重要です。メーカーの大小ではないような気がします。

さて・・・
オーブルデザインの「緑の家」では、地震に対する性能を確保する主となる「耐力壁」には、「筋かい」という方法を一番多用します。

通常筋かいは90×45以上の部材断面でOK。しかし材料の予期せぬ不良を見こし105×45にしている。

しかし巷では筋かいは面材耐力壁に比べ、地震時にその効果を発揮できないと言われる事も多々あります。しかしこれは完全な誤解で、正しく設計・施工された筋かいは、決められた耐力をしっかり発揮します。そうでなければ国交省が50年以上前から規定している筋かいの評価をする事はありません。

筋かいが問題とされる事件は多々あり、その99%は設計や施工の不良によるものでした。一方合板による面材耐力壁は、そういった事件が少なく地震後も所定の耐力をしっかり発揮している事が報告されております。この理由は

・合板による耐力壁の方が簡単な施工である。
・筋かいの耐力壁の方が複雑なカット納まりを必要とする。
・合板による耐力壁は外周全てに貼る事になりやすい。

と言う事でしょう。

合板による耐力壁は釘を打つだけと言った単純な施工法でOKです。よって大工見習いでも施工可能ですが、筋かいは形に合わせしっかり切る、特定の金物にあった釘をその金物で決められた本数打ち込む・・・と言った少し単純では無いところがあるので、大工見習いでは無理です。やはり少しだけ修行した大工さんが「前後の工程・納まり」を見極めて行う必要があります。

筋かいの中央分には面外座屈防止用釘N90-2本が打たれる。これも昔からある公庫仕様であるが、行っている現場は少ない。

それならやっぱり合板による面材耐力壁の方が間違いが少なくて安定しているのでは・・・との意見もありますが、筋かいくらいきちっと設計・施工できなければ、気密や断熱、様々な他の納まりがしっかりできるはずがありません。まあ、四角い箱で床も平らな建物なら合板による耐力壁でよいと思いますが、床に段差があったり、2階の床を合板を全面に敷き、水平剛性を確保した場合の内部合板による面材耐力壁の納まりは、許容応力度設計と施工のマニュアルに規定が無いので注意が必要です。

ですので、緑の家ではなるべく2階の内部耐力壁は筋かいが中心となります。

何事も基本的な事をしっかり抑える事が重要で、単にこの部材がよいとかにはならないところが家づくり難しさです。

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