「緑の家」で7年以上使い続けたトイレ換気扇をこの度変更する予定。
トイレの換気扇にこだわる設計者も珍しいと思うが、一日20回ほど使うトイレだからやはり大事な部材である。
新たな換気扇は東芝の上の機種。なんと発売日は2008年だから・・・16年前に発売された商品。自身で選んでいても何か変だと感じるが、性能や実績から選ぶとこちらにならざるを得ない。
実は以前この換気扇を使っていたことがあり、ある事件で使うことをやめた。当時はこの換気扇が24時間換気扇で使用していたため、蓋をあけっぱなしにするためかモーターが過熱して色が変色してしまう現象があった。当時の住宅の換気方法は第一種ダクトレス換気(今どきの熱交換があるダクトレスではなく熱交換無しのシステム)で、その排気側がトイレだったためこのパイプファンが24時間ONになっていた。当然メーカーでは24時間ONでも問題はないとの事だが、やはり電磁モーターがONに常時なっていれば加熱もある程度するだろう。しかしあれから16年経過してもまだ販売してことは、決定的な不具合がないともいえる。
どうして20年も前から(前機種)これを選んでいたかは・・・圧損に強いからである。
上のP-Q曲線でわかる通り、この換気扇はパイプファンなのに最大機外静圧が60Paを超える。このようなパイプファンは最近不具合を起こしたパナソニックのパイプファン以外であまりない。ではなぜ60Paも静圧が必要なのか?
換気扇は単独で使われることはなく、パイプファンであってもまず機器の先端にパイプフードが取り付く。「緑の家」で標準としているパイプフードは下の写真と表の通り圧損が少ない形状をまず第一に、次に機能、デザイン性となる。
フードのP-Q曲線をみればわかる通り風量100m3/hにわずか8Paの圧損。下図のとおりこのフードを取り付けたときの一般時の実際の換気量は85m3/hになる。最近のフードはよく研究されているのでこの点はどのフードを使ってもおおむね良い。
しかし風呂やレンジフードの局所換気※及び季節風の正圧面の外壁では、圧損ともいえる負圧が30Paを超えるその時の風量を見ると・・・
50m3/hにまで減ってしまう。「緑の家」が150φの大型パイプファンに拘る理由がこの点で、150φで60Paを超える静圧があれば30Pa時にも50m3/hの換気量を確保できる。排気量が半分に減っても排気の換気が5分程度で行われるからまだよいが、このような圧力型のパイプファンを選ばないと逆流まですることがある。トイレの換気扇を「緑の家」のように局所換気で使う時、レンジフードON※のような一時的な逆流は良いとおもうが、24時間換気としてトイレの換気扇を使うとなると、それは問題が起こる。下は一般的な24時間換気対応のトイレのパイプファンである。
※連動する同時給気用の開口部があっても風量200m3/hを超える使用時には圧損は20Pa~40Pa以上にもなり、気密性が高い家ほど高い圧力差が生まれる。尚、連動給気口がない場合は論外でNGとなる。
このように機外静圧が低いので少しの室内外条件変動で排気はできないばかりか、逆流さえ起こりうる。
局所換気用トイレの換気扇はこのようなパイプファンではなく天井扇があり、天井扇のほとんどが機外静圧が100Pa以上のシロッコファンタイプなので、こちらを使えば間違いはないだろう。しかし電動気密シャッターが標準でついている機種はほとんどなく、風圧シャッターという簡易なシャッターのみ付属する。見て頂ければわかるがこのシャッターは外気流入はある程度カットするが、排出抑制は全くできない。流入さえも周囲に5mm程度隙間があることを考えると、気密測定をするような高性能建物には似つかわしくない。しかも天井扇はパイプファンの倍以上のコストがかかるので、「緑の家」の標準換気扇はパイプファンにしている。全ての要求を満たすと天井換気扇(電磁気密ダンパー付き)になるのだが、そこまでトイレの局所換気にコストをかけてよいならそうするだろうが、皆さんはどのように考えるだろうか。
このパイプファンの唯一の欠点が当時パナソニックに変えた理由でもある「メンテナンスが普通」ということがあるが、まずは故障しないことが第一である。
サンプルが届き確認ができ次第、このパイプファンに変更する予定。
コメント
お久しぶりです。我が家で使っていたトイレのファンが取り上げてられてうれしいです。
その後はトイレの換気扇を交換し使い続けていますが交換以降連続運転のため電動シャッターの不具合があるのかも知れませんがわかりませんので、確認してみます。(今となればコンセントタイプにしておくと良かったかも。免許なしで交換できるので)
この換気扇の電動シャッターは何年も連続して開けていなければ開閉用コイルが加熱することもなく長持ちするようです。実際に我が家では、連続して運転していないシャッターの開閉が同じ仕組みの風呂場の換気扇や床下の換気扇はまだ壊れずに動いています。ですので照明用の人感センサーを回路の途中にいれ使う時だけ運転させれば長持ちするのではないでしょうか。
今後できれば排気関係の電源をコンセントから取る方式に改造し外気の状態に応じて遠隔操作出来るように改造したいです。