Q値に関する断熱、換気の基本⑪ 全熱交換型換気扇お勧めの境界6

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10/21潜熱分の表示に間違いがありましたので修正しました。

先日、R2000+ のミーティングで

なぜ「オーブルデザインでは最初にダクト式の熱交換換気扇をお勧めしないのか?」という質問がありました。それで今回は以前お話しした換気の話⑥を要約してお伝えします。

一言でいうと・・・

設置コストが大きく上がるのに新潟県では大きなメリットが無いからです。

では一例を

最新型のDCモーターを使い消費電力が80Wで150m3/h、熱交換率が90%の顕熱換気扇があるとします。

外気が7度、相対湿度40%
室内のダーティーゾーンの空気が 温度20度で相対湿度40%とすると

この換気扇で回収できる熱は 約590W/h(顕熱の場合。全熱の場合はもう約100W回収可能※)となります。この熱を消費電力80Wで得るためにはCOP7.3のエアコンが必要です。しかし気温が10度になると消費電力は同じなのに回収熱400Wと下がり、12度になると200Wにまで下がります。つまり熱交換換気扇は外気温が上がると回収できる熱が減ります。
一方エアコンは、外気温が上がるとCOPが上がり得られる熱量が上がります。よって下のようなグラフになるわけです。これはエアコンと熱交換型換気扇の特徴を表し、これを理解しないで換気は語れません。温暖地では不利になりやすい熱交換型換気扇。海外の寒冷地や東北以北では熱交換型換気扇がもてはやされる理由がここにあります。

この表は以前検討した条件でのもので今回の上の条件ではありません。

最新型の熱交換ダクト換気扇を使えば、現時点ではエアコンより優れた効率で熱を移動させていると思ってよいと思いますが、熱交換率が80%以下だったり、消費電力が100W以上だったりすると、冬の外気温が7度程度地域(所謂関東圏以南)では、エアコンを使って熱を移動させ、換気はそのまま捨てる方が効率が上がる可能性が高くなります。また今回は顕熱交換で、全熱交換であれば少し結果は変わります。

当事務所で使っている換気扇の標準的な熱交換率(66%)と消費電力(110W)では、新潟県の平野部であってもエアコンで熱回収(供給)した方が良いこともあります。但しエアコンで供給(回収)する場合は、換気にかかる電力が最小となるダクトレス換気が良いようで、このダクトレス第一種セパレート型の換気扇のトータール消費電力は15W程度ととても少ない電力で換気できます(給気4コに排気2コ)。

たとえば・・・

換気扇の消費電力80Wの時、その80Wの消費量でエアコンではどのくらい熱を外部から内部へ供給(移動)する事ができるでしょうか?

超高断熱の家Q値1.0くらいのエアコンの暖房運転状況は、熱が2.3kWもあれば22度維持可能(外気7度、140m2の床面積)です。すると2.2Kwが定格の6帖用エアコン2台であれば、部分負荷率52%というCOPが最も高い所の運転状態です。また2.3+0.6(換気によるロスをエアコンで補う)=2.9kwでも部分負荷率65%と優れたCOPで運転できる状態です。この時のCOPは6を超えるでしょう。ですので外気温度が7度程度地域なら80Wの電力で約500Wの熱が供給できます。となると熱交換率90%の換気扇が回収できる熱と同じくなります。

※・・・外気が7度40%の空気を顕熱だけ上昇すると20度20%の空気になる。これを室内環境の20度40%の空気にするには更に1kw/kg 2.8w/kgの熱が必要となる(潜熱分)。

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