その①の次報だが、今回の内容は誤解を与えかねないので注意したい。
背景と目的そして対象住宅の概要だが、その1)で前の日のブログにあるので省略する。次に何を行っただが・・・
この文だけを見ると主に窓の気密性を改善しており壁式RC建築物は躯体そのものが気密の建物であり、ここでいう気密化が防湿化と同義でないことに注意したい。つまり躯体のコンクリート自身は気密性はあるが、防湿性はコンクリート100mm厚でもポリエチレンフィルム0.2mmの1/4程度と低くなる(湿気がとおりやすい)。またコンクリートは多孔質でもあるので湿気をため込むやすい性質もある。よって今回の気密改定では主に「空気を媒体とする湿気の流入の影響」と考えることが良いと思っている。
問題は下の図であり、壁式コンクリート建造物は熱容量が大きいのでそれを下げたいとのことで上文では内断熱とあるのに、表2の壁体構成は明らかに誤記で最初理解できなかった。実務者は最初に図(条件)を見てイメージするので図(条件)は大切に扱ってほしい。
最後の結論で「気密改修してもカビ発生リスク低減効果は小さい」で早合点してはいけない。あくまでも窓の隙間を埋める気密化であって、「躯体の気密化=防湿化ではない」と理解している。湿気は躯体を通しての流入があるので、そちらのほうの影響を(夏型壁内結露を含め)非定常計算でもよいから一度比較したいと思わせる。それからようやく熱交換器などの機器かなと感じるが、防湿性向上はリフォームでは最も難しいので、研究して結論が出ても大きな影響はないのだろうか。また「熱容量が小さいとカビ指数を下げることができた」なら、熱ではなく湿気容量が小さいとどうなるのか興味がさらに沸く。そんなことを思わせるのでハマってしまったところだろうか。次報を期待したい。
尚ここでの評価となる「カビ指数」は下のページで解説があるが、一週間のカビ菌糸の伸長である。カビ胞子からの発芽の指標でないことに注意。