「緑の家」では27年間、桧と杉で超仕上げの床を勧めているが最近日本の床の定番であったこの超仕上げの床の入手が難しくなってきている。これから先とても困ったことになりそうである。
まず超仕上げとは・・・上のリンク先に詳細に説明があるが、基本的にカンナ仕上げの床と柱等を指す。昔の床(針葉樹)の床は、手カンナで仕上げてあったが、手カンナ仕上げは熟練の大工さんの刃研ぎがあって成立するので、現在は文化財以外ほぼない。しかし大工さんが手でかけていたカンナから工場で機械ガンナを使い手カンナで仕上る方法と同じ仕上げを熟練工でなく行えるようになった。これを「超仕上げ」と呼ぶ。
この超仕上げ以外の仕上げ方法はサンダー(紙やすり)で仕上げる方法があり、自動ガンナといわれるプレーナー仕上げや、モルダー仕上げは、名こそ「仕上げ」とあるが実は仕上げでなく床材に限って言えば下地処理のことである。
サンダー仕上げを超仕上げという販売業者さんもいるが、それは明らかに偽りであり、どんなに目が細かいサンダーでも超仕上げとは言わない。これは当然であり、超仕上げは大変よく切れる刃(髭剃りの刃以上)で木の表面を薄くそぎ落とすので、木の表面に粉のようなも削りかすがない。一方サンダーはどんなに目が細かいやすりでも(コンパウンドではなく#2000程度)、傷をつけるような原理で仕上げるためその表面には粉が吹いているようになり、全くの別物。
今市場からこの超仕上げの床が無くなりつつある。原因は無垢の針葉樹床でもいわゆる自然オイル拭きする人が殆どのため、超仕上げの良さが逆に仇となるので生産しないのである。
超仕上げは表面が埃が滑り落ちるほど「ツルっ」としているので、がオイルさえも弾くようになってしまう。一方サンダー仕上げはどんなに目が細かい番手でも、オイルが吸い込まれるように拭ける。そのため住宅市場の無垢床はオイル拭きが90%以上を占めるので(私の感覚なので根拠はない)、無塗装でつかう超仕上げの床が市場から消えているのである。そもそも超仕上げの機械に設置するカンナの刃はすぐに再研ぎをしないと切れ味が落ちてあの艶は生まれないが、サンダーは消耗品であり入れ替えが簡単なことと、傷がついたときに部分修正ができるのでやはり安価にできる。一方超仕上げは傷がつくとその一枚物の再加工が必要で、深ければ材の厚さが薄くなり破棄することになるから生産コストがかかる。しかし、しかし・・・サンダー仕上げを無塗装で使用した場合、独特の艶がなく触感は別物。さらにオイルが塗装された自然素材はもはや自然素材ではないほどその違いは明らか。だから超仕上げを27年間も推奨しているのである。
そして時代は「超高断熱高気密」の住宅で、このような超高性能だと一年中常に裸足で歩ける。だからこそ無塗装で超仕上げの床を使って頂きたいのである。その肌触りは古来から室内を裸足で歩いていた日本人の魂である。日本以外の先進諸国はこのような裸足で室内を歩く文化ではなかったため、サンダー仕上げの床で、また塗装することが普通だったのでサンダーのほうが都合がよかった。しかし日本では裸足で歩く室内が普通だったので、超仕上げの床が最高の肌触りであった。もし超仕上げ以上の感触を求めるとあとは「イグサ」しかないと思っている。
残念だが私自身はSNSを一切行っていないのでこの市場から超仕上げが無くなりそうな危機を拡散できない。そこで読者さんから一度本物の超仕上げの床の感触に触れて頂き、その良さに納得されたなら再び日本で超仕上げの床が数多く使われるよう是非その良さを拡散してほしい・・・と勝手に思っている。この素晴らしい木の文化を肌で感じることで子孫に残せるようにと願う。
コメント
こんなに良いのに!そんな存続の危機とは知りませんでした。
私は使って大満足です。多少キズは出てきますが、ツヤ感、肌触り、どんどん良くなっています。我が家はヒノキですがスギもかなり良さそうですね。
良いモノがどんどん無くなったりしてしまうのは時代なのでしょうか。なんとか存続してほしいです。
SNSなどでも
#超仕上げ床存続を のようなタグが少しでも存続の運動が広がるとよいですね。