
今週の月曜日にotomo vie centで作業していたらシロアリに遭遇。これはヤマトシロアリでおとなしいシロアリである。

外壁下の地面に接していた薄い板(12mm厚)を動かしたら真っ白な米粒の半分以下(胴の周囲が1mm以下)の大群がお出迎え。ああーシロアリ。慣れているとはいえこの物量を目にすると流石に心がざわつく。人は多数の昆虫を見ると本能的に忌避するのだろう。この大きさだから1mm以上の隙間があればそこから壁内に侵入するが、人の施工で1mm未満の連続性をつくることができるのはコンクリートやFRPのような水漏れが起きない一体物のみである。

一度ひっくり返した木板はもう戻しても巣が破壊されているためこのほとんどが他の昆虫の餌になるだろう。そのくらい弱い生き物である。外壁の真下だが放っておいてもこのシロアリなら特に問題ない。
もしこれがイエシロアリなら・・・すぐにベイト処理(毒餌誘因駆除)する。イエシロアリ(羽ありでなく白い本体群)の場合は、直ぐに基礎を上る準備をしてこれより10倍ほどの軍団多数でアタックしてくる。しかも土中にある本巣が健在のうちは、何度でもアタックしてくるので、彼らには申し訳ないが本巣毎全滅させるまでベイト(毒餌誘因駆除)を行うことになる。特に自身の敷地の中で見つけた時は必ずこの駆除を実行することをお勧めする。
このように土中型のシロアリなら素人でもベイト処理ができ、しかも薬剤散布ではないため比較的安全に駆除ができる。既に構造体深く加害され、シロアリの支局が家の中にできている場合は、専門業者さんによる駆除が必要だが、支局がまだないころに早期発見できればベイトの市販薬でも可能。だからメンテナンスが重要と感じ、「緑の家」のシロアリ対策はメンテナンスが中心となるようにシロアリ発見のための視覚化を各部位で工夫しているのである。
ただ・・・アメリカカンザイシロアリは別。もしその被害が自身の家に見られた場合は、駆除しつつ同居するつもりで過ごすくらいの気持ちが必要。それはアメリカカンザイシロアリが家内で発見された時には完全駆除が事実上不可能と私は考えている。何故か?それはこのシロアリの性質にある。彼らは地面からやってくるのではなく空中を飛んでくる。ここまでは普通のシロアリと同じだが、ヤマトシロアリもイエシロアリも一度地面付近に降り立ちそこを拠点として家に侵入する。しかしアメリカカンザイシロアリは直接家の中に入ることができれば、そこを拠点として行動開始できるのである。だから家の侵入を許した途端ほぼそこで加害される確率はでてくるが、ヤマトシロアリもイエシロアリも直接家に入っても湿気を帯びたところがなければ直ぐに死滅するのである。つまり家自体に雨漏れや結露による腐朽が無ければ心配はない。一方アメリカカンザイシロアリは雨漏れや腐朽がなくとも活動できるという大きな違いがある。しかも仮に薬剤でアメリカカンザイシロアリを一度防いだとしても、その根本を絶たなければ何度でもアタックされしまいに薬剤がバリアとなっているその鉄壁の穴(家具や仕上げの木には薬剤塗ることができない)をついて破られてしまう事も考えられる。さてその根本を絶つ方法だが、自身の家を含めた近隣周囲一帯の家の一斉駆除(家内全ての家具、日用品も薬剤駆除)である。それができれば根本を断つことができる可能性がある。しかし・・・そんなことは現実的にできるはずもない。自身の家だけを何度も駆除しても周囲(近隣)にアメリカカンザイシロアリがいれば再び飛翔してきて取り付くことができるのがこのシロアリの最大の脅威。だから先に申し上げた「駆除しつつ同居するつもりで過ごすくらいの気持ちが必要」となる。もしそれができなければ引っ越ししてアメリカカンザイシロアリがまだ生息していない地域で住むことしかない。ただ、元々日本にいなかったシロアリで発生源は他国からの持ち込みが原則である性格上、アメリカカンザイシロアリの被害地域は隠蔽されてしまうのでそれさえも難しいかもしれない。もしアメリカカンザイシロアリがいるとの情報があった地域は、それこそ差別されてしまうことににもなりかねない。そこで提案だが、人の法定伝染病感染症と同じようにアメリカカンザイシロアリの確認がされたなら、行政に届け出する義務を負うことを法律で整備して頂きたい。法制化を考えるときに必ず実態調査や研究を国が主導ででき、客観的事実が蓄積でき一部の団体のみでの議論や偏った情報発信がされることもない。無論法制化されるときは法定伝染病感染症の扱いと同じように、プライバシーは守られるようにすることが前提。そうでなければこの恐怖によって新たな差別被害が生まれると私は思う。できる限り早くそのような法整備または法整備の準備調査をお願いしたい。
さて、シロアリ加害で最も怖いのは構造体への加害でそれが地震時に建物倒壊の引き金となる事。もしそれが心配なら主構造は鉄骨造か鉄筋コンクリート造が良いだろう。私はその観点でも「緑の家」の鉄骨造化を行いたいと↓のブログで宣言している。ただ現時点ではコストがかかりすぎて中々お勧めできないところが歯がゆいし、国は木造に多くの補助金を出しており従来は鉄骨で建てられていた倉庫や中層建築物(5階建て)などでも木造化しているこのご時世に、ぶっ飛んだ提案だと自身でも自覚しているが、あの超高断熱を全棟に提案した18年前も同様に「ぶっ飛んだ提案」だった。しかし今は建て主さんから高く評価されていると感じている。30年ローンもある住宅の構造で専門家の提案とは、20年先を見すえて決めてもよい。