
昨年末から先週にかけて耐力壁の検査に3度程長岡市に出向いたが、昨日ようやく全ての耐力壁の検査を終えた。

「緑の家」が最も大事にしている構造検査。これは家のデザインや意匠より優先される性能の検査であるが、巷ではあまり優先でない事が多い。例えば、よく宣伝されることで、「第三者の検査として瑕疵担保保険から見てもらった」と紹介されるが、こちらの建物でも瑕疵担保保険の検査は既に昨年合格が出ているが、私が実施した検査では昨日ようやく全構造壁の検査の合格を施工会社さんに告げた。これはどの現場も全く同じで、瑕疵担保保険会社さん(唯一の公的検査)では多少の耐力壁がまだ未施工でも一度来て耐力壁があればOKで、釘の打ち方や金物の使い方などほとんどチェック対象ではない。工事監理者から見れば「いい加減な検査」なのである。このような事実は建て主さん側もきちっと正しい情報を所得するべきことだと思う。いくら完成時の印象が良くても構造の安全性が確保されていなかったら良いデザインでも全く意味がない。
さてこちら長岡大島新町の家では、Z=1、耐雪2.5mで耐震等級3の長期優良住宅のため、耐力壁は尋常ではなく大変多いし、強くつくられている。前もお伝えしたが、これを関東地方で建築すれば耐震等級5(耐震等級3の1.5倍の力に耐える)にもなる。それでいて2階のフロアーは耐力壁が内部側に少なく、下の写真のように1枚壁があるだけである。この他のこれから作る壁は耐力壁ではないので、自由にその位置を設定できる。いわゆるパーティションである。

何度も申し上げるが、過去30年間で数十社の施工会社さんと仕事をしてきたが、耐力壁検査でまず問題がなかったのは3~4社さんでありその確率は10%未満となる。それくらい住宅会社さんの耐力壁に対する想いはないのが残念である。
「緑の家」では「無難な家」を心掛けている最大理由のはこの構造の安全性のためである。だから安定した構造になるように見慣れた外観が多くなる。しかし現在埼玉県で設計している「緑の家」では、外観がとても素敵ではあるが、普段は行わないアクロバット的なデザインとしているので、構造計算で何度も試算を行っている。

近年多く見られる南側の大開口部のデザイン。この複数窓をできるだけ一体化で見せるために、開口部内の柱を中止して開口部スパンを5.1mまで大きくしている。すると基礎にかかる力はしたのとおり巨大になる。この為h=1210のせいがある高基礎で更に主筋としてM16を上下2本づつ配置して許容応力度内でクリアーさせる。



これは「緑の家」の高基礎梁(h=1210mm)で、主筋をM16を上下2本ずつで計算した結果である。M16の2本ずつとは、住宅用の基礎として最大に近い鉄筋量である。これを巷で行う基礎(h=750・・・地上450、地下300)で計算するとM16が2本ずつでも下のとおりNGとなる。

この計算ソフトは基礎の構造計算をするにあたり、長期応力が働くときの単純梁、連続梁(固定端)、更に短期応力時と短期応力と長期応力時の組み合わせで最も厳しいところでOKとしている安全側に振った計算ソフトである。しかし手計算で連続梁としてしか計算しなければ、主筋2-M16のh=750の基礎でもOKとなる。もし安全性を最優先するなら単純梁でもOKとなるような条件で安全性を確認するのだが、意匠を優先したいばかりに(コストを抑えつつ)検討すると、単純梁ではNGでも連続梁でOKと判断するが、これが無難でないと考える。つまり住宅の基礎はRC構造であるが、完全なRC構造とは言えないので、余力(想定外の事象)は必要であるということ。

巷の一般基礎 h=750 
「緑の家」の高基礎 h=1210
このソフト使うにあたっては、やはり良いとこどりをするのではなく、このより安全性の高い内容を受容して使うのがよいと構造を第一に考える設計者は思うのである。

鉄骨造などのビル建築物等は柱間(スパン)が6m以上は普通にあるので、基礎高が1mを超えることも多い。これが地中内に全て納まっているので普段は目にしないが、大開口部のある建物は基礎高が大きいのが普通で無難なのである。

