「 家の論評、業界裏話 」一覧

こんな時期だから「住宅完成保証」をお勧めします。

昨年のリーマンブラザースの破綻から世界的な不景気となり、日本も景気が大きく後退しています。大手会社はようやく景気が上向き兆候がでたものの、地方の中小零細企業はなかなか明るい話がありません。
特に建築業界も悪く、新聞紙上で中規模の建設会社や住宅会社の破綻が伝えられております。確かに10年前のバブル直後は超大手ハウスメーカーの破綻もあったくらいですから。

最近聞いた話では、
「住宅の新築工事を契約したその月に工務店が倒産してしまい、その契約金1200万がなくなった。いま処理をしているけれど建物は始まったばかりなのに・・・」
という話です。一般工務店さんのお支払いは本来なら、ほとんどが出来高払いという現場に見合った金額を払う仕組みです。確かに着手金は慣例で1/4になる工務店さんもありますが、これも話し合いで出来高払いに変更可能です。
また、こんなご時勢は住宅完成保証制度」という保険を利用するのがよいと思います。私共も今後はその保証に入る又は入っている施工会社を薦めて行くようにしたいと考えてます。
ただ保険ですから当然「掛け金」が請け負いに金額に上乗せされます。多分一軒当たり6~12万になりますので今まではあまりお勧めしませんでした。が、このご時勢、私どもでもどの施工会社がいつ倒産するということはわかりません。住宅の請負契約は金額が大きく、損害が大きいのでやはり転ばぬ先の杖は必要で、仕方のない経費だと考えております。

ちなみに「完成保証」とは・・・
契約してからその家が完成するまで、仮にその施工会社が倒産しても、保険会社が次の施工する会社を見つけて、金額増がおきないのように完成させるという保険です。建て主さんにとって面倒なことがおきにくい保険です。無論財団法人が保険窓口です。詳しくはここです。

当事務所もこの秋より景気の影響を受けつつあります。が、そこは専門の設計事務所の強みで、仮に廃業があっても倒産がない仕事が設計事務所です。これは税理士事務所や設計事務所等は商品や物品を仕入れて売るという形態ではないため銀行からお金を借りる行為がないので、所謂「倒産」が普通(大きい会社は別ですが)はありません。
また、建て主さんにとって成果物納入後のお支払いがほとんどなので万一何かあっても被害は最小限度で、そこが施工会社と違うところです。

こんな話題ではこんな時期にもっと寒くなりますので少し楽しそうな明るい話題を。
今週の22日(日)に寺泊の拙宅の近くで私がお手伝いしている無農薬、無肥料、無耕作不耕起自然農風の「スパイラル・ゲイト」で「芋ほりとさつま芋づくし」を行います。一応お子さんには芋ほりを、大人にはゆるい時間を過ごしてもらおうということで、妻が企画開催します。もうちょっと余裕がありますので、ご興味のある方は、お問い合わせください。
最近拙者が特にナチュラル指向にはまっているのは・・・このガーデンのせいですね。ゆっくりした時間ですごして頂きたいので、午前中の芋ほり以外の時間の決め事はありません。ここにその企画のリンクをおきます。
一応天気予報では曇りとなってますが、晴れる(雨と風がない)こと祈ってます。

ちなみに不耕起とは、その名のとおりで土を耕しません。表面の雑草を削りとる程度です。後は植物根によって数年かけて土の奥からふかふかにする農法のことです。凄い手抜き農法(笑)です。と思われがちですが、実は一番土と植物との対話が必要な農法です。
写真がその畑でとれた芋です。しっかりとした根ですね。当然虫食いに弱い品種や肥料がないと育ちにくい作物は植えません。多少虫がついても大丈夫な品種(数は多く取れない)や、昔から日本で育てていた作物が中心です。もともと素材が持っていた味がします。
潮風が先週大変強かったので、現在の地上の作物が塩もみ状態ですが・・・でも芋はお楽しみです。
2009.1120誤字等修正しました。


びっくりした。公式のインタビューで私は初めて聞いた。

 「初代プリウスを出した当時、『けっして充電することのないクルマ』と宣伝してきた。しかし、環境問題や化石燃料の枯渇の状況がより深刻になり、充電という手間を惜しまないようになった。それがPHVのコンセプトになった」

これは・・・
トヨタ自動車は12月に家庭の電源から充電できる「プラグインハイブリッド」(PHV)の販売を始めるますが、その開発者の田中義和氏(48)氏の発言です。

今まで環境問題や地球温暖化がハイブリット自動車や電気自動車の背景にあると、様々のところで公式に発言されてきましたが、「化石燃料の枯渇の状況がより深刻になり」という本当のことと思われる理由を?初めて聞きました(私は)。

化石燃料の資源が全くない日本のメーカーの発言ということを差し引いても、世界一の自動車メーカーの開発担当者の言葉だと社会に与える影響は大きいはずですが、はっきりと述べてます。今まで「化石燃料の枯渇が深刻」と国は言った事がありません。
だから家でも「化石燃料の枯渇」というキーワードで住宅を開発、または企画する大手はほとんどありません。だいたいが環境、地球温暖化というキーワードです。
当事務所は2年ほど前から、「化石燃料の枯渇」の時にでも暖かい家に暮らす事を目的に超断熱の家を勧めてます。持続可能な社会のためでもありますが、エネルギーの危機管理は今や企業、国より個人の家のほうが重要です。個人の家は一番寿命が長く、あなたが30年以上は責任を持ち、そして次の世代への社会的資産になるわけですから・・・。
だからエネルギーの無駄遣いは許されません。当事務所のように自然素材大好きな家は無論、ビニールクロスの家でも、大事に使うために家の超断熱がお勧めです。

 

そろそろ真剣に国民レベルで議論する時が来ていると思います。決して恐怖や脅かしではなく、世界が脱石油の産業革命を迎えようとしています。それを地球温暖化防止というきれな言葉だけでごまかしてはいけないと感じます。・・・真剣モードです(汗)


お手本です。綺麗な長期優良住宅の施工。

新潟県で一番多く長期優良住宅を施工されている会社さんの施工現場をご好意で見せていただきました。最初に感じたのは、
「凄く綺麗な現場」だったことです。なぜかなと、ふと見ると足場の下にはブルーシートがきっちり敷きこめられていました。こうすれば落ちた釘や木屑など簡単に掃除可能です。見事です。当事務所は施工はしないのでここまで指示できるかわかりませんが、さすがです、すばらしいです。お手本です。
次に
「通気層に防虫フィルターが施工」されていたことです。この施工は初めてみました。他の会社さんもいらしたので、その方に伺ってみたら、「カメムシやこうもりが入らないため」とおっしゃってました。そうか地域によっていろいろ配慮があるなーと感じました。
設計の計画は当事務所もプロなので負ける気がしませんが、常設展示場などで建て主さんが目で見てわかる物を拝見させて頂くととても勉強になります。同業者に見せることは勇気のいることと思いますが、気にせず公開される気さくな社長さん(もう会長さん?)には大変感謝申し上げます。ありがとうございます。


新潟の家 エアコンマニアのエアコンの選び方と実情 2009秋

朝日新聞社のネットに
「エコポイント」対象でもある省エネ型の家庭用エアコンについて、経済産業省が省エネ性能の調査に乗り出す。」
と昨日掲載されました。
http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY200910190158.html

簡単には、エコポイントがつく省エネエアコンなのに省エネにならない事例があり、これではエコポイントを付けるの意味がない。とのことです。

過去のブログや拙者が3年前に書いた論文ではエアコンは、取り付けるシェルター性能に見合った機種を設置しないと効率が落ち、COP、APFや部屋の大きさで選定するだけでは必ずしも省エネ効果がよいといえない。」と結論をまとめています。ようやく市場でも問題が提起されたようです。エアコンマニアとしてはうれしい報道です。

そもそもユーザーがエアコンを選ぶときは、まず設置する部屋の大きさを考えますよね。8帖なのか、12帖なのか?それから価格や性能、機能を選ぶとおもいます。このとき最初の選定条件である部屋の大きさ(断熱性能による負荷)が間違っていたら、正しい性能を発揮できませんよね。

この部屋の設定条件は1964年に冷房中心で取り決めからほとんど変わっていないのがそもそも問題です。当時の部屋の設定は南側の部屋の設定で断熱性はほとんどありません。そういう部屋で使ったときのCOPが一番よくなるように調整し販売されてます。しかし最近のマンションや高気密高断熱の一戸建てでは5倍程の断熱気密性能があり、小さな部屋機種でも充分冷えますし、北側向きの部屋でも同様です。

仮にJIS9612に規定された平均的な?部屋条件(暖房)でQ値を算出すると、
2600W/20度/10m2=13W/m2kとなります。
個別暖房ながら現在のⅣ地域次世代基準の5倍近い基準です。

しかしユーザーが購入する量販店で店員にエアコンを聞くと、まず間違いなく設置部屋に応じたエアコンを勧められます。いかに断熱性能がよくても店員さんは、カタログ上の冷房推奨設置面積を薦めます。なぜか?

1.大きい部屋機種ほど販売価格(儲けも)が高いため。

2.小さな機種を薦めて万一冷えなかった(暖まらなかった)場合、責任が販売店に来る。

3.ユーザーの使い方が不明のため安全率を高く見る。

4.冷房時の部屋面積で決めたほうが、クレームにならない

この4つの理由でいかに断熱性能や遮熱性能がよくても推奨機種を薦められます。つまり最近のマンション内にある12帖リビングのエアコンを購入しにいくと、店頭では冷房12帖(暖房16帖迄)のエアコンを勧められ設置することになります。しかし本来は断熱性能がよく、6帖用でも充分なのに12帖用のエアコンですから、12帖用の大きすぎる性能のため、エアコンのインバーター制御範囲を超えてON、OFF運転が始まります。するとエアコンのCOPが急に下がり、本来の省エネにはならない範囲で多く使うことになります。

また、付属機能が多くなりすぎていることも問題です。例えば「再加熱除湿」を使うと大幅にCOPが下がり省エネではなくなります。もともと除湿とは弱冷房のようなものですから、ある程度冷風が出ます。この冷風が気持ちよくないので、メーカーは本来外に排出する熱を再び室内に戻し使います。すると熱交換機の半分が使えなくなるので効率が下がます。もちろん潜熱も熱ですからそれを室内で排出する自体負荷を増やし、省エネルギーとはなりません。再加熱除湿はできるだけ使わないほうが省エネになりますが、カタログには記載されません。
また加湿できるエアコンも同じように本来の性能を削いでます。また加湿も少量で他の方法で加湿したほうが効率は高いと考えられます。

エアコン業界はカタログ推奨の大きさを自ら変えるつもりはなさそうです。というのは、

1.現時点の推奨面積のほうが機器が大きくなり、高く売れる。

2.現時点の推奨面積のほうが冷えにくいというクレームが少ない。

3.効率が下がっても付加価値で差別化をはかり販売アップにつなげたい。

ということです。1.の多く売れるということはメーカー業界にとって重要で、販売点側と利害が一致します。そこで国が実態調査に乗り出したということですね。省エネの補助金という御旗を翳せば、業界も協力しないわけには行きません。

もっとエアコンが進化してどのように使っても高効率を維持できるなら必要ありませんが、エアコンの効率が最大になるように、ひとつひとつ性能の違う家に設置するためには我々建築士がアドバイスしなければならないでしょう。また、エアコンの設置はいまや100%に近いわけですから、建築新築時にその条件で最も効率よく動くエアコンを設置しておけば問題は少なくなるでしょう。
いずれの場合でも、エアコンメーカーはもっとCOPに対する情報(部分負荷率ー外気温)を開示してほしいです。そうすればもっと最適なエアコン設置も可能です。

 有効なアドバイスが受けれない方は、今は写真の東芝PDRの6帖用エアコンがお勧めです。6帖から20帖くらいは問題なく冷える(暖まる)と思いますし、効率が高い範囲が広く、本体に消費電力量を表示して、省エネを可視化させております。またコンパクト(規定寸法)ですので、設置条件が広がります。
新築時はパナソニックのCS-X229A(設置フリー)が最高性能ですので最適ですね。ちょっと掃除音が大きいですけれどまあ許せます。


新潟の家 家をつくるポイント メーカー選びのポイント


上の写真は現在施工中の超断熱の長期優良住宅です。その2階から小屋を見上げて写真を撮ってます。
ご覧とおり、2階の天井上に28mmもある厚さの合板を貼ってます。綺麗ですね。これだけでもデザインになってますが、これは耐震等級3の性能の家を造るために必要なものです(広いプランで)。

さて、実質今年から始まった長期優良住宅は、その対応年数を80年から100年位と考えて施工されています。
ここ15年で家造りは大きくかわりました。15年前、断熱性はあまり重要視されておりませんでした。ですので、そのころに建築された家は、残念ですがほとんど断熱性がきちっとありません。暖房にお金がかかる結露しやすい家です。なぜこのようなもったいない家造りになったのでしょうか?それは当時、建築主さんにとって情報不足が原因だったといえるでしょう。今はネットがあり、ありとあらゆる情報が手に入ります。しかし・・・
 たぶん家を造るにあたって、建て主さんは間違った情報収集される方が多いと思います。普通の建て主さんは「今」の家の情報を大事に集めるでしょう。しかし大事な情報は過去の情報です。
家は他の「物」と違って簡単に取り換えることはできませんし、買い替えることも活発に行われません。多くの人が長い「ローン」を組み、数十年間も新築時のお金を払うことになると思います。つまり建て家は、できるだけ長い間その機能(性能)が社会の流れと同じような価値を見出されなければなりません。例えば今から15年前に断熱性能ない家を造った人は、現在の家の性能と大きく違い劣ってます。問題なのはこの劣った性能を、リフォームで何とかしようとすると、何と1000万以上かかってしまいます。新築時に行っていれば200万アップくらいで済んだのに・・・。
建築士はその高い専門を生かし、せめて15年くらい経っても、15年後の家と遜色が無いような性能の家を提供する誠意が必要ですし、少量の金額で性能アップできるように考えて計画する義務があります。これを考えていないと、10年間無料でアフターしようが10年経って時代にそぐわない家は「造りっぱなし」と変わりありませんね。
資金上やむなく低価格住宅しかできない建て主さんは仕方ないですが、数坪減らせばよい家が手に入る資金のある方にはそう申し上げたいですね(拙宅は資金不足だったのでが、どうしても高気密高断熱で建てたかったので当初は24坪と小さくしました。今は36坪くらいまでなりました。超断熱でも増築は可能です)。せめて12年まえから高気密高断熱住宅を勧めていたメーカーかくらいは調べたほうがよいと思います。誠実な情報を建て主さんに提供しているかどうか・・・。

さて、毎回申し上げておりますが、これから必要な性能は
「超断熱Q=1.0以下」です。
来るべき石油枯渇、取り合い値上がり、でエネルギー価格は倍になるでしょう。その時もお日様さえさせば、暖房など一切いらないそんな性能です。
また
「超高床1.4m」によるメンテナンス性、
「窓の交換」のしやすさ
も予算が取れれば取り入れたい仕様です。

もちろん自然素材のインテリアと高基礎は標準ですね。

オーブルデザインは過去の家のデーターや取り組みを全てHP、ブログ、掲示板上で公開してます。これは建て主さんに対する建築士の「誠意」です。
また、過去にお手伝いさせて頂いた建て主さんへの「責任」でもあります。
どうして他メーカーが同じように公開しないか理解できませんし、建て主さんも「自分の家」だけは違うと思っているのか、過去の家造りのデーターに関心がありませんね。

環境住宅「緑の家」は今見ても全く「誠意」ある12年前の性能。例えば全て高気密高断熱や高基礎によるメンテナンス良好やコンクリート強度など、これら13年前の仕様はすべて今の長期優良住宅の基準を上回っております。全棟、全棟です。どの建て主さんにも正しい情報を発信できたと思います。手前味噌ですがすごいと自負できます。

1998年作成 緑の家の特徴
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/midorinoie/midorinoietoha01.html

1999年作成 住宅コラム
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/15.html

1999、2002年作成 住宅コラム ある中堅県内メーカーチラシから
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/20.html
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/53.html

1999年作成 住宅コラム 一年でかわるチラシ
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/11.html

2001年作成 住宅コラム ○井ホームへの苦言
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/01.html

2001年コラム 住宅コラム チラシについて
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/28.html

2000年 住宅コラム 設計工事監理契約
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/38.html

2001年 掲示板 基礎高
http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=46


東芝の住宅用換気扇とその応対 

今の住宅では法律で定められた24時間換気扇が設置されています。だから換気扇が止まると結露、シックハウス等いろいろな不具合がおきる事が想像されます。行政指導では24時間換気扇のスイッチは容易に切れないようにすることが推奨されており、もし手元にスイッチがある場合は、常時ONの注意表示をします。

その換気扇が最近いろいろ問題が出始めてきました。写真は最近あるお宅のトイレで使用されている換気扇を掃除したところ、蓋が閉じないことがわかり建て主さんが調べたところ、故障部分と思われるところの樹脂が茶色くなっていました。どうも油ではなく熱による変色のようです。この換気扇はお住まいになってから一度も止めたことがない24時間換気扇で、いつからこのような状態であったかは推測はできません。またこの換気扇は東芝VFP-8XS2という当事務所でずっと使い続けている定番中の定番です。延べ50台以上は設置されていると思いますので、心配になりメーカー相談窓口に連絡しました。最初はカタログにあった電話番号へ、次にそこから紹介された番号かけました。いずれのところでも全く同じ説明をしました。
私としては、この茶色変色は設計の想定内か?他に使っている換気扇は大丈夫か?がわかれば問題なかったのですが、メーカーさんは、「直接見ないとわからない」との事だったので、この写真は送れず、建て主さんに直接連絡してもらいました。
すると、建て主さんから電話があり、「東芝さんが「出張料5000円」がかかるといわれた。有料修理のつもりはないので、「考えます」といって電話を切った」、そして私のところにその話を頂きました。
私が東芝さんと電話でお話したことと違うので、再び東芝ライテックさんの担当者さんにかけると「昨日の担当者とはおつなぎできない。再び経緯を話してください。」との事で3度目の説明┐( ̄ヘ ̄)┌ もちろん最初から。最後に
「修理依頼ではない。変色を見なくても大丈夫というならそれでこの件はおしまいにします」と私。
「お答えできないので少々お待ちを」で電話が切れ
また違う担当者から
「ではやはり見に行きます」
「ではお願いします」・・・と私。

少し残念ですね。技術者にこの写真を見せれば、茶色く変色した想定内かどうかなんて直ぐわかると思うのですが。想定内ならまったく問題ないで簡単に話は終わります。単なる寿命です。
最近は簡単に精密な写真をやり取りできたりするので、いらぬ出張経費を使わなくても良いことが推奨されており、無駄なエネルギーを省く世の中の流れだと思いますが、どうしてなかなかそうならないかな~。

この換気扇に対する思いは、この春施行された、「長期使用製品安全表示制度」のため、
「設計上の使用期間13年。これを超えて使用されると発火、怪我などの事故に至る恐れがあります。」
と今のこの換気扇には表示されています。が、まだ3年でこの変色だから心配でメーカーに伺ったのに・・・。

  そこで決心しました。このメーカーの換気扇は今後使いません。先日検討していたパナに決定します。
あー決心がついてよかった。東芝さんに感謝!!


新潟の家 長期優良住宅の問題点と補助金


ようやく来ました。長期優良住宅の補助金交付決定通知。名義人が「仲村建設」さんになっているのは、先回お話したとおり、今回の補助金申請人は、「建設会社」でなければなりません。がしかし、この補助金の申し込みには、建て主さんにこの補助金を渡す(補助金はあくまでも建て主さんに行く)という覚書のようなものが必要です。ですので建て主さんの代理者であれば「設計者」であろうが「施工者」であろうが極端なことを言えば「司法書士」であろうが問題ないと思いますが、今回は選挙があったせいか知りませんが、「建設会社=施工者」になるところに疑問符がつきます。

そしてもっと不思議なことは
この補助金を受けた長期優良住宅の完成チェック機能がまだないことです。

言い換えれば、インチキしやすいシステムということでしょう。これが建て主さんの立場で考えるとこのシステムの問題点です。

具体的に言うと、

1.耐震等級2以上の基礎の施工チェックがない。

2.温熱環境最高レベル等級4の施工チェックがない。

3.メンテナンス最高レベル等級3の施工チェックがない

4.耐久性最高レベル等級3の施工チェックがない

ということです。

長期優良住宅の申請者はもちろん建て主さんです。が、専門知識が必要なこの申請は絶対と言ってよいほど「建築士」が代理申請します。このときこの建築士は「確認申請上の設計者、工事監理者ではなくとも良いのです(ここが問題ですが、解釈が間違っているかも知れませんので。後日確認します)。
確認申請の作業より数段上の難易度の長期優良住宅の申請には、構造計算書や各種メンテナンスの考慮が必要で、確認申請時の設計図書より数倍の量になります。この図面どおり施工が行われるかどうかのチェックが公の機関では行われません(写真程度)。本来なら法律上の工事監理者が責任を持って行われるはずですが、先ほど申し上げたとおり、確認申請時の法律上の工事監理者と、長期優良住宅の代理者が別であるとすると、責任の所在がありません。法律では設計工事監理委託の重要事項説明時にその点が明らかに説明されなければならないはずですが、それは稀でしょう。だから長期優良住宅に対応する工事をしていなくても、図面さえそうなっていれば「補助金」がおりる可能性があります。施工のチェックシステムがない補助金システムはとても問題です。「性善説だよ」という説明であれば、ここ数年これだけ厳しくした行政のチェック機構は一体何だったのでしょうか?
税金を直接補助金として特定の建て主さんだけに交付するこのシステム。

特に問題は個人建て主さんではなく、建売販売する業者さんがでしょう。個人建て主さんは自分の家ですから少しでもチェックするでしょうが、業者さんはいかに原価を下げるか?ということをいつも考えてます。長期優良住宅の内容がほとんど完成表面に出てこない仕様(耐震性、省エネ性、耐久性)ですから、完成してからではほんとに施工されているかどうかわかりません。もし悪意がある団体であれば・・・。施工途中の写真報告はありますが、悪意があれば写真なんてどうにでもなります。

性能表示では建設評価があり、公的な人が現場で細かくチェックします(本来なら工事監理者の仕事です)。だから長期優良住宅と違い施工のチェックする公の人がいます。長期優良住宅では、図面の公のチェックは入りますが、施工のちチェックはありません。
私は法律で決められた工事監理者(確認申請書に記載)がいれば、そもそも公のチェックなど必要ないと思います。それが本来の姿ですが、工事監理者が誰だかわからない建築主さんがほとんどの現在、交付金を使う公のチェックはあったほうが良いと思います。交付金は皆さんが納めた税金ですから。

補助金自体は大変感謝できることですが、建て主さんが不利益を受けやすいシステムは大問題です。やはり長期優良住宅は仕様が少し上なので価格が高くなりますから。


新潟で南雄三講師の勉強会「長期高価値住宅」とは?

2009.09.18加筆
2009.09.27赤字修正

 

昨日住宅評論家として有名な「南雄三」講師による講演というか勉強会に出席させて頂きました。
主催は上野住宅建材(見附市)です。この会社は県内にR2000を紹介した由緒正しい高気密高断熱建材及び輸入会社です。
さて内容は、南講師が力をこめる「長期高価値住宅とは」です。
皆様ご存知のとおり、最近は長期優良住宅が推進されてます。これは他の先進諸国と比べ日本の家の建て替え寿命が著しく短い「短命住宅」であるからです。ちなみに日本が30年に対し最長のイギリスが80年以上、米国等でも60年以上だそうです。これでは一向に家が社会資産とはなりません。返済が終わると同時にとりこわしですね。

まずジャブとして日本の抱える欠陥(世界との比較)ということで、
日本では先進国の中で特殊な高齢者高貯蓄国家。老後における国の施策が不安なので老人の貯蓄が世界一。この不安(恐怖)がある限り、お金が回らない内政状況・・・。
そのとおりですね。老後の恐怖がなくなれば、もっと心が豊かになりますよね。あの高福祉国家スエーデン?(だったと思う)は、100年位前に「姥捨て谷」があったらしいとの事です。それが今は世界一の高福祉高負担国家で、経済も住まい豊かといわれてます。老人は不安なく日々過ごせるそうです。日本には姥捨て山があったのですが、姥捨て谷とは・・・高齢者を突き落とす谷の事です(絶句)。

次に・・・この本は、南講師が「絶対買いなさい」に脅された(笑)本です。昨日早速アマゾンで中古を購入しました。

さて、日本の住宅はなぜ30年で取り壊されるのか?日本は家を買ったらその家は死ぬまで住む(借金返済)という前提。だから自分だけの家を建てるし、老後不安だからその家でお金のかかるメンテナンスなどしないでお金をためる→その建てた住人が死んだら誰もその痛んだ家には魅力がない→流通に乗らない→売れないで壊される。そして政府の持ち家政策が推奨され、自分だけの家となり、短命ということらしいです。

いつも賛同する南講師のご意見ですが今回は・・・実は私はそう単純ではないと思います。

ここから拙者の主観で書きますので興味のある方だけお読みください。

日本には長い寿命の住宅も多くあります。例えば新潟県の農家の家は、50年以上は当たり前に建っていることが多いです。一方新潟県でも市街地に建てられる家の多くが短命です。また、日本は他の先進国と違い大部分が亜熱帯地方に属するような気候があります。その亜熱帯地方の建物は比較的短命です。

さて、農家の家がどうして長命だったか?それはまず戦後すぐでも家にお金をかけられた。つまりお金もちだったからからです。そして農家には家を継ぐ(あと取り)という習慣があり、農地とともに家ごと引き継いできました。農地は移転はできませんから、家もその周囲になければなりません。ところが農家以外の職種では、この「あと取り」という習慣が薄く、家を引き継ぐ理由がなかったのです。そして戦後お金があった(食料が一番お金になったころ)農家は立派な家(広くて庭がなどしっかりある)が建てることができました。
一方農家以外の家は小さく、家があれば良いという程度の家(国もそう推進していた)なのでどちらかといえば粗末な家が造られました。実は亜熱帯地方の気候である日本は、粗末な家でも耐えられる気候だったのです。ここが他の先進国と違います。亜熱帯地方の普通の家は、ほとんど薄い壁、雨がしのげればよい程度の屋根だけです。一方日本の中でも寒い気候に属する北海道ではそれではなかなかつらい気候ですが、これはほんの日本の一部でしかなので、国の施策は、とにかく安い家でいいからたくさん建てて、人を増やすことに力を注いだのではないでしょうか?日本の人口密度を他の先進諸国と比べると高い事がわかります。人口密度高い国は、気候が亜熱帯以上の国がほとんどです。韓国が日本より高い人口密度ですが、森林を占める面積が多い日本では、実質同じぐらいでしょうか。

そしてこの亜熱帯気候。これがやはり住宅の寿命を大きく左右しているのではないかと思います。
それはカビと腐朽菌です。日本の気候では、家は放って置くだけでカビが蔓延します。特に有機天然素材で作られた家は必ずカビが生えます。一方住宅長寿先進国は気候が北海道並で梅雨などないところがほとんどで、カビが勝手に増殖する気候ではありません。
よく「取り壊された家は構造的に寿命でだめという理由はほとんどない(構造が腐って勝手に家が倒れた)」と言われます。そのとおりですね。でも古い家はほとんどといってよいほどカビ臭がします。また手入れを怠った家も独特のにおいがします。この匂いは、簡単に取れませんし、日本人は強い匂いを生理的に嫌う傾向があります。特にこの匂いはその家々で違うようで、自分の住んでいる家の匂いは問題ないでしょうが、他の家の匂いは受付にくいですよね(体臭でもそうですよね)。ですので真新しい木の匂いにとても価値を感じるのでしょう。
一方カビの生える気候は悪いことばかりではありません。木が生長しやすい気候であるため、木造住宅を50年持たせれば、木の循環が可能となります。だから50年で壊しても良いことにはなりませんが、木材が比較的手に入りやすいので、壊しやすかったともいえます(今は北米、北欧の輸入木材が安価なので大半を占め、少し矛盾してますが)。

さて短命の理由は、好き勝手に建てられる家のため売れない→流通が育たない→取り壊される
ということも無論ありますが、私はこの日本の気候と戦後の貧しさと国の政策の問題が大きいと思います(一極集中施策、非木造推進施策※を含む)。好き勝手に作るのは、そうしないと造れない地代の高さと制限があり、またその制限が町並みに対する制限をまったく含んでいなかったせいでしょう。いろいろなデザイン、新建材が横行したのは、貧しさゆえの表面のごまかし(建材含む)だと思います。お金をかけられた家は、古くてもデザイン的に今も問題ない家が多いですから・・・。
また歴史的背景もありそうです。江戸の庶民の家は火災が多く、結構頻繁に建て替えがあったとされてます。庶民の家(大きな武家や地主の家は別)は、短命でも仕方ないと思って歴史が長かったのでしょうか?

勉強会で賛同する部分というか、「そうか!!」という部分は、「モーゲージ・ローン」と「ノン・リコース・ローン」でした。このローンで「貧しさ=家にお金がかけられない」という部分が解消されるきっかけになりそうです。
米国では、住宅の融資の基本はこのモーゲージ・ローン(且つノン・リコース・ローン)だそうです。これは、家、土地だけの担保でお金を借りれ、もし払えなくなったときはその家と土地を手放せば、それ以上責任を取らなくても良いというローンだそうです。日本では、人にお金を貸しますので、仮に家と土地を手放しても、借金が残っていれば払い続ける必要がありますが、モーゲージノン・リコース・ローンでは、手放せばローンは一切チャラとなり、また出直せるということです。これはすごいシステムで中古住宅が流通に乗る基盤になります。人にお金を貸した場合は、その人が今後稼ぐ以上に融資は無理ですが、このローンなら関係ありません。その人の収入がどうであれ家が社会的資産になりますから・・・。是非このシステムが日本にも定着することを願います。

さて、私の結論ですが、今までの短命住宅は仕方ないというより感謝です。これだけ経済が成長できた政策優先は支持しますし、それを行って頂いた諸先輩には感謝申し上げます。
今後はやはり長期高価値住宅は、子供たちに残す財産として必要です。もっと心が豊かになるように、家の借金が終わった途端壊されるというローン地獄の連鎖を断ち切る必要があります。その長期価値住宅の目標とする対応年数は、木造で平均60~80年くらいではないかと思います。これで地方では約3世代が引き継ぎます。一方都市部ではコンクリートの寿命となる80~100年くらいで、10から20サイクル(転勤や転属で4~8年)の入れ代わりが相応という気がします。
地球環境が激変する可能性の高い今世紀。手塚治氏のような想像力があれば別でしょうが、我々技術者ではどうがんばっても60~80年の目標をたてるだけでも精一杯です。

最後にいろいろなことを考えれる時間があった、講師の南様は無論、このような講演を主宰された上野様にも感謝申し上げます。

※・・・日本建築学会が木造住宅推進だった昭和34年からの20年間は、木造住宅の構造的進歩が止まりました。このころ建てられた多くの家には耐震性や断熱、耐久性などはまったくといってよいほど考えられてません。このような基本的性能がない家だから取り壊すしかないと考えます。


新潟の家 24時間換気システム 排気換気扇の悩み・・・。その2

窓を閉め切る冬や真夏には、換気扇が運転し換気されていないと、結露やCO2の増加、臭気など問題が出ます。ですので24時間換気システムは、現在の住宅で健康や衛生の要となっています。
数日前のブログに24時間換気システムの悩みとして排気用の換気扇にフィルター付きにするかどうか悩んでいるとご紹介しました。今年度の建築学会の論文にその点が研究発表されてました(これはタイムリー、、、当事務所っていつもその最先端の悩みあり?? (笑))。

これは2009年建築学会論文の中の北海道大学、菊田先生らによる論文41139から抜粋

この写真の排気用換気扇は、当事務所が使用しようと思っていた機種と思われます。
実験によると、粉塵2.5gを吸い込むと換気量が下がり始めるとなってます。では2.5g吸い込む時間は・・・約4ヶ月だそうです。
グラフによるとフィルターを設置してある排気用換気扇は、1年で排気量が半分近くなるような結果となっています。
やはり、当事務所が使っている給気用換気扇のフィルターメンテナンス時期と同じく、フィルター付き排気用換気扇も4ヶ月に1回はお掃除の必要がありそうです。
フィルターなしの場合は、数年間は問題なような報告が以前されました。だからメンテナンスは格段に減るのですが、埃が付き過ぎると壊れます。これらを踏まえてフィルター付き換気扇を標準(Sプラン)にするかどうか悩むところです。

あっ・・・「SSプラン」では同時給排型熱交換換気扇が標準なのでいずれにしても4季ごとにフィルター掃除は欠かせませんが、これは仕方ないことでしょう。

PS
今日6年ほど前に竣工した建物の排気用換気扇が壊れたというご連絡を頂きました。実は18年くらい使っている拙宅の24時間排気換気扇はまだ壊れません。プロペラ掃除はこれまで2回程度です。品質のばらつき?メーカー?すこし不思議です。ちなみ拙宅はパナ製ですが、どのメーカーも全て大手です。


新潟の家 24時間換気システム 排気換気扇の悩み・・・。

当事務所の24時間換気方式は2通りありSプランが第一種セパレート換気システム。SSプランが第一種セパレート換気システム(熱交換付)である。違いは熱交換があるか?ないか?だけ。そもそも第一種とは、排気と給気の両方に電気を使うプロペラが入っている換気のこと。また、セパレート換気とは各寝室それぞれに換気扇があり個別に運転している換気システムのこと。このシステムの採用はかれこれ15年以上前になる。当時新大の建築学科の研究室で換気についていろいろ実験をして頂いた。このとき一番安価でどんな条件でも効率が良かったのが、この換気システム。

さて悩みとは・・・。最近「排気」換気扇にフィルター付が販売されている。私としてはこれを採用したいと思うのであるが、1つの問題で躊躇している。本来排気換気扇にフィルターは不要である。なぜフィルターがある排気用換気扇があるかというと、プロペラのお掃除をしなくとも良いからである。プロペラは10年くらい経つと埃が着き、効率が落ちる。ほっておくと機器の寿命を縮めることにもなる。だから7年から8年ぐらいでお掃除するが、結構面倒。そこでフィルター付が発売された。

しかしフィルターがあるということは、フィルターのお掃除を必ず一年に一回は必要とすること。エアコンのフィルターもお掃除することが重要であるが、あまりしていないご家庭だってある。エアコンはフィルターを掃除しなくても効率が落ちるだけであるが(これも問題だが)、排気換気扇は目詰まりしたら換気が不十分で健康や家自体に悪影響を及ぼす場合がある。そこでお掃除が数年間は必要ないフィルターなしのほうが良い気もする。
・・・悩むところ・・・(フィルターがある機種はやはり価格が少し高いが、それでも4台で+6000円であるのでまあ良しとする)。

さて、先月ある「緑の家」の24時間給気用換気扇が全てがおかしくなりました。7台とも全てです。築6年であるということは6年間動き続けておかしくなったかと思ったら、実は1年以上前からうるさかったので止めたとの事です。実運転は5年くらいでしょうか?あまりにも短く全てだったので、こちらの故障の原因をメーカー工場の品質保証部で確認して頂いたところ「経年劣化による寿命」という報告書が来ました。24時間換気扇で販売しているのに5年で寿命???納得はできませんが、担当者のせいではないですからここは抑えて一応電話を切ります。
そういうこともあり換気扇機種を再考しようと考えてます(ここ数年間の使用機種はこのメーカーではありません)。しかし最近の今使っているメーカーの同じような機種にはシールには「標準使用期間13年」とあるのにこの短さ・・・残念・・・です。某大手換気扇メーカーさんがんばって下さい!!

下は最近使用している換気扇です。


新潟の住まい ログハウス等は雨漏れ仕方ないの?

最近の業界情報によると

「ログハウスと外壁が真壁構造(伝統工法や数奇屋建築に多くある)の家の雨漏れは、瑕疵保証制度の10年保証とはならない」

となっています。

つまり工法上ログハウスと真壁構造の家は隙間が生じやすく、暴風時に雨水の浸入は起こりますので、それは瑕疵ではありませんよ。と言うことです。これには賛同します。もともとアルミサッシでさえ、著しくサッシの持つ性能超えた場合(降雨量が240mm/hで風速23m/s時W-4)、雨水が逆流し室内に流入します。しかし一時のことなのでそれは仕方無いこととなります。市街地では発生しにくいのですが、野中の一軒やや、海岸沿いの家では年1度以上はあります。これは冬の拙宅の暴風時、サッシから雨水が吹き出てくるときがあります。樹脂サッシの開き戸という引き違いサッシより水密性が数段高いサッシでもこの通りですから・・・(18年目なのでパッキンが痛んでいると思いますが)。

さてログハウス(丸太組み工法)では、建築当初から壁を構成する丸太の乾燥は大変難しいので、数年後乾燥が進みそれに伴い丸太が縮み隙間ができます。これをセトリングといい、通常セトリングの修正するのですが、それでも一様な縮みではないので隙間が生じます。そこから暴風雨時雨水が浸入します。仕方のないことですね。と言うことは気密性もないと言うことですが、そこには触れないように・・・。ログハウスが好きな方は、そのくらい何でもないことですから。

写真は風の強い冬のログハウスの外部囲いの様子。

PS・・・20年位前から寺泊にあるログハウスで有名なレストランの「WINDS」はなんともなかったのでしょうか。半端じゃない条件のところにありますよね。今度伺ってみますね。きっと初期メンテナンスがよいのでしょうね。


デザインと安全性。せめて違法な階段撲滅。

日経ホームビルダーや日経アーキテクチュアーの発売元大手の日経BP社の記事は時折深く考えさせられます。今回もそのひとつです。(全文を見るのに無料会員登録が必要です。)

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090714/534038/

階段で子供を抱えた女性が子供が動いたはずみに、手からこぼれ手すりを越え十数メートル落下し子供が死亡した事故です。普通ではありえないことがおきましたが、階段は屋内空間では非常に危険な場所です。

当事務所の階段の手すりの高さは80cm程度です。特に高くはありません。もし住宅でなく不特定の人が利用する建築物であっても110cmです。しかしこの110cmの高さがあっても今回の事故(事件ではないと思う)は防げなかったでしょう。悲しい事故です。法律の基準を守っていながらでも事故はおきます。階段はお風呂と並び最も重大事故がおきやすい危険場所です。お風呂の危険性は、小さい子供のいる家庭以外なかなか実感できませんが、階段の危険性は、ほとんどの方が一度は「ひやっ」としていると思いますので、わかると思います。しかしそんな中でも、いまだに片側に壁や手すりが存在しない危険な「法律違反」の階段を堂々とホームページに載せている建築会社があります。かなしい事です。既に数年前以上からこの話題をHP上で公開してますが、いまだその会社のHPでは法律違反の階段が堂々と大きな写真として載ってます。小さな会社なら指摘はしませんが大きい会社です。こんな重要な部分を違反する会社の建物は他の部分でも・・・違反(偽り)しているでしょう。また間違いを平気で否定するでしょうね。くわばらくわばら。

話は変わりますが、上の日経BPのHPには、トーメイなガラスに衝突して亡くなった子供の記事もあります。トーメイなガラスがないものと思ってぶつかった経験はありませんか?実は私はあります。ですので室内でトーメイなガラス戸を使うときはアイポイントを必ず貼ります。最近は室内戸のトーメイのガラスの設置自体がありませんが・・・。ちなみに米国のほとんどの州で、ある一定以上の大きさの掃き出し窓(テラス戸)には、強化ガラスの義務付けあります。子供を危険から守る法律では徹底しています。これは日本でも必要かも知れません。


新潟の住まい 本当にヒノキ、杉は耐久性があるのか?

もう10年くらい前に当HP上でもご案内している古いニュースであるが、最近誤解されて使っている方が多いのでが改めて説明する。

この写真は巷でよく使われるヒノキの4寸(120mm角)柱。

さて、この有名なヒノキは耐久性があると言われているがそれは本当か?

国の見解では、写真のような柱ではホントでもあり間違いでもある。

というのは、写真の四角い柱の木口の赤い丸のようなところと白く残るところの耐久性は著しく違う。つまり白いところは耐久性が松や栂(心材)よりも劣る。この白いところは「辺材」と呼ばれ、木が生長途中の未成熟な部分。一方赤いところは「心材」と呼ばれ成長しきった部分。硬くて耐久性もあり、この部分で木の重さを支える。だから耐久性も高い。

チラシや広告などでは「1200年前法隆寺の柱はヒノキで造られている。」というヒノキは「心材」だけで造られている。辺材は造作材(窓枠、戸枠、床、天井)として使われる。

性能評価の技術解説書(国交省住宅局監修)の劣化防止の解説では下の写真のように書かれている(オレンジのアンダーライン)。

この文で「望ましい」と書かれている理由は、ほとんどの工務店、ビルダーで上の写真のような柱を使っているため、「だめ」とかけない。しかし実際は弱いことは事実。本当に長期優良住宅を作ろうとした場合は、避けたい部材である。

青いアンダーラインも重要であるが、ここも「望ましい」と書かれている。もし建て主側にたった見解であれば、「しなければならない」であろう。この青いアンダーラインの解説は2008年の8月頃のブログにある。ご興味があればどうぞご覧ください。


新潟の住まい 良い住宅会社の選び方!過去の基礎仕様をチェックしよう。

今は情報時代。専門的な情報もインターネットでほとんど検索できる。最近では、国立図書館もネットに書籍データーをアップして誰でも閲覧可能になってきている。拙者のエアコンに関する論文(時代先取りと自負している)も「オーブルデザイン」とグーグルで検索するとたどり着く

そこで今、家に興味がある方は是非「べた基礎」で調べて見よう。べた基礎に関する法律や構造的考え方は2002年から変わっていないのに、なぜか今年から各社(新潟県のような多雪地域)いっせいに今年から変わる気配。←に詳しくあるのでどうぞ。

たまたま新潟県の低金額建設費で有名な会社のHPを見ていたら、やはりありました。標準仕様のべた基礎の写真。その基礎はべた基礎なのに、人通口が910(780)くらいある。もう5年も前から人通口はべた基礎の弱点なので人通口の幅を500(600)かつスラブに補強が必要なはず。法律では明確にこの幅は決まっていないけれど、べた基礎には裏づけなことは事実。その裏づけで簡易な方法が財団法人「住宅保証機構」が発行している「設計施工基準」にある。そこには人通口500(600)以下でスラブ補強が義務事項となっている。簡易な裏付け以外では、構造計算による確認があればOK。しかし構造計算で梁が一部欠損している補強はなかなか大変。さあ、過去のべた基礎の方法を探そう。するとその会社が将来に渡って正しく施工(計画)できるかの判断になる。基礎は一番の要。

拙者は、「家は社会の財産」と考えている。安くてもその時だけよければ・・・とは思えない。やはりせめて数十年先でもその家の価値(性能的)が下がらないように、前もって予想し準備をしておく必要がある。耐震性、断熱性は特にそうである。耐震性は等級2~3という避難病院並みの基準にしてもそう多くのコストは掛からない。設計者の心意気である。

断熱性は初期投資。必ず将来メリットとして帰ってくる。家はコンパクトになっても断熱性はSSプランが良いと今感じる。それは拙者が掲示板などで「将来はハイブリッド車が主流」と宣言した6年前と同じような確かな感覚を感じる。

の写真は人通口の下部分だけでも、普通の家の基礎高さくらいある「緑の家」のべた基礎。

10年乗っている愛車プリウス。いまだに燃費は16~19km/L。この秋プラグインのプリウスが発売されると聞いたが・・・資金がない・・・。

・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


最大手積水ハウスの偽造 告発

今日業界の住宅ニュースを見ていたら、「建築確認の公文書を偽造、積水ハウス浜松支店の元社員刑事告発」とあった。びっくりした。最大手の積水ハウスが10棟もの建物について偽造していたとは・・・。これではどんどん確認申請の書類審査が厳しくなるはず。しかしいつも思うことは、悪いことをする人は世の中にはいる。こういう人に合わせて決まりを強化するのではなく、悪いことをした人をしっかりとキツク罰するほうが良いと思う。法律を守る人まで、法律強化のとばっちりをうけて、確認申請料のアップや、確認申請料書類の煩雑化となり、結局建て主さんへ経費アップとしてつけが回るから。積水ハウス浜松支店の設計事務所登録を抹消するくらいの事をすれば、こういうインチキはなくなると思う。普通この建築士だけの個人判断ではできない、支店ぐるみの行為では・・・と思う。でなければ管理建築士の管理が相当ずさんでやはり設計事務所登録の末梢にあたる。静岡県知事が決めることだけど、とてもひどい話である。積水ハウスは建築士の懲戒解雇と言っているが、そんな社内的な話ではないはず。
いつも申し上げるが、大手だから大丈夫!ということはありません。この事件のニュースはこのリンク先ですが、見るには会員登録(無料)が必要かも知れません。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは? その2 施工と設計の分離

この写真は、 7年位前のある家の設計と施工が同属会社の工事中の写真。

その2では、設計と施工の分離が完成後とても大事ということをご説明したい。

設計と施工が分かれていると瑕疵があった場合、責任の所在が明確にならないため良くないという不思議な主張がされていることがある。責任が明確にならないのは、しっかりした図面がないからの一言。施工と設計が違う会社だからではない(また付け加えるなら、工事監理者が施工側の人間だとさらに問題)。60枚以上にもなる図面があれば、その記録があるので責任の所在はおのずから明らかになる。なるから公共建築では設計と施工の分離が当たり前である。責任の所在が明らかにならないのは、記録が建て主側にはないということが一番。例えば設計や工事監理が施工と同じ場合の問題点は以前当コラムに載せた。まさにこの会社が設計と施工が同じほうが責任の所在が明らかになるといっているが、その写真の現場をどう説明するのだろう。「昔のことだから、釘の指定の記録がないので仕方ない」といわれた建て主はたまらないだろう。このころからしっかりと、専用釘以外は問題あると住宅金融公庫にも記載があるし、業界では常識。

また、一番感じるのは設計と施工が同じ会社であると、建築後(入居後)問題が起きたときに建て主側に立つ専門家がいないこと。設計者は、建物が図面どおり建築されるだけでその職務が終わることはない。建築後その建物に何か問題があった場合、設計の瑕疵なのか、施工の瑕疵なのかを一番わかる立場である。もし設計に重大な瑕疵があれば、施工中に普通は発覚し施工や建て主から是正を求められる。一方施工の瑕疵があり、それが工事監理中に見つけることのできないもの、例えば木材の品質(造作材や構造材も製品上の欠陥は、工事監理で見つけることは難しい)、設備機器や配管の品質等は専門性が高いので一般的に難しい。このような不具合が見つかったときに、第三者の立場(建て主さん寄りの)できちっと対処してくれる。ところが、設計と施工が同じ会社の場合、どちらの原因であっても経費(修繕費)が発生するので、なるべく両者とも穏便に済ませようとする。これは営利団体である以上仕方のない性である。全くの別会社であればそういうことにはならない。ましてや設計者は建て主に雇われた専門家である。間違いなく分離されたほうが、責任の所在は明らかになりやすいことは、冷静に考えればわかる。

また、設計と施工の分離の場合、コストコントロールが難しいというご指摘もある。これもう不思議な話。設計と施工の分離は、適正な価格がわかる最良の方法。万一、仮にどこに見積もりを出しても予算がオーバーするなら、その建物はその位の資産価値があることを、皆が認めたもの。予算オーバーなら、減額設計を行えば適正価格になるし、資産価値と同様の価格ということ。一方、設計と施工が同じ会社だとコストコントロールできるという主張は、昔の棟梁一括請負と同じ主張。予算があわなければ、建て主の気にしないところ(気づかれないところ)の仕様を削って予算を合わせる(利益を出す)ことになる。それが営利団体。勿論、図面と仕様がしっかりあれば(図面枚数60枚以上)こういうことにならないだろうが、ほとんどが少ない図面数(30枚程度)。

また、入札で建築後施工会社が安く受けたのことで倒産しやすく、その倒産後困る。などというのもおかしな話。しっかりした建物は、仮に造った会社が倒産しても特に大きな問題はない。建築後その施工会社が倒産して困るのと思うのは、無料の不具合修正がなくなるという恐怖感。しっかりとした設計で工事監理を行った建物は、不具合が少ない。先日倒産した大手マンションメーカーの住民は、建物自体では多きな問題はないはず(管理会社の倒産は大変困る)。

色々な言い方や主張がある。それは仕方のないことあるが、裏づけのない事象で「恐怖」をあおる様な説明は、あまり歓迎しない。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは?

今日は午後から仕事。これは午前中の家の前の海の様子。風があったせいで波が白いが、沖はエメラルド色。

ここ数年「デザイナーズハウス」とか「建築事務所」と宣伝する、法律で決められた「設計事務所」でないのに、その匂いを感じさせる名称や商品名が多い。
設計事務所と会社名称につけられるのは、施工を行わない純粋な設計または、工事監理等しか行わない会社にしかつけることはできない。これは○○病院と同じように、その専門性(免許が必要)の保護の観点から法律で定められている。
ところが、設計事務所というと「センスの良い」、「最近の」というイメージがあるので、最近の建設会社の名称に、○○建築事務所と名称を付ける会社が多い。このぐらいなら良いと思うのであるが、一番納得がいかないのは、設計事務所が設計したのに、施工する会社をグループ会社や親族経営や設計事務所と社長が同じという会社に限定しているところ。まるで分譲地の建築条件付きと同じ販売方法。(公共建築ではあり得ない)
本来設計事務所とは、建築を造るという一大事業の計画を、建築を専門としない建て主さんの代わりに免許のある専門家が設計図という成果物で「形」にする仕事。先進国のほとんどは、この設計業務と建設業務を注文住宅という小規模の建物でも分離することが普通。日本でも公共建築のほとんど全ては、設計(工事監理)と施工が完全分離されている。これは建て主の利益を冷静に考えれば当たり前である。
しかし最近は注文住宅でも設計と施工が同じ会社のほうが良い建物ができると豪語する住宅会社がある(規格、プレハブ住宅は別)。それが本当なら公共建築も世界の国々も、設計と施工一体の事業がほとんどになるだろうが、そんな話は聞いたことがない。そんな眉唾な話をチラシ等で情報発信するのであるから不思議な感覚。本来建て主さんのメリットを考えるなら、設計と施工の一体化のメリットとデメリットをきちっと話せばすむことなのに、最初から丸めこもうととしているこの説明は、とても信じがたい。誰が考えても注文住宅なら設計と施工が分離されたほうが、しっかりと図面通りの建物が建つ確率は高い。図面がない戦前の大工棟梁の家なら別であるが・・・。
設計と施工を分けるデメリットとは、施工会社が決まるまで確定金額が不明であることに尽きる。当事務所の「緑の家」では仕様がほぼ同じなので、計画金額と実施金額の差が3%に納まることがほとんどであるので、このデメリットはそう大きくないが・・・。
みんな自分の業に誇りを持ってその仕事に当たれば、そう誇張宣伝する必要もないと思う。


新潟の住まい 性能表示とメンテナンス性 高気密高断熱の緑の家

先日S邸の「住宅性能評価書」をERIさんから頂いた。 設計性能どおり建設も同じ評価を頂いた。

評価は10項目あるが、「緑の家」が大切にする評価は1.耐震性、2.温熱環境(所謂高気密高断熱)、3劣化防止性、4.維持管理の4つである。この4つ以外は光や音、防犯性、バリアフリー等がある。

耐震性を除く等級はすべてトップ等級であり、耐震性は上から2番目の等級2である。耐震性をトップの等級3にすることは経済的にも技術的にも簡単であるが、あえて基本は等級2である。この等級は地震時の避難施設にも求められる性能で、必要且つ充分と見ている。等級3になると、吹き抜けや窓の大きさが制限されやすい。無論等級3にこしたことはないが、後はバランスの問題である。ちなみに耐震性最低評価の等級1は、評価機関で基礎の構造チェックをしないので、果たして基準法を守っているかどうかは、その設計者しか知らないブラックボックスとになり、これが問題である。

さて、超寿命住宅はどなたでも求めているものであるが、そのとき大事な性能が「メンテナンスのし易さ」だと私どもは考えている。例えば配管設備類。配管は長くても20年くらいで掃除やチェックが必要になるといわれている。その時、下写真のように最近流行のべた基礎の基礎スラブ内に配管されていたら、これではメンテナンスし難い。もちろん性能評価でも配管類をスラブ下に埋め込むと維持管理のしやすさの評価は低い。加えて床下にあるので、歩腹全身でしかメンテナンスできない。メンテナンス性がよいとはおせいじにもいえない。

中越地震のとき、被害地には「緑の家」があり、ある程度被災地が落ち着いてから被害状況確認と修繕のつもりで点検に伺った。内一軒で、床下内の排水管接合部のずれが見つかった。大きく漏水はしていないものの、ぽた、ぽたとしずくが落ちているのが確認できたので、早速修繕した。普通の家ではこのような発見は難しい。大きく漏水するまで発見はできないだろう。普通の家では、歩腹前進と真っ暗な床下は誰も入ることを躊躇するから・・・。

緑の家では11年間このように簡単にメンテナンスできる床下をほぼ100%提供し続けている。これが自慢である。

「緑の家」のお風呂の床下配管メンテナンス写真。配管は基礎立ち上がりから屋外に貫通し、スラブに埋め込まれていない。普通お風呂の配管は一番見にくい場所と構造になり、こんなにオープンに見えることはありえない。


新潟 家情報 「虚偽」、「過去の削除」の多い住宅業界。

今日のアサヒネット情報で、「「トヨタホーム」が顧客に虚偽説明を2000件以上」という記事があった。トヨタホームは、車の大手トヨタの完全子会社。中部ではとても有名なハウスメーカー。ローンの手数料が無料と言いながら、2300件以上の人から手数料を取っていた。問題はこれを2002年から「公正取引委員会」から排除命令を出されるまでほっといたということ。こういった事は、なぜかよくある話。実は、まえからアナウンスしているとおり、新潟県のべた基礎は非常に大きな問題がある。「緑の家」の基礎は高さが1mあるので、基礎梁として構造計算を行うと、主筋が2-D13でなんとかOKであるが、巷の一般的な高さ60cmの基礎では、主筋D13で3mを超える基礎梁は全て「×」となるだろう。ということはほとんどの会社のべた基礎は×だ。そんな基礎配筋の現場写真を「しっかりべた基礎区画で造ってあり大丈夫」と堂々と公開しているブログが多数ある。知らないとは怖いこと・・・。

大手木造メーカーのホームページはとても立派にできていて感心するのであるが、ひとつ大きな問題がある。それは、過去数年前の家(商品)がどこにも載っていないのである。10年前、新潟県では「高気密高断熱」を薦める大手メーカーは皆無。それどころか、「高気密高断熱」は不必要(あぶない)で、かえって高断熱だけがよいとまで言っていたメーカーがあるくらい(今でも自然素材住宅会社や薪ストーブメーカーは、高気密に否定的。゚゚(´O`)°゚)。ところが、今では「高気密高断熱が標準ですよ」と大きく書いてある。そして過去の家の標準仕様はデーター削除。削除ですよ。探してもホームページ上からない。住宅より相当短命の家電製品でさえ、過去の商品仕様は残してある。本当に不思議な業界である。でも大丈夫。過去の8年分の他社チラシは当事務所に保管してある。見たい人はお問い合わせを。さてそのチラシを見るとまったく違うことを言って販売していた会社がわかる。これってとても問題だと思う。なぜなら、高気密高断熱だったら、新潟では20年くらいまえからあったし、拙宅も20年前に計画し18年前に完成している。ということは当時否定していた会社は正しい情報を選別する目がなかったということ。つまり他の性能部分も同様と考えると、耐震性の部分がとても心配。さて、皆さん!過去住宅データーを集めてみませんか?その会社の本質がわかりますよ。その時だけの使い捨て商品をすすめるか?本当に良いもの勧めようとしているか?住宅は25年以上はともにする長寿命物であるから・・・。


無断房住宅、ゼロエネルギー、200年住宅は耐震偽装匹敵か?

たまたまこんなブログを見つけた。住宅研究者では有名な鵜野日出男氏の元旦のブログ!!

そこにはきっぱり、「200年住宅も無暖房住宅、ゼロエネルギーも耐震偽装に匹敵。」

詳しくはここのページをご覧ください。無断房住宅やゼロエネルギーと言って販売しているほとんどが偽装。200年住宅に至っては「官製偽装」ときっぱり言い切っている。そういえば私の恩師である先生も「ゼロエネルギー住宅」で販売しているセキスイハイムの担当者に、3年以上前から「いんちきだ」と言っていた。太陽光発電は初期投資がとても大きいので、ただ単にエネルギーの先払いをしているに過ぎないと。

ここまできっぱり言って頂けると気持ちが良い。私もそう思うし、先回の私のブログでも「新潟では無断房住宅はありえない。」と明言している。住宅が日本の数倍の期間使用(イギリスでは100年は当たり前)される先進諸国でも、200年住宅と言って「販売」している国はない。なぜ日本のような取り壊し平均寿命が30年と言う住宅後進国が200年住宅などと国をあげていえるのだろうか?カナダや米国から住宅を輸入することはあっても、輸出することはない住宅後進国なのに・・・。悲観的意見ではなく、客観的にみると、他国からはそう見える。そういうことである。 家を愛する、愛される、その仕組みを考えて初めて200年メンテナンスされるはず。有名な神社、仏閣のような信仰心と同じ位、その家を愛する気持ちでもなければ、継続することはできない。田舎の古い民家が100年以上あったのは、そういう気持ちに家族、一族がなれる仕組みがあったから。・・・だと思う。


新潟での高気密高断熱住宅(基礎断熱工法)とシロアリ

昨日NHKのクローズアップ現代で、「マイホームが危ない!(アメリカカンザイシロアリ)」と言うテーマの内容で放映されました。(←1月19日放送) 写真は拙宅庭にいるヤマトシロアリ

カンザイシロアリとは、その名の通り乾いた木材を食べる分散型シロアリです。外来種で日本にはいなかった種です。この乾いた木材を食べることと、分散型というところが、今までに日本にない種で駆除を厄介にしているのです。乾いた木材を食べるシロアリなら日本にも獰猛な「イエシロアリ」がいます。このイエシロアリは大きな巣(コロニー)を持つ集中型です。大きな巣には数十万のシロアリがいるため、短時間(数年で)で大きな被害を与えます。しかし逆に集中型なのでその巣を除去できればきっちっと駆除が完了します。ところが、分散型のカンザイシロアリは至る所に小さな巣をを造るので、一箇所集中的に駆除できません。ほとんどの巣を駆除しても家の中で一箇所でも巣が残ってしまうと、再びあちこちに巣が造られるらしいです。そしてこのシロアリは新しく巣を造る時季が、今までの日本のシロアリのように年1回だけではなく、条件さえ揃えば年に何回もあることが、駆除をさらに難しくしてます。

そこでNHKのこの番組では、「ほとんど今は打つ手なし」のような印象を与えております。このシロアリの原産国のアメリカでは、燻蒸処理と言って一軒丸ごとテントで梱包して殺虫処理するそうですが、住宅密集地のある日本では良い方法といえないそうです。つまり、仮に隣に既にカンザイイエシロアリがいたなら、そのお宅も一緒に燻蒸処理しないと、数年で再び食害にあうそうです。その隣にもいたら、又さらに隣にいたら・・・となり地域一体で処理しないと効果はないそうです。さらに燻蒸処理には100万/件以上のお金がかかり、費用面でも簡単にできないそうです。

NHKのゲスト解説者は、「建築基準法の改定も必要。現在の地面に近いところだけではなく、屋根まで含めた防蟻処理予防が必要、更に加害された木は大きな穴が開くため、今までと違う被害が出る」と言ってました。これを鵜呑みにすると木造住宅の根底を覆しかねないお話です。全てが防蟻処理された木材の中で暮らすことが想像できません。いくら人体に害が少ないとは言え、防蟻剤はシロアリを殺す力を持っているので、人体に無害、環境に無関係とはいえません。それに木製家具にも巣を造るらしいとのこと。テーブルや椅子にまで防蟻処理をするのでしょうか・・・?

アメリカカンザイシロアリの駆除については研究段階と言うことです。この問題は国が統一的基準を造り、いち団体や、ハウスメーカーで対応させる問題ではないと感じます。しかし気になったのは、NHKは怖がらしておいて有効な解決策はなしという終わり方。以前も同様な指摘がNHKのクローズアップ現代にされてましたが、NHKは唯一の国営テレビです。もう少し掘り下げてしっかりと国土交通省への聞き取りも行い、あんに国民を不安がらせる様なことは慎むべきと感じます。

ある有名なシロアリ駆除業者のサイトでは、「カンザイシロアリは食害スピードが遅く、食害も大きくなく建物に致命的な被害を与えることが少ない。まず専門家に相談」と書かれてます。NHKの「大きなが空き、今までと違う被害が出る。」という印象と違うような感じですが、どちらが正しいのでしょうか?専門家の間でもオーソライズされていない害虫を、住宅の総責任者の設計者はどのように判断すればよいか苦慮してます。しかし一般的に家内部進入は、基礎通風開口部(基礎スリット)から入りやすいとの事。と言うことは緑の家の「基礎断熱工法による無開口基礎は、近隣からの飛翔であれば家内部に入りにくい構造ともいえる。かな?

今のところ新潟県ではまだ被害例がありません。よって私の歯切れが悪く「・・・だそうです。」の表現が多くなりました。


今までの建て主を蔑ろにした講習会が堂々と行われる不思議。

先日、政府所管の財団法人主催で木造住宅の壁量計算等構造設計の講習会が三条市内であった。しかしこの講習会に住宅の設計実務者が行っているとしたら、それは非常に奇妙な講習会となる(行っていないと信じたい)。この講習会の趣旨は、来年実施されるであろう4号建築物の特例廃止に伴う確認申請の混乱を防ぐものであるととされる。が、その内容は壁量計算の実際の方法や計画である。確認申請の混乱を防ぐ目的なら、事務手続きのみの説明であるはず。しかし内容は、壁量計算の方法(構造設計)が主である。

そうこれがなぜ建て主を蔑ろ(馬鹿にした)講習会かと言うと、そもそも壁量計算は、数十年前から必ず設計者が行わなければならない決まりである。例外はなく、確認申請のいらない田舎でもそれは同じである。

平成11年の改正で壁量計算の項目が数個増えたが、あれから8年以上も経過している。この8年間、もしかしたらこの新しい壁量計算を知らないで、建て主に「安全、安心」といいながら建物を設計してきた設計者がいるのだろうか?(いやたぶんいるはず。そうでなければ国をあげて講習会を行うはずがない。木耐協の調査でも既に建築されている築25年以内の62%が耐震性に疑義があるとの結果がある。)なんといい加減なことであろう。住宅設計に携わる設計者は、この7年間に行った家の壁量計算を全棟行ったのだろうか?特に危惧するのは、純日本建築(数奇屋造り)や、デザイナーズ住宅といったアクロバットな住宅、三角形の変形住宅、片流れの屋根の家そしてロフトを持つ住宅である。

当事務所では築7~8年以内の住宅の簡易壁量計算を行うことをHPでご案内した。是非ご利用頂ければと思う。この期間であれば無償で施工会社から直してもらえる法律があるからだ!!


太陽光発電パネル補助金復活! 違法な階段その2

さて、太陽光発電パネル設置を考えている人には吉報。1kwあたり7万で補助金が復活。普通は3~4KWを計画するから、21万~28万を国からもらえる。詳しくはここに。無論当社でも補助金申し込みのお手伝いをしております。ご利用ください。

さて、数年前から何度なくアナウンスしてきた違法階段。これを業界最大手出版社が取り上げた。それによると建築士の16%は知らなかったと答えている。果たしてこの16%をどう感じるか?そしてその記事にもある違法階段がある常設展示場が結構あるらしい(実際に長岡市に建っている)。それをどうかんがえるか?まあ階段くらいよいのではと考える人もいるだろうが、建築基準法第一条には「この法律は安全性の最低基準」という位置づけとある。それから考えると、とても許されるものではない。


建築基準法上の工事監理者

工事監理者はとても重要な業務である。100m2以上の建物には、建て主さんが建築士の資格のある人を工事監理者として定める事、と法律で規定されている(義務事項)。「ああ現場監督さんね。」と考える人はちょっと待ってもらいたい。左の写真は法律定められた現場に必ず設置しなければならない表示看板である。ここには、建て主、設計者、工事施工者、工事現場管理者、そして工事監理者を記することになっている。ここで工事現場管理者というところに名前があるが、こちらは所謂「現場監督」であり工事監理者ではない。

この工事監理者の名前に見覚えがなければちょっと変と思ったほうがよい。建て主に内緒で勝手に工事監理者を決めて申請していることになる。また工事監理者と工事現場管理者の名前が同じであるときもおかしい。つまり造る人の現場代表と図面と現場が同じことを法律上責任を持って確かめるひとが同じことになる。確かに同じであってはいけない規定はないが、なぜわざわざ法律で工事監理者を定めなければならない既定になっているか?それは、施工する人が自分の工事が正しいかチェックしても意味がないのでわざわざ施工する人と違う人が図面どおりかチェックするシステムにしているため。特に注意したいのが「当社は最近第三者管理機関のチェックをしてますよ。」といっているが、これが法律上の工事監理者でないことがほとんど。法律上の工事監理者でないと、工事に関する注意などは法律上権限がない(建て主に報告する義務もない)。

もっと変なものは、施工者と設計者と工事管理者と工事監理者がすべて同じ場合。これではせっかくの法律で定められたチェック機構が働かない(働きにくい)。

写真の通りわかるのは、工事監理者は「法人名」ではない。何かあったとき個人の責任となることがほとんどであり、実際そういう判例が多い。


IHコンロとガスコンロ。どっちが水蒸気が多くでるの?答えは大体同じくらい。

赤字は2008年11月8日に加筆、訂正

最近は、2軒に1軒の割合でIHコンロを計画する。ご存知のとおり、IHコンロは、電気を熱にしてなべを温めるのではなく、電磁波としてなべ本体の金属原子を振るわせ温める(なべ型電子レンジと思えばよい)。だから炎はないし、コンロ自体に熱は発生しない。一方昔からなじみのあるガスコンロは、ガスを燃焼し炎としてなべに熱を与える。無論ガスが燃焼すると水蒸気と二酸化炭素とその他微量のガスが発生する。IHは電磁波なので何も発生しない。だからガスコンロで調理するとIHで調理した時と比べ、水蒸気の発生が多くなるとずーと思い込んできた。

ところが今日、日本空気調和衛生工学会の2008年NO.138の技術論文(第三者によって審査された論文)には、IH料理の方がガス料理で行った時よりトータルで水蒸気が多いという結果があった。両方とも同じ料理で・・・。つまりガス料理は、ガス自体の燃焼による水蒸気発生があっても、料理からは水蒸気の発生が少なくなって、トータルでもIHの方が料理作業における水蒸気発生量が多くなるらしい(代表料理3種)。一日のメニュウであってもほぼ同じくらいか少なくなる(グリル構造が違うが・・・)。

凄い結果!!。

当事務所では、好んでIHコンロをお奨めした事は今までない。しかしIHコンロのメリットは?と聞かれた時には、1.掃除が楽 2.空気を汚さない 3.安全性がガスより少し高い と答えてきた。その2.空気を汚さないということが半分当てはまらなくなった。空気を汚さないという事は、燃焼がないので酸素を使わないということと、水蒸気と二酸化炭素を出さないということで説明してきた。水蒸気は料理からたくさん出るのですね。なぜガスで料理した時よりかなりたくさん出るという事は、書かれてなかった(と思う)。

この論文発表者は、ガス会社勤務の方であるので、もしかしたらガスが有利な条件が入っているのかもとも考えたが、査読された論文なので(査読はされいない論文でした)そう大きな偏る条件はないと思う。恩師の先生に伺って見ると、「ガスが有利という条件はないと考えるが、論文に記述でははっきりとしていない部分が多すぎる」とのこと。

また、グラフには一次エネルギー消費というグラフもある。一次エネルギーとは、元になったエネルギーのこと。ガスであれば、直接化石採掘エネルギーなのでこのまま。電気は、火力発電所や原発から作られるので、そこに投入されたエネルギーで換算。例えば火力発電なら、重油を燃焼させ電気を作る効率が0.45。送電ロスが0.05で合わせて0.4という効率で換算しなければならない。一次エネルギーの比較でも、ガスが少なく効率が良い。こちらは少し前から業界では良く知られた話である。

昨日の常識は今日の非常識という言葉がちらついた。研究者は面白いでしょうね。下の表と図は上の論文から出展。実はこの図3がガスの燃焼時の水蒸気が入っているかどうかが明記されていない。このため図3は鵜呑みにできない。


NPO法人だからOK?

NPO法人は最近よく聞く。NPO法人とは「特定非営利活動法人」の事であり、NPO法 第1条は、その目的を次のように規定している。

「この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動」

これを聞くと一瞬「NPOだから皆ボランティア?」と思う事は大間違い。NOPの役員、理事等に相当な高額収入者もいる。ではどこが普通の企業と違うのだろう。

そもそも普通の企業は、利益がでたら先ず株主に配分し、更に社長や役員、そして社員に配分する。しかしこれは株公開の大手企業のこと。小さな会社は、ほとんどの株主が社長個人であったり、役員の親族であったりするため、利益が出れば社長が手当てとして配当されたりする。つまり決算をして利益が出れば(勿論社長の給与、税金を払った上で)給与の他に更に手当てとして配分する。NOPはこれが出来ない。しかしNOP(非営利活動)と言っても、それはその団体の活動で利益を出してはいけないということではない。利益をたくさん出して次の活動資金にする事には全く問題ない。違いは株主等に還元するかどうか。しかし日本の小さな企業のほとんどが同族経営なため、NPOと普通企業と違いはほとんどない。

だから営利団体(普通の企業)の傘の下(出資)で特定の団体の利益を誘導するような活動をしているNPO団体もある。また、NPO企業で小さな普通企業社長以上に収入を得ている人もいる。

NPOだから正直な会社とか、庶民の味方などという決め付けは危険だ。


良さをアピールしよう!

先週末行われた見学会に起こしいただけた皆様、大変暑い中ありがとうございました。この場にてお礼申し上げます。

見学会の中でよく質問される事があります。それは「集成木材はだめなんじゃないの?」ということです。これについては当HPで何度かご説明しておりおりますが、再びコラムにてご案内しようと思います。

結論からいえば、「現在の木造住宅は集成材無しには成り立ちません。だから日本の国もJASという基準で厳しく管理しております。だから、良くない事はありません。」となります。

☆ここでいう集成材とは木と木を何らかの方法で接着した木。☆

我々のいたるところで集成材はつかわれています。この集成材の良い所は、「小さな木からでも大きな材料が簡単にとれ、木の性質はそのままで製品品質は安定していること」です。だから大きい材料を使う時は、接着していない木より安価で、逆に小さい木を使う時は、集成材の方が高くなりがちです。その価格を見ながら使うところを決めております。また集成材は現在全ての木造住宅のどこか一部に使われていており、逆に集成材を使わない家はほとんどないくらい普及してます。

ところがこの集成材を悪者扱いするメーカーがおり、そのメーカーによって誤解してしまうような情報が発信されております。私どもプロの建築士から見ると、その集成材を悪者扱いする会社のHP上には、。「集成材は構造材に使うと接着剤が剥がれるし、化学物質も発生してよくない」とありますが、その会社の家には合板をしっかりと壁に使って、自社オリジナル工法としてアピールしてます。この合板はれっきとした集成材の一番の親分で、且つれっきとした重要な構造材です。だからとても滑稽に見えるのですが、一般の消費者にはこれがわかるはずがありません。「集成材は構造材に使うと接着剤が剥がれるし、化学物質もでてよくないのでは」というご質問頂く事になるわけです。とても残念です。日本の確固たるJAS基準の集成材は、しっかりした品質です。建築基準法でも、無垢材の最大1.5倍の許容応力度を取る事が出来ます。このような裏ら付けのある材料を「剥がれやすい」と言って過去に起きた生産本数の0.02%以下程度の剥離事故(しかし構造上問題ないと国交省が発表)を声高らかに宣伝する不思議さ。(因みにあるメーカーの新車自動車販売台数に対するリコール数は100%。「自動車 リコール率」で検索すればわかりあます)。こういう少ない事故例を大きく取り上げてチラシや広告宣伝するのは、脅迫営業みたいな物。それより自社の無垢材をアピールすれば良いのにと思います。私も無垢材使用は賛成です。私の場合は積極的に無垢材の構造材を最初薦めないのは、その品質の不安定さからです。無垢材の構造材もJAS基準はありますが、そのJAS基準のスタンプやシールが貼られた無垢構造材を現場で見たことはほとんどありません。つまりほとんどが「JAS基準ではない」木が流通しており、JAS材使用が高価になってしまうので、標準ではお勧めしないのです。JAS材ではない木は不安定な材料です。しかし我々はその宣伝を大々的には今のところしません。同じように脅迫まがいになるからです。それより自社構造の良さをしっかりと伝いたいものです。

下の図は集成材を悪者扱いする会社にある壁の断面図を、私が手書きした物です。ここで示される合板はれっきとした構造材で集成材だと思うのですが、それともこの集成材(合板)には接着剤が使用されていないノーベル賞的製法の合板なのでしょうか?


ビニールクロスは・・・匂う。

  昨日、近所の整形外科に行ってきた。2ヶ月ほど前から寝ちがいが原因で首筋がはり、痛い。特に寝ている時に首筋が張る痛みで目がさめる。よくなるとほっといたが、完治しないのでついに診察を受けた。結果はやはり原因は特になく、運動不足と柔軟体操不足という感じ。

この医院はある大手メーカーが一年ほど前に建築した。外部はタイルや塗り壁でとても立派なのだが、内部はほとんどビニールクロス壁、天井とビニール床。だから内部に入った瞬間、医院臭いと言うよりは、ビニールクロスの可塑剤※の匂い。久しぶりに新築臭を感じた。(皆さんが感じる新築臭はほとんどこの可塑剤の匂い)やはりビニールクロスは所詮ビニール臭が強い。外観にたくさんのお金をかけるなら、中にいる患者、スタッフ、ご自身のためにビニールクロスは最小限度に留めたほうがよかったと思う。がしかし、医院にとって外観は重要でステイタスなのだろう。

※ビニールクロスは塩化ビニールが基材になっている。塩化ビニールそのものは非常に硬い物質。これを柔らかくするために可塑剤を使う。この可塑剤が揮発性物質なので、ビニールクロスが柔らかい間(10年くらい)は可塑剤の匂いがする。そして可塑剤が匂わなくなったころ、つまりビニールが硬くなった頃、剥がれやすくなる。これがいやでオーブルデザインではエマルションペイントを使う。価格はビニールクロスの1.5倍するのですが、10年もあの可塑剤の匂いをかかなくて済む。


名義貸し・・・。

先日このブログでご案内した工事監理アドバイスしている家(法律上の工事監理ではない)の事で今日とても驚いた。

建て主Xさんは、Y工務店と一括請負契約(設計も施工もする)を結んだのであるが、この家の法律上の工事監理者はA設計事務所のBさんと確認申請書に記載されている。そこで建て主Xさんは、施工に疑義を抱き、このBさんのところに「施工は大丈夫でしょうか?」というつもりで事務所に伺った。そこで工事監理者Bさんは、建て主さんに向かって「名前だけ貸しているだけで実際の工事監理はしていないよ。オーブルに管理させるのであれば、うちに工事監理を依頼すれば対応したのに。」と言ったそうだ。びっくりした。Bさんは正規の工事監理者になっているのに、全く認識していない。姉歯の耐震偽装があって工事監理者の名義貸しの厳罰化となり、昨年数十名の建築士が見せしめともいえる免許剥奪処分を受けたというのに、全くお構いなし。同じ職責をになう者としてとても残念。人の命を預かるともいえる建物を設計・工事監理する建築士には、「人間性」のチェックの必要があると思われる。いくら技術的、営業的に優れた建築士であろうが、建築基準法の骨格を成す部分での違法性は、もっと厳重に取り締まる必要がある。しかし取り締まりはしないで、確認申請そのものを細分化してすまそうという意識が業界や国にあるように感じる。現法律が守られないのは、取締りがなく、また罰も軽いところに問題があり、入り口が問題ではない。出口の問題。ここが厳しくなければ所謂「ザル法」となる。

確認申請の書類をいくら細分化し厳しくしても「取り締まり」や「罰」がないなら意味はない。確認申請が厳しく不必要なまでに細分化されたコストを善良な建て主さん、建築士にまで要求されるのだから。そして一番問題なのは、これが特別の事ではない(普通にある)ことだ。


設計事務所と施工会社との違い。

この画像は家の構造図で床伏せ図というものです。この伏せ図が請負金額(契約)の提示前にあり、その図面作成者が設計者であるということが設計事務所の仕事です。 すごく当たり前な事ですが、通常施工会社は契約後見ることになり、伏せ図は設計者でない人が造っています。

一般に設計だけを業とする会社(所謂設計事務所)と設計と施工をする会社(建設会社)の決定的違いは何?との疑問が当事務所におこしになる人にはいつもあると思います。その違いは、設計業務の完成度にあります。設計で仕事をし報酬を得ている会社は、設計が全てです。設計に間違いがあればとんでも無い事になります。というのは設計業務はその報酬額の10倍以上のものを造る事が多いので、大きなまちがったら会社は即無くなります。そして大きな間違いの多くは、小さな間違いの積み重ねで起きます。だから真剣に細かく考えているのです(たまに違う会社もあるけれどそれはイレギュラー)。つまり施工は違う会社が行うので「きっちりと正しく」引き継がなければならないという事で、施工と設計が同じ会社では、互いにかばいあう事(ごまかすとも言う)ができるので少々ルーズであってもよい気持ちが互いにあります。例えば日本という国を考えると、設計(決まり=法律)を造るところは国会で、それを実施(運用)するところは行政です。この2つを同じ機関(人間)が行うと、間違いやごまかしが起こるのできっちりと分けております。また法律を作る国会と実施する警察が同じ機関であったらとても怖い世の中です。自分に都合よく解釈をかえ色々なことをごまかす事さえ出来ます。勿論携わる人間の資質で問題ないとこが多いでしょうが、問題がおきやすいのでわざわざ分けているのです。建物も同じで、公共建物のほとんど全ては、設計と施工を分けます。これは設計と施工が同じになるとごまかしや力関係が対等でなくなるので、よい建物が出来にくいということからです。私どもの建て主さんには多くの公務員さんがいらっしゃいます。その公務員さんの中でも建物や土木行政に携わるひとは口を揃えて言います。「設計と施工が同じ会社なんてプレハブのようなハウスメーカー以外※はいやだ」と。現場で設計と施工が同じ場合の問題点をよく知っているからです。自由設計の注文住宅は、世界にただひとつの設計でなります。だからその設計がきちっとしていないとまず、よい建物が出来ません。だから設計だけを真剣にこまかく考える設計事務所が必要とされるのです。

※ プレハブメーカーの家は自由設計の家ではなく、相当の決まりの中で作っているので、本来の意味の設計業務はありません。設計業務は、本社の商品開発設計部門でおこなっています。


阪神淡路大震災で学ぶもの。

昨日阪神淡路大震災から13年を経った。NHKでは何度となく現地の模様が報道されていた。その中でインタビューに答える多くの人が、「忘れない。風化させない。」と応えていた。この「忘れない」という主語は何であろう?また風化しては困るのは何だろう?その部分はカットされているのか、それとも応えた方があえて言っていないのかわからない。皆さんは何だとお思うだろうか?夜の10時からNHKで放送された「命のセーフティーネット・・・」ではそんな「主語」をしっかりと報道した。これには国営放送の大切さを感じる。(製作はNHK大阪であった。)

思い返すと阪神淡路大震災で亡くなった5千人以上の方は、圧死である。朝早く起きた地震は、住民を守るはずの家なのに容赦なく就寝中の人への凶器となった。昭和56年以前の基準で建てられた住宅は、震度7クラスの地震で倒壊する。また昭和56年以降の建築であっても、正しく建てられていない建物(大部分の木造住宅が該当)は倒壊又は補修不可能な被害を受ける。どうしてそんな現実があるのにインタビューでは主語が消えてしまうのか?もっと厳しく地震がいつでも起こるという現実を受け止めなければならない。キッチンやお風呂を新しくする前に、耐震補強をする事がとっても重要であるし、我々プロはそれを薦める任務がある。

一週間程前に家を計画している人から、現在相談している工務店は「行政の完成検査が終わってから小屋裏を造ろう」と言っているが問題ないのか?と聞かれた。問題外の工務店だ。小屋裏は法律で禁止はされていない。正々堂々と建てればよいではないか?つまり法律沿わない基準の小屋裏を造ろうとしているのだ。無論こんな家を造る人は、耐震性の計算なんて全く考えないのだろう。建築のプロが違法を薦めるという信じられない現実がこの数年で2回も大きな地震に見舞われた県内でさえも日常的にある。それをおかしいと思わない建築主も問題であるが、建築主の多くは、違法建築でも地震には倒れない家を造ってくれるだろうという「暖かい」?気持ちがあるのと解釈したい。

NHKの放送した「命のセーフティーネット・・・」の中で面白い地震対策を見た。防災ベットというスチールの天蓋で囲われたベットだ。この中で寝ていれば、木造住宅がつぶれても命は助かるという。http://www.houei-k.co.jp/

また耐震補強が充分でなくても補助金を認めると言う自治体もある。これは賛成であるが、あえて一言!!もし低い基準で耐震補強をおこなったら、その旨を玄関の見える部分に掲げてほしい。そうでなければ税金を投入したのに、その家に遊びに来た人や、譲り受けた人にちょっと危険だよと言う事が伝わらない。中越沖地震でよいと感じたことは、被災地建物の玄関に「要注意」と か「危険」とか貼り出された。確かにこういった建物には人は安易に近づかない。だから何とかしようとする。乱暴に見えるがこれが耐震補強をするきっかけとなるはず。法律改正でこんなプレートの義務付けが、耐震改修を加速させるひとつの方法であり、結果として人命を守ることになる。(相当抵抗があるだろうなーー(^_^;   )右は法律で定められた積雪プレート。これを見てその家の屋根に3mの雪があったら中に入ることはしないだろう。


ちょっと10年を振り返り

オーブルデザインは、平成8年に事務所登記を、その後一年をかけて準備を行い9年の暮れから実務を始めた。この暮れで実務を始めてから丸10年経つので少し振り返る。

1.10年前より建物の性能及び仕上げについて変わる事がなかった事が誇り。

10年前は自然素材を使う家が少なく特に木を無塗装で使う事など考えもしない業界であった。そんな中オーブルデザインの環境住宅「緑の家」では、床に無塗装の木、扉や戸枠に無塗装の木を使い、また、構造体にはクレテック金物と言う性能が明記されたものを薦めていたことに見学された人は大変びっくりされていた。これは今も変わりない。また、換気設備も当時から24時間換気設備を使い、今も全く同じ換気設備を標準では指定している。また、暖房設備に至っては、10年まえからエアコン暖房できる事(エアコン暖房が一番良いと言っているのではなく)を唱えており今も変わらない。さらに10年前から全棟に詳細な構造計算を行う事で建物の安全性を目に見える形で提供してきた。これらは全て10年間継続されてきた事。今の家でも自然素材、構造安定性、断熱性能等がバランスよく統合されていると自負する。洋服でも性能や仕様、価格がほとんど変わらないメーカー(海外アウトドアメーカーのモンベルやノースフェイスが造るゴアテックス商品等)があるが、これより寿命の長い家は最低10年くらいの仕様、性能を考える必要ある考え、「緑の家」はその仕様を決めてきた。

2.10年間で得た事務所の報酬は、全て建て主さんから。

一般に公共建築の設計のほとんど行わない設計事務所では、同業者から得る報酬が事務所の売上に占める割合が大きい。例えば確認申請だけをする仕事や施工建築会社の斡旋によるリベート、バックマージン等。しかしオーブルデザインでは一部例外を除いて全てが建て主さんからの設計工事監理料である。これは事務所の独立中立性の最大根拠である。最近施工会社が「当社は第三者機関によるチェックがある」と胸を張っているが、はてなと思う。いくら直接建て主に報告書を出すとしても、この第三者機関を使うかどうか決定するのはその施工会社である。つまり第三者機関にお金を払う意思決定権をもつ。数年前の姉歯偽装事件でも、国のお墨付きがある確認申請検査機関でさえも、民間運営で競争となった。そして施工会社から審査依頼が沢山ほしいばかりに書類のチェックが甘くなったと言う事実がある。これを建築士(設計者)は学ばなければならいと考えている。

3.年間6~10棟でお手伝いしその完成した家全てが「緑の家」である。

ハウスメーカーを除くほとんどの建設会社では、基本的性能でもランクをつけて家造りを行っている。これには実は?がつく。基本性能とは、安全性、快適性、耐久性と考えるが、これは設計者、施工者として確固たる理念があると思う。この家は予算がないから社の中の一番安い基本性能で良いという事ではどうも承服しがたい。経営的は多種多様の家をご提案したいと考えと思うが、これは基本線より良くなる事が前提であるし、デザイン的なものに限定することが重要である。家は50年を考えて造るものである。その中でメンテナンスを何回か行うだろう。このときやはりメンテナンス性も考えた家の基本性能がその設計者、施工者の理念ではないだろうかとオーブルデザインでは考えてきた。


またも大手住宅メーカーで強度不足の住宅

7月30日の日経BPニュースによると、大阪府の大手(大阪証券取引所第2部上場)のファースト住建の建てた(分譲)住宅の内32棟で強度不足が判明した。この会社は、構造計算を他社下請けにさせ、確認申請をだしていたらしい。強度の最低基準を決めた建築基準法数値の半分の家もあったとの事。今後は自社で構造計算をしチェックするとことに決めたとかかれている。やはりという感がぬぐえない。住宅の構造くらいその家の間取り(プラン)決定したした販売会社(設計者)が責任を見る事が出来なければ、この問題の解決は遠い。どうして住宅業界(新潟県内も含む)は、家の重要要素の安全性の確認を外注や下請けに依頼するのであろうか?

同じ日経BP7月22日のニュースでも、アーネストワンという住宅会社が、23棟の強度不足を発表し、その発表では外注の建築士が5人が間違っていたと、という発表を行い、自社販売住宅の構造責任を放棄するような発言が当たり前のように報道される。仮に自動車に置き換えると、「販売した車は欠陥があったが、これは下請けの工場の設計者にミスがあった」という事になる。そんな発表を自動車メーカーが行うだろうか?

家の販売会社が住宅丸ごとの責任を負う事が基本で、下請けが悪いとか、外注が悪いと言わんばかりの発言はどうかと思う。(現在は法律改正で販売会社にも責任を明確に追わせるようになったにもかかわらず・・・)    よい解釈に変えれば、それだけ建築士の仕事は自立しており、自己責任が大きく社会に与える影響が大きい業種という事になる。なるほど!!


全て広告か?

最近、住宅雑誌の発行(編集)社からの問い合わせが多くなっている。そのほとんどが広告料を払っての記事作成掲載である。インターネットが普及する前は、確かに情報を発信する媒体として大変有力であったが、最近はネットの普及で雑誌系の情報発信はそれほど効果的でもないと考えている。したがってわざわざ高い広告料金を払って、雑誌に記事掲載してもらう事は考えていない。雑誌において世の中の状況は、ほとんど広告料払って記事製作されているのに、雑誌の購入者は、なぜか広告料を払っていないと思っている人が多い。「よい家だから紹介された」。「よい工法だから、よい会社だから紹介された」と思って読んである人が多い。最近ではハードカバーのかかっている文庫本形式の家の本でも、ほとんどが最後は執筆者の利害関係がある会社への誘導と紹介である。今までは、TVのように流れてしまう情報より、活字の本や新聞の方が確かだといわれていたが、新聞もどこまでが記事でどこまでが広告なのかわざわざわかりにくいように編集してある感じがする。新聞は無論、書籍も正しい情報を伝えるメディアでは無くなったのかもしれない。「広告=正しくない情報」ではないが、どうも一方的な感じがするものが多い。すると正しい情報はどこから仕入れることができるのだろうか?一つは、国の機関が発信する情報。(時々問題もあるが・・・)次は専門の精査された論文である。精査されない論文は情報として問題が多い。時々間違いを堂々と発表するものさえある。一方数人のレフリーに審査されてOKがでた論文は、その業界紙や団体の論文発表誌に掲載される。ところがこういった審査された論文は、専門家向けに内容を略したりしており一般的にわかりにくい。そのためその論文から情報を得るためには、論文に携わった非営利団体や、同じく携わった利害関係がない専門者の噛み砕いた情報が、広告ではなく現時点で正しいと思われる情報ではないかと思う。

例えば「家の雑誌」関係では、

http://homepage3.nifty.com/net-forum/honnne/honnelink/zasshi.htm

等が専門家としての良心が感じられる。が、建築士を設計士と誤表記が・・・。

また、建築以外に「水」の事に関しては

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/index.html

等が偏らず論理的に噛み砕いて解説されているように思う。ネットでは膨大な情報があるが、その情報を精査し、正しく受け取りたいものである。


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