流れ落ちる水の音・・・いいですね。しばし聞き入ります。
人は体の75%以上を水分で構成しているので、素直に染み入る感じの響きです。
石は・・・古くから建築に使われる自然素材です。
電気がない昔は、固い石はきれいに切断などできなかったので、鏨を使った割り肌としてつかわれてました。ですので庶民の家などではめったにない素材です(丸石除)。
電気が一般的になり、石の表面が磨けるようになると、水磨き(本磨き)が簡単にできるようになり、百貨店の床や最近では衣料のシマムラさんの床でも見られます。
石英を多く含む石の耐久性は非常に高く、墓石に利用した場合は、その水磨き表面は長期間(50年程度)ツルツルしたまま継続し、これが石の最大の魅力となってます。同じように釉薬をかけた焼き物(食器、便器等)も比較的長く続きますが、表面が薄いので、ちょっとした衝撃で表面が破壊されます。
何回かご紹介しているこの水盤は、メンテナンスを軽減するために水のはる表面を本磨きしております。ツルツルが長期間続くので藻の除去が比較的簡単です。
水盤は2つのアプローチがあるとおもいます。ひとつは今回のようにツルツル仕上げ、その光沢を長期間維持すること。2つ目は藻やコケをわざと生えやすいようにし(または石自体が生えやすいものを選ぶ)、古びた感じを出した水盤。
両方とも魅力的です。後者もメンテナンスにそう気を使わなくともそれなりの風情を出してくれます。今回は、坪庭ゆえに広がりのある大きい水盤を使うイメージでしたので、前者のツルツルの水盤を計画しました。
自然素材の魅力は、「ソリッド」であることにつきます。
表面だけをきれいにメッキしたまがい物でないソリッドが、
磨耗したり、傷ついたとき、手直しできる安心感があります。
その何回かの手直しを経てようやく図面どおり近くなりました。本来ならもう一工夫ある加工を、図面ではお願いしたのですが、ギブアップのようです。水の落ちた音にそう影響はないのでこれで完成とさせていただきました。
各工事担当の業者さんは、下の図面だけでは完成形が想像できなかったようで、完成して初めてこうなるのか!とうなづいてました。私の頭の中では完成形は最初からあり、それが設計図として表現されます。
水深2cmのゆっくりと循環(10W )する水。
まるで深山の小川のせせらぎ音のようです。
造って頂いた石屋さんの社長さんも完成写真を一枚。
当方強い推薦のメタハラの照明の効果も抜群でした。
(照明は消費電力250Wもあるいので、普段使いは
できませんが、お客様の御もてなしのときに
使っていただければと思います。また4日に一度換水をすれば
夏場でもボウフラは発生しないでしょう)