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あり得ない事!太陽光発電のマイナス光熱費住宅 その2

先週ご案内した「あり得ない事!新潟で太陽光発電のマイナス光熱費住宅」の続きです。

先回は、光熱費総計でこんな真冬の新潟で24時間家中暖房でもマイナスにできる事を証明しました。今日はもう少し分析をして、いかに超高断熱と組み合わされた自然素材によって、すばらしい性能と環境を実現できるかを実測データを元に検証します。

 このグラフはA邸の代表的な日時の室温、湿度、日射・外気温(アメダスより)です。 

まずはっきりわかるのが、外気温2月下旬に一日だけ17度、そして3月上旬には3度という真冬並みの気温に戻るという大変上下した天候でした。にも関わらずA邸の1階のダイニングでは常に安定した20度前後を保ってます。つまり多少の外気変動にはほぼ影響を受けない家です。

次に緑色で囲った所は、太陽の日射があった時間です。新潟県ではこのように関東に比べ冬期に日射はありません。この少ない日射と3.6kwの太陽光発電パネルの条件で、よく月1万以上を売電したと思います。

その中で2月25日は9時間近い一日晴天の日でした。にも関わらず、室温はオーバーヒート(暑くなりすぎ)をしてません。これは、室内に使用した「全面漆喰」が普通のクロスだけの家に比べ蓄熱していることと、窓カーテンが1階は閉じられていた事が原因と考えられます。←この事は以前のブログで指摘しております。 またエアコンによる床下暖房の緩やかな暖房方式が良いのだと思います。

また測定した地点が吹き抜けを持つダイニングの1階である点も原因の一つです。しかし建て主さんからは、「オーバーヒートで暑くなりすぎた記憶がない」とコメントがあるとおり、実際も暑くなかったのでは無いかと推測できます。オーバーヒートはしていないのは良いのですが、太陽光が室内温度に積極的に生かされているかどうかが今ひとつ不明です(次回検証できる機会があれば測定してみます)。オーバーヒートしていない原因が漆喰の全面採用による蓄熱であればこれはすばらしい事です。

ダイニングの湿度は以前もお伝えしたとおり、50%~55%と最適範囲で推移してます。時間的に細かく見ると、人が活動する朝と夕方に湿度が上がる傾向があります。普通の高気密高断熱住宅の湿度が40%から45%せ推移することが多いなか10%も高いのは、
1.全熱交換型換気扇をメインに設定。
2.竣工後間もないため、工事水分(漆喰やPB)が残っている。
の2つが考えられます。
全熱交換型換気扇については賛否両論ありますが、夏のエアコン使用時の快適性と、冬の過乾燥解決を考えると全熱換気扇を選びたいと現在考えています(新潟)。勿論全熱型換気扇の弱点の匂いのリーク(短絡移動)のため、トイレと浴室は局所換気扇としてます。これら二つとも現在の使い方であれば短時間ONで全く問題ありません。
トイレは使用後3分でOFF。浴室は使用後冬期で2時間、夏期エアコン時で4時間、中間期で連続運転です。経験上これでいつも乾燥状態を保てます。

全熱交換型換気扇とは・・・一般に顕熱型換気扇と言われる湿度の交換はしない空気温度だけの交換をする換気扇が推奨されている。全熱換気扇は、空気の熱の他湿気も交換できる換気扇。顕熱換気扇が主流であるが、これは20年以上前のR2000住宅の頃、顕熱換気扇が優れているとの案内がされたため。ところがR2000をはじめとする高断熱仕様の国の殆どが、日本とは違い夏期は乾燥している地域であり、夏の除湿には興味が無い地域であったためと言われている。そこで今再び全熱換気扇が注目されるようになった。

この実測が示すとおり快適な居住空間である事は言うまでもなく、3月(2月24日から3月26日)の光熱費総額が9千円で済んだ事はすばらしい事実です。

ここ数年いつも申し上げておりますとおり、10年後の低炭素社会の公約(CO2削減家庭用50%)と20年後訪れるであろう化石燃料枯渇の高騰に対応できる超高断熱住宅を益々声高らかに今後も勧めて参ります。


あり得ない事!新潟で床下蓄熱暖房 太陽光発電のマイナス光熱費住宅 

凄くドキドキしてます!
これは、先月分の実際生活されているA邸(新潟市中央区)のオール電化住宅の光熱費総額です(お湯や照明、TV、煮炊きも入っている)。なんと太陽光発電3.6Kwと普通の大きさでこの3月は光熱費がマイナス(お金が戻ってくる)になりました。それも家中暖房(20度)の家です。ここから割り出すと24時間

家中暖房の費用は・・・たった
月当たり3,000円!!!!

家中暖房24時間20度(18~22度)ですよ。

 画像をクリックして大きな図をご覧ください。A邸実測です。こんなに家中快適な温度湿度で月3,000の暖房費!!想像できたにも関わらず実際に見ると私も驚き。

3000円で3月のこの今年の寒い季節を暖房できるなんてもうマジックです。この家はSSプラン超断熱住宅です。この3月は特別日射があったわけでもありませんし(日射時間は月80時間)、寒い位の3月でした。そして2月の暖房費も4000円!!特に省エネ生活したのではなく、家中20度の快適な生活でです(無駄は排除してますが)。

さて世の中高気密高断熱住宅数多くあれど、このように暖房費を公開しているところは少ないはず。それは実態と宣伝文句が違う事が多いから・・・。当事務所では言ったとおりになります。

この超高断熱SSプランは凄いです。オール電化住宅で電気代が一番高くなる2月、3月でとんとん。と言う事はこれからの暖かく晴れの多い季節は電気代が帰ってくる(太陽光発電は3.6KWと普通)ただ以前のブログの太陽光発電の生かし方で説明した事を実践し、晴れた昼間は特に電気を使わないようにしていただけです。←重要
さてこれで完全ゼロ光熱費住宅が簡単にできる事が証明されました。そして今度はゼロエネルギー住宅です。もしかしたら、このA邸で実現可能性の証明ができるかも・・・。

今床下でHEAT FACTORYが稼働中なので、ある程度効果が期待ができ、給湯器がエコキュートになったときにゼロエネルギーは達成できるでしょう。このHEAT FACTORYは現在新潟県立大学にご協力頂きその効果を実測中です。結果をお楽しみに。

しかしこの電気料は驚異的です。これで温水器が電気ヒーター式(A邸)ではなくエコキュートならもう30002000円は削減できるかもしれません。すると3月の寒い時期オール電化電気代総額が7,500円!!←生活スタイルや人数で変わりますが。

超高断熱は地球の温暖化防止にも貢献しますし、何より建て主さんの懐に貢献します。

さて、先回推測した暖房費用ですが、
一日8時間床下エアコンが全開で運転していたとして
① 8時間×1.5Kw×7.5円×31日=2,700円・・・床下暖房(蓄熱)
② 1時間×0.5Kw ×27円×31日=420円・・・補助暖房(適時)
月あたり①+②=3,120円・・・実際と同じ金額ですね。

となり上の請求書と同じにになります。ここまで科学的に算出できます。
勿論建て主さんは今日も「裸足」でくつろいでいらっしゃいました。
凄いです。SSプランの超高断熱住宅!!
そしてそれをためらわず選ばれたA様!!

 


多分これが最後のスラブヒーター 新潟の自然素材の家から 

基礎工事途中の風景です。毎度同じみの1m高基礎施工
この基礎屋さんは当事務所と12年以上もお付き合いのある業者さんで、ご覧の通り高基礎用の鋼製パネルもお持ちで、これとコンパネ(ベニヤ)による型枠をうまく組み合わせ、一発打ちべた基礎の高基礎仕様をいとも簡単に施工します。勿論コンクリート強度は30N/mm2ですね。高基礎をお願いすると、この大きい鋼製型枠がないと言う事で「できない」「意味ないよ」と断る業者さんもいらっしゃるとか・・・。でも型枠や組み方はどうにでも工夫はできますし、工夫してコストを下げるのが本当の施工のプロです。

さて床下暖房の一つ「スラブヒーター」と呼ばれる方式は、この写真のようにコンクリートスラブにニクロム線のようなヒーターを入れ、深夜電力を使ってジュール熱でコンクリートに蓄熱させ、その温度はコンクリート表面で40度くらいになります。

オーブルデザインでも過去数棟行っており(全て建て主さんのご要望)、その安定性は折り紙付きです。メーカー曰く「中越沖地震でも柏崎に設置された全棟で被害無し(断線無し)」だそうで、耐久性の高さも手伝って新潟県でも数多く採用されております。当事務所で計画した家も無傷でした。

しかし「これが最後」と表題にしたのは、この熱源であるニクロム線によるジュール熱の効率が非常に悪いからです。電気料金は深夜割引制度で安価ですが、今後低炭素社会推進を考えると必ず収束に向かうのではないかと思われます。それはこれと同じシステムのオール電化人気暖房商品であった「蓄熱暖房機」もすでに東北電力さんはお勧めしておりません。

数年前までは、何が何でも「蓄熱暖房機」によるオール電化をお勧めします。と営業活動されていた東北電力さんが、今ではエアコン暖房によるオール電化を勧めており、蓄熱暖房機はもう勧めていないばかりか、「もう使わないで」という感触です。
たった数年でこの変化が訪れてますので、同じように効率が改善できない灯油、ガスの熱源機器やシステムは少なくなるでしょう。

ここから蓄熱暖房機と同じシステムのスラブヒーターも今後大きく普及しないばかりか、収束に向かうと思います。と書くとスラブヒーターのメーカーさんにとっても悪い表現ですが、そこは大きな企業。既にニクロム線による発熱に変わりヒートポンプ(つまりエアコン)による発熱を開発、販売しはじめたと聞いてます。

オーブルデザインでも高基礎+エアコンによる床下暖房をお勧めしているので多分今後このスラブヒーターはなくなると思います。これも低炭素社会の流れですね。

因みに何度もこのブログでお伝えしてますが効率は・・・

ヒートポンプ(エアコン)
年間平均機器COP4位 電気の一時エネルギーからの効率37%
4×0.37=1.52←最終効率

ヒーター(ニクロム線)
機器効率1 電気の一時エネルギーから効率38%
1×0.38=0.38←最終効率

ガス、石油機器(高効率機器仕様)
機器効率0.95 一時エネルギーからの効率100%
0.860.95×1=0.95←最終効率

ですので機器の最終効率は
ヒートポンプ(エアコン)>ガス、石油>電気ヒーター類(IHコンロも含む)

となるのです。IHヒーター、電子レンジもヒーターと同じですよ。

電気の一時エネルギーからの効率とは、
火力発電がガスや重油から0.43程度の効率で電気に変換、その後発電所から家庭までの配電で約5%のロスをし約38%とされている。発電所ではガスや重油の全エネルギーのうち57%のエネルギーを熱として海に捨てているのである。知っていましたか?それでもガソリン車の効率15%よりは数倍も良いのですが・・・。


高断熱高気密用Q1用ソフト QPEX(キューペックス)の使い方

QPEX(キューペックス)という非常に優れた安価なソフトがあります。このソフトは北海道の室蘭工業大学の鎌田研究室で開発され、建設会社や設計事務所が、高気密高断熱で計画した家の熱損失係数Q値や暖房費をシミュレーションできる大変優れたソフトです。しかしソフトは使い方を間違えるとただの机上の空論になりますので注意が必要です。

 QPEXは私も利用しており、これをつくりだして頂いた鎌田先生始めそのスタッフ、また新住協さんには敬意を払いたいと思います。だからこそ間違った使い方で評判が落ちないようにいつも次の点に注意をしております。

以前も少し触れましたがこのソフトを使った時に普通の建設会社さんや設計事務所が間違えやすい所は、シミュレーションした家の生活方法や周囲の環境が因子として入力されない事です。

Q1住宅を造るために造られたQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味(暖房エネルギーとして加算)し、暖房費をシミュレーションします。
Q1住宅とは、暖房費が次世代省エネ基準の断熱性能で使用される暖房費の1/2(本州では1/3)以下になる家が目的です。非常に合理的かつわかりやすい家造りです。そしてQPEXはその目的を達するツールとして使われます。しかし生活スタイル、生活条件、周囲の環境因子が違うので実際の暖房消費エネルギーと必ずしも一致しません。

生活スタイルと生活条件は設計者がコントロールできないの仕方無いのですが、周囲の環境因子は設計者が一番わかります。しかしこの事を間違える方が多分いらっしゃると思います。それは・・・

Q1住宅を造るために造られたツールのQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味し、暖房費をシミュレーションします。ところがこれを建設会社さんは鵜呑みにして、このツールで計算すれば暖房費が1/3になると思い込んでしまう事が問題ですし、そのように説明している事を見かけます。先に申し上げたとおり、このソフトは窓から入る日射を勘案してます。よって南窓はカーテンがない方が殆どの場合は暖房エネルギーの削減ができます。そこでソフト入力条件でカーテン無しとすることが多いと思います。よってレースカーテンや普通のカーテンを実際閉められると日射が計算通り期待できなくなります。また西窓や東窓からも日射を期待してますが、冬の低い高度の太陽では、お隣に家が並んでいる場合は、1階にはまず日は差し込む事はありません。この部分はHPのコラムに記載しましたのでご覧ください。

「野中の一軒家」であれば、このソフトのとおり日射熱が家の中に入り、結果暖房費が削減されますが、都市部の家ではトップライト以外何らかの日射阻害があります。ですので暖房費削減が「野中の一軒家」のとおりなるはずがありません(常識的生活で)。新潟県の都市部では一般的に60坪、大きくても100坪、都市部では45坪の敷地は珍しくありませんし、住宅地の道路は6mが普通です。すると家同士はほぼ向かい合わせで、隣との隙間もなく、窓の先に窓があったりします。ですので窓にレースのカーテンは必須です。また関東圏では防犯上家の中が見える事を極端に嫌います。留守中や夜は雨戸を閉め、昼の在宅時にはレースカーテンで視界を遮ったり、面格子がついています。

多くの工務店や建設会社さんは、実生活や家の建設される周囲の環境条件を考えません。私を含め暖房費マニアや超高断熱マニアは、エコや省エネのためなら、近所から見られようがカーテンは開けっ放しでがんばれます(特に男性。女性は防犯上心理的に無理)。通常は見えるところに隣家があればカーテンを閉めます。全ての人が「近所から見られる事に対し平気」という感情を持ち合わせていないのですね。また天気が良ければ良いほど閉めたがります。直射日光は眩しくて、冬でも日差が直接当たっている所は暑くなるので「感情的」に閉めます。これを全否定できません。「Aさんの家は開口部から日射が入るのでQ値1.6でも暖房費6万/年しかかからないよ」とはいいきれないのです(無論言い切れる条件の家もあります)。

 拙宅の家(夫:省エネマニア)でも3月20日の晴天日は南側窓にはカーテンが・・・窓は3カ所も窓が開けられていた。

ですので希望する断熱性能(熱損失係数)は、窓条件を建て主さんと良く会話をしながら理解してもらう事が重要です。できない場合は、悪条件で安全側に考える事が良心的と思います。

高い性能を求める家ほど設計者は全体を把握する思慮が必要です。こんな便利なQPEXソフトを正しく活用し良い家造りに励みたいと思います。



新潟の自然素材の家 どうしても基礎に拘る。

基礎は大地の上で建物を支える最初の部位です。ここで踏ん張らないと上の建物もこわれます。だから基礎と呼びもっとも重要な建物の部分を示す言葉の代名詞がついています。

基礎高さ1200。一般の基礎の2倍以上。人通口も途切れる事がない区画がある。ここまで拘る必要性は・・・。

オーブルデザインの過去のブログやコラムでは、度々基礎の事が話題になります。なぜオーブルデザインではそこまで基礎に拘るのでしょうか?
まず最初に基礎が1m以上のあるのは、全てここからスタートしてます。この矛盾をなくす仕様が高基礎という解答だったのです。かれこれ13年も前からの拘りの考えです。

さて、建物の全体の価格が1500万だったとします。このとき通常基礎に掛かるお金はいくらでしょうか?一般の布基礎やシングル配筋のべた基礎で65万から75万という所でしょうか?

これは全体の工事金額の4~5%です。実は緑の家のSプランの基礎は約100万掛かります。全体の金額の約7%です。

家の建築費は安いほうが良いと誰もが感じます。家にかけられる総額が決まっているときには、どの部位にどのくらいコストをかける「仕分け」が重要ポイントです。では基礎金額の仕分けは・・・。

基礎金額と比較しやすいようにキッチンとお風呂の金額を考えます。
普及タイプのシステムキッチン(IHコンロ+食器洗い機込み)ですと40万弱。また大きさ1坪のユニットバス普及品ですと35万。計75万です。

つまり一般につくる基礎の価格が、キッチンとお風呂の価格より安いか同じくらいなのです。住宅で一番大事なところ「基礎」が設備のキッチンとお風呂の価格と同じ割合でできてしまいます。これは・・・

私はこれはとてもおかしいと思います。基礎は建物の中で最も大事で且つ修繕や取り替えが難しい部位。だからこそ他の部分や他の仕様を少し押さえても基礎のお金を使う事がとても重要だと考えてます。特に今の家は、使い捨てではなくせめて50年は使い続けたいとほとんどの人が願っているはずです。だからコストの最初の仕分けは基礎ではありません。逆にまず基礎を妥協のない仕様にしてから次に木のグレードを上げ、そして次が家の大きさと設備、内装仕上げ・・・となる順番です。ほとんどの設備、内装は30年もすれば寿命になりますが、取り替えは基礎よりずっと簡単です。

 緑の家の基礎仕様は、普通の基礎高さの約2倍、コンクリート強度(呼び強度)は2段階上の30N/mm2。これは家を薬剤ではない物理的に基礎を高くすることでシロアリからの驚異を減らし、耐久性も上がります。ですのでコストも1.5倍以上かかります。しかし私が自分の家や自分の子供の家を設計するなら間違いなくこの基礎です。

この40万のアップをどうするか?ここはまず面積を見直しましょう。将来増築は意外とたやすくできます(拙宅で実施済み)。5m2(1.3坪)減らせば何とかなると思います。その減った分は床下収納ができます。もしどうしても減らせない場合は、トイレを2カ所から1カ所にするとか、ユニットバスとキッチンのグレードを下げるとかしましょう。

基礎の形態や仕様は、建築の専門家ではない普通の「建て主」さんに説明するのにとても大変です。また基礎は普段目にしないためセールスポイントとはなりません。だからとても簡単にセールスポイントとなる設備(床暖房)や広さ(小屋裏収納)を造る提案の方が楽でしょう。しかし、自分が住みたいと思う家の基礎でない家の仕様を、真顔で良い家ですよと言い切れません。

過去12年間の緑の家の基礎100%(小屋、車庫は除く)は、高さ1m以上もある高基礎なのです。これは誇れる自慢の仕様です。

 ダブル配筋のべた基礎。立ち上がり1200。フック付きせん断補強筋。2階建て木造住宅でここまでする。100年をノーメンテを目指して。


新潟の家 次世代省エネルギー基準(高断熱)の家では短命住宅!

 昨日「新木造住宅技術研究所協議会」=新住協からQ1.0(キューワン)住宅の本が届きました。新住協さんは20年以上前から良く存じ上げているのですが、今まで会員になった事がありませんでした。しかし昨年から長期優良住宅先導的モデル補助金が貰えるというきっかけで入会させて頂いております(ご案内のとおり昨年は残念ながら不採択)。

 この本はコアな建て主さんにも一読をお勧めしますが、多少高断熱高気密住宅がなんぞやを知っていないと読みにくい本かな。お求めは「新住協」と検索して頂きとその団体が見つかりますからそこに問い合わせしてください。
本を買うなら著者は重要です。この本のようにやはり大学の先生が書いた本が確かです。今は誰でもお金で本を出版できますから、著者が住宅会社の関係者で結局広告本というのが殆どですね。

さてその本から図を抜粋し、「緑の家」の性能を示しました。
以前から当ブログで申し上げているとおり、ハウスメーカー程度の高断熱高気密程度では、逆に暖房費が増えてしまい、CO2削減どころか、CO2増に加担してしてしまうとの内容があります。これは15年以上前に建築学会で複数の論文が発表され、関係者には周知の通りですが、普通の建て主さんは知りませんし、業界の人でもしっかりと勉強された方でないとその理由は知らないでしょう。
次世代省エネ基準では全室暖房すると暖房費相当掛かるのです。従来の家から引っ越すと急に暖房費が増えるのです。すると暖房費を減らすため従来の住まいみたいに部分暖房をはじめ、それが原因で暖房していない部屋では結露が発生します。加えて今後のエネルギー費高騰がおき20年後はもっとQ値が規制され、結局Q値2.4位の家は短命住宅(30年資産価値ゼロ)となります。

新潟県ではQ値が0.9くらいを目指すべきではないでしょうか?

新住協の勧めるQ1.0住宅の新潟での最低Q値は1.4くらいなるのですが、この性能ではたりません。というのは、Q1.0住宅は日射による窓からの取得熱を期待しています。だからQ値が1.4くらいでも暖房費が下がる試算がされます。しかし大部分の家では、レースのカーテンが南側の大開口窓に設置され、それが昼間は閉じられてしまいます。これは都市部にありがちですが、大きな窓から内部を見られてしまう事を嫌い、レースのカーテンを閉める事が多いのですね(防犯もある)。
これを「止めてください」と言う事はなかなかいえません。普通の神経の人なら内部が見られる事に対し抵抗がありますよね。だからこそカーテンがある程度閉じられてもよい位まで、Q値を上げる必要があるのです。それが最低0.9くらいだと考えます。

そんなQ値0.9の家が下の写真の家ですね。これからも夏から秋に完成予定があります。この価値がわかる方がどんどん増えてきてます。大変ありがたい事です。

是非この補助金が沢山あるときに、Q値アップ(超高断熱)にコストを無理にでもかけましょう。後悔はしません。


新潟 自然素材の木の家のホームページアクセス10万超

先日当事務所のホームページのメインカウンターが10万を超えました。そのぴったし10万のAさまからお写真を頂きました。ありがとうございます。

思えば当HPは12年前にISDN回線を申し込みと同時に始まりました。素人の私(浅間)が当時のネットスケープを使って作り立ち上げました。当時はホームページサーバー容量ががたった2MBでした。今でもそう多く持っていませんが、それでも200MB位です。

ちょうど10万アクセスのA様には些少ながらキリタさんのボールペンを記念品としてお送りしました。このキリタさんは、大手ボールペンメーカーの下請けも行う東京の歴史ある町工場です。そこで造られるオリジナルボールペンは職人魂の一品で、ちょっと他では味わえない重厚感ある「MONO」です。私も愛用しており大変お気に入りです。一度手にして見てください。記念品にも大変喜ばれると思います。
キリタさんのリンクは右バーの「お勧めMONO」にあるキリタのボールペンをクリックです。

 ボールペンのトップにはオリジナル模様が可能

 シャープペンシルや水性ボールペンもある


新潟の家 朱鷺の死亡で思う事・・・。その② 土台の樹種は

 土台敷きが行われる現場。現場でこのようにドリルで穴開けがされる。

朱鷺が保護ゲージの中で小動物に襲わた原因が明らかになるにつれて、その保護ゲージの甘さが露呈してます。
「そのくらい大丈夫だろう」と工事を直接作業された方よりも、私はそのゲージの計画をした人、チェックした行政機関の甘さが原因と思います。

どんな工事でも作業する人は時には相当多数になり、意思の疎通が滞る事があります。だからこそ、

0.ミスがなくなる計画をする。

1.「主旨」を直接作業する人に理解してもらう。

2.施工責任範囲をきっちり理解してもらう。

3.予めミスしそうな箇所を全数検査する。

だと経験上思っています(おわかりだと思いますし、それ以上に実践されている方も多数いらっしゃると思います)。

さてここで「ミスが少なくなる計画」を特別数の「0」にしたのは、これが基本であるからです。

人間の行う作業は間違いや勘違いがあります。だからこそ様々なチェックがあるのですが、その前にミスがなくなる計画が一番大事です。そこで自然環境で左右される屋外現場では・・・

単純で行程が少ない事です。

複雑だったり、遊びが殆どない作業が多数を占める場合は、思わぬコストも掛かりますし
シビアな計画で行う事は大変難しい内容を要求されます。勿論そういう箇所があっても良いのですが、土と接している場所や近い場所では精度が得られにくいのは、屋外現場で作業した経験がある方ならわかるとおもいます。

例えば防腐防蟻性が重要視される建物の土台と呼ばれる所では、樹種に拘る事で実現できます。その為土台には薬剤を工場で加圧注入した土台を使う事が一般的に多い中、当事務所では「米ヒバ」という樹種を事務所開設当時から使っています。むろん米ヒバの方が薬剤を加圧注入した土台より随分高いのですが、使うその理由はここにあります。

現在の住宅において土台は、建物の部品の中でも基礎と同じくらい重要な部材です。ここが仮に数万コストが掛かっても米ヒバにするのは、現場での間違いをしない計画にしているためです。


寺泊より  マグロと鯨に思う・・・。

本日は月曜の定休日なので寺泊で付き添いの必要な愛犬と一緒にお留守番です。
写真は昨日がホワイトディーだったので妻と娘にまとめて花をプレゼントしたものです。温室で育った花は路地物よりエネルギーを多く使っていますが、一年に何度もあるわけではありませんのでこの時ばかりは気持ちよく花を楽しみます。花はその香りでも幸せな気持ちにさせてくれます。花に感謝・感謝。・・・あっ、上からぶら下がっている黒い物体は菜園で収穫したばかりの椎茸を干しているところです。

クロマグロに世界的な規制がかかるようです。仕方のないことですね。今までおいしく食べられた事に感謝し必要以上に世界の多くの人が「いやがる事」はやめていきたいです。鯨でも問題となってますが私は、「いやがる」人がいるならその人の前でのわざわざ捕獲するのは良くないと思います。「昔からの日本の文化」だとの主張も理解できますが、江戸時代
にわざわざ大型船で遠洋まで行って鯨を捕獲してはいません。あくまでも近海の海での捕獲であり、この主張はどう見ても当時と環境が違いすぎます。いやがる人が大勢いる国の近くで、わざわざ捕獲することには理解が得られませんし、江戸時代と違い鯨を食べなくても他に沢山食べられるものがいっぱいあります。

モラルや法律とは何でしょう?
どんなモラルでもその主旨は、自分以外の人がいやがる、気分がわるい事をなるべくしないためにある約束事ではないかと思います。その内容がとても重いときに「法律」による規制(窃盗や殺人の禁止)となるのではないでしょうか。人がいやがっていても、平気でそれをいやがる人の目の前で行うことは、「いじめ」のようなものです。ですのでもし鯨が捕殺することが耐えられないと思う人が大勢いる文化圏、および世界の海=公海では自国の主張だけではそれをしてはいけないような気がします。また従来から捕鯨を仕事にしている人もいますから当面200海里以内であれば、ある程度文化として理解して頂きたいと願ってます。鯨がかわいそうという感傷的な事になると、牛は?豚は?という事になるので話が難しくなりますが、まず原則は「他の人がいやがることはしない」です。
もちろん反捕鯨団体の実力行使はとても肯定できません。


新潟の家 エコポイントなんて目じゃない。補助金と減税、フラット35Sで570万以上!

2010年3月13日緑字加筆修正

今年の国の住宅施策は異常です。かつてこれほど大盤振る舞いの補助金と減税のオンパレードはありません。下の説明パンフでは少なめにみて記載してますが、それでも570万の補助。これに太陽光発電設置3kwをした場合の補助を受けると、600万を超えそうな・・・。あり得ない・・・、信じられない金額です。

今回のエコポイントの30万は補助金・減税全体の中の一割一部でしかありません。まず昨年同様「長期優良住宅」の認定と申請→「木のまち・木の家整備促進事業」を行うだけで100万の補助。それよりも凄いのは、2,000万の仮入れ金額でフラット35の「S」の利用すると普通のフラット35より200万も支払う金額が10年だけで低くなります。借入金額が増えればそのまま比例してもっと節約金額が増えます。さらに長期優良住宅認定を受ければ10年後の金利も0.3低くなります。すると太陽光発電の補助を入れてないでも総額約600万の大バーゲンです。流行の言葉でいうと「家のアウトレット」くらいのインパクトです。

これを見ると私が建築した頃の金利5%、補助金一切なしという20年前は一体何だったのか?という感じです。

いつかは家をと思っていた人は今年に限りますね。来年から国の財政が相当悪いのでこれほどのバーゲンはもう望めないでしょう。因みに各補助金は予算なくなり次第打ち切りが殆どですので早めに!

最後に宣伝ですが、「緑の家」は標準仕様で上の全てを余裕で満たしてます(太陽光のみ別)。是非ご相談ください。特に超高断熱SSプランはお勧めです。

昨日の記事にエコポイントと「木のまち・木の家整備促進事業」の補助金が重複できるような記載になっておりました。まだ22年度予算が国会通過をしていないのではっきりと重複できるかどうかわかりませんが誤解を与える表現で申し訳ありません。
仮に重複できなくても大型の補助金570万(各種条件がありますが)には変わりありませんので、少々興奮して第一報をお伝えしました。


新潟の家 基礎断熱の欠点 朱鷺の死亡で思う事・・・。 

昨日朱鷺がネットで完全保護された飼育場内でテン等の小動物に襲われ死亡したニュースを聞きました。この飼育場はネットで完全保護されており、土などを掘ってもネットは地面下50cmは埋めてあるのでどこから入ったかは、現時点ではわからないそうです。

国が完全管理する保護場でも、「対」野生生物では予想しない事や、人間の不完全さから防護上の落とし穴ができるという事がわかります。ここから学べる事は・・・

基礎外断熱をするときは対白アリのためステンレスメッシュ(ターミメッシュ)を周囲にぐるっと施し白アリ対策する方法があります。このステンレスメッシュとは、白アリが通れないような細かい網の目のメッシュで土に埋め込まれる断熱への侵入を防ぐと言う理屈です。
しかし朱鷺と同じ事が起こる事が想像されます。朱鷺の保護場のように2.5cmのメッシュに対しし、白アリのメッシュは0.5mm程度でしょう。0.5mmの精度の施工が、建築現場でできると思う事自体無理があります。2.5cmの穴でさえどこかに見落としがあるのに、0.5mmの見落としがないという事は考えにくいです。私は基礎断熱推進派ですが、そのメッシュにコストをかけるより、基礎内断熱や、高基礎などを選んでます。この施工のほうが仮に白アリ被害があったときメンテナンスが格段に楽です。勿論基礎コンクリート一発打ち込みや玄関部分の配慮も必要です。生物から完全に防ぐ方法を考えるより、侵入されにくい予防と万一侵入された時に直ぐ対処できる仕組みが現実的で理にかなってます。

PS
地元の方の努力には敬意を払います。が、人の手によって保護されなければ生きていけない朱鷺ならば、現在の日本の自然環境がそうなのですから絶滅はこれこそ自然の事です(実際絶滅しました)。環境の変化に対応できない種は、いつの時代でも滅亡してます。「昔、朱鷺というそれはそれは綺麗な鳥がいたの。でも人間が人の住みやすい環境に変えたので朱鷺は対応できずに絶滅したの。だから人はいつでも未来へ繋ぐ責任がある事自覚し生きていかなければならないのだよ」と強く学ぶ事も重要と私は感じます。取り返しがつかないこともあるのです。なぜか「獣の躁者」の物語が頭をよぎります。


季刊誌「木土愛楽 42号」の差し替えについて

先日季刊誌「木土愛楽 42号」をお送りした皆様へ


印刷時のファイルが訂正前のファイルでしたので差し替えをお願いします。

ここをクリックしていただければ、正しいファイルがダウンロードできます。

メイルでお送りした皆様には再び新しい「木土愛楽 42号」をお送りします。申し訳ありませんでした。


自然素材の新潟の家 新築後喜ばれる事・・・ロフトより床下空間

 「緑の家」にご入居されて一年後に数度目のアフターメンテナンスに伺います。この時一番喜ばれるのは、なんと言っても暖かさと床下の空間ですね。

不思議と小屋裏のロフトはこの床下空間より喜ばれ方が控えめです。ロフトは建て主さん(親御さん)のテリトリーではなく子供の空間なので、使用の実感が少ないのでしょう。しかし床下空間は住んでからその良さがとてもわかります。必要無いけれどでも捨てられないそんな物ってたくさんありますよね。これを全部捨てることなくしまえるのですから喜ばれます。一年もすれば上写真のように洋服、布団も、おひな様も、本さえも問題なく※入ります。

特に最近は、一階に畳敷きがあれば、下の写真のように普通の入り口の3倍くらいの大きさまで入る入り口を追加造作します。だから大きなテーブルまで丸ごとはいります。

 まず畳をはがし、取り外し可能に加工してある床板を外します。

 更に床板を支える「根太」という部材まで取り外し式になっているので、約畳1枚分の大開口ができます。この穴から大きな物を直接床下に入れるのですね。これも標準仕様です。住んでからこのからくりをお知りになり驚かれる方もいらっしゃいます。

高床下はメンテナンスの要と収納、そして白アリ予防と一石三鳥、更に床下暖房の効率アップを入れると一石四鳥なのですね。

※「緑の家」の高基礎は99%の採用率で、その殆どで収納庫して使っているようです。その中で過去に一件だけ収納物にカビが生えた家がありましたが、これは梅雨~夏の使い方に多少問題がありました。この高湿時期に家全体の窓を解放しノンエアコンで過ごすと、高湿の空気が床下まで入り込み、収納物に吸湿しカビが生えやすくなります。これを防ぐには、床下の入り口は開けっ放しにしない事とどうしてもジメジメする一時は、エアコンの弱冷房(除湿)運転を願います。また床下に収納する季節は梅雨時を避けてください。


自然素材の家新潟から 2020年の約束② これからの樹脂サッシの枠

2020年の約束①では、アルミサッシ10年後には樹脂サッシに置き換わることの理由を書きました。②ではその主流となる樹種サッシの枠を考えてみたいとおもいます。

現在の国内の樹脂サッシの枠は概ね上の写真のような断面です。中がスカスカで枠には「ツバ」がついてます。このツバがくせ者でサッシの単体取り替えを事実上不可能にしてます。ツバがなければ簡単に取り替えられるのに・・・。国内最大手のシャノンさんの話では今のところツバなしサッシに切り替える予定はないそうです。

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自然素材の家新潟から 2020年の約束① アルミサッシの終焉か?存続か?

下の表をご覧ください。

政府が2月3日明らかにした環境相素案では・・・「温室効果ガスを2020年までに  中省略   排出量が増え続けている家庭部門は90年比18~31%減、05年比では40~49%の大幅削減」となる内容です。

簡単に言うと「政府は10年後には今家庭で使っているエネルギーを半分にしたい!」そんな事です。それを現実的にするには、最大のエネルギー消費である
「自動車」、「暖房」、「給湯」のエネルギー削減が求められてます(北陸地方)。そこで2020年の約束①では、暖房費削減の要である「サッシ」についてです。

昭和40年代から50年間住宅の窓を支えてきたアルミサッシが東日本からなくなっていく、そんな予感がします。
アルミサッシは戦前から使われたそれまでの木の窓に比べ、メンテナンスがフリーで気密性が良いという点で、現在の住宅窓のほとんどをしめてきました(北海道を除く)。ところがそのアルミサッシに陰りが見えております。
アルミサッシの最大の欠点はその熱伝導率が最も優れている素材ということです。だから鍋に多用されてきましたし、エアコン、車のラジエーターなどの熱交換フィンに使われております。この熱伝導率が良すぎるため、住宅のサッシに使うと熱がサッシの枠から逃げてしまいます。
アルミの熱伝導率はなんと木の1000倍。もし木の壁がありその厚さが1cmあるとすると、同じ断熱性能をアルミの壁で実現するにはなんと1000cm=10mの厚さが必要です。信じられないくらい熱が伝わるんです。だから現在の断熱アルミサッシは、アルミとアルミの間に樹脂が挟まれており、これが枠から伝わる熱を遮ります。

今までの高断熱基準(次世代省エネルギー基準)ではこれで(樹脂挟み込み)まだ良かったのですが、次の断熱基準では非常に厳しいですね。つまりアルミのサッシ枠を使うと、断熱性がこれ以上高くすることができなく、断熱基準達成が不可能となるのです(アルミが外、樹脂が内側の複合サッシも同様に達成不可)。

日本の大手アルミサッシメーカー(YKK、トステム、三共立山、新日軽)は現在樹脂サッシ工場の準備に追われていると聞きます。今まで膨大な資金を投じて造ったアルミ精錬施設ですから直ぐに生産減少ということはできません。現在アルミサッシからフェンス、枠等サッシ以外の商品を次々に拡販しておりますが、サッシほどのパイはありません。そこで政治力が働き、新断熱強化基準が先送りになったのかもしれません(防火サッシの件もある)。資源が全くない日本での住宅の緩い断熱基準はアルミサッシメーカーと大手ハウスメーカーが決めてるようなものでしょうか?

さて、私たち建てる側は何をしなければならないか?
そうですね。やはりアルミサッシからの一刻もはやい卒業でしょう。サッシは本格的に樹脂サッシの時代に入ります。今はアルミと樹脂の複合サッシが主流ですがこれからは迷わずオール樹脂サッシを使って家を建てましょう。ちなみにドイツでは樹脂と木のサッシが半々くらいとも聞きます(アルミサッシは数パーセント)。個人的には木のサッシが良いのですが、日本人は木のサッシを使うときの大原則を忘れている設計者が大変多いで、メーカーが木製で造りにくいのでしょう。
 木のサッシは庇や屋根が必ず、必ず、必要です。木は水分による伸縮があり、どうしても雨の進入を長期間に渡って防ぐ事ができません。ですので庇や屋根は大事な窓の一部なのです。それを忘れている若い設計者が大変多いですね。

質感、断熱、廃棄を考えると木製サッシが安価になり手に入りやすくなる事を願っております。


カメラ・・・

当事務所で使っているメインカメラはシグマ社のSD14(SD10)と言う事は以前のブログでお伝えしました。 完成時の写真などはこのカメラで撮ります。画角は35mm換算で17mm~34mmのレンズを取り付けています。一眼レフカメラでは本体よりレンズの価格が高くても普通です。17mm位(本当は12mmくらいほしい)でないと室内の全体イメージが写せないので多少お金は掛かりましたがこの本体より高いレンズが常時装着されています。

 カメラの上部に出っぱっているのものはアングルファインダーです。上や横から覗いて撮影するためのものです。

 上の写真のとおり、首から提げるのが嫌いなのでハンドストラップを取り付けてあります(これは結構便利で落とした事はありません)。 ブログ用写真のメイン機は上の写真の右「ニコン クールピクス950」です。 なんともうクラッシックデジタルカメラの部類に入ると思います。発売は1999年。当時希望小売価格128,000円。実売9万くらいだったと思います。ニコンが本気で造ったデジタルカメラがここからスタートしました。ボディーはマグネシウム製で最近の安価なデジイチよりも高価な素材です。スイバル機構のカメラでアングルフリーです。画素は200万程度ですがブログではちょうど良い画素数です。

左は動画専用(一応静止画もとれる)で購入した超小型軽量デジタルビデオカメラ「AIPTEK」 です。重さは電池込みでわずか130gと携帯電話とほぼ同じ。こちらもバリアングルというアングルフリーです。どうも最初のデジカメがアングルフリーでとても便利だったので、この機能は譲れない癖がついたのでしょう。価格は2万でしたが、故障が一年で2度もありこの機は3代目です。やはり日本メーカーではない機器の品質管理には問題があります。この機器は基礎のコンクリート打ち込み撮影用として購入しました。
おもちゃみたいな軽さですが、真っ白くほとんどスクエアー形状はデザイン的にとても好きです。

 AIPTEKのバリアングルを開くとこんな感じです。

またニコンのクールピクス950の標準画角が38mmだったので高価な純正ワイドコンバージョンレンズを購入しております。こちらを装着すると24mm相当です。ただレンズがカメラに対し「超デカ」なので不思議な造詣のカメラになりますね。

このほか個人(家庭)で使っているのがパナソニックのDMC-FZ1(これも既にクラッシックデジタルカメラ2002年)とパナソニックのDMC-TZ5(2008年)というコンパクト超望遠カメラです。

クールピクス950といい、FZ1といいこれらの名機と呼ばれる古デジカメ初期の機器はタフで一度も壊れません。多少スイッチの接触に難がありますが、基本的に撮る動作では故障無く既に1万枚近くではないでしょうか?それに比べ最近の普及価格体のデジカメ機は機能的にはすばらしいのですが1、2年でおかしくなる事が多いで質実剛健でないところがちょっと残念かな。


自然素材の新潟の家 基礎工事の設計と監理 ②

当たり前でしょう。と言う事が実は住宅建設現場では行われていなかったりする作業があります。それが基礎工事にも・・・。

 これは基礎工事の中で最も緊張する時で、生のコンクリートを型枠に打ち込んでいる写真です。生のコンクリートはミキサー車で現場に運ばれ、そこから最近はこのようにポンプでコンクリートを圧送し、ミキサー車から離れている型枠に生のコンクリートを打ち込みます。生のコンクリートが流れる圧送ホースが15mを超える事も普通にあります。この現場でヘルメットを被っていない事はさておき(この管理は現場監督の仕事ですね)、このように大勢で一気に打ち込みます。実はこの本打ち込み作業の前にとても大事な事があります。その作業は10秒で済むのですが、殆どの現場で行われていないと思います。
それは・・・コンクリートを捨てる事です。

上の写真でホースからでているのはコンクリートのようですが、何となく捨てているように見えませんか?そうですね。捨てているのです。しかしこの捨てているのはコンクリートではなく、「ノロ」と呼ばれる多量の水で薄まったコンクリートです。これは本作業のコンクリートを流す前に、この長い圧送ホースの内部に水分の多いコンクリートを通す事で、流れを良くするためです。これをしないといきなり詰まったりします。
もちろん水分の多いコンクリートですからコンクリートとして使えません。だから敷地内の邪魔にならないところに「仮捨て」しているのです。最終的には撤去します。
しかしこの作業を省き、そのまま水分の多いコンクリートを基礎に混ぜ込む事が普通に行われています。「小雨時の現場と変わりないよ」とうそぶく人もいますが、天候によるものと人為的に混ぜ込む事は全く違います。

「嘘でしょう?」とお思いかもしれませんが、「本当です」。

基礎のコンクリートが打ち終わった日に、この「仮捨て」されたコンクリートが敷地内に見当たらないときは殆ど、基礎に混ぜ込んでしまします。勿論この水分の多いコンクリートは不良コンクリートです。「仮捨て」は面倒だし混ぜれば同じコンクリートという感覚で現場は行っていますが、強度を必要とする基礎部分ではあってはならない事と思います。
基礎はやり直しや監理が一番大変な工種です。私どもでは、基礎コンクリート打ち込むその時に立ち会います。それは最初が肝心でこのような些細であっても行ってはいけない事を指摘する事で、現場の雰囲気はピリッとし監理がしやすくなります。

最近はこのように様々なブログで情報が得られる事ができて建て主さんはとてもラッキーですが、どんなに耳情報を得ても100棟以上も現場を監理経験してきた設計者と同じように現場はみられません。ですので有資格者の工事監理※を建て主さんが選ぶように法律で決められているのです。例えば建て主さんやその場にいないとコンクリートを打ち終わった後の洗い水のコンクリートと、最初の捨てコンクリートの痕跡の違いとか見分けはつきません。

※・・・小さな建物には義務ではありません。


自然素材の新潟の家 基礎工事の設計と監理

木造住宅は、建築物のなかでも大変軽量な建物ため、その基礎は鉄筋コンクリートであるにもかかわらず、今まで重要視をされてきませんでした。ところが長期優良住宅認定が行われるようになった昨年から、少し構造が改善されてきております。しかしまだ緩いところが白アリ対策です。

当事務所の「緑の家」の基礎は、コンクリートを一回で打ち込む「一発打ち施工」を標準で行っております(もう5年以上前から標準)。2回分けて施工するより、材料費と型枠に手間が掛かるので一般的ではありません。普通の工務店さんはやりません。なぜ目立たないこのようなところにコストをかけるのでしょうか?
それは、やはり「白アリ対策」なのですね。白アリの被害はその予防と修繕に多くの費用が掛かります。白アリの被害をほっとけば耐震性も危うく成ります。

下の写真をご覧ください。

 これはある大手メーカーの基礎の立ち上がりとベース(べた基礎のためスラブ)を写したところです。雪が降って基礎の内部側に水が貯まっているのが換気口から見えますね。たぶんその水を抜こうとベースと立ち上がり境に穴が開いてます。たぶんこの穴は後日モルタルで埋めるので問題ないと思います。
しかしよく見てください。この基礎の立ち上がりとベースの境目にはおびただしいジャンカ(コンクリートがしっかり入りきらないで砂利が見えるところ)があり、その部分から水が染み出ています。水が染み出るという事は、小さな穴が内部まで貫通しているという事です。その微細な穴から白アリが内部侵入してきたら、いくら基礎断熱の内側断熱材施工であったとしても簡単に内部に入られてしまいます。

ジャンカ自体はモルタルで埋めればある程度強度は問題ないのですが、この程度のジャンカがこのように全周に渡ってあるときに補修はしないでしょう(この現場もしていない)。

 上の写真の直ぐ近所にある「緑の家」の基礎です。雪がもう溶けましたが内部には水が結構たまっています。でも・・・
水漏れが外周にありませんね。ここが一発打ち込み凄いところです。施工も丁寧にしているため表面のガラス質が均一にでき容易に水の出入りを許しません。と言う事は白アリも容易に侵入はできません。だから基礎内断熱が生かされます。コストが仮に30万多くなっても、将来白アリ被害で補修や予防するよりずっと安価です。

たったこんな事ですが、これが白アリに対し強いバリアを構築します。如何ですか?このような設計や計画は家全体の事を知っているからできるのですね。パーツ、パーツの専門的知識も重要ですが、設計者は指揮者でありるべきです。全体の把握と調整をするのが設計事務所の設計計画です。

基礎にこそしっかりした計画と施工がされる会社を選びましょう。