この基礎は、長期優良住宅で認定を受けた基礎の断面図です。「おやオーブルデザインの基礎にしては高さがない」と思われた方、鋭い人です。
まず最初に長期優良住宅のコンクリート強度のQ&Aがありましたのでこちらをどうぞ。
http://sumai.nikkei.co.jp/know/soudan/house20100623i7000pg.html
新潟県で有名な構造一級建築士さんが答えていますが、コンクリート強度は耐久性から考えると30N/mm2(呼び強度では33N/mm2から36N/mm2)と答えてます。私もそのとおりだと思います。緑の家はSSプランで呼び強度で33N/mm2と必要且つ充分だと思います。私もこのカウンセラー同様に21から24N/mm2程度では一般的に耐久性が高い基礎とは言えないと考えますし、費用もこんな程度一件20m3で6万+αで可能でしょう。すると僅か10万弱で耐久性が35年から倍の70年以上になるのですから強度を30N/mm2くらいにしたくなるのが建て主さんの思いと考えています。
さて、冒頭の図の基礎は「緑の家」ではありませんが、長期優良住宅で認定された(予定)の基礎です。若干スラブの定着に不安がありますが、通常は斜め部分は基礎梁として扱うのでまあ良いでしょう。この基礎の家は実は平屋建てです。 なのにこのような赤丸で囲われた所のように鉄筋が沢山入っていなければ一般的な構造計算上NGが出ます。無論耐震性を等級2以上に設定した家が条件ですが、耐震等級2は今やあたりまえの耐震性能です。
耐震性をあげるとなぜ鉄筋が多くなるのでしょうか?それは耐震性を高めた家は、壁の耐震強度が上がります。例えば耐震強度が高い壁倍率4や5になると、その壁を造る柱にかかる引き抜き強度が20KNを超え、その力が基礎を曲げようとする力に変わります。すると基礎の最下位部分にある鉄筋の本数が多くないと引きちぎれます。この基礎は、基礎背を安全側にみて短く計算しているので3本が縦に並んでもOKですが、2本で太い鉄筋の方がふさわしい場合があります。
さて平屋ですからこの鉄筋量で大丈夫でしたが、2階建てで引き抜き強度がもっと大きい場合(30KN以上)は太い鉄筋が3本入る事も考えられます。また耐力壁の柱スパンが大きくなるとモーメントが大きくなり鉄筋が増えます。さてそんな鉄筋を増やすよりもっと簡単な基礎梁強度を上げる方法があります。それは次回で案内しますが大事なことは、
長期優良認定住宅以外※は、基礎のこのような配筋チェックが行われない事が多いということでです。申請にお金が多少かかりますが、安心を買うと思えば安い買い物です。
※・・・3階建てや性能評価住宅も基礎のチェックが行われます。