自然素材、天然素材の家 ウッドデッキと薄い木、厚い木

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木は太い方が腐らず丈夫だと考えているあなた。
それは間違いです。雨や水が掛かりやすい部分は薄い木が腐らないのです。 築16~18年くらいのウッドデッキです(2~4年くらいで造っているので)。

「ウッドデッキの木はアイアンウッドのようなハードウッド等でないと早く腐りますよ。」と口を酸っぱくして申し上げております。その実例を紹介します。

木の腐りは木口や接合部から

このウッドデッキは築18年くらいです。そろそろ腐朽が進んで修繕が必要です。素材は杉、米松で、いずれも有名な防腐材も何回か塗布してましたが接合部は塗れませんでした。
塗布が行き届いた所は、腐朽していなのですが、造った当初しか塗布できない仕口や小口はぼろぼろになります。この部分が欠点になり作り直しとなります。接合部は塗布が出来ないことと、水を吸い込みやすい木口であることが多いので最初に腐朽します。

木が腐るのは「温度」「養分」「酸素」「水分」があったとき腐朽菌が働くからです。このうち人が制御可能なのが「水分」だけということは有名です(最近は木を加熱して養分をなくす方法もある)。 厚くて立派な木ほど一度水分が染みこむと、乾かないので腐朽菌が働き腐ります。自然界ではこういう決まりでないと、倒木が分解が遅く更新できないので森が消滅します。自然素材は水があれば腐る素材です。

木は薄い方が腐らない

水に濡れやすい木は薄いほど腐りにくい性質があります。一番上の写真でも手すりに使った薄い木はどの部分も100%腐っていません。紫外線や風による風化はありますが、その進行はとても遅いので機能上問題になりません。一方丈夫だと考えられる太い木の部分は、あっさりと腐朽し、そのスピードは一旦腐朽すると加速度があがりあっという間にぼろぼろです。

雨板といわれる古くから外壁に貼られた木の板は、厚さはたった7mm程度です。その厚さで直ぐ腐るのでは?と普通考えますが、これは全く逆。この薄さが木を腐食から守ります。戦前から外壁に使われる木の外壁=雨板は10mmもないのです。その厚さで40年くらい働きます。一方北欧など木の外壁は20mm以上もあることが多いですね。ログハウスなどは厚さ100mm以上で構造材と兼用で外壁としています。しかし厚さ7mmで耐久性が40年だから100mmだと400年以上大丈夫なんて考える人はいないと思います。それは、木が厚くなると腐りやすいことを皆さんが体感上知っているからでしょう。

水が掛かる木は出来る限り薄くして、「早く乾かす」・・・これは木の基本です。ウッドデッキが最初に腐る箇所は床の下の大引きという太い木です。この大引きをアイアンウッドなどにしなければ腐るという事は木を知っている人なら当たり前の事です。

戦後まもなく多く使われたこの雨板。当時は木が不足していたので、木の腐食防止というより、材料を出来る限り少なくと言う意味でこの7mmという厚さになったと思いますが、この薄さが逆に腐朽菌から木を守っていたのでしょう。多分、戦前は屋根材に多くの杉板が使用されており、薄い木が腐りにくい事を学んだのでしょう。

現在は戦後のような供給不足ではないのでここまで薄くすると他の弊害(そりや割れ、節抜け補修)があるので、14mmくらいまでなら良いのではないでしょうか?因みに上の手すりに使った木の厚さは16mm程度です。それをこのような縦に使うと水が切れ早く乾燥し、腐朽菌が活動出来なくなるのです。外部の杉や松でも薄い木、小さい断面の木が腐っていないことを見て、「杉や檜でも防腐剤を塗れば大丈夫」と早合点する事は、木をよく知らない人です。 木の外壁。日の当たらない部分には緑色の藻が付く。木が薄い場合、この藻は腐朽菌でないため耐久性にほとんど影響しない。厚い木の場合は「藻が生える箇所」→「日が当たらない部分」→「乾きが遅い」→「木が厚いと乾かない」→「腐朽菌が活動」→「腐る」

こちらは関東にある築30年以上の木の外壁の家(当事務所設計ではありません)。素材はウッドシングルと言われ屋根にも使える米杉なので、軒の出のない過酷な状況ですが今でも現役。所々緑色の藻も見えますが、機能上全く問題ありません。

常時濡れる所はハードウッド等が良い

薄い木で造れないウッドデッキ。

太い木で床を支えるような屋根のないウッドデッキのように常時濡れる場所に木を使うなら、最低でも防腐剤が加圧注入された良品(ホームセンター品は品質を確認)か、米杉です。標準はハードウッド※しかあり得ません。杉や檜、ヒバでは10年で木口や接合部が腐ります(大工ではなく棟梁なら常識)。屋根がある場所では杉(芯材)、檜(芯材)、ヒバ(芯材)なら大丈夫です。
また芯材でなくとも薄い木を縦に使う場合(木口は隠す)は大丈夫です。古い木の家をみるとそのような使い方をされており、さすが木を知り尽くし、全責任を持つ「棟梁」がいた頃の建築物です。※・・・ハードウッドとは比重が1近くありとても堅い木の総称。ウリン、セランガンバツー、イペ、イコロ等が有名

PS
大工さんと棟梁さんの違いは、その家に全責任を持って仕事をしているかどうかの差です。工務店さんの協力業者の立場(下請け)であれば言われたことしかしない「大工さん」ですし、昔のように全責任を一旦受ける立場なら20年後の家まで考える「棟梁さん」ではないかと考えます。

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