「 2010年 」一覧

新潟の自然素材の家 「エネルギー事情と超高断熱」 蟻の家です。

この図は東北電力さんの季刊誌に掲載されていた図です。それによると石油はあとたった42年、天然ガスであと60年、一番長い石炭で120年です。しかしこれはあくまでも埋蔵量で現在の石油、ガス、石炭の発掘費用が同じではありません。埋蔵物はとりやすいところからとるので、どんどん掘削するのに費用がかかる場所に移行して行きます。とうことはもし今後大規模の石油の新しい埋蔵が見つからなければやはり20年後の高騰は絶対避けられないでしょう。つまり奪い合いによる価格高騰と掘削費用増による高騰です。

 そこで生活のエネルギーの源である電気は上のような施策がとられてます。現在の東北電力さん管轄の電気は、1/3が石炭、1/4が天然ガスで、石油はわずか6%。

1980年には石油での発電が約2/3を占めていたんですね。当時の原油の価格は現在の1/3程度です。そしてその頃に発表された石油の埋蔵量も40年位だった記憶があります。それから30年後の埋蔵量がまだ40年ですからこれを根拠に石油は毎年新しい埋蔵がみつかるとの論調もあります。しかし80年台より相当進歩した埋蔵発見技術でもなかなか新しい大規模油田は見つかりません。そこでまだ埋蔵量が豊富な石炭にシフトしているのでしょう。しかしこれも掘削費がかかる所しか残っていないため、価格高騰が懸念されるため今度は原子力にシフト傾向がみられます。

原子力発電の一番の問題は、その廃棄物処理が確率されていない事です。その廃棄物が次の循環(人間に影響が少なくなるように変化する事)になるまで1万年もかかると言われてます。そのため大深度地下で管理するとう事が現在唯一の方法です。これが問題で私は今後原子力発電を増設することは反対という立場です。

現在のエネルギー使用量を増やさない事と、簡単に循環でするエネルギー(太陽光、風力、波、地熱、バイオマス)の発電を増やす事を是非推進したいと思います。現時点ではたった4%、10年後でも4%のこのエネルギー。さてどうするか?

そこで私にできる事が「超高断熱住宅」の推進になります。本来この「超高断熱住宅」は、石油高騰によりエネルギー全般が高騰する来るべき時期(予想では20年後)にも、暖かい家をと思って奨めているのです。「蟻とキリギリス物語」でいうなら蟻の家のことですね。

 それと同時に超高断熱住宅にすると、現在の暖房エネルギーの約1/2以下で快適暖房が可能なのです。現在のハウスメーカー程度の次世代基準断熱(所謂高気密高断熱)では、暖房エネルギーが以前のお住まいの住宅より確実に増えます(上図)。暖房エネルギーが少ない関東地方でこの数値ですから新潟ではこの1.4倍くらいは多くなります。これは以前から何度も指摘しており、超断熱とは冬に日が出る関東地方でもQ値1.3位、新潟ではQ値0.9以下が最低必要です。


はてな?湿気と結露・・・お風呂場の勘違い。

その日の最後、お風呂からでるときに、壁に飛んだ石けん泡を「水で流しますか?」それとも「お湯で流しますか?」

これから新潟県ではカビの生えやすい第二時期=梅雨になります(第一時期は冬ですね)。
そこでネットのニュースを見ていたらある建築士が「お風呂からでる最後の人は、壁に冷水をかけ石けんかすを流すと同時に壁を冷やしてください。湿気が減りカビ防止になります。」・・・

はぁ?
全く反対!カビ防止なら壁の水分を早く飛ばさなければなりません。つまり乾かさなければなりません。その時水をかけると、水分が気化するのに必要な熱がなくなります。正しくは「熱いお湯をかけて石けんかすを流し、換気扇をON!」が一番早く壁が乾きカビ防止です。

当たり前ですね。お茶碗をお湯で洗った方が水で洗うより早く乾きます。
食洗機で洗い終わったら、扉半開きで(換気のこと)直ぐ乾きます。これは食器が熱湯で暖まっていて、水滴に直ぐに気化熱を与えることが可能だからなのです。すごく単純な科学です。乾くには基本的に「熱」が必要なのです。折角熱気で暖まっている壁をわざわざ冷やすなんて「・・・・・」ですよ。

建築士が湿気と結露のことわかっていないのです。お風呂場の壁が入浴中にびしょびしょになるのは、壁が冷たいから結露するのであって、壁が暖かかったなら水蒸気でかすんでいる風呂場の壁でも結露はしません。どうも「暖かい部屋」=「結露する」と勘違いしているようです。
だから「壁を冷やす」=「温度がさがり湿気がなくなる」と間違って思い込んでいるのでしょう。
その発想だから冬でも風呂場の窓を開け冷たい空気を入れたがるのでしょう。
冬は窓を開けるより、室内の暖かい空気で気化熱を与えながら換気をする方が早く乾燥します。


新潟の家~ありがたい言葉と40年後に対して~

土曜日や休日は打ち合わせが殆どです。そんな今日、とてもありがたい評価を頂きました。それは、建て主さんAさんから、「色々な会社からプランを頂いたけれど、こんなに自分たちの思いが全部詰まったプランはオーブルさんだけ。無駄がないし、おしゃれだし・・・」

Aさんは家造りを始めてから色々な会社や展示場に行かれて、その度に様々な会社からプランを頂いたと聞いております。そしてある会社の「いわゆる無暖房住宅」を体験されてから、超高断熱って凄いという事でネットを検索していたら当事務所に偶然行き着いたという事です。
当事務所のSSプラン(普及)の家は、超高断熱でQ値が0.9の割にはコストがそう高く無い事が印象的で且つ高い基礎が理にかなっているという事で事務所にお越し頂きました。そしてプランを差し上げたのが2週間前ほど。そして今日お打ち合わせ時に、冒頭のお言葉頂きました。

私は設計屋です。仮に人柄やコスト、会社の大小でご縁がない事は仕方無いと割り切りますが、設計が良いという評価は素直に大変うれしいお言葉です。餅は餅屋でなければなりません。

また午後に建て主さんのBさんとお話ししていて、私が
「政府は2050年には日本においてで今の50%減(住宅は70%相当か?)のCO2排出量にすると目標を掲げていますのよね。これは後30年以上もありますが、その時の住宅の性能は最低でもSSプランの家です。その時のために当事務所では超高断熱仕様を選べるようにしているのです。」
更に
「その頃には私は生きていないでしょうね。だから関係ないのではなく、今からでないとその未来に合わない」といった時、自分で背筋がゾゾとしました(多少語句は違いますが)。

自分が生きていない時の事を考えて家(建物)を造る・・・。昔、知り合いの宮大工が「俺が死んでもこの建物はまだまだ立派に建っている。そしてその時他の大工がみて、この建物は立派に造ってある。まだまだ大丈夫というだろう。そういう建物作っている」と胸を張って言っていた事を思い出しました。

自分が死んでも後世に価値のある建物を残す意気込みは、大きな資源と大金を払って造る建物に関わる設計者や大工さんにはなくてはならない資質だと思います。
Bさんのお選びになった仕様は、今事務所が一押しのSSプランでまた一押しの外壁が無塗装の木貼りの「緑の家」です・・・(耐雪1.2mで耐震等級2)。快適さは無論、20年後には外壁の味と庭が完成し、新築時より雰囲気がよくなり、更に40年後にはトトロ家みたいにご近所さんからも愛される家になる事を願ってます。 最終チェックしたスタディー模型。南大開口部のあるSSプランの家です。きっと米杉の木が似合うでしょう。  


新潟の家から 自然素材の外壁とは・・・

 玄関の上に燕の巣があります。

この家は昨年6月に竣工した「緑の家」です。同じご近所のメンテナンスに伺ったさい、前をとおりかかったら、あまりにも花が綺麗に咲き誇っていたので写しました。すると燕がヒラリヒラリと玄関へ・・・。

昨年竣工した他の「緑の家」でも、山鳩が巣を作ったりしている事の連絡をうけております。なぜか新築後は小鳥が巣を作る事が多いですね。拙宅も「燕」や「雀」が巣を作ってました。真下が汚れる事で嫌う方もいらっしゃいますが、許せる範囲であれば楽しいものです。

さて外壁が無塗装の木の家。そろそろ色が変わり始めました。当初は水が残りやすい板下端から変色(所謂カビと紫外線退色です)が始まります。

私はこれが楽しみですが、世の風潮はこの色の変化がいやだという人の方が多勢を占めます。この家の近所にある、やはり木の外壁を使った家は、全く変化がないのっぺらの黄色の塗装色です。

自然素材とは変化があるから「自然素材」なのです。石のような無機物以外は、写真の木の幹の色のように、紫外線で退色しグレー色にかわる事が自然の中にある本来の有機物の姿です。だからこそ命ある葉っぱの緑色や可憐な花の鮮やかさがよりいっそう際立つのです。「命あるもの=花」と「勤めを終わったもの=木表皮」の役所の違い役割です。

 普通の人はこの外観が一番良いというだろう。しかし私は1年後の外壁色方が好き。この揃った木の色は、自然環境(外部)では存在しない色だから、緑や花の色がくすむ。

無塗装の外壁の木はかんなで仕上げた表面だから意外とつるつるする。この通り太陽光を反射して光っている。 一方で既に色が退色し始めている。そして3年くらいで手前の木の幹と色と同じくなる。

 外壁の所々がグレー色になり始めた。このあたりが少し我慢の時期(私は良いと思うが)。しかしこのグレーだからこそ花や緑が映える。これが「緑の家」ですね。

 3年後はこんな感じになるだろう。


朱鷺の死亡で思う その② 

朱鷺の死亡で思う事その①はここ

今日、3月の朱鷺のゲージに小動物が侵入し、9羽が死んだ原因と対策をその特別検証チームがまとめ知事に報告しましたとのニュースがありました。

主な原因は

朱鷺の天敵に対し認識不十分だった。

緊急事態時に対応ができなかった。

各関係部者の責任の所在が曖昧な点があった。

とニュースでアナウンスしていました。詳しい報告はこのブログで紹介されています。このブログでも全く稚拙な事と言及してますし、私もその通りだと思います。

しかし全く不可解な報告です。
なぜなら死んだ原因は小動物が朱鷺のゲージに入ったからでしょう。天敵に対し認識不十分って、では何で「2.5cmのメッシュでゲージ」を造ったの?逃げないようにするためだけ?違うでしょう。それだけなら倍の5cmでも充分。2.5cmは天敵から守るためもあるって子供でもわかりそうです。責任が特定されていな事は、とても今の行政がおかしい現れです。ゲージを造ったからにはその発注者が必ずいるでしょう?そしてこのゲージの完成チェックをする部署(人)は誰だったのかはっきりとさせ、原因はそこにあるとしない限り、税金と朱鷺の死が無駄になる事は間違い無いでしょう。一個人を攻めない事が正義のような事とされがちですが、それは時と場合によります。あまりにも酷すぎます。調査チームって何?

どの物作りでも必ず同じです。誰かがそのゲージが正しく造られたかチェックしなければならいはずですし、そのように決まっているはずですがどうしてここを曖昧にするのでしょうか?

もしこれが民間で例えば住宅にたとえると、

設計図に「2階バルコニーの手摺りは子供が落ちないように、12cm以下に施工する」と記載があったのに、実際は26カ所も15cmの箇所があった。その一カ所から子供が不運にも落ちて亡くなった。
調査チームが調査したらその原因は
「子供の行動に対し認識不十分だった」
「緊急事態時に下で受け取る対応ができていなかった」
「バルコニーへでれる窓を監視していなかった(親のせい)」
「工事のできあがりをチェックする連携ができていなかった」

となるのでしょうか?それで親が納得するのでしょうか?絶対に親は「手摺りが設計図通り施工いていない施工者とそれを完成チェックしていない監理者が原因」と訴えるであろうし、それが事実です。

住宅も工事監理者が事実上不在なら同じ事が起きてます。そして名義上の監理者はこう言うでしょう。「私はあなたと直接工事監理契約をしていない。だから責任はない」と。


新潟の住まい 自然素材の家とエアコンマニアから 2010年夏モデル②

2010.05.24緑字加筆

集めました。この夏のエアコンカタログ。

さて発表です。2010年のお勧めエアコンは・・・

第一位
パナソニック CS-X220C

第二位
日立 RAS-S22Y、三菱 MSZ-ZW220

第三位
パナソニック CS-HX220C

です。

なんとパナソニックが2機種もランクインです。
理由は下の表をご覧ください。

クリックで拡大します。

まず6帖用機種で選定してます。これは現在の高気密高断熱住宅であれば、6帖用の2.5KWの出力があれば30帖くらいまで暖房できます(実用範囲は24帖程度が効率が良いと思います)。
時々チラシに「エアコン一台で暖房可」と自慢げに謳っている住宅会社がありますが、一台で暖房すると負荷が多くかかりCOPが相当悪くなり同じ暖房でも電気代があがります。表の低温COPを見て頂くと定格の半分になる事がよくわかります。更に温度ムラなどできます。可能な事と奨める物は違います。低温COPとは外気が2度の時のそのエアコンが最大出力(約4Kw前後)時のCOP。低温でも定格以下で50%くらいまでの出力ではCOPはこんなに下がらない。だから真冬時で外気2度の時はエアコンを数台で運転して一台当たりがより低い出力で分散運転するとCOP(効率)が上がる。これがオーブルが「数台で運転してね」という理由。

6帖用でも一機種調べる事でそのシリーズ効率特性がよくわかるので、この大きさのエアコンを調べました。
シリーズとは・・・イチメーカーで通常複数のシリーズを価格別に販売してます。一番価格高いシリーズはフル装備でかつ効率(COP、APF)もトップです。

まず全体の省エネトップは寸法フリーのパナソニックCS-HX220Cです。APF及び暖房COPでも最高です。但し価格も他の機種の1.5倍もするので第3位としました。でもあくまでも省エネトップに拘るならこちらです。

すると第一位は寸法規定のパナソニック CS-X220Cです。APFこそ2位ですが暖房時COPが6.4と検討しております。APFが寸法規定の第一位の三菱 MSZ-ZW220は新潟県ではとても重要な暖房時COPが5.5と極端に悪く、何か相当APFだけをあげるためにセッティングしてあるようです。従って第二位です。但し関東のような温暖地では第一位になってもよいでしょう。
三菱のMSZ-ZW220と同じく第二位は日立 RAS-S22Yです。暖房時COPやAPFもトップクラスで安定感があります。
第三位は先ほどのパナソニックの寸法フリーで省エネトップのCS-HX220Cです。あまりにも価格が高いので三位です。

一昔前省エネトップ常連だったの東芝さんの大清快は、その暖房時COPの高い事設計思想(デュアルコンプ)や付加価値(見える表示)で昨年度ランクインしていたのですが、今年はあまり代わり映えしない事と、最小出力時のCOPが極端に低いのでランク外となりました。残念です。

ちなみにこれは当事務所のエアコンマニアの浅間が勝手に順位をつけています。よって新潟県の気候で高気密高断熱住宅で使用される事が前提です。

さらに補足説明すると、各社エアコンの暖める&冷やす以外の機能(付加機能)を色々アピールしていますが、エアコンはまずその基本性能が肝心ですので、基本性能でランクづけしました。付加機能部分は趣味程度でお選びください。

あと超高気密C値0.3以下を目指すなら、この表の掃除方法が◎の所を選ぶ必要があります。○では外壁に直径2.5cm程度の穴が開いているのと同じ状態です。ドレンは最悪トラップで気密維持できますが、掃除用排気管は気密維持不可能です。そう考えると日立のRAS-S22Yは超気密の場合は第一位ですね。この部分がエアコンマニア的考えです。


今日は月曜の定休日 寺泊から

気持ちよい日です。
拙宅のリビング
窓から見える緑と青の色。癒されますね。

基本設計と実施設計でこのところとても忙しいので、今も自宅で愛犬の世話(留守番)を兼ねてCAD設計をしております。が・・・ふと横を見るとこの広がり。CADよりぼーっとしている時間が長いかもしれません。しかし建物の設計には何か「ワクワク感」がなければ魅力的ではないと考えますが、基本設計などはすばらしい自然環境で考える事が重要だよ!と設計の恩師が言ってました。確かにビルの一室や込み入った所で考えた設計は、なにかと陳腐になりやすいですね。寺泊は私のプランの源です。

連休中に自然農のスパイラルゲートの石積みで腰を痛め、ここ10日間は腰がまっすぐに伸びずお見苦しいお姿をさらすことになってしまいましたが、ようやく復旧です。どうやら、最初の痛みで背中が横に曲がってしまい、それを維持するのに筋が硬直し、更に状態を悪化させておりました。鏡で見ながら痛みをこらえ補正すると嘘のように硬直がなくなっていきます。もう少しで完治です。

ちなみに写真の「夏づた」がウッドデッキに絡んでいるのですが、このツタの根でデッキ材の腐りが早くなっています。さてツタを撤去しようか悩んでおります。この新緑のツタの色を見ているともったいないのですが、自然の力は甘くありませんし・・・。


新潟の住まい 自然素材の家とエアコンマニアから 2010年夏モデル①

では発表!2010年エアコンランキング

昨年夏頃の

新潟県内で暖房として使用する21年秋のお勧めエアコンの順位を独断で発表しました。ここ数年間はパナソニックが効率トップで商品が充実しており価格も結構こなれてました。そのため当事務所の選定するエアコンは4年くらいはパナソニック製エアコンです。
ところが今年からパナソニックが方針を変えてシリーズを一新したため、どうも一押しお勧めエアコンがありません。

変えた方針とは・・・
昨年までCS-X229AからCS-X289Aという機種が旗艦エアコンで主力でした。これは大きさの分類で「寸法フリー」という機械の外形寸法を限定しないもので、相反して「寸法規定」という分類もあります。カタログのスペックをよく見ると寸法フリーか寸法規定か書いてあります。現在寸法フリーで旗艦エアコンを持っているのはパナソニックを含め数社のみです。つまり後のメーカーは全て寸法規定ということです。
寸法フリーの方が寸法規定より効率が高くできますが、寸法規定分類より効率が一段高い「寸法フリー」機種にはとても大きな欠点があります。それは工事する人が大変ということです。

寸法フリータイプはトップランナー方式が始まった10年くらい前から あります。インバーター方式のエアコンの効率(COP)を高めるにはまずはその熱交換機を大きくするのが一番手っ取り早いのです。だからその熱交換機が入る箱(エアコン本体)がどんどん大きくなります。すると、大きくなったがために今まで窓と天井の間の壁や柱と柱に収まったエアコンが入らなくなってしまいました。

こうなると「工事に行ったけれど設置出来なかった」という事態になります。
すると家電量販店では嫌われてしまいます。量販店ではエアコン設置に詳しくない人が販売員をしてますから、設置出来るかどうかなんて考えて販売しません。多少効率(COP)が悪かろうが、どこにでも設置できるコンパクトな機種を勧めます。

それで現在は寸法規定タイプのエアコンがどのメーカーでもメインです。寸法フリータイプは一部のマニアックな人しか使わなくなってしまったのです。

今年のパナ製寸法フリータイプの旗艦機種 CS-HX220C室内機295×890×268mm 室外機619×799×299mm暖房COP6.84 APF7.2 APFは7以上になった初めての超高効率の量産型家庭用エアコン。

  今年のパナ製寸法規定タイプの主力機種 CS-X220C室内機  295×798×268mm 室外機 540×780×289mm 暖房COP6.41 APF6.7 室内機寸法は長さが約100mm寸法フリータイプより小さい。

今年からパナソニックは、寸法規定タイプを主力にし、その分類でも効率COPでトップなる方針にしたようです。お家芸の効率トップ維持は寸法フリータイプでも達成し(なんと驚異的APFで7.2)こちらを旗艦エアコンとしてます(CS-HX220C)。しかし主力ではないため販売数が見込めないせいか大変割高です(価格.コム最安で15万)。以前の旗艦エアコンCS-X229Aの価格は主力エアコンでもあったため他のメーカーの規定寸法タイプの旗艦エアコンと変わらなかったのに・・・。
ちなみにパナ製主力エアコンCS-X220Cは価格.コム最安で10.5万。その差は1.5倍。
以上でパナソニックエアコンのお話は終わりです。

さて残念なお知らせがあります。10年以上前から財団法人省エネルギー機構がこのを造っていたのですが、今年から止めたようです。大変便利なエアコンの省エネランキング比較表だったのにとても残念です。これさえあれば自分でカタログを集める必要がなかったので是非復活してほしいです。

さてこの夏のエアコンのお勧め順位は明日の「その②」でお伝えします。冷房の効率中心ではなく暖房効率と価格で選びます。

PS
最近のエアコンの効率はAPFで示されておりますが、どうもごまかされている気がします。以前もコメントしてますが、機械自体のハード的な効率アップではなく、ソフト的にCOPの山を定格出力の40~50%にして年間負荷の一番多い部分の効率を上げ、APFの数値だけを稼いでいる感じです。なぜならここAPF表示が始まった数年間は、COPの上昇スピードが止まってました。今年から再び上がりつつありますが・・・。
以前はCOPの山が定格部分にも配慮されていたので、小さなエアコンを少数で家全体を暖めた方が効率が良くなりました。しかしAPF重視のセッティングですと、エアコンの台数がより多くある方が効率が上がる事になります。やはり台数を売らなければならないメーカーの販売戦略でしょうか?


ちょっと話題がずれますが・・・野良猫の餌付けのこと

いまPCに向かってメイルのチェックをしていたら、
「野良猫餌付け 将棋の加藤九段に中止などを命じる判決」というニュースが目にとまりました。加藤9段といえば、我々の世代ではプロ将棋の王者でした。加藤9段の居飛車と故大山永世名人の中飛車は有名だったと記憶しております。
その頂点を極めた加藤9段が野良猫に餌付けしてご近所にご迷惑をおかけしている話は、大変ショックです。

犯人(猫)見つけた!拙宅の庭のプランターの中で用を足す放し飼い猫。強烈な臭いと掘り返された野菜苗が後に残る。

実は拙宅でも猫達(4匹)が出没して庭の花や菜園を荒らしていきます。そして車庫の中で臭い付けをしたり、糞をしたりします。この強烈な臭いにはとても困っています。
狸やハクビシンなどの野生動物なら一度脅かせばなかなかこなくなるのですが、この猫は餌付けされているか飼い猫なので、頭が良いですね。人に慣れてます。人の気配がなくなると来ます。鈴を付けている猫もいます。

そうならば回覧板で注意喚起しようとご近所と相談したら、なんと町内が違う所で回覧板がいかないところの猫のようでした。さらに、住民登録をしていないような別荘扱いの住まい方をしているようです。今は車庫に扉を付けたり、屋上菜園に柵を設け、できる限りの自己防衛をしてますが、車被害や受忍限度を超えれば一度ご相談してみようと思ってます。

その時この加藤9段のように、「飼ってはいない。時々餌をやるだけだ」と言われたら、何ともしょうがありません。ただそのせいで猫が集まり、大切に育てた花壇や愛車に傷がつき困っている人がいるのに、「関係ない」との言い方をされるとつらいですね。この近隣さんの気持ちはよくわかります。

妻はある人の助言で猫との会話でなんとかこの猫たちにわかってもらうように、事あるごとに猫に近づき話しかけてますが、今のところ理解して頂けないようです・・・。翻訳こんにゃくがあれば・・・。

2010.-5.14加筆

今朝のニュースで結構大きく取り上げられていたのでびっくりしました。最近は地域猫というカテゴリーがあり環境省もそのガイドラインを作っているようです。
野良猫の捕殺で相当数が人の手で殺されている事もかなしい事実です。殺す側の人(行政)だって好きで殺しているはずはありません。さて、どうしたら共存できるのか?それはお互いのテリトリーに入らない事ではないでしょうか?そして人のテリトリー内の時は、他の動物と同じように「人が飼う」しかないと思います。勿論責任を持って・・・。


新潟の住まい 自然素材と超高断熱・高基礎の「緑の家」の評価

どんな仕様、形、デザインでも家の評価は結局「建て主さん」が決めるものです。いくら設計者がこの家は「良い家」ですと言ったところで、建て主さんから認めて頂かなければ何ともしようがありません。

今年に入ってから超高断熱のSSプランが設計の半数以上を占めております。現在基本設計4件の内2件はそのご要望となっております。実施設計中1棟を含めると5件中3件がSSプランになる予定です。確かにSSプランの実測をみると今までの高気密高断熱とは一線を画し、省エネルギーが高次元性能で20年後の環境を先取りするすばらしい仕様です。

拙宅はQ値1.9w/km2の性能(所謂Sプラン)です。そこで約20年生活してきましたが、更に高い性能をほしい理由はこちら と こちら と こちら)と思ってSSプランを2年くらい前に提案しました。20年も高気密高断熱住宅に生活してもっと高い性能が必要とわかったのに、初めて家を建てる人や、Q値がそんなに高く無い家でお住まいの方にほんとうにわかって頂けるのだろうかと思ったこともありました。
しかし、私が20年以上前に初めて高気密高断熱に出会ったあのときに感じた気持ちと、今回の超高断熱が必要だという感覚は大変似ております。だから信念を曲げずに奨めて来ましたが、今年からご同意頂ける建て主さんが増えました。とてもありがたい事です。

 10年前に完成しているK邸。既に「緑の家」Sプランは完成されていた。真空集熱型太陽光温水パネル、ソーラー発電、中水利用、1.4mの高基礎(手前建物は土間アトリエ)など・・・

この事は1mの高基礎も仕様も同じで、この高基礎を奨めている理由に賛同頂いてご連絡頂ける建て主さんが殆どです。昨日も事務所にお越し頂いた建て主さんも、こちらが説明するまでもなく、ご生家が1mの高基礎で、「とてもメンテナンスがしやすかった。今、家の新築を検討しており、他のメーカーさんはなぜ高基礎はお勧めしないのだろうという事に不思議さがあった。そこでたまたまネットで1m高基礎が標準の設計事務所があったので・・・」

という私にとっては感動もの生証言を得れらました。また県外からの高基礎の設計のお問い合わせがこの3ヶ月で3件。私はこの高基礎を13年間お勧めして(採用率100%は自慢です)きて、既に慣れてしまっているのでその違いを過剰に説明してきておりませんでしたが、言われてみると13年前から高基礎を標準で奨めているのは新潟県内では当事務所だけかもしれません。雪深いところでは奨めている人も多いかと思いますが、標準仕様で100%の実施率は当事務所だけでしょう。

なぜ高基礎なのかは・・・13年前から変わっていません

建築基準法上通りに建築しようと思うと、高基礎が一番現実的だからです。薬剤塗布で高耐久を実現するのは、10年くらいの塗り替えが非常に困難です。薬剤の効果がなくなる10年後再び塗布しなければ法律に沿った家にはなりません。ところが高基礎にすると当たり前ですが永久的に法律に即します。これは物理的に白アリと腐朽対策をするからですね。

これからも高基礎はずーっと奨めて参ります。これはオーブルデザインの法律をまじめに守るというポリシーです。そしてこんな「緑の家」仕様が皆様のご賛同をこれまで以上に得られますようにと願っております。
合掌


北陸地方におけるヒート&クールチューブ住宅(地中熱住宅)の感想

昨年の夏に地中熱採用の住宅について当事務所の見解をのせました。

このページです。↓

http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-7809.html

http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-5696.html

近年、低炭素社会が望まれ建築物もそれらの要求に応えるべく様々な試みがされております。その内容が先進的で優れたもので普及効果が認められる時は、補助金などの交付対象になります。今回の感想は「日本建築学会環境系論文集Vol.75 」の掲載されていた地中熱の利用での調査研究で、このシステムが組み込まれた住宅が国交省から200万円の補助金を受けているようですので、興味深く読ませていただきました。

 建築学会の環境系査読論文集。査読論文とは複数の専門家に精査された論文。よって内容の信憑性は極めて高い。

この研究目的は「埋設深さ2mのヒート&クールチューブ※によって得られる外気負荷削減効果を実測面から明らかにする事」です。従ってこのシステムがトータル的にとても有意義なシステムかどうかではない事を最初に書き添えておきます。
※クールチューブとは、地中内にパイプを設置しそこに空気等を通して、年間を通じて温度変化のない地中の温度を利用するシステムの事。

つまり外気負荷削減だけを明らかにしており、かかるコストや維持費、衛生面での評価はされていない事になります。しかし一方では
「埋設深さ2mとしたのは、本来なら埋設5、6m以上が地中熱利用の定説の深さらしいのですが、5、6mだと設置費用がかかりすぎるので現実的な提案ができない。それで2mでシステム構成をした。」
と書かれています。よって建て主さんにわかりやすいように当事務所が僭越ながらこの研究結果からシステムの「有意義、実現性」について考えてみたいと思います。

上のリンクでもあるとおり、住宅で地中熱の利用は30年も前から研究が行われていますが、未だに効果対費用のメリットから普及してません。古くは1981年に「長谷川・木村・吉野・石川・松本らによるクールチューブ(深さ1m)があるとこの論文でも説明されています。30年も普及しなかったこの点が従来の研究にはない、深さ2mの埋設の実験となっているようです。2mに配管埋設なら表層地盤改良を行う地域ならそう大きなコストが追加されません。

そこで下のようなシステムが計画されたと想像します。

出展:いずれも「ヒート&クールチューブ住宅の地中熱利用効果に関する調査研究」垂水弘夫教授・簑原由紀氏から 日本建築学会環境系論文集Vol75

最初に結果から
このシステムで夏期の除去総熱量5890MJ/年→1636KW/年
冬期の取得熱量5500MJ/年→1528KW/年

です。・・・この算出は、北陸の場合除去熱が期待される時期6月~9月、取得熱が期待できる時期11月から3月の期間ごとの集計と論文にには記されています。

これを経済面から考えるとエアコンで同様のエネルギーを得るには
1636/5(冷房平均COP)×25円/kw=8180円
1528/4(暖房平均COP)×25円/kw=9550円
トータル・・・17730円/年(結露水排水ポンプの電気代は少と仮定)

といった金額が回収できます。そこでどのくらい施工費がかかるか推測すると、表層地盤改良と同時に住居の下全てを2m掘りVP管を100m設置ですから30万~40万。更に結露水排水ポンプで10万とすると最大で50万/セット。但し表層地盤改良とセットしないと不動沈下の危険性が増すのでこの工事行う地域限定です(表層地盤改良コストはシステムには入れない)。
さて50万ですから1.8万/年で考えると27年でペイできます。仮に15年後電気代が1.5倍になったとして23年で回収可能です。これをどう考えるか? 私はこの金額であれば実用化できるしおもしろいと思いますが、次の点が問題で確定できません。

問題は、今回の研究で評価していない、
1.空気質の長期調査
2.継続性
3.夏期の実態評価
です。

空気質の評価は以前もブログでお伝えしたとおり、継続して結露している管の中はかびが生える事が考えられます。その空気が住宅を換気する新鮮空気となるのですからこの点の調査結果が一番重要でしょう。メンテナンスができないのですから10年くらいの経過後がどうなっているか?とても重要です(もしかしたら結露水排水ポンプがついているのでクールチューブ内に水道水を通して定期的に洗浄排水するのか?だったら凄い!)。

継続性は連続2年間測定して、地温の温度変化が殆どなかったとの事ですが、多年数のデータがほしいところです。

次の夏期の実態評価ですが、これはこの測定が
(外気-地中内を通過した空気)の温度差となっており、そこから単純に夏期は6月から9月としてその差を集計したと読み取れます。しかし冬期は11月から3月まで継続して暖房を行いますので、このような集計でも問題ありませんが、夏期(6月~9月)は住宅内丸ごとでいつも空調を使っている想定となります。しかし通常はそのような使い方は特殊であり、間欠冷房(本当に暑い時に冷房する。それ以外は窓開けが主)と考えるのが一般的です。よって外気温が26度超えた時のみカウントする事が必要ではないかと考えます。機会があれば直接筆者にお聞きしてみたいと思います。

まとめですが

数十年前と違い地盤改良が多くなっている背景で今回の地中熱利用システムは、従来にはない効果対費用のメリットがありそうだと言う事がわかりました。

最後に
もし当事務所の見解に間違いがあれば訂正の上お詫びいたします。


住宅用断熱材 何が一番良いの?との質問で。 新潟の高断熱高気密

2010.05.13緑字加筆

「色々調べてセルロースファイバーが一番良い」
とある建て主さんが言っていました。

さて、その言葉が頭から離れないで詳しく調べてみました。

その結果、オーブルの結論は全く依然と変わらず

「その建物の主旨にあった物であればどれでもよい!」

と言う事です。

住宅用断熱材は沢山の種類があります。
代表的な物は(青字はオーブルがよく使う物)

1 グラスウール
2 ロックウール
3 ウール
4 植物繊維(木質繊維)

5 セルロースファイバー
6 プラスチック系板状断熱材

7  〃      現場吹きつけ断熱材
8 植物系板状断熱材(コルクボード等)

です。

6のプラチック断熱材には更に5種類※に分けられますが、一応ひとくくりにします。

さて、なぜ「その建物の主旨にあった物であればどれでも良い!」のか。それはいつも申し上げているように、全て国やJISやISOの公的試験規格に「断熱材」として載っているからです。だから断熱という機能ならどれを使っても正しい施工ならしっかりと断熱材として機能します。

建築業界にはとーーっても不思議な現象があります。

それは、国やJISやISO等の国際機関の資料より、イチ建設会社やイチ工務店の説明を大事に受け取ると言う全く理解しがたい習慣があります。まず他の家庭に関わる商品分野では考えにくい習慣です。

どうしてこんな事がまかり通るのでしょうか?とっても不思議です。

さて、どの材料にも適材適所があります。一番多く使われている安価の優等生であるグラスウールやロックウールですが、これは土の中では使えませんし、常時水の多い所では使えません。逆にプラスチック系板状断熱材は熱が高くなる煙突周囲や給湯器等では使えません。

また住宅と同じくらい温度差ができる冷蔵庫ではグラスウールやロックウールは使いません。これは同じ厚さならプラスチック系板状断熱材方が約1.5~2倍ほど性能が良いので、グラスウールやロックウールを使うと冷蔵庫が一回り大きくなるからです。

また自然素材の断熱材を使いたい希望があれば、セルロースファイバー(古紙)やウール(羊毛)、コルクボード(木)、木質繊維系しかありません(藁もあるらしい)。しかし自然素材である以上虫の被害が必ずあるので、ホウ酸系の防虫処理をします。これで自然素材といえるかどうかは考え方次第です。私は自然界での分解機能が阻害された物はできれば自然素材と呼びたくありませんが、ホウ酸は水溶性なので外部では使用できませんが、ホウ酸は自然界では分解されず、また水溶性なので解体廃棄時には、環境に対し負荷が大きい欠点があります。またセルロースファイバーに直接触れて見るとわかりますが、繊維が細かいので(埃みたい)必ず気密シートとセット使用でないと、家の中にセルロースファイバーの綿埃が出来る事になります(特に第三種換気で室内が負圧になるとき)。木質繊維系(+INTELLOはまだ一般的でないので情報がありません。

古民家で太い柱や梁を見せて生かす事が簡単にできるのがプラスチック系板状断熱材です。この断熱材は薄くても性能が高いので外張り断熱施工が容易です。グラスウール断熱材でも外張り断熱施工はできるのですが、厚くなり施工も複雑で断熱材以外でコストアップなりやすいです。

このように全ての素材には一長一短あり、その特性を踏まえその建物の主旨にあった物を使えば良いでしょう。やっぱり、正しい使い方をすれば、どの断熱材でもOKです。そうでなかったら、国やJISやISOが規定しその断熱材としての試験方法まで策定しておりません。あえて感覚的な事を言えば、新築住宅で現場で吹き付ける断熱材は吹き付けられた木を汚すので嫌いです(再利用不可)。

次の点もよくいわれますが・・・、

プラスチック系板状断熱材の経年変化と燃焼し易さを欠点にとらえているところがありますが、それも別に問題ではありません。最初からその経年変化分を加味※して造れば良いだけです。経年変化の少ないグラスウール等は、施工部位(電線や配管、筋かい周囲など)で断熱性能が基準値より落ちるのに対し、プラスチック系板状断熱材はその心配は無用ですからお互い様です。
燃焼性問題は以前ホームページのコラムで話題にしていますのでそちらをご覧ください。

とにかく性能評価は国等の情報が確かで、一企業や一工務店の情報を鵜呑みしてはいけません。

プラスチック系板状断熱材の経年変化は「住宅用省エネルギー基準解説 21年度版」では下の表が付録にあります。但しこれは防露措置の計算用であって、断熱性能評価である熱損失計算は初期値である数値OKです。専門家でもグラスウールが優位になるように間違って宣伝している人がいます。心配な人はこの数値で計算しても良いかもしれませんが・・・。
当事務所で良く使うプラスチック系板状断熱はフェノールフォーム(ネオマフォーム)ですが、このメーカーにより更に独自の経年変化対策が施されています。

 出典:(財)建築環境・省エネルギー機構『住宅の省エネルギー基準の解説(第3版)』

当事務所ではいつも公的機関が発表する資料により客観的中立立場で正しい情報をお伝えしたいと考えてます。


穏やかな連休と・・・。

2010.05.07写真差し替え すみません。サーバーの制限でリサイズになってました。ここにリサイズ無しの画像を置いときます。度々すみませんでした。

新潟県の5月は本当に気持ちよい。風は穏やかに肌をくすぐり、日差しも決して激しくない。耳を澄ませば、鳥のさえずりと小波の音。
平和を感じるありがたい時。我々は過去の人の上に成り立っているといつも感じている。もし一時でも幸せと感じることが出来たなら、それはご先祖様が間違いのない道を歩んでそして引き継がれたのだと感じ感謝以外の言葉が見当たらない。   この写真は光量豊富が得意のシグマSD14によるバルコニーからの手持ち撮影。こちらのリンクはリサイズはしていないのでクリックして船付近の浮かぶ旗を等倍で見て頂いてほしい。ローパスフィルターで焦点ををわざとぼかさない(波がぼやけない)データの自然の画像の良さ。

昨日の報道で米国の核保有数が5000個を超えていると知った。ロシアも同数は保有しているだろう。どうしてこんな数の兵器がこんな小さな惑星に必要なのだろうと思うし、今まで日本以外に使われることがなかった奇跡を改めてありがたいと思う。

しかし、これからはたった一つのボタンで地球上の生物を数百回も死滅させる事が出来るような物質が、人の手によって管理されている事をやめなければならいないと思う。「日本は核を保有していないから自分には関係ないよ」との意見が多勢をしめる風潮と決別し、想う意見ははっきりと発信しなければならないだろう。

マザーテレサは「愛」の反対が「憎しみ」ではなく「無関心」と言った。このことは今の我々にとっても突き刺さる言葉である。最近は今の自分に直接関係しなければ関心が薄い傾向がある。本当にそれが良いのだろうか?

普通家を建てるに当たって30年後を考えるのがせいぜいだろう。これからの家は壊すことなく30年後も引き継がれなければいずれ枯渇する資源(=取り合いになる資源)環境において、正しい判断を下しているとはいえないと感じる。
だからこそ今強く発信する。

クローズされた工法による家造り(大手ハウスメーカーや一部フランチャイズの工法)は、今はどんなにすばらしくても容易に子孫に引き継げない。つまり資源として日本の家にはならない。なぜならクローズされた工法では改築も増築も我々一般の建築士には手出しできないからである。構造がクローズされているので理解が出来ないから壊すしかない。リフォームはできないのである。救いはクローズされた工法の占めるシェアーがまだ35%しかないことである。是非政策としてオープンマニュアル化してほしい。そうでなければクローズの家をこれ以上増やすことは資源の無駄使いになるとおもう。


共感です。神様のデザインする生命の持続

久々に「そうそう!」と思いました。それは・・・
時々ROMしている「環境ガイド」
近頃は、「やっぱり大先生っぽいな」という感じで何となく心に響かなかったのですが、今日の話題はストンと入り、記事を読みながら頷いています。最後に「考え方が最近変わった」とあったので、また一つ上のステージに上がられたのでしょう。御年でも変化する柔軟性。やっぱりすごい先生です。是非皆様も一読してください。低炭素社会の考え方がはっきりとわかります。そして子孫に引き継ぐものは負(危険な廃棄物)であってはなりません。

 黄金 色に煌めく海(寺泊)。子孫にも伝えたい!美しいと心が感じられる平穏な環境を。

環境ガイドから引用~~~~~

10年ほど前までは、省エネに向けて努力することは、持続可能な社会を実現するために必須のことだと考えていた。しかし、このところ考え方が変わった。化石燃料が無い社会の方が、地球人口さえそれに適した規模になっていれば、人間本来の生き方ができるから、幸せを感じる人々が多いのではないか、と思うようになった。

引用終わり~~~~~

これに関して私見は↓です。
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-5e58.html
だから緩やかに着地するために、暖房機がなくともある程度暖かい家(超高断熱)を子孫に残すためにもいま必要としているのですね。

また、

環境ガイドから引用~~~~~

ヒトという生物は、他の多くの動物と全く違った特徴をもっている。それは、この世に生を受けたときに、極めて未熟な状態にあるということである。その反対の極端な例が、鮭である。この世に生を受けた稚魚は、親を知らない。すなわち、稚魚は本能を100%活用して自活する以外に生存する方法は無い。一方、ヒトは生まれ落ちた直後に親ないし他の保護者が必要不可欠である。しかも、かなり長時間の間、保護者が必要である。この間に、教育を受けて、一人前になっていく。教育だけでは不十分で、住む家、食糧なども親に依存している。すなわち、ヒトという生物は、保護者から教育によって大脳の内容物を受け取ると共に、生存に必要な資材を継承することによって、初めて生存ができる。

引用終わり~~~~~

これに関して私見は↓です。
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-1d42.html
環境ガイドでは保護者という言葉になっていますが、ここは「愛情」という言葉がぴったしだと思います。愛情こそ全ての希望です。

持続可能と継続可能の違いは今まで気にもしてなく違えさえわかりませんでしたが、人の寿命が有限である以上、引き継ぐ事が生命の基本的責任と常々思っていました。それが持続可能という意味になります。

まとめです。

私は生命には短い寿命があるから一生懸命、輝くように生きられるし、引く継ぐ責任と持続の希望があるから死を受け入れられると考えてます。

ちょっと話題が住まいから哲学や宗教的になりましたが、住まいは人が形成される器ですので、建築士はここは避けて通ることはできません。尊敬するシュタイナーも哲学者であり、建築家、教育者でもありました。

さて、この生命が進化し持続するという完璧なシステムは、やはり神様が造ったものと思います。感謝!感謝!ありがとう。

PS
ちなみに環境ガイドでは、「2030年の原油価格が$200/バレルと現在の3倍程度となる」としてます。私がいつも事あるごとに申し上げている20年後の化石燃料(特に原油)の枯渇を有名なサイトや人が色々なところでようやく宣言してます。準備を急がなくてはと思います。そうそう私が申し上げる「枯渇」とは、掘削しやすい化石燃料が尽き、大深度や深海など掘削費用が膨大に掛かる化石燃料のことはではありません。だから石炭が今後200年は大丈夫等という情報で楽観をしてはいけません。近い将来に奪い合いで価格が急高騰します。


事務所の連休予定

オーブルデザインのゴールデンウィークは・・・

本日1日(土)・・・営業
2~5日・・・事務所はお休み
但し代表の浅間は連休中は寺泊と三条(事務所)を行き来してますので、もしご相談等あれば事務所へご連絡ください。事務所の電話は電波が入る範囲で浅間携帯へ転送されます。


長期優良住宅と床下暖房の組み合わせには欠点がある?

2010.05.03 薬剤散布で緑字加筆 

今年度も「木のいえ整備促進事業」とうい補助金事業があります。これは実質、昨年度の長期優良住宅普及促進事業と同じで、長期優良住宅に認定されれば100万~120万の補助金を受ける事ができるという事業です。ところがこの長期優良住宅の認定には「劣化防止等級」が最高になる等級3の劣化防止性能がなければなりません。

 この劣化防止等級3では、殆どの木造住宅で白アリ予防剤という殺虫剤のような薬剤を壁の中の木に塗布しなければいけません。すると現場でこの薬剤処理を施すと、通常は外周部の根太や大引という床下にある木材にも吹き付けられます。

そこに床下暖房を施すと木に染みこんだ薬剤が温風によって気化され、居室に温風と共に床下から積極的に取り込まれます。これは10年位前に各地で訴訟にまで発展した○×ソーラーと同じ欠陥(シックハウス)です。床下暖房はすばらしい暖房方式ですが、様々な欠点を持つ諸刃の剣です。

2010.05.03緑字加筆

メイルで「ヒノキ、ヒバ等(ロのaの樹種)を使えば薬剤散布の必要はないのではないか?」と問いあわせがありました。その返答は、

「仰せのとおりその可能性もあります。がしかし現実的には厳しいです。というのは、柱以外の素材もヒノキ、ヒバ等にするのは大変です。柱以外には間柱、筋かい、合板、胴縁があるのですが、合板はすでに薬剤散布(注入)しかありませんし、筋かい、胴縁をわざわざ市販流通されていない材料を使う事で割高になります。ですので筋かい、胴縁をあえてヒノキやヒバを使っているとの話をほとんど聞きません。(一般の建て主さんには樹種の見分けがつきません)更に詳しく言えば、ヒノキ、ヒバでも性能表示のマニュアルでは、芯材がふさわしいとありますが、柱も含め胴縁は普通辺材混入です。芯材だけの胴縁を果たして使っているのとは思えませんし、それは現実的ではありません。よって一般的には薬剤散布が現実的対処です」  芯材の事 参考↓
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-7ac4.html

外断熱を施した家は無論、充填断熱による工法であっても先ほどの室内への薬剤の侵入は確実に起こると予想されます。かといって勝手に現場で薬剤散布を中止すると長期優良住宅にはなりません。長期優良住宅にならなければ、補助金を受けれませんし、もしこの事を伏せて補助金を受ければ、大きなペナルティーが建て主さんと施工者に課せられます。補助金=税金なので、故意の補助金の不正取得には大きな罰則があります。

長期優良住宅以外は、平成13年度から白アリ予防剤散布をしなくても新潟県では一般的に行われる通気工法だけでも一定の防腐防蟻効果があると国(公庫)が認めてます。しかし、一定の効果だけでは長期間の防腐防蟻効果を求めた劣化等級3を満たせないので、防腐防蟻剤を塗布する決まりができました。
どんなに建設会社が「この家は劣化の耐久性がある」といっても、国等が認定しなければ全く意味がないばかりか、実際の性能も疑わしいものです。

ですから長期優良住宅に安易に床下暖房(スラブヒーターも同様)を施すと、シックハウスになる可能性が高くなり、欠点となります。

さて、

オーブルデザインでは事務所設立時の13年まえからこの薬剤塗布に疑問を感じ塗布を一切行わずに全ての家造りをしてます。また当然この薬剤を使わない標準仕様の家造りで長期優良住宅を取得しております。その秘密(もっぱら公開宣伝してますが)は1m基礎にあります。こんなに良い基礎なのにどうして皆さん(建て主さんも建設会社さんも)が「緑の家」をまねてのように基礎1mをにしないかとても不思議でなりません。


最近多い 梁の室内表し(露出)で法律違反か?

この写真のように、最近吹き抜けや梁材が室内に露出する事が多いですね。

この写真の矢印部分等が梁材の端部であれば、平成12年の法律改正で金物によって緊結(しっかりと固定)が実質義務づけられています。そのため一般的な梁の緊結は下の写真のように補強ボルトによる金物(羽子板ボルト)で行います。

ところが最近、見た目を優先してこのような金物を取り付けていない建物を多く見ます。この補強ボルトの見栄えが悪いので敢えてつけないのでしょう。それとも法律上でもここに補強ボルトが必要なことを知らないのかもしれません(法律義務でなくとも、耐力上必要ならつけなければならない)。

しかし法文では

令第47条

 構造耐力上主要な部分※である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。・・・以下省略

具体的には基礎基礎ぐい、壁、柱、小屋組土台、斜材(筋交いや方づえ、火打材等)、床版、屋根版、横架材(梁や桁)を指す。

とあり、その具体例として許容応力度設計の解説本では「全ての梁の端部は最低羽子板ボルト以上を取り付けなければならない」とされています。しかし、どうもこの事が守られていないようです。

建物の最優先は絶対に「安全性」です。これを度外視してのデザインや見た目重視は許されないのではないでしょうか?

もし見学会やカタログで見る機会があれば是非建物をチェックしてみてください。きっとありますよ。
その時金物がなくても大丈夫!」と即答する営業マンは一番タチが悪いと思ってください。法律を故意に違反することは偽造事件と同じですし、決められていることと違うことをする場合は、それ相応の根拠が必要です。

この件では住宅コラムに詳しく解説しているのでご覧頂ければと思います。
ちなみに「緑の家」では標準でクレテック金物を使っているので羽子板ボルトは必要ありません(そのためクレテック金物+集成材を13年前から採用しているのです)。


「新潟の家」の事で伝えたい内容がいっぱいあるのに・・・。その2「緑の家」とは

2010 04 27夕刻加筆修正

伝えたい内容がいっぱいある中で、以前指摘のあった「今までの建て主さんとのお話」が沢山ありますが、プライベートな事も含むのでなかなかご紹介できません。また、そのお話は私の心の中の宝物にも相当するので、おりを見てゆくっりとご紹介します。

打ち合わせスペース。

さて今日は・・・

当事務所の住まいの総称がなぜ 「緑の家」なのか?

この前振りがとても長いですが・・・まず、

地球温暖化対策といって

結構、振り回されていることありませんか?

最近は住宅でもやたら「地球温暖化防止・・・」 目に付きます。

温暖化防止との理由で見当違いの商品化もあります。

当ブログでは以前にも過激な言い方をしていますが

「地球温暖化防止(CO2減)は無理強いできない」のではないか?

と申してます。

但しあきらめているのではありませんし、

また防止策を否定しているわけでもありません。

ただ、今まで好き放題CO2を排出しておきながら、

発展途上国にCO2を削減しましょうとは納得して頂けないでしょう。

だから温暖化防止は急激に進むことがないと感じます。

一人当たりCO2排出は世界8位。しかし全量に対する日本の排出量は4.5%と少ない。米国、中国、加国が取り組まなければ意味がない。

それを踏まえてプラス思考で考えます。

地球の歴史を振り返ってみると、

恐竜時代が1億年以上も続いていた事が知られてます。

因みに人間はまだ誕生から400万年いわれてます。

恐竜が住んでいた時代は、いまより気温が5度から10度も高く、

大気中のCO2濃度も今より数倍も高かった事が調査発表されてます。

この大量のCO2で樹木は大型化し旺盛だったとも言われてます。

事実、事務所の水槽に大量のCO2を与えると

光は同じでも水草が倍近く早い凄い成長をします。

一方氷河期といわれる時代も長く、温暖化と冷氷期を繰り返してます。

ここで生物に生死の影響が高いのは「氷河期」のような寒い時期です。 

出展:Wikipedia 2万年前は本州と全てつながっている陸地

一番最近の数万年前の氷河期では、なんと瀬戸内海、東京湾も陸地でした。

それが温暖期に入った1万年前から氷がとけて

海面が120mも上昇してつい最近、今の日本の地形になりました。

↑(ネットの様々な情報から)

ここから学べる事は、

温暖化防止ではなく→温暖化になった時の対策です。

例えば今後温暖化で海面が上昇に備えて

今後低地には都市は造らない。←すごく過激ですが

「低地の都市は緩やかに低地以外に移設しよう」です。

低地を海抜8m以下とすると・・・

新潟県では新潟市は殆ど低地になりますし、

新潟平野の信濃川流域(三条市、白根、巻)も相当低地があります。

また東京の都心も愛知、大阪も低地地域は多くあります。

このような低地では今後台風による被害、高潮が増える事は

専門家の中でも強く指摘されております。このように温暖化による

海面上昇は国土縮小等も含め大きな問題を引き起こします。が・・・、

地球上の生物は地球に合わせて行動や生活を変え、

また一方では生物の行動で地球の環境を変えてきました。

人は産業革命以後200年間も地球の環境を変えてきたので、

これから200年間は地球にあわせて行動する事が

理にかなっているとおもいます(簡単ではないでしょうが)。

CO2をできる限り抑制しながら、

大事に、大切に資源を使う、そして「足を知る」

という事です。やっと本題ですが・・・

そしていつの時期でも一番大事なのは、

大量に酸素を造ってくれる唯一の生物、

植物=緑を大事にする事です。

もしCO2が増えれば、植物は盛んにO2を増やします(CO2が減る)。

だからこそオーブルデザインは家と共に身近の木を大切に考え、

いつも緑と共にある事を肌で感じ過ごす事が必要です。

これが「緑」と共にある「家」=「緑の家」なのです。


新潟の家 超高断熱高気密の家 過去を熱く語る。

今日の朝は寺泊海岸清掃のボランティアです。昨年の嵐とは違い快晴で気持ちよく参加しました。

美しい海岸を次の世代にきちっと引き継ぎたいですね。皆さんお疲れ様でした。

さて、昨日も建て主さんにある事を熱く語ってしまい少々反省です。
それは・・・

以前からご紹介しているとおり

「家造りの過去を消去するな」

です。
製品寿命が10年から20年の家電製品や車でも、誠意があるメーカーのホームページに行けば普通は過去の製品のスペックや取り扱い説明書などが閲覧できます。
ところがなぜか家を提供するハウスメーカーや建設会社、工務店のホームページにはありません。まず間違いなく消去されています。

家の寿命は短くても30年。そしてこれからは50年以上、もしくは100年くらいは使い続けたいと願っている人が多いと思います。
だからこそ過去の家のスペックや考え方の保存期間は20年以上はほしいと思いませんか?しかし、現在の住宅業界ではたった2年間まえの家造りの姿勢やスペックでさえ残っていません。完全に故意に消し去っています(当事務所では13年間まえのお勧めスペックなどほとんど残ってます)。新しい現在お勧めの性能やデザイン、仕様だけ大きく掲げ過去の家はほとんどありません。

いくら完全注文住宅でもその当時建て主さんは、工務店さんが勧めるあるスペック(例えばこの家は檜で全てつくられているとか、地震に対してはこのように考えているとか、気密断熱性はこう考えているとか、基礎はこのように考えている、内装仕上げはこれが良い)を聴いて、そしてそれを信じて購入しています。
だからその頃の情報を削除する事は、その当時の建て主さんを削除しているような気がしてなりません。

ではなぜ消し去るのでしょうか?

「過去お勧めした家造りのスペックに自信がない」
からでしょうか?

「その時だけよければ10年後はどうでも良い家」
だからでしょうか?

性能が高ければコストが掛かります。だからコストと性能のバランスを考え、この家なら20年後も性能的に問題無く使えるよ。とか10年は大丈夫とかと決めてお勧めしているのではないでしょうか?そうであれば自信をもって過去を紹介すれば良いと思います。それが国民の生命と財産を守る建築士という国家資格をもつ「プロ」といえる仕事だと私は考えます。


築20年の今日の拙宅。シンボルツリーの幹の陰がシルバーグレー色の無塗装の外壁に。この陰がつくるデザインはどんな有名な画家でも描けない一瞬一品もの。しばし見とれる・・・。

ちなみに拙宅は築20年経ちます。その性能はQ値で1.9、C値で0.9です。今も上位クラスの家の性能で、勿論快適です。そして、20年前から無塗装の木を全ての壁天井に使っています。だからこそ今でも自信をもって緑の家を勧めていますし、これからも過去を消す事はありません。


新潟の家 高基礎の床下はヒートファクトリー 排温水利用実測①

1月に完成し2月から本格的にお住みになっている「緑の家」SSプランの超高断熱の住まいの実測データーには大変驚かされました。

そして今日はそのSSプランのもう一つの目玉である「Heat Factory&Strage System」の実測データのプレ報告です。

 まずおさらいですが、

Heat Factory&Strage Systemは上の図のように高基礎の床下を、熱工場と大収納にするシステムです。大事なポイントは、SSプランのように超高断熱&高基礎と組み合わせる事です。

Heat Factoryの簡単な特徴は、いつも捨てているお風呂のお湯やシャワーの湯から、熱だけ奪い取って冷水にして捨てようと言う事です。もったいなから洗濯機に残り湯を使う方も多いと思いますが、その場合は浴槽のお湯だけしか使えません。ところがこのシステムは、お風呂場で使用した全てのお湯から熱だけを奪って捨てるので、お湯の熱が無駄になりません(もったいない精神です)。

簡単なシステムフローは、

「浴槽湯を捨てる、シャワーを浴びる」

「床下のタンクに貯湯される」

「次の日の湯張りまで床下で放熱」=暖房となる。

「浴槽にお湯をはる」

「貯湯されたタンクの中を給水が通る」=熱を給水に与える。

「貯湯タンクの下部水が冷える」
「熱が与えられた給水はエコキュート(電温)のタンクへ」

「お湯を捨てる、シャワーを浴びる」

「冷たい水がタンクから下部水フロー排水される」

となります。電気など一切使わないシンプルな構造です。この排水から次の湯張りまで22時間の時間差があるのがポイント。
もし次の日入浴しなくても、床下への自然放熱だけでもお湯から半分程度の熱エネルギーは回収できます。さてその実測結果は

 床下への自然放熱(暖房)の結果。しっかりと周りの室温になるまで水温が下がる。

給水への熱交換がされている状態。給水温度7度でタンクから出た時は12度から28度と最大20度の温度上昇。

上のグラフは3月上旬のある一日の貯湯タンク内水温変化(上)と、夕方の湯張り時のタンク内で熱交換される給水の入り口と出口温度を示してます。

どうですか?計画どおりきっちりと熱回収されているのがわかりますね。完成見学会で「本当に?」と言われた方、この結果をご覧頂けたでしょうか?

いずれも熱回収された部分は赤色です。まず20時間かけて自然放熱で床下に熱を放出します(暖房エネルギーになります)。更に湯張り時に、7度の冷たい水がタンク内の21度以上の中で熱交換され、12度から28度(タンク内温度に依存)まで上昇し、その後電気温水機やエコキュートに入ります。排湯タンク内にはこの給水で冷たく冷やされた冷水ができ、その水は下部に分離層を造りながら溜まります。その冷たくなった水を排水(オーバーフロー)させて1サイクル終了です。

お風呂の湯張り後直ぐに入浴、排水すれば冷たいままの水がオーバーフロー排水されます。少し時間ををおくと(2~3時間以上)冷たくなった水は、タンク周囲の空気で温められ温水として排水されるので、できれば湯張り→入浴→排水がスムーズ行われた方が効率はよくなります。しかし仮に温水として捨てられても、タンク周囲温度以上に水温は上がりませんから、当初の自然放熱分としては50%は行われます(下部分離水温はこれから解析します)。

また、排温水をいかにタンク内に拡散させないように入れるかはポイントで、施工時2回手直しを設備屋さん(新潟市の本間工業さん)からして頂きました。感謝です。

謝辞
本システム、改良、測定に助言を頂きました新潟大学のA先生、また機器設置、測定に多大なるご協力を頂きました新潟県立大学の坂口先生にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。


「新潟の家」の事で伝えたい内容がいっぱいあるのに・・・。

ある人から

「毎日ブログを書き込む事大変じゃない?話題とかある?」

といわれた事があります。

私にとって書き込む話題に事欠く事はなかなかありません。

日々の仕事や暮らしで新しい発見やわくわくするような経験が

いつも起こります。感動も・・・。

大変なのはその事を書く時間がないと言う事です。

特に最近は忙しくゆっくりブログを書く時間がありません。

時間がないので

「誤字、脱字が多数」、「文の繋がりが変」といういい訳は

しませんが・・・(この事が既にしていますね)。

 先日のブログで取り上げた縄文時代の日本の人口は、

この資料によると大凡2万から30万人でしたね。

普通に考えると縄文後期の方が人口が多くなるのに

縄文後期に著しく減少し30万→8万人に下がりました。

これは地球全体が一時寒くなったためと、南極の氷の調査解析から

わかっています。寒さ→人口減(つまり生命体がへる)事です。

暖たかい生活が人に豊かさと心の平穏をもたらす

といつもこのブログで申し上げています。

この頃の寒さによる恐怖がDNAによって

今も人に受け継がれているように感じます。

厳しい寒さが来ても家の中なら大丈夫という安心感を

「緑の家」の超高断熱という技術でこれからも大事にします。

ここからは蛇足で、家には全く関係ないので読み飛ばしましょう!

上のグラフの右側部分。将来の日本の人口予想は・・・。

なんと90年後には4770万人と現在の1/3くらいです。

でもこのくらいの人口なら今後の日本技術を持ってさえすれば、

日本内の自給自足(エネルギーも食べ物も)は何とかなりそうです。

課題は人口減になりながら経済の成長または維持です。

これを何とかみんなで目標を決める事が今の私たちの

未来へ繋ぐための課題です。

少子化対策とは、人口を増やす施策ではなく、

「人口半減でも成り立つ日本社会にするシステム」と

私は思います。

人口増→経済成長は既に過去の事です。


「自然共生建築を求めて」を読んで。

先週、「自然共生建築を求めて」という本を購入し、読み始めましたとご案内しました。ようやく読み終えて感想を・・・。

「すばらしい!その通り・・・ただ難しくしすぎて私では読み飛ばしてしまう」の一言です。きっとその分野では凄い事が書いてあると思いますし、私がよく助言を頂く環境系先生も「その分野では第一人者」とおっしゃっていました。興味がある方はどうぞお読みください。

この本ではエントロピーエクセルギーという概念で様々な現象を解いています。これが意外と頭に入らなくて、この概念に置き換えなくとも普段の生活の表現(経験則)のままの方が良いと私みたいな老化が始まった人はそう思いました(温房概念は理解が容易)。

ある物質を人が使用すれば(エネルギーを使えば)、廃棄物(熱も含)は必ず発生する事は日々の生活で身にしみてます。またこの廃棄物は、人間以外の他の生物がまた使用して、それを繰り返すことで再び人間が使用できる状態になります。これは大地と共に暮らしていれば当たり前に実体験でわかることです。これをあえて建築関連ではエントロピーとかエクセルギー等という机上の言葉にするとわかりにくくなり、とてもついていけませんでした。
また開かれた系においてエクセルギーの使用には必ず熱などを捨てなければ使えないという発想は少し理解が・・・できませんでした。循環に順番はなく、あるのはバランスのみでは無いかと思ってましたから・・・。逆を言えばバランスがとれていなければ循環はあり得ないと言うことだと思っていました。近年の地球の気温が上がる現象はバランスをとるために温度修正をしているだけで気温が上がれば、宇宙へ逃げる熱は増え、また太陽の熱を空気中の多量になった水蒸気で遮る等しながら数十億年過ぎたのだと思ってます。
エネルギーの概念では必ずこういう定義(エントロピー等)が無ければいけないのですが、私みたいに実践だけの設計者は非常に頭に入りにくかったです。つらい・・・まさしく老化です。

もし「自然と共生する建築」と問われたら私の率直な意見は、

「自然共生建築」や「環境共生住宅」などは出来ない。多分その言葉を使うなら
「自然共生の文明の建物」や「環境共生文化の住まい」になるだろうと思うからです。文化や文明の中の住まい方の一つに建物があるだけかな?

私は今の社会で一住まい(いちすまい)の単位で自然と共生するなんてとてもいえないと思っています。仮に一都市の単位でも同じで日本のほとんどが同じ意識(つまり文化)にならなければほとんど意味の無いことで自己満足(趣味)にしかなりません。本気で考えならまずは東京一極集中の施策を最初にやめなければ到底無理でしょう。

田舎である「寺泊」に住み、趣味で自然農等に関わっていても、自給自足、自然のサイクルに寄り添う事などできないと日々知らされているからです。多分大都市に住むんでいると感覚が麻痺し、日本でも田舎に行けば、自然と共生できる建物が出来ると勘違いするのでは無いかと思いますが、日本において現代の文化では無理といえるでしょう。

仮に一個人レベルでも山に籠もった仙人のように生活すれば自然と共生しているのでは?等と問う方もいらっしゃると思いますが、その人が暮らして行くためにどのくらいの縄張り(テリトリー)が必要でしょうか?せめて1km四方の土地は最低いるでしょうね。すると日本の国土が377,835km2ですからたった37万人しか仙人になれません。それを裏付けるように縄文時代はこのくらいの人口でした。これ以上の人数では食料やエネルギーで争いが絶えないでしょう。山でとれる食べられる物は思っているほど多くありませんし、木だって一度切れば30年後でないと使えません。
余談ですが実は稲作が最初に人を自然環境との共生文化から決別させたのです。稲作により、飛躍的に人口が増え、分業が進み文化(生活方法)が変わって急に人口密度が増え始めたのです。さらに18世紀の産業革命で今まで地球が経験したことのない未曾有の急激な人口増となります。

さて、ここまで来ると話があまりにも飛躍してしまいますので、少し戻して・・・

田舎に住み、自分のテリトリー内である程度循環させる事を考えると、その時の基本は

「大切にする、使う」

につきます。自然農の行われている畑では、勿論水道なんてものはありません。山に降る雨水がメインですから、これを貯める事から始まります。雨水でも一度土に染みこんだわき水を使いますが、あふれる程あるわけでもありません。乾期には枯れますし・・・だからその使用には順番があります。飲めるような浄化装置はありません。飲み水だけは自宅から容器で持って行きます。
まず一番きれいな水は食器荒い等に使います。次に野菜の下洗い、最後に畑へ・・・。大切に大切に使います。大切にすれば、何とか貯め水だけでやりくり出来ます。

このわき水はこの自然農のガーデンの持ち主が水のかすかな音を頼りに掘り当てた(40cmくらい地中の水脈)

煮炊きも山の枯れ木を使いますが、釜などを造って効率を考えます。野炊きではあっという間に多くの木を燃やしてしまいますから、釜を作り枯れ木でさえ大事に燃料にします。でないと木は直ぐに無くなります。例えば以前から申し上げておりますが、断熱性能ない家での薪ストーブは地球温暖化防止に貢献してません。大事に資源を使う工夫を今の技術を使って最大限努力するのです。釜の中であれば小枝だけでも煮炊き可能。

こういうことが自然と共になるべく過ごす基本です。自家発電装置だって畑にはありますが、全く人工的な物を排除するすのではなく、大切に使わないとあっという間に資源は無くなる事を学ぶのです。そして「足を知る」事です。それが今の日本人が自然と共生する第一歩です。広大な土地と資源を持つ米国のまねをしすぎたところを直す事から始めることが重要だと考えてます。

しかし縄文時代のような生活を目指す事では無く、せっかく祖先が造った文明の利器を使い、今の技術にあった自然と共生する文化を目指すのですね。たとえば寒いときには暖房を・・・、移動運搬には車を・・・またソーラーパネルから電力を・・・。
そして暖房が手放すことが出来ない文化なら、その暖房のエクセルギーを浪費しないように大事に使わなければなりません。太平洋側では、日射が多く利用できるのである程度の高断熱と蓄熱などと組み合わせれば良いのでしょうが、お日様がでない日本海側の住宅では「超高断熱仕様」が必須となるのです。


新潟で自然素材の家 木は濡らさない② 木の外壁

まずこの写真から

三条市の旧大通り近くにある建物です。窓の中をよく見るとわかりますがこの建物は土蔵造りです。土蔵の外壁である漆喰壁はその漆喰内部の土壁が湿気で脆くなるので数十年に一回塗り直しが必要です。そこで最近の土蔵はメンテナンスを減らす意味で漆喰壁を覆うように木の外壁を貼ります。昔ながらの白い漆喰の土蔵は見なくなりつつあります。

この木の外壁は杉の無塗装です。約30年から40年経過してしていると思いますが、まだまだ十分美しく、もう20年くらいはいけるのではないでしょうか?このように上に屋根があるだけで木の外壁はよく持ちます。この外壁を留めている釘は鉄ですが、この釘が先にだめになるでしょう。

そして驚くべきは、窓の上の庇が木だけで出来ています。デザインも美しく、見事にこの倉にマッチしてます。さすが昔の大工さんは、木をどこにどのように使ったら良いかよく心得てますし、美的センスも持ち合わせています。

この木だけで造った庇は上屋根に守られ、こちらも機能上全く問題ありません。木は屋根があれば、無塗装であっても非常に腐りにくい素材です(但し新潟県平野部は西側は季節風があるので寿命は25年から35年)。
しかし屋根がなければあっという間に腐り土に帰ろうとします。この庇だけを見ると杉をウッドデッキの床に使っても腐りにくいのではないかと考えてしまいますが、これは間違いです。水がかかりにくく、仮に掛かっても屋根のように斜めで直ぐに水が切れる事が重要なのです。

ずいぶん前から何回か1 2 3  )申し上げておりますが、
最近の設計者は屋根の出がない家(軒の出の無い家)をよく設計します。流行の軒の出のない家に木の外壁は避けなければなりません。例え防腐オイルなどが塗ってあっても、あまり意味はありません。屋根の下の木に比べ寿命は1/2以下でしょう。特にエコや自然を大事にと御旗を掲げたのに、自然素材の代表である木を雨ざらしで使っては全く逆効果で自然素材の浪費となります。


今日は仏前で結婚式・・・

 春は喜びの季節。そんな桜満開の新潟市で今日、従兄弟の結婚式がありました。結婚おめでとうございます。この話題は全く家関連ではないのですが、仏前結婚というなかなか出席できない式にお招き頂きましたのでご報告させて頂きます。生物である人は、死と生が最も大きな事柄ですが次の大きな節目として結婚があると思います。お焼香と半鐘の音が響くそんな式に参加させて頂くと、いつもと違った見えない幸せパワーに包まれ心地よくなります。ありがとうございます。末永くお幸せに!

そして・・・いつものように泣かせて頂きました。


換気扇フードの欠陥。換気不良の原因で結露やシックハウス!

オーブルデザインでは換気扇フードは決まった物を使用しております。ですがあるお宅で指定品番と違う物が付いているのに数ヶ月のアフター点検で気づきました。
完成の竣工検査で気づく事ができず建て主様にはご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。この場で改めてお詫びいたします。

 さて、取り付けられていた換気扇はフードは上の写真のように網が付いてます。これが問題なのですね。当事務所は設立以来このように網が付いているフードを一度も指定(取り付けた)した事はありません。それは下の写真のように直ぐ埃で詰まるからです。特に排気用換気扇は、室内の埃が付きやすく早い時は1年で、遅くても数年でつまります。詰まると殆ど排気されず換気量不足に陥り、冬は結露が発生し、夏はシックハウスになる可能性が高くなります。この写真のような位置に網があるとメンテナンスはまず不可能です。更に高いところにあれば、専門家に頼んで外すしかありません。

 上の換気扇をひっくり返した所。表からでは埃で詰まっている事に気づかないからとてもやっかい。

実は換気扇フードカタログでも末尾の品番1文字違いで普通に網付きのフードが売らてます。何となくあると虫が入らないような安心という錯覚に陥ります。だから専門家でも間違った知識で取り付けられている可能性は高いとおもいます(今回も電気屋さんが勝手に気を利かせたつもりで付けていた)。
もし皆様の家にこのような換気扇フードが取り付いていたなら、直ぐに交換してもらいましょう。これは換気扇のシステム欠陥です。24時間換気が法律で定められた10年以内の建物なら無料交換となるはずです。

因みに「緑の家」にお住まいの皆さまは大丈夫です。網はありません。


新潟で自然素材の家 木は濡らさない①

最近「木」を外壁に使った家や建物を多く見ます。木を使った外観はとても柔らかい雰囲気を出し人気があると思います。
木の外観はとても歴史が古く、日本の建築の外壁は「木」だったと決めつけても問題ないくらいです。ところが戦後の建築から木の外壁が消えました。この原因は「防火仕様厳守」→「高価になる」という事が大きかったと思います。このことは後に再びお伝えします。

アイアンウッド(ウリン)で造った大きなT邸のウッドデッキ。当初この木は無塗装のままのでこんな茶色。これが数年でシルバーグレー色になる。

木は濡らさない①

今回は流行の「ウッドデッキ」から・・・。まず簡単に歴史を。

新潟県ではウッドデッキは15年くらい前から流行し始めました。当事務所でウッドデッキを初めて造ったのは、事務所開設後直ぐの12年前になります。この頃はウエスタンレッドシーダーという材で造りました。この材は当時は高価でしたが、腐りにくいのであえて採用しました。今も立派に機能しておりますが、やはりそろそろ痛みが目立ち始めました。

その後ウエスタンレッドシーダーと耐久性が同等と言われた防腐剤が入った針葉樹系の材料でコストを押さえた造りで2棟、そして6年くらい前から全てアイアンウッドでウッドデッキを計画してます。このアイアンウッドで造るきっかけとなったのがある建て主さんの一言です。

「木自体の材料価格が2倍しても、2倍の耐久性があれば、その材料で造ってくださった職人さんの努力は倍の時間は無駄にならない。勿論コストも・・・。」

本来なら私がそれを申し上げる立場なのですが、この一言で多少コストが高くてもアイアンウッドを奨めようと決めております。

ウッドデッキには色々な木が使われますが、ほぼ次のような耐久性です。

スプルス     ・・・4~6年
杉         ・・・5~8年
松         ・・・5~8年
檜(ヒノキ)    ・・・6~10年
ヒバ、米杉    ・・・6~12年

加圧注入(軟材)・・・7~15年
〃    (良材)・・・10~20年 公園の設備等に使用
アイアンウッド等・・・20~30年 桟橋などに使用

 これは防腐剤(ex.キシラデコール等)を塗布しても殆どかわりません。というのは、木は各接合部から腐り始めます。一度組み立てた接合部には、防腐剤を追加で塗る事はできません。その接合部でも木口と呼ばれる部分からの腐朽が殆どです。この木口は接合部であり、この接合部がだめになると安全性が確保できないので寿命となります。まだ丈夫な平部分があるのにも関わらず・・・。こちらのリンクはログハウスが築10~15年で腐ってリフォームした情報です。

今は流行で雨ざらしでウッドデッキが造られますが、メンテナンスの有無に関わらずアイアンウッドや加圧注入(中材)以外はほぼ10年で朽ちます。それは間違い無い事です。しかし多くの建設会社や工務店さんが「大丈夫!メンテナンスすればある程度腐らないよ」と奨めてますが、これは間違った認識です。
昔の大工さんは雨ざらしで木を使う事は絶対してません(屋根を除く。屋根がOKだったというのは、屋根が多少腐っても人が載るような、また建物自体に危険が及ぶ場所でなかったためです)。

木は雨ざらしでは必ず腐るのです。特に松、杉、檜(白太)は10年以内で使用不可です。この点は間違った認識をしている専門家(工務店、建設会社)より賢くなり、無駄なコスト削減と資源保護をしたいですね。


ちょっとだけ急がないと補助金100万が・・・。

「平成22年度 木のいえ整備促進事業(長期優良住宅普及促進事業)の募集開始について」が先日ようやく発表されました。が・・・
なっなんと、今回の補助金100万(120万)の申し込み期限が
10月1日必着となっています。ということは・・・
8月31日までに設計図を全てそろえないと間に合いません。ここから逆算すると当事務所の場合は・・・

4月 設計ご相談
5月 基本設計終了
6月 実施設計開始
7月 実施設計終了
8月 長期優良住宅申請、確認申請手続き
9月 見積もり後(入札) 請負会社決定 契約 補助金申請

となります。
4月5日頃にようやく発表されたこの補助金ですが、実質8月くらいには殆ど終了していないと申請できません。あまりにも早すぎますが、なぜこんな急ぎ足になったのでしょうか?
   
その平成22年度 木のいえ整備促進事業(長期優良住宅普及促進事業)の募集開始についてはこちらに詳しくあります。
もしこの補助金を目当てにされている方はちょっとだけ急いで行動した方がよろしいかと思います。
こちらの補助金を逃すと次はエコポイント(30万)になりますから70万も違う事になります。

民家の涼しさを検証する・・・大地露出構造

さて、冷房中の家でどこに洗濯物を干すか?に少し昔の民家が涼しいと言われる理由をダブらせて考えてみます。ここからは番外ですが、昔の民家のすばらしさわかります。

まずおさらいとして

夏の洗濯物は「排気用換気扇の近くで干す」事でした。これは

洗濯物が乾く時、空気から熱を奪い、これで冷やされた空気は下へゆっくり下がります。一方気化した水は湿気(潜熱)となって均一に広がろうとしますから、これを排気用換気扇で広がる前にできるだけ排出するのです。すると顕熱は冷やされ潜熱だけ排出されやすく、家の冷房効果が上がります。大きな効果は無いですが理屈ではこの方法が良いですね。

と書きました。実はこの原理を昔の民家は家そのものがもっていました。

続きを読む


超断熱住宅における冬の洗濯物④ 新潟の自然素材の家から

超高断熱住宅における冬(夏)の洗濯物のお話も最後です。その4は・・・

まず最初に・・・超高断熱で夏の冷房のお話をすると、

「この工法は○×といって夏でも昔の民家みたいに涼しいよ」

と胸を張っておっしゃっている建設会社や工務店さんがいらっしゃいます。

???です。昔の民家はその工法だけで涼しいわけではありません。周囲の環境もとても重要です。昔の民家の周りには近所はなく裏に山や田んぼがあったりします。その山や田んぼの緑で冷やされた(ご存じ気化熱です)空気が、家中に呼び込める環境があったからこそ涼しく過ごせる事も可能でした。むろん住んでいる人もステテコにランニングシャツと軽装で通風の抵抗となる網戸も皆無でしたし・・・。それを無視して工法だけ工夫すれば涼しい家ができるなんて都合の良い解釈は、家の設計者、提供者として失格です。襟元の閉まった服装や長ズボンを身につけるような現代の生活では、仮に昔と同じ室温、湿度でも不快に感じてしまいます。
都市部では特に暑い日ほど夜も温度が下がりにくいので夜間通風さえも期待できません。←その論文です(たった2%の効果)。

さて昨日の続きです。

おさらい・・・

エアコンは空気だけを冷やしているのではなく湿気を除去するのに半分もの電気エネルギーを使用しているのですね。

それが前提でようやく換気扇の話になります。
顕熱交換型換気扇は温度だけを交換します。つまり折角全エネルギーの半分ものエネルギーを使って除湿した空気をそのまま捨てているのです。数値で表すと

顕熱交換率80%の顕熱交換換気扇は、実際には80%×0.5=全熱回収率40%
↑一昨日のエアコンは半分は除湿(潜熱)負荷なので0.5とした。

顕熱交換率70%、潜熱交換率50%の全熱交換換気扇は
70%×0.5=35% + 50%×0.5=25% →全熱回収率60%

全熱交換型換気扇の方が1.5倍も熱回収効率がよいのですね。

更に全熱交換換気扇の方が湿度を空気を冷やしすぎること無く下げる事ができます。つまり温度が高くてもカラッとした空気になりやすいのです。

夏にありがちな冷房病は低温高湿で起きやすく高温低湿の環境では起きにくいと言われてます。確かに夏に湿度が高い日本(新潟)より、湿度が低い中東(カイロ等)の夏の方が過ごしやすいですね。

さて、冷房中の家でどこに洗濯物を干すか?
ここまで連続第四回にお付き合いして頂いた方なら何となくわかりますよね。それは・・・

「排気用換気扇の近くで干す」事です。

例えば換気扇が動いている浴室内とか・・・夏は浴室換気扇を連続or4時間以上ON。

洗濯物が乾く時、空気から熱を奪います。これで冷やされた空気は下へゆっくり下がります。一方気化した水は湿気(潜熱)となって均一に広がろうとしますから、これを排気用換気扇で広がる前にできるだけ排出するのです。すると顕熱は冷やされ潜熱だけ排出されやすく、家の冷房効果が上がります。大きな効果は無いですが理屈ではこの方法が良いですね。普段も何となく排気用換気扇の近くで干しますが、これは夏が効果的で冬はあまり関係ないと言うより、逆効果になります(家中暖房する前提・開放型ストーブは論外)。

さて、ここまで4回で「超断熱住宅における冬の洗濯物」についてお話ししました。こんな理論的な話はつまらないと思いますが、設計者にとって理論は設計の拠り所となります。

最後にネットで見つけた個人ブログで、ある有名な工務店さんで家を建てた日記がありました。スラブヒーター(床下暖房)というキーワードで入ったのでそのページを見ると、
「新築後直ぐにスラブヒーターが工務店の説明とは違い、冬暖かくならなかった。メーカーにも来てもらったが機器は正常だがやはり家は暖かくない。そこで工務店さんは薪ストーブを代わりに用意してくださった。とてもありがたかった。」とありました。
普通は「いい工務店だね」となるのですが、技術者の私から見れば「建て主に原因を不明にして、追加で暖房機をもらってっも、この先暖房費を払うのは建て主さん。仮に暖房費を負担してくれてもあたりまえ。多分原因は、高断熱高気密性能がしっかり出ていなかったので、想定したヒーター容量では暖まらなかったのだろう。これは設計と施工のミス。」となります。ここから見ても・・・
まず理論、次に実践(施工)、検証という事がわかります


最近の事 敷地調査・相談・自然共生住宅・朱鷺等

2010/04/20加筆

本当は「超断熱住宅における冬の洗濯物④」ですが、ちょっと息抜きで最近の事から・・・

最初の話題は・・・
昨日は基本設計の敷地調査で新潟市北区にお邪魔しました。北区は名前の由来(豊栄)もすばらしいですが、ゆったりしたした町の雰囲気も大変良いですね。
基本設計を始める前に必ず現地へ足を運び、その土地にどんな家が建つのがふさわしいのか想像する時間は設計者としての基本中の基本です。これは儀式のようなもので、土地から感じる「気」のような物を察知しなければなりません。
ただ単に道の幅や水道、ガス、用途地域調査や採寸だけが目的では有りません。心をオープンにし、神経を集中して感じ、想像します。良き緊張感・・・感謝です。

 また本日は福島県からわざわざ当事務所にお越しいただき、ご相談された方がいらっしゃいました。遠路はるばる当事務所にお話があるという事でお立ち寄りなりました。たいしたお話はできませんでしたが、とても品のある話方は私も見習いたいと思いました。ありがとうございます。好物のシラスのお土産まで頂き感謝です。
本格的な春を迎えオーブルデザインはバタバタ忙しくなってきました。

次の話題は・・・
「自然共生建築を求めて」という本をアマゾンで購入しました。著者はこの分野では第一人者で著名な「宿谷先生(都市大学教授)」です。なぜ購入したかというと、いつもお世話になっている上野住建さんのご紹介で、宿谷先生が講師の5回連続セミナー(東京)のお誘いがあったからです。上野住建のYさん(名前出していいのかな?)にはいつも、とても感謝してます。
さてセミナーは一回2時間くらい。それだけにエネルギーを消費して5回も東京へ行く必要がありますので、それにふさわしいかまず先生の著書を読んで見ようと思ったからですが・・・。時間がないのでまだ読んでいませんがなんと今週末にでもと思ってます(この薄さで2450円だから中身に大変期待します)。

 読む前ですが私はまだ自然共生建築の理屈はわかりません。しかし自然の驚異(冬)と恩恵を常に垣間見る事ができる田舎「日本海の水際」に住み、更に自然農にも関わっていると、理屈よりその大地と共にある程度自給自足し生きる日常生活そのものに、「自然共生住宅」の答えや目指すところがあるような気がします。 4月19日に読み終わりました。感想はこちら

だからこそとにかく自然から産みだされる素材にいらぬ手を加えない「無塗装」の木の外壁を奨めたりしているわけです・・・。

最後の話題・・・
昨日の報道で「朱鷺のゲージには250カ所を超える穴が見つかった」と流されました。
250カ所以上も・・・朱鷺とそれを支援された地元の皆様にはさぞ無念だったでしょう。

「その1」でも話しましたが、このゲージの現場施工者にも責任はありますが、なんと言っても今回の責任は発注した行政とその工事監理者にあります。
工事を完璧にこなせば?と主張される方もいますが、人間のすることに勘違いやミスはつきものです。だから工事監理者が法律で決められていて2重のチェックをするような規定があるのです。

そもそも朱鷺のゲージ発注書(設計図書)仕様には、
「鉄骨と柵にできる隙間は全て金網?によって埋める」
と記載があるのに、それを完成時にチェックしていなかった工事監理者と発注者に大きな責任があると考えてます。
朱鷺はまだ子供です。子を育てる親は、安全性に手抜きはありません。手抜きがあればそれは生命の危機があるからです。子供がまだよちよち歩きのころは、勝手にどこかに行かないように家の中でも柵を設けたりしますが、この柵が閉まっていなかったことと同じです。こんな事は親(全責任者)にはありえません。

人間の都合で絶滅した朱鷺を勝手に再び生息させ、そして大きなお金を使い繁殖し、無責任な監理で朱鷺を死なす。そしてその責任の所在は曖昧。

住宅でもよくあります。誰が”設計図と完成した工事が同じか”チェックするのか?
それは法律上の工事監理者です。法律ではこの監理者はその職務が遂行されない時には責任をとらなければなりません。が、巷ではその監理者と建て主さんは工事監理契約をしませんから、責任が曖昧になります(今回は建築物でなければ工事監理者はいない可能性有りですが、そのなると最終責任は税金を使う行政になります)。

曖昧・・・時には良い事もあるのですが生命の危険や大きなビジネスでは不可です。


超断熱住宅における冬の洗濯物③ 新潟の自然素材の家から

昨日、一昨日も前文で

設計事務所では特に理論と実践を大事にします。設計はそもそもこの世に同じ物が無いので設計する事になります(あれば前の設計図をそのまま造れば良いので設計図の必要がない)。だから今まで一度も造くられた事が無いので「理論」を頼りにし、設計段階で「理論」が成り立たなければ「実現」は困難と言う事を知っているからです。←当たりまえですね。

と書きました。が、今日は夏のエアコンと換気、洗濯物に話が移ります。

まず、市街地に建設される家は、真夏のエアコンは必須といえるでしょう。様々な建設会社さんが「夏も涼しい家」と宣伝してますが、これは過度に期待しない方がよろしいです。

なぜか・・・  本当に暑い日、熱帯夜は

1.市街地で、最近は防犯上から窓を開けて就寝できない。

2.市街地で、同上の理由によりちょっとした留守でも窓を開けて外出は不可。

3.窓を開けても、網戸、目隠しのすだれ等で風の抵抗が上がり通風不可。

4.仮に通風ができたとしても、お隣のエアコンの音がうるさいので窓は閉める。

ですね。←ですが決して通風は否定してません。

窓を閉めたままなのにずっと涼しいという家は、何か断熱に欠陥があると思ってよいかと思います。それは人の体温は100Wの熱源で待機電力と合計すると家一軒で約500W、これに大型テレビでもONすると合計で1,000Wのストーブが家の中にあるようなものです。
本当に高い断熱性能がある家なら1,000Wのストーブがあれば数時間で空気が5~6度も暑くなります。だから冷やす仕組みや装置がなければ室温が上がるのは当然です。むろん数時間の外気の上昇と室温の上昇のずれはありますが必ず数時間で室温か湿度が上がります。←凄く科学的な事です。

冷却装置としてたまに天窓や越屋根を付けてそれで通風を得ようととの試みがありますが、それもヒートアイランドの市街地ではなかなか効果がでません(これも20年前に実験している)。

勿論、郊外の家で、敷地300坪、周囲は緑であればこれは、これは、木々による気化熱の天然冷房や通風涼も有りでエアコンは要りません。が、最近の多くの家はそんな恵まれた条件で建てる事は不可能です。

そこでエアコンが登場します!
今の高性能エアコンはなんと実際使用時の平均COPは8を超えております(10を超えるコこともあります)。下の図は数年前に論文作成時に行った実測です。冷房は使用時間も少なく効率も高いので暖房より数段気兼ねなく使えます。

さて、暑い日に何気なくスイッチを入れ使うエアコンですが、このエアコン冷風を造ると同時に強力な除湿をしている事は普段気がつきませんよね。その点のお話です。

まず・・・
エアコンの能力(使用電力)の半分は除湿に使われると必ず覚えてください。
なぜか?


この図も論文を発表した時に実測したエアコンのデータです。冷たい空気を吹き出している空気温度と室内の空気の吸い込み温度と湿度を1分間隔で計測しました。それを平均化して1時間のデータに直したものです(吹き出し湿度は省略)。

概ね吸い込まれた空気温度は26度で湿度75%。その空気がエアコン内で冷やされ吹き出された空気は15℃で湿度100%(内部で結露していますから)とします。

26度の湿度75%の空気は1kgに対し18.3g湿気があります。

15度の湿度100%の空気は1kgに対し12.8gの湿気があります。 その差5.5gが除湿された水の量です。

よってこの時の潜熱除去は5.5×586cal/g=3,223cal

一方、冷やされた空気の温度差は26℃-15℃=11℃だから

この時の顕熱除去は11×1000g×0.3=3,300cal

つまり 3,223と3,300・・・ほぼ同じ

如何ですか?ほぼ同じなのです。つまりエアコンは空気だけを冷やしているのではなく湿気を除去するのに半分もの電気エネルギーを使用しているのですね。だからドレン水と呼ばれエアコンの室外機付近から湿気が水になったものをダラダラ流しているのです。

そう考えるとリビングだけを冷房し他の部屋の窓が開いていると、無駄なエネルギーを沢山垂れ流していると想像できます。湿気の移動は空気自体より顕著ですから・・・。

例えばお風呂から出た時洗面所の鏡が一瞬で曇りますね。あの現象は空気自体が動いたと言うより湿気だけ先に動いた感じがしませんか?湿気の移動は早いのです。だからリビング戸が閉まっていてもサッシのような気密性が無いので、外の高い湿気はエアコンで冷やされ湿気のないリビングに向かって流入します。すると空気の温度は下がっているのに湿気が高く快適では無い→温度更に下げる→冷房病になるのですね。

高い気密断熱性がある家は家中冷房(除湿)がお勧めです。
あっ・・・、除湿といってもエアコンはできるだけ冷房モードでお使いください。どのエアコンでも冷房の方が効率良く除湿します。除湿モードは弱冷房だったり、再加熱するので効率が大きく落ちます。→エアコンマニアの意見です。

冷房という状態がはっきりしたところでようやく換気扇と洗濯物の話になりますが、長くなりすぎましたからまた明日にします。


超断熱住宅における冬の洗濯物② 新潟の自然素材の家から

昨日も前文で

設計事務所では特に理論と実践を大事にします。設計はそもそもこの世に同じ物が無いので設計する事になります(あれば前の設計図をそのまま造れば良いので設計図の必要がない)。だから今まで一度も造くられた事が無いので「理論」を頼りにし、設計段階で「理論」が成り立たなければ「実現」は困難と言う事を知っているからです。←当たりまえですね。

と書きましたが、ようやくその理論の方へ今日は話が移ります。

冬は家の中で積極的に洗濯物を干そう!と勧めて12年。その理論は今も変わりません。で、おさらいですが・・・

洗濯物が仮に10~12kg(5人家族の一日の量)とした時、その濡れている水の量は6kgありますから洗濯物からでる水蒸気の量も5~6Kgにもなります。この時濡れているこの水が気体の水蒸気になるための気化熱は586cal/g=586Kcal/kg=0.681Kw/kgです。つまり最低4kwhのエネルギーを必要とします。・・・とここまでは昨日と同じ。

この乾燥に必要な気化熱が超断熱住宅では結構な熱消費となります。

超高断熱ではQ値0.9w/m2k以下なので30坪くらいの家では真冬に一日あたり

0.9×18℃(平均温度差)×100m2(30坪)×24時間=38880wh=39kwh

あれば家中を22度で維持できます。これに対し

気化熱に対する全体の熱は4/39=0.1となり10%にあたります。洗濯物を乾かす行為は意外と結構大きな熱が室内から奪われます(超高断熱の場合は分母が小さいため)。

ところがこの奪われた熱は潜熱と呼ばれ室温から奪われたように見えますが、室内にある限り無駄にはなっていません。それは・・・
快適な湿度を維持する事になっているからです。快適な湿度とは約50%であり、湿度が低すぎると室温が22度あっても快適ではありません。ここから計算です。難しく考えないでさらっと流しても結果だけ見てもOKです。

では・・・

仮に延べ床面積で30坪家の気積(家全体の空気の量)が240m3ある家とすると

240/0.5回=120m3/h以上が換気されるように法律で最低設定されています。

この換気により外の空気が室内に入ります。
外の条件を冬のみぞれが降っている時とすると

単純に2℃の湿度100%の空気の水蒸気量5.6g/m3←外気

部屋22℃の湿度50%の空気の水蒸気量10g/m3←室内空気

法律で決められた24時間連続換気するすると考えると

一日で室内に放出される水蒸気16kg(洗濯物も含む1家族あたり)

結構多いでしょう!このくらいでてますよ。

120m3/h×24h=2880m3
120m3×5.6g×24h+16kg×1000=32128g

湿気が完全拡散であると考えると
当初部屋にあった空気の水蒸気量
120m3×10g=1200g
と発生する水蒸気の量の合計を総空気の量で割るとm3あたりの湿気となる。

(1200+32128)/2880=11.6g/m3・・・空気約1kgに含まれる水蒸気量

するとこの11.6gの飽和素蒸気量である空気が22℃の時は
湿度51.6%であり、当初の空気の湿度とほぼ変わりない。
と言う事は

結果

洗濯物を室内で干すと・・・

22℃の室内の空気は湿度約50%で安定する事になる。

実際は水蒸気の発生場所は排気用換気扇に近いので、湿気の完全拡散は無く湿気の多い空気は早めの排出されるので乾燥方向になります。そこで第三種換気システム(排気のみファンを使ったシステム)や第一種熱交換型換気扇(顕熱タイプ)を使った家では洗濯物を室内に干しても湿度40%くらいになります。 数日前にご紹介した全熱交換の換気扇を使用したA邸の室内の湿度。人間の活動と室温の変化で湿度も数パーセント変わる事が見て取れる。

一方、第一種換気システムでも潜熱交換をする熱交換型換気扇タイプでは、湿度50~55%になる傾向があります。インフルエンザのビールスはこの50%以上の湿度では長く存在できないとされていると言うことと、体力の衰えた時には湿度を高めにする事で体内の無駄なエネルギー消耗(呼吸による気化熱)が少なく、だから湿度50%がよいとされてます。

 熱交換型換気扇  この画像は三菱電機さんから※外気温度 0℃、室内温度 20℃、温度交換効率75%の場合。

オーブルデザインのSSプランではこの第一種換気システムでも潜熱交換をする全熱交換型換気扇(ダクトレス)を現在使っています。理由は、冒頭の洗濯物乾燥に使った熱を捨てない事による冬期の高湿度維持と、夏期のエアコン除湿の時、非常に効率が良いからです。この理由は次の③でお伝えします。

ここから先は追加事項ですが実は・・・

寒冷地の超高断熱住宅やパッシブハウス等では結露対策をした顕熱タイプの換気システムが推奨されています。これは全熱交換型換気システムでは、

1.湿気交換時に臭気等まで移動する←トイレは別系統になる

2.お風呂排気は高湿度でふさわしくない←風呂は別系統になる

3.高断熱先進国では顕熱タイプが当たり前

であるからです。

これについて私は

1.別系統で問題なし。(3分でOFF。消し遅れスイッチだけでOK)

2.床下暖房の家は2時間で浴室は乾く。(タイマースイッチでOK)

3.高断熱先進国(欧米)は日本みたいに冷房期間がない

と考えてます。

実は20年ほど前(1991年)、以前の職場で新大と一緒にこの全熱タイプ換気扇が浴室に使えるかどうか実験をしています。すると結果は、瞬間的には湿度が高くなるが全体的に考えると影響はないという結果となりました。よくよく考えると欧米では浴室は部屋の片隅にあったりして、殆ど換気扇が無い状態もあります。拙宅浴室でも冬期は換気扇は2時間でOFFで問題なく乾きます(床一部除く)。20年間実績もあり、湿度が50~55%で安定する全熱交換型換気扇でも支障は無いと私は現時点では結論付けています。

全熱交換型換気扇の夏の優位性とは・・・次の日に!


超断熱住宅における冬の洗濯物① 新潟の自然素材の家から

設計事務所では特に理論と実践を大事にします。設計はそもそもこの世に同じ物が無いので設計する事になります(あれば前の設計図をそのまま造れば良いので設計図の必要がない)。だから今まで一度も造くられた事が無いので「理論」を頼りにし、設計段階で「理論」が成り立たなければ「実現」は困難と言う事を知っているからです。←当たりまえですね。

さて高気密高断熱住宅では、積極的に洗濯物は家の中で乾かす事が重要(12年前の記事)です。とっても当たり前の事ですが、なぜかその理由を知っている人は少ないですね。

濡れている物が乾くとき必要な事は、「熱」を与える事です。
「そんなの当たり前!」と思っている方でも、時にはこんな思いは無いですか?

「南側に洗濯物干し部屋がほしい」

実はこれは普通の事なのですが、新潟県ではどちらかというと×です。
私は2年間くらい鉄筋コンクリート造の県営アパートの4階に住んでいたことがあります。その時、南側半外部に洗濯物干し場があったのですが、冬期間は最初の数日間使っただけで使わなくなりました。理由は簡単で「乾かない」からです(笑)。仕舞いにはカビも大量に生えてきました。

ご存じ新潟県の冬は7日に一度晴れれば良い方で、時には3週間もお日様がでないときがあったりします。この時に半外部の南側の洗濯物干し場があっても太陽は当たりませんから、洗濯物はなかなか乾きません。当然ですね。3日間干しっぱなしで乾かないから最後は唯一暖かいリビングに吊す・・・。これでリビングに良く洗濯物が下がっている事が新潟の家では良く目にする光景です。

なぜ乾かないのか?科学的に考えましょう!

洗濯物が仮に10~12kg(5人家族の一日の量)とした時、その濡れている水の量は6kgありますから洗濯物からでる水蒸気の量も5~6Kgにもなります。この時濡れているこの水が気体の水蒸気になるための気化熱は586cal/g=586Kcal/kg=0.681Kw/kgです。つまり最低4kwhのエネルギーを必要とします。

この熱を与えないと絶対に濡れている物は乾きません(大気中)。4Kwとは結構大きいエネルギーで、普通のドライヤーを4時間付けっぱなしもしくは、アイロンを10時間使いっぱなし位の熱です。

一方、家中暖房する家ではどこも暖かいですから例えばお風呂場に深夜干しても、普通は次の日の昼までにはカラカラに乾きます。リビングで2度干しする必要が無いのです。←高断熱住宅でも家中暖房できない家は×。

家中暖かい住まいでは南側の洗濯物干しスペースは必要ありませんね。冬以外はどこに干しても乾きます。これは洗濯物が乾くための「熱」を与える事ができるからです。

この続きは明日の「超断熱住宅における冬の洗濯物②」で!


事務所での打ち合わせでお出しするケーキ

当事務所では土、日曜日に建て主さんと打ち合わせする事が多く、長くなる打ち合わせには集中による緊張を柔らぐため甘い物をお出しすることがあります。
写真は先週の土曜日の打ち合わせにお出しした寺泊の有名な菓子店「ル・クレール」さんのスイーツです。小ぶりですが厳選された素材とシェフの感性で作り出されるケーキは、とても素直に味蕾へ吸い込まれ、脳においしいと瞬時で伝わります。
先々週は建て主さんの家でとてもおいしい手作りケーキを頂きました。おもてなしには手作りのケーキが最高です。しかしそれができないときにはこのようなすばらしい仕事をするお店のスイーツもまた格別です。
甘い物も好きな私の一押しのお店です。場所は寺泊のアメ横通りから2つ内地に入った旧道沿いで、史跡「聚感園」の真ん前です。おいしいですよ。
このお店がちょっと田舎の拙宅の近所にあることと、お打ち合わせ頂いた建て主さん、そして甘い物も(お酒も好きです)好きであった自分に感謝です。ありがとう!


新潟の家 責任不在の情報過多の時代

先月あるサイトから当サイトにリンクされてくるゲストさんがよくいらっしゃるので、そのリンク元サイトへ行ってみると・・・

そこは日本最大と謳った家の情報を集めたサイトで掲示板が多数有り、大手メーカーからローカルな新潟県のメーカーや建設会社さんを題材にしてコメントもされてました。そのコメントを多さは一ヶ月で1000以上となっています。
だいたいが一つの質問に複数で答える「スレッド」記事になっいて、例えばこんな質問があるとします。

話題提供者 「基礎断熱っていいの」

とすると

匿名A 「うちは選択肢の中にあったけれど床断熱にした」

匿名B 「基礎断熱ってよくないよ。だって(略)・・・」

匿名C 「○×メーカーのこれがよいよ」

などなどです。

殆ど全てが匿名の情報です。これはとても、とても不思議な事です。匿名だから同じ人が別の人になりすまして答える事も可能です。また思い込み情報でも可能で、私からみると平気でまちがい(法律に添わない)を答えたり、勧めたりしている発言もありました。仕方無いのでしょうか?プロが造る家でも未だに「手摺りのない階段」が堂々とチラシに載ってたりしますから、プロで無い方がどのようにコメントしても問題にならないのでしょう。

これも時代なのでしょうか?どの情報が正しいかと間違っているかよりも、そのやりとりを楽しんでいるコメント者も多く、何ともいえない気持ちになります。
コメントも「だと思う・・・」だったり、逆に根拠無し言い切り捨て型だったりしてます。

またそのようなサイトをよくご覧になり、あたかも「家に正しい知識を知ったかように」なってしまっている人も多いと思います。家は家電製品とは違い巨大な物です。ある小さな部位や一つの仕様などの特定情報だけでは判断できないところが沢山あります。だから国が専門職として「建築士」などの免許を与えるのですね。

随分前から申し上げているとおり当ブログやHPでは、できるだけ実測、実物、法律、または国が定めた仕様や規律、基準で表現するようにしてます。また間違った情報の時は訂正線等で後で見てもわかるように記述します。私が趣味で情報収集に訪れる他のHPやブログは殆どそのようになっています。それが責任ある情報発信と思いますが、不思議と建設業界のホームページやブログに「訂正線」があるのをあまり見た事がありません。

絶対間違っていない情報だからそうなっていると思いたいのですが、なんとなく違う気がします。建築業界は一度お客様になったらリピートが30年無いので、情報が毎年変わっても気にならない人が多いのでしょう。だから、造る側もその時よければそれでよし。となる習慣ができあがったと思います。また詳細な図面がないという習慣が拍車をかけたのでしょう。何事も図面が無ければ始まりません。 最低でも50枚以上ある図面。図面は大事な建物の履歴。増改築の時もこれが無いと始まらない。

10年の寿命の家電製品でも、品番検索すれば10年前の製品の仕様が残っていますが、家の情報は3年前でも全く残っていません。新しく建築しようとする方は、わざわざ3年前の情報を探す人はいません。ですが、家は他のMONOと違い、一度建てたら最低30年は使い続けます。ですので3年前の情報も大事なのです。・・・とオーブルでは考えてます。だからHPの情報は消さないし、間違った時は訂正線で書き直します。それが責任ある情報発信者だと思ってます。過去を消せない(消さない)から慎重になるし、吟味した情報と家の仕様を発信できるのだと思います。訂正線もなく、いつの間にか消えているページが多々あったり、数年前のページが全く無かったりすれば、間違った物を簡単に消して忘れられる気持ちになります。私は多分設計図を多く造るので、必ず手元に記録が残る事が当たり前=間違った履歴は残せない  と考えるようになったのでしょう。

あっ・・・誤字脱字は例外で、そこだけは消して修正します。(笑)


あり得ない事!太陽光発電のマイナス光熱費住宅 その2

先週ご案内した「あり得ない事!新潟で太陽光発電のマイナス光熱費住宅」の続きです。

先回は、光熱費総計でこんな真冬の新潟で24時間家中暖房でもマイナスにできる事を証明しました。今日はもう少し分析をして、いかに超高断熱と組み合わされた自然素材によって、すばらしい性能と環境を実現できるかを実測データを元に検証します。

 このグラフはA邸の代表的な日時の室温、湿度、日射・外気温(アメダスより)です。 

まずはっきりわかるのが、外気温2月下旬に一日だけ17度、そして3月上旬には3度という真冬並みの気温に戻るという大変上下した天候でした。にも関わらずA邸の1階のダイニングでは常に安定した20度前後を保ってます。つまり多少の外気変動にはほぼ影響を受けない家です。

次に緑色で囲った所は、太陽の日射があった時間です。新潟県ではこのように関東に比べ冬期に日射はありません。この少ない日射と3.6kwの太陽光発電パネルの条件で、よく月1万以上を売電したと思います。

その中で2月25日は9時間近い一日晴天の日でした。にも関わらず、室温はオーバーヒート(暑くなりすぎ)をしてません。これは、室内に使用した「全面漆喰」が普通のクロスだけの家に比べ蓄熱していることと、窓カーテンが1階は閉じられていた事が原因と考えられます。←この事は以前のブログで指摘しております。 またエアコンによる床下暖房の緩やかな暖房方式が良いのだと思います。

また測定した地点が吹き抜けを持つダイニングの1階である点も原因の一つです。しかし建て主さんからは、「オーバーヒートで暑くなりすぎた記憶がない」とコメントがあるとおり、実際も暑くなかったのでは無いかと推測できます。オーバーヒートはしていないのは良いのですが、太陽光が室内温度に積極的に生かされているかどうかが今ひとつ不明です(次回検証できる機会があれば測定してみます)。オーバーヒートしていない原因が漆喰の全面採用による蓄熱であればこれはすばらしい事です。

ダイニングの湿度は以前もお伝えしたとおり、50%~55%と最適範囲で推移してます。時間的に細かく見ると、人が活動する朝と夕方に湿度が上がる傾向があります。普通の高気密高断熱住宅の湿度が40%から45%せ推移することが多いなか10%も高いのは、
1.全熱交換型換気扇をメインに設定。
2.竣工後間もないため、工事水分(漆喰やPB)が残っている。
の2つが考えられます。
全熱交換型換気扇については賛否両論ありますが、夏のエアコン使用時の快適性と、冬の過乾燥解決を考えると全熱換気扇を選びたいと現在考えています(新潟)。勿論全熱型換気扇の弱点の匂いのリーク(短絡移動)のため、トイレと浴室は局所換気扇としてます。これら二つとも現在の使い方であれば短時間ONで全く問題ありません。
トイレは使用後3分でOFF。浴室は使用後冬期で2時間、夏期エアコン時で4時間、中間期で連続運転です。経験上これでいつも乾燥状態を保てます。

全熱交換型換気扇とは・・・一般に顕熱型換気扇と言われる湿度の交換はしない空気温度だけの交換をする換気扇が推奨されている。全熱換気扇は、空気の熱の他湿気も交換できる換気扇。顕熱換気扇が主流であるが、これは20年以上前のR2000住宅の頃、顕熱換気扇が優れているとの案内がされたため。ところがR2000をはじめとする高断熱仕様の国の殆どが、日本とは違い夏期は乾燥している地域であり、夏の除湿には興味が無い地域であったためと言われている。そこで今再び全熱換気扇が注目されるようになった。

この実測が示すとおり快適な居住空間である事は言うまでもなく、3月(2月24日から3月26日)の光熱費総額が9千円で済んだ事はすばらしい事実です。

ここ数年いつも申し上げておりますとおり、10年後の低炭素社会の公約(CO2削減家庭用50%)と20年後訪れるであろう化石燃料枯渇の高騰に対応できる超高断熱住宅を益々声高らかに今後も勧めて参ります。


あり得ない事!新潟で床下蓄熱暖房 太陽光発電のマイナス光熱費住宅 

凄くドキドキしてます!
これは、先月分の実際生活されているA邸(新潟市中央区)のオール電化住宅の光熱費総額です(お湯や照明、TV、煮炊きも入っている)。なんと太陽光発電3.6Kwと普通の大きさでこの3月は光熱費がマイナス(お金が戻ってくる)になりました。それも家中暖房(20度)の家です。ここから割り出すと24時間

家中暖房の費用は・・・たった
月当たり3,000円!!!!

家中暖房24時間20度(18~22度)ですよ。

 画像をクリックして大きな図をご覧ください。A邸実測です。こんなに家中快適な温度湿度で月3,000の暖房費!!想像できたにも関わらず実際に見ると私も驚き。

3000円で3月のこの今年の寒い季節を暖房できるなんてもうマジックです。この家はSSプラン超断熱住宅です。この3月は特別日射があったわけでもありませんし(日射時間は月80時間)、寒い位の3月でした。そして2月の暖房費も4000円!!特に省エネ生活したのではなく、家中20度の快適な生活でです(無駄は排除してますが)。

さて世の中高気密高断熱住宅数多くあれど、このように暖房費を公開しているところは少ないはず。それは実態と宣伝文句が違う事が多いから・・・。当事務所では言ったとおりになります。

この超高断熱SSプランは凄いです。オール電化住宅で電気代が一番高くなる2月、3月でとんとん。と言う事はこれからの暖かく晴れの多い季節は電気代が帰ってくる(太陽光発電は3.6KWと普通)ただ以前のブログの太陽光発電の生かし方で説明した事を実践し、晴れた昼間は特に電気を使わないようにしていただけです。←重要
さてこれで完全ゼロ光熱費住宅が簡単にできる事が証明されました。そして今度はゼロエネルギー住宅です。もしかしたら、このA邸で実現可能性の証明ができるかも・・・。

今床下でHEAT FACTORYが稼働中なので、ある程度効果が期待ができ、給湯器がエコキュートになったときにゼロエネルギーは達成できるでしょう。このHEAT FACTORYは現在新潟県立大学にご協力頂きその効果を実測中です。結果をお楽しみに。

しかしこの電気料は驚異的です。これで温水器が電気ヒーター式(A邸)ではなくエコキュートならもう30002000円は削減できるかもしれません。すると3月の寒い時期オール電化電気代総額が7,500円!!←生活スタイルや人数で変わりますが。

超高断熱は地球の温暖化防止にも貢献しますし、何より建て主さんの懐に貢献します。

さて、先回推測した暖房費用ですが、
一日8時間床下エアコンが全開で運転していたとして
① 8時間×1.5Kw×7.5円×31日=2,700円・・・床下暖房(蓄熱)
② 1時間×0.5Kw ×27円×31日=420円・・・補助暖房(適時)
月あたり①+②=3,120円・・・実際と同じ金額ですね。

となり上の請求書と同じにになります。ここまで科学的に算出できます。
勿論建て主さんは今日も「裸足」でくつろいでいらっしゃいました。
凄いです。SSプランの超高断熱住宅!!
そしてそれをためらわず選ばれたA様!!

 


多分これが最後のスラブヒーター 新潟の自然素材の家から 

基礎工事途中の風景です。毎度同じみの1m高基礎施工
この基礎屋さんは当事務所と12年以上もお付き合いのある業者さんで、ご覧の通り高基礎用の鋼製パネルもお持ちで、これとコンパネ(ベニヤ)による型枠をうまく組み合わせ、一発打ちべた基礎の高基礎仕様をいとも簡単に施工します。勿論コンクリート強度は30N/mm2ですね。高基礎をお願いすると、この大きい鋼製型枠がないと言う事で「できない」「意味ないよ」と断る業者さんもいらっしゃるとか・・・。でも型枠や組み方はどうにでも工夫はできますし、工夫してコストを下げるのが本当の施工のプロです。

さて床下暖房の一つ「スラブヒーター」と呼ばれる方式は、この写真のようにコンクリートスラブにニクロム線のようなヒーターを入れ、深夜電力を使ってジュール熱でコンクリートに蓄熱させ、その温度はコンクリート表面で40度くらいになります。

オーブルデザインでも過去数棟行っており(全て建て主さんのご要望)、その安定性は折り紙付きです。メーカー曰く「中越沖地震でも柏崎に設置された全棟で被害無し(断線無し)」だそうで、耐久性の高さも手伝って新潟県でも数多く採用されております。当事務所で計画した家も無傷でした。

しかし「これが最後」と表題にしたのは、この熱源であるニクロム線によるジュール熱の効率が非常に悪いからです。電気料金は深夜割引制度で安価ですが、今後低炭素社会推進を考えると必ず収束に向かうのではないかと思われます。それはこれと同じシステムのオール電化人気暖房商品であった「蓄熱暖房機」もすでに東北電力さんはお勧めしておりません。

数年前までは、何が何でも「蓄熱暖房機」によるオール電化をお勧めします。と営業活動されていた東北電力さんが、今ではエアコン暖房によるオール電化を勧めており、蓄熱暖房機はもう勧めていないばかりか、「もう使わないで」という感触です。
たった数年でこの変化が訪れてますので、同じように効率が改善できない灯油、ガスの熱源機器やシステムは少なくなるでしょう。

ここから蓄熱暖房機と同じシステムのスラブヒーターも今後大きく普及しないばかりか、収束に向かうと思います。と書くとスラブヒーターのメーカーさんにとっても悪い表現ですが、そこは大きな企業。既にニクロム線による発熱に変わりヒートポンプ(つまりエアコン)による発熱を開発、販売しはじめたと聞いてます。

オーブルデザインでも高基礎+エアコンによる床下暖房をお勧めしているので多分今後このスラブヒーターはなくなると思います。これも低炭素社会の流れですね。

因みに何度もこのブログでお伝えしてますが効率は・・・

ヒートポンプ(エアコン)
年間平均機器COP4位 電気の一時エネルギーからの効率37%
4×0.37=1.52←最終効率

ヒーター(ニクロム線)
機器効率1 電気の一時エネルギーから効率38%
1×0.38=0.38←最終効率

ガス、石油機器(高効率機器仕様)
機器効率0.95 一時エネルギーからの効率100%
0.860.95×1=0.95←最終効率

ですので機器の最終効率は
ヒートポンプ(エアコン)>ガス、石油>電気ヒーター類(IHコンロも含む)

となるのです。IHヒーター、電子レンジもヒーターと同じですよ。

電気の一時エネルギーからの効率とは、
火力発電がガスや重油から0.43程度の効率で電気に変換、その後発電所から家庭までの配電で約5%のロスをし約38%とされている。発電所ではガスや重油の全エネルギーのうち57%のエネルギーを熱として海に捨てているのである。知っていましたか?それでもガソリン車の効率15%よりは数倍も良いのですが・・・。


高断熱高気密用Q1用ソフト QPEX(キューペックス)の使い方

QPEX(キューペックス)という非常に優れた安価なソフトがあります。このソフトは北海道の室蘭工業大学の鎌田研究室で開発され、建設会社や設計事務所が、高気密高断熱で計画した家の熱損失係数Q値や暖房費をシミュレーションできる大変優れたソフトです。しかしソフトは使い方を間違えるとただの机上の空論になりますので注意が必要です。

 QPEXは私も利用しており、これをつくりだして頂いた鎌田先生始めそのスタッフ、また新住協さんには敬意を払いたいと思います。だからこそ間違った使い方で評判が落ちないようにいつも次の点に注意をしております。

以前も少し触れましたがこのソフトを使った時に普通の建設会社さんや設計事務所が間違えやすい所は、シミュレーションした家の生活方法や周囲の環境が因子として入力されない事です。

Q1住宅を造るために造られたQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味(暖房エネルギーとして加算)し、暖房費をシミュレーションします。
Q1住宅とは、暖房費が次世代省エネ基準の断熱性能で使用される暖房費の1/2(本州では1/3)以下になる家が目的です。非常に合理的かつわかりやすい家造りです。そしてQPEXはその目的を達するツールとして使われます。しかし生活スタイル、生活条件、周囲の環境因子が違うので実際の暖房消費エネルギーと必ずしも一致しません。

生活スタイルと生活条件は設計者がコントロールできないの仕方無いのですが、周囲の環境因子は設計者が一番わかります。しかしこの事を間違える方が多分いらっしゃると思います。それは・・・

Q1住宅を造るために造られたツールのQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味し、暖房費をシミュレーションします。ところがこれを建設会社さんは鵜呑みにして、このツールで計算すれば暖房費が1/3になると思い込んでしまう事が問題ですし、そのように説明している事を見かけます。先に申し上げたとおり、このソフトは窓から入る日射を勘案してます。よって南窓はカーテンがない方が殆どの場合は暖房エネルギーの削減ができます。そこでソフト入力条件でカーテン無しとすることが多いと思います。よってレースカーテンや普通のカーテンを実際閉められると日射が計算通り期待できなくなります。また西窓や東窓からも日射を期待してますが、冬の低い高度の太陽では、お隣に家が並んでいる場合は、1階にはまず日は差し込む事はありません。この部分はHPのコラムに記載しましたのでご覧ください。

「野中の一軒家」であれば、このソフトのとおり日射熱が家の中に入り、結果暖房費が削減されますが、都市部の家ではトップライト以外何らかの日射阻害があります。ですので暖房費削減が「野中の一軒家」のとおりなるはずがありません(常識的生活で)。新潟県の都市部では一般的に60坪、大きくても100坪、都市部では45坪の敷地は珍しくありませんし、住宅地の道路は6mが普通です。すると家同士はほぼ向かい合わせで、隣との隙間もなく、窓の先に窓があったりします。ですので窓にレースのカーテンは必須です。また関東圏では防犯上家の中が見える事を極端に嫌います。留守中や夜は雨戸を閉め、昼の在宅時にはレースカーテンで視界を遮ったり、面格子がついています。

多くの工務店や建設会社さんは、実生活や家の建設される周囲の環境条件を考えません。私を含め暖房費マニアや超高断熱マニアは、エコや省エネのためなら、近所から見られようがカーテンは開けっ放しでがんばれます(特に男性。女性は防犯上心理的に無理)。通常は見えるところに隣家があればカーテンを閉めます。全ての人が「近所から見られる事に対し平気」という感情を持ち合わせていないのですね。また天気が良ければ良いほど閉めたがります。直射日光は眩しくて、冬でも日差が直接当たっている所は暑くなるので「感情的」に閉めます。これを全否定できません。「Aさんの家は開口部から日射が入るのでQ値1.6でも暖房費6万/年しかかからないよ」とはいいきれないのです(無論言い切れる条件の家もあります)。

 拙宅の家(夫:省エネマニア)でも3月20日の晴天日は南側窓にはカーテンが・・・窓は3カ所も窓が開けられていた。

ですので希望する断熱性能(熱損失係数)は、窓条件を建て主さんと良く会話をしながら理解してもらう事が重要です。できない場合は、悪条件で安全側に考える事が良心的と思います。

高い性能を求める家ほど設計者は全体を把握する思慮が必要です。こんな便利なQPEXソフトを正しく活用し良い家造りに励みたいと思います。



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