超断熱住宅における冬の洗濯物① 新潟の自然素材の家から

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設計事務所では特に理論と実践を大事にします。設計はそもそもこの世に同じ物が無いので設計する事になります(あれば前の設計図をそのまま造れば良いので設計図の必要がない)。だから今まで一度も造くられた事が無いので「理論」を頼りにし、設計段階で「理論」が成り立たなければ「実現」は困難と言う事を知っているからです。←当たりまえですね。

さて高気密高断熱住宅では、積極的に洗濯物は家の中で乾かす事が重要(12年前の記事)です。とっても当たり前の事ですが、なぜかその理由を知っている人は少ないですね。

濡れている物が乾くとき必要な事は、「熱」を与える事です。
「そんなの当たり前!」と思っている方でも、時にはこんな思いは無いですか?

「南側に洗濯物干し部屋がほしい」

実はこれは普通の事なのですが、新潟県ではどちらかというと×です。
私は2年間くらい鉄筋コンクリート造の県営アパートの4階に住んでいたことがあります。その時、南側半外部に洗濯物干し場があったのですが、冬期間は最初の数日間使っただけで使わなくなりました。理由は簡単で「乾かない」からです(笑)。仕舞いにはカビも大量に生えてきました。

ご存じ新潟県の冬は7日に一度晴れれば良い方で、時には3週間もお日様がでないときがあったりします。この時に半外部の南側の洗濯物干し場があっても太陽は当たりませんから、洗濯物はなかなか乾きません。当然ですね。3日間干しっぱなしで乾かないから最後は唯一暖かいリビングに吊す・・・。これでリビングに良く洗濯物が下がっている事が新潟の家では良く目にする光景です。

なぜ乾かないのか?科学的に考えましょう!

洗濯物が仮に10~12kg(5人家族の一日の量)とした時、その濡れている水の量は6kgありますから洗濯物からでる水蒸気の量も5~6Kgにもなります。この時濡れているこの水が気体の水蒸気になるための気化熱は586cal/g=586Kcal/kg=0.681Kw/kgです。つまり最低4kwhのエネルギーを必要とします。

この熱を与えないと絶対に濡れている物は乾きません(大気中)。4Kwとは結構大きいエネルギーで、普通のドライヤーを4時間付けっぱなしもしくは、アイロンを10時間使いっぱなし位の熱です。

一方、家中暖房する家ではどこも暖かいですから例えばお風呂場に深夜干しても、普通は次の日の昼までにはカラカラに乾きます。リビングで2度干しする必要が無いのです。←高断熱住宅でも家中暖房できない家は×。

家中暖かい住まいでは南側の洗濯物干しスペースは必要ありませんね。冬以外はどこに干しても乾きます。これは洗濯物が乾くための「熱」を与える事ができるからです。

この続きは明日の「超断熱住宅における冬の洗濯物②」で!

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