日経ホームビルダー2012.04号。
昨日に引き続き日経ホームビルダーの記事から・・・。いつ見ても業界がどっきりするような内容です。
ある高裁の判決があり、建築関係者にはとても厳しいが、建て主さんには喜ばしい判決が出ました。 詳細を知りたい方は日経ホームビルダー2012.04月号を購入してください。
2012.04号の写真 故意に画像は粗くしてあります。
現在の住宅の瑕疵担保法では、10年まで建物の重要部分の不具合に対し建て主さんに保証しなければなりませんが、この判決ではそれを超えて20年まで保証する義務部分があるとの判決が高裁から言い渡された・・・とあります。
これは、建物の安全性(耐震性)に拘わる要素は、瑕疵担保法ではなく不法行為に該当するため、その訴求期間が20年となる法的根拠に基づくものだそうです。
今回の内容は、地震に対する安全性を確保する「耐力壁の仕様規定違反」で、本来なら大建さんのダイライトに釘を100ピッチで打ち込まなければならないところ、150以上で打込みを行った事で仕様に満たないと判断されました。建築会社側は、150ピッチでも所定の耐力には達っしないが、建築基準法が求める耐力になると、150ピッチの実験を独自に行い不法行為にならないと反論したそうです。
しかし高裁の判断も(地裁も同様の判断)、仕様規定違反は安全性に直結する財産権侵害。よって不法行為にあたるとして10年の瑕疵担保保証期間を超える11年過ぎた住宅に適用しました。よって建設会社は数百万の損害賠償をしなければなりません。
例えばこのモイスという耐力壁は2.7倍で100ピッチの釘が仕様規定されている。
実は私の業務でもこのような釘のピッチの間違いがあり、全て施工途中でやり直したという現場があります。単純が故に意外と間違いやすい釘のピッチのミス。皆さんの廻りではありませんか?建築後20年の間にその間違いを指摘されると、直さなければなりませんよ。
私はこの判断を支持します。なぜなら当事務所でもこのような安全性に直結する基本性能に対する瑕疵の保証期間は無期限に設定しているからです。ユーザー側(建て主さん)から見ればあたりまえな考えでしょう。いつ地震が来るかわからないですし、家は他の消費財と違い、30年はローンを組む事が可能な長期資産です。10年過ぎたとたん安全性に瑕疵があってもそれは仕方ないでは済まされないでしょう。
これと似た話で最近は聞いた話では・・・、
ある県内の中堅建設会社さんの換気システムは電気を使わない換気方式を推奨しているそうで、これは建築基準法が定めた機械換気の設置義務違反になる恐れがあります。法律では機械換気を設け無くても良い家の基準は、
A「真壁で合板を内外に一切使わない居室」と
B「真壁で外壁に合板を使わず、サッシを使わない木製建具(隙間があいている戸)を使った場合」だけとなっております。
Aは特殊な建物(社寺仏閣)の想定ですし、Bは現在の暖房をする文化では隙間があれば暖房できませんから、機械換気を省くことはまず無理と思って良いでしょう。
もしこの機械換気の仕様に違反していればこれも安全性に拘わる問題ですから不法行為になることが考えられます。よってもし機械換気をほんとに使っていないなら問題ありそうですが、きっと何かの間違いだと思います。