2012年建築学会論文発表から その3

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昨日の記事に引き続いて今日も同じ鎌田研究室からの発表のご紹介です。

その前に、昨日ご案内したシミュレーションが通風による冷房エネルギー削減を行ってますが、通風による削減の定量的な評価は、家周囲の状況が大きく関係するのでなかなか難しく※、どのように計算して行っているかは不明ですので、先回の記事はあくまでも外気の状況によっては通風(窓を開ける行為)がむしろ冷房負荷削減に徒となる時期があることだと理解下さい。

※通風は風の揺らぎのリズムも含め気温より1~2度体感が下がる効果も合わせてありますが、この通風評価を加味しようとすれば、家の周囲や窓の配置大きさで相当効果が変わってきます。その研究は赤林研究室が一番でここ10年くらい連続して行われておりますが、それを見ると都市部において通風が如何に難ししく、また現実との乖離があることが想像できます。

この論文の「始めに」によれば・・・

========引用=======

住宅の省エネ基準における開口部の熱性能は、一般的
にサッシとガラス、日射遮蔽物等の組合せにより規定さ
れた性能が使用されている。昨年 JIS 化された開口部の断
熱計算や今年 JIS 化される開口部の遮熱計算によって、開
口部製品ごとのサイズ別の熱性能を求めることで、より
正確な値を用いた住宅性能(Q、μ値)や住宅の熱負荷計
算が可能になる。
本報では、通常使われているサッシとガラスの組合せ
による熱性能と新しく適用可能となった開口部のサイズ
別計算による熱性能の比較、またその違いが住宅の Q、μ
値や熱負荷計算に与える影響について QPEX で検証した結
果を報告する。

======引用終わり======

と言う事でサッシのU値計算の方法がJISで規定されたのですね。知りませんでした。
超高断熱住宅ではサッシの断熱性能U値はとても重要です。それにいち早く対応した「緑の家」では3年前にアルミサッシと決別宣言をしました

その理由は・・・サッシの枠=フレームです。

上の表2をご覧ください。サッシ枠=フレームの熱の伝わりやすさを示しております。するとアルム樹脂複合サッシは樹脂サッシの倍悪い性能です。またガラス(ガス入りLow-E)に比べても倍以上悪いので、どんなに良い性能のガラスを使っても、アルミ樹脂サッシは性能が上がらないばかりか、ガラスとの性能差がありすぎるとその枠の結露が止まらない可能性があります。
「緑の家」でも2002年~2008年ではアルミ樹脂サッシが8割を占めておりました。その時の厳寒の一時は枠の結露が発生することが多々あり、やはりこの表どおりの体験でした。当時は樹脂サッシとアルミと樹脂の複合サッシは性能がほぼ同等(計算上は同じ)とメーカーから宣伝されておりましたのでアルミ樹脂複合サッシを多く使っていました。これは今考えると残念で申し訳ないと思っております。

さてこの論文はQペックスという熱損失係数計算ソフトに開口部の影響をより正確に反映させようという研究です。精度があがるのは大賛成です。因みに当事務所ではQペックスを熱交換換気による「見かけの換気回数」算出だけに使用しております。他の算出は手計算ですね。

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