2013年の建築学会論文 その2 窓の重要性を読む 簾

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2013年の建築学会論文 その2です。

この論文の梗概(2ページ)は昨日のその1にあります。興味があればどうぞ。

このように同じ建物をたて比較できる事は、結果がわかっていても理解が格段に増すことになりますからよい事ですね。

窓1はU値2.9、μ値0.65。窓2はU値1.9、μ値0.25。窓は南に窓2つと北に小さな窓1つ(写真より)。

さてその1ではグレーとピンクの色の色づけ部分の比較をおこなって読み取れる事を申し上げましたが、その2ではその他の読み取れる部分です(ただしこの表は計算値)。

まず建設地はあの一番温暖な静岡県富士市で鉄骨2階建です。温熱環境は構造にあまり大きな影響を受けませんが、外断熱か充填断熱かではその特性等はちがいます。今回は鉄骨なので比較的木造軸組に近い挙動である思いますから、何時も手がける「緑の家」に当てはめても良いでしょう。

まずは一番ポイントが高い水色の比較・・・

B棟で窓1をつかうより窓2を使う方が暖房エネルギーが倍もかかる・・・

「えっ窓2の方が高性能の窓で断熱性能が2倍近く高いはずでは・・・」

そのとおりです。ではなぜ窓1の方が窓2の半分の暖房エネルギーですんだかというと、窓の遮熱性能です。窓1のガラスは熱を室内に65%も取り入れる事に対し、窓2は25%しか取り入れません。その違いが躯体の断熱性能を全く問題にしないくらいの結果を出しております。如何に日射の恩恵がある地域では、躯体の性能より、窓の配置や大きさ、ガラスの日射取り入れ性能が重要かわかります。

次に緑色部分・・・冷房の時

断熱性能が2倍以上ある建物でも窓の日射侵入率が高ければ、冷房負荷はほぼ変わりません。冷房時は、断熱性能より窓の日射遮蔽が全てといってもよりくらい大事です(次世代断熱基準以上の建物が前提)。その1と同じ結果です。

最後はオレンジと黄色の丸です。

断熱性能と窓性能がそのまま表われているところはここです。つまり間欠暖房時(巷の一般的な暖房方法)の時は、窓の日射侵入率がが良くとも、断熱性能がよいほうが倍以上の断熱性能に応じた暖房エネルギーが必要だとわかります。間欠暖房は「緑の家」の薦める方式ではありませんが、普通の建設会社、ハウスメーカーは間欠暖房を薦めるのでここは重要な結果です。

さて折角実験棟で計測しているので、この部分を計算結果ではなく、実測で報告いただけたら嬉しいです。ただそのパターン数から2年は最低掛かり、全く同じ気象ではないでしょうから、シミュレーションと実測の比較でも良いかと思います。楽しみにしております。

以上でこの論文の読み取り報告を終えます。結果は全てわかっていたことですが、「緑の家」では、

・夏は窓の日射侵入率(ex簾)がもっとも重要。

・日射のない地域では躯体(窓含む)の断熱性能が重要。

・ 〃        の窓は日射侵入率は高くなくても良い。

・日射がある地域でも窓にカーテンをすると日射侵入率は半分になる。つまり日射の無い地域でもカーテンを閉めれば断熱性能が重要になる。

等を何時も理解して計画しております。

夏は如何に簾が大事か?簾は日射侵入率を20%以下にする優れものですから、「緑の家」定番アイテムです。

Q値0.99w/m2Kの豊栄の家には専用の簾掛があり、そこに夏は簾がかかり日射を防ぐ。

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