2023年建築学会梗概からの論文 ① 浴室循環扇

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本ブログにある図や表は全て建築学会の梗概集PDFからPScである。

今年もこの季節がきた。今年はリアルで行われる建築学会。少々フライング気味だがその中で面白いと思ったものをいつものようにご案内する。最初は・・・なんと風呂CF(論文中では浴室循環式と呼ぶ換気装置)の事。

・・・とはいっても「緑の家」での風呂CFは風呂場の早期乾燥を主目的としているが、この浴室循環式による送風機は、浴室循環式だけによらず湿度調整の適切化と併せて省エネを実現する方法を目的としており、最初のこの本報は加湿に利用する工夫としているので少々風呂CFと目的が違うが、風呂CFそのものである。下に目的を載せる。

しかしながら排気換気扇を実質行わないで循環扇による加湿とはいえ、風呂場は乾燥もするだろうから参考にはなるはず。下はその測定した住宅の概要である。

C値はとても良く0.1~0.2であるが、測定の条件(完成時でJIS2017の条件1か2)がないこと、UA値にしても公的に評価されているのか不明であり、換気方式も明記していないことは多分当たり前だから省いたと思うが、基礎断熱の計算方法が複数種類あるのでそれだけでもUA値は相当違う。やはり何らかのエビデンスとなる記載があるとよいと感じる。

結果の前に新潟県の実務設計者からみると、冬期に浴槽のお湯をはったまま加湿が必要なほど乾燥する室内空気には驚く。というのはこちらではこの時期(2月)RH(相対湿度)40%(24度)を超えると樹脂サッシ枠でも結露が起こる可能性が高くなるので、家の中の加湿はまず考えないことがほとんどである。このあたりは日中の室内温度や換気方式、当然外気などの諸条件が違うのであろう。

上が測定結果である。AH(絶対湿度)表示なのでわかりにくいが、グラフから読み取ると2月20日18時のTH邸のLDのRH(相対湿度)は約42%であるが露点温度は約12度なので結構高いAH(絶対湿度)といえる。ここまで露点温度が高いと樹脂サッシ枠に結露の恐れがあるので、新潟県では逆に除湿のために換気促進となる。やはり地域の条件によって様々な要望があるようである。まとめでは他因子が多すぎて定量的な比較が出来なかったとのことで、今後はそのあたりの整理をするとのことである。ただ・・・冬期室内の加湿だけなら浴槽にお湯をはりっぱなしするより安全で衛生的な方法もあるような気がするが、このあたりは好みの問題だろう。詳しい内容は大会で聴講するか、梗概集を入手してほしいがメイルを頂ければPDFをお送りする事もできるので気になった人は連絡してほしい。

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