実務で見る CFと静圧型の床下エアコン 2

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この写真で私が伝えたいことがわかる読者さんはコアな方。

上の図で私が何を言いたいかわかる方は、風呂CFを良く理解している。
よく間違うことであるが、洗濯物が乾くと言うことは顕熱が潜熱にかわるだけでこの風呂内(系)だけを見ると熱エネルギーは何にも変わっていない。

わかりやすくするために、細かい事は除くと・・・

室温20度で洗濯物の水分が蒸発するのに586.2Kcal/kgの熱を必要とする。これを気化熱というがこの熱はどこから来るかを考えれば、お風呂内の空気の顕熱(温度)から586.2Kcal/kgの熱を奪い取ることになる。一方蒸発した水(気相)は液体の水より586.2kcal/kg多くの熱を持っていることになる。

洗濯物を乾かすことやお風呂を乾かすことでは熱負荷は差し引きゼロとなる。つまり全く発生しない。

つまりお風呂内の空気に有る熱をみればプラマイゼロになる。ここが風呂CFのポイントとなる。先の風呂CFのマニュアルでは、夏の風呂CFによる湿度抑制とエネルギー削減は副次的と申し上げたが、実は私はこのことが最も重要であると思っている。洗濯物が乾いてそれが湿気に変わっても、室内の空気の熱エネルギーが差し引きゼロになる。エネルギー保存の法則から当たり前でもここをしっかりイメージしないと風呂CFの事がわからない事になる。

つまり家の中で、自然に洗濯物乾かすことや、お風呂場を乾かすこと自体は何ら熱負荷は発生しない。ただ潜熱になってしまった空気の湿気を液体に代え結露させるためにエアコンを稼働させる。この時の凝縮熱の発生は、空気の顕熱がそもそも洗濯物が乾くことでエネルギーを奪われているのだから、こちらも差し引きゼロに近い。近いというのは空気の顕熱を熱交換器で奪い取るときに、液相になって熱交換器の表面に水がつくと、熱交交換率が落ちて多少エアコンのCOPが下がるので、厳密には同じといえないが、COPがそもそも5以上あるエアコンでの電力エネルギー消費では僅かなちがいである。

さて上の事を排気用換気扇で湿気を含んだ空気を排出したとすると、それに伴い、折角気化熱で冷やされた空気も一緒に屋外に捨てることになる。あり得ないが、仮に乾くときに蒸気に変わった湿気全てと冷やされた空気全てが排出されると仮定しても、他の給気口(家の隙間を含む)から湿気と温度が高い(エンタルピーが高い)空気が入ってきて熱負荷が大量に発生する。排気換気をするだけで熱負荷が増大するのが夏期の家の中である(窓閉めエアコン使用時)。

従来の排気用換気扇を使用した時のイメージ

しかも・・・水分が蒸発するときに発生する冷えた空気は、排気用換気扇では下に沈み込み、床面の相対湿度は他より確実に高くなる。これが床面にカビが発生しやすい原因となる。

しかし風呂CFなら、空気を床面に吹き出し浴室内温度が均一になりやすいので、床面だけRH(相対湿度)が高い状態がないのである。

風呂CFを使用した時のイメージ。

10年前はここまで説明しなくともわかると思っていたが、どうも頭の中は先に入ってしまった情報に対し、書き換えにロックがかかり変化できないことが普通の人とのこと。これを刷り込みというらしい。技術者や科学者ではいつもまずはそのまま受け止めて、ありのままの結果を素直に受け入れる訓練をしているはずであるが、社会常識にのめり込むとこれが難しいのである。

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