実務で見る CFと静圧型の床下エアコン

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ある読者さんのから風呂CFの配線図がおかしいとの指摘を受け、確かに誤解を与える図になっていたので修正した。その時に、風呂CFが高断熱高気密のユーザー間で話題になっているとのことを知った。どうりで先週はアクセスが多くなった訳だ。

冒頭の写真は、風呂CFでも変わった設置方法。脱衣所側内でお風呂との境の壁に風呂CFを設置して、ユニットバスの天井から吹き出して床を乾かしている。これは2014年に設計した長潟の家の風呂CFである。当然従来の排気用換気扇もついており、もう10年間このような基本スタイル(風呂CF+予備排気)は変わっていない。

風呂CFは自宅でも使用しているが、最近のユニットバスなら排気用換気扇だけを使うより1.5倍~2倍ほど早く床が乾く。多分風呂CFを嫌っている人は実際試したことがないからであろう。家庭にある扇風機で簡単に試すことができるのに何故行なわないか不思議である。確かに最初の30分は居室の湿度が僅かに上がるが、直ぐにエアコンで平準にもどり、夏の超多湿の空気を大量に取り込む必要がない。

また最近のユニットバスの戸についている給気口に弁がついているので注意したい。この仕様は既に8年くらいまえから殆どメーカーで採用されている。入浴中の湿気を脱衣所側に流入させたくないのはわかるが、ここまで密閉すると入浴中でも換気をしないと厳しいかもしれない。少し計算すると子供と大人が2人で入浴していると、20分後にはCo2で3000ppmを超える。酸素は21%が20.7%になるので特に危険はない。だから風呂の換気は義務ではないのかもしれない。でもCo2濃度が3000ppmを超えるならCFのような穴が少しあってもよいのだろう。

次に床下暖房のことだが、「緑の家」の床下暖房は静圧型の床下エアコン暖房としている。この件では先月ある建設会社さんに説明会を行なったときのパワポの一部を下にのせる。こちらの事は、実測による風量から計算して割り出したスリットの個数や面積としている。様々な床下エアコン暖房の方式が有る中で、最も応用が利くのが静圧式だと思う。これなら2階の階間エアコン暖房も同時に可能である(但し階間暖房は推奨はしていない)。

多くの設計者は、暖房用であっても小さな機器を選ぶことが多いが、私は上のように関東(東京、神奈川は除く)で有っても低温暖房能力が7kw以上のエアコンを選ぶ。これはエアコンの特性が外気が低温になるほど出力が下がり、また通常は定格の中間程度の能力が一番おいしい効率になるからである。またある程度余力が無いと急に暖める時に時間がかかるので、上の選出方法になる。

次に大事なことは室内機の風量である。こちらを検討して選んでいる人は少ないと思うが、大事な要素である。

スリットは小さくする。「緑の家」の場合は1.8cm×90cmが3つから4つ程度。これで1Paの差圧が確保でき風量は50~80m3/h/個となる。

スリットが増えれば個数の二乗に反比例し床下内の圧力が下がる。

このように実際スリットからどのくらいの風量が吹き出されているかを測らないと計算できないほど、実際の建築物の床下内は穴だらけである。机上の空論にならないためにも吹き出し風速を実測をし、何度も確かめて理論を構築する必要がある。

スリットから出る風速を測る。正確に測ることはできないがあたりをつけることは可能。3カ所とも同じ風速となり、床下内がチャンバーとなり静圧の差で吹き出していることがわかる。

さて、最初のネットでの様々な情報のことであるが、床下エアコン暖房も名が知れてから10年以上が経過し、また風呂CFも標準化してから10年が経過している。大事なことはこの10年間、同じことをやり続けることができた事、いわゆる継続性であり、10年前とまるっきり違うシステムや方法などであるなら、それらは未完成のままで見切発車したため多くの建て主さんが人柱になっていることだろう。住い方は100人いれば100通あるが、核となる部分の建築の設計、施工は100通ではなくせいぜい数通りぐらいだろうから、将来を見据える事と共に確実な理論構築が重要だと思う。

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