旧Q値0.81w/m2の家 屋根通気は重要

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旧Q値0.8w/m2の「緑の家」は屋根が複雑であり天候も不順なため、防水シートまでに時間が掛かっております。しかし今回の屋根は基礎の次に大事な納まりがある場所なので時間がかかる事は仕方無いと考えております。

通気層で気をつけることは、差し棟のところを隙間をあけ、写真のように頂部棟に通気を連続させる事。雨で屋根は滑るのでこの写真を撮ることは結構大変。

屋根断熱※を行う場合は、必ず屋根通気層を設けます。これは法律で決まっていませんし、長期優良住宅でも、屋根断熱時には小屋裏換気が必要とないとされているので、この屋根通気を計画する家は少ないと思われます。しかし・・・

劣化等級3(最高等級)の基準では、赤線のように屋根断熱では小屋裏換気を必要としないとう読み取れるし、実際もそのように審査される。

以前のブログで紹介しているとおり、瓦屋根などは年数回は雨漏れ(雨が屋根の裏地に侵入)しております。この雨が乾かすためには通気構造が大事なシステムで、もし通気がなく直接断熱材や合板なら、乾くまで長い時間がかかります。最近は外壁まで通気工法がよいとされているのに、最も条件の厳しい屋根が乾かすシステムがないとなると、これはバランスが悪いと考え「緑の家」では、設立時から16年も通気層のある屋根断熱にしております。

※屋根断熱とは・・・通常行う天井上に断熱材を施工する天井断熱とは違い、屋根内部に断熱を行い小屋裏空間まで室内空間にする家の作り方。

一層目の合板の上に通気層を挟んで二層目の合板がのる。普通の屋根と比べ2倍の手間がかかる。だから勾配天井はコストがかかる。

通気層の上からもう一枚合板が被さります。こんな雨の日の施工でも、この通気層があるからこそ、内部乾燥が担保されるので安心して施工が出来るのです。

左半分は2枚目の合板が施工され、右半分はこれからこの上に合板が被さる。

上下の写真のように完成時には頂部にある専用の棟換気部材から掃気されます。

完成時の屋根写真(東裏舘の家)。

さて、「緑の家」の屋根通気の隙間は18mmと壁と同じ寸法ですが、屋根通気を薦める間マニュアルでは30mmが理想とされております。なぜ「緑の家」が18mmなのか・・・

大工とスズメは軒で泣く・・・何時の時代でも屋根先端はとても重要な部分

「緑の家」の屋根通気の空気取り入れ口が18mmのスリットだからです。この部分の大きさが18mmなので通気層を30mm開けても、ボトルネックとなる入り口が18mmなので18mm以上の通気量は期待できないから18mmにしております。ではなぜ18mmの取り入れ口なのか・・・

軒裏(下)から見あげた屋根

上の写真はスリットを下からみたものですが、この18mm以上を開けるとコウモリ等が通気層内に巣を作りやすくなるからです。コウモリは暑さに弱いので南の屋根を始めとする暑くなる部分には巣を作る事はしませんが、北の屋根や日が当たらない下屋などは巣を造る可能性があります。そのためスリットを大きくするとメッシュが必要となり、コストアップしますからそれらを総合的に判断して18mmに決めているのです。

たった一つの通気層の厚さですがしっかりした理由があります。それが「緑の家」なのです。

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コメント

  1. お隣さん より:

    ありがとうございます。
    お恥ずかしながら,わからなかったのは,
    寄棟の屋根でした(汗)。同じ理由で,方形屋根もわかりませんでしたが(汗)
    寄棟の差し棟,というんでしょうか,斜めに頂部に向かっていく木のところに,垂木を接合すると思うのですが,屋根断熱にして,野地板の内側に,段ボールやら卵のパックみたいなもので通気層を作ると,垂木の接合部で空気が止まってしまい,てっぺんまで空気が流れなくなってしまうのではないかと思ったのです。
    この点について公庫の仕様書とか,ネットで見た限りではよくわからず,垂木の一番上のあたりに通気のための穴を開ければよいのかなとか,でもそれじゃ強度が低下するんじゃないかとか,そんなことを考えたところで止まってしまったのです。
    そもそもコストと重量がそれほどかからないならば,
    垂木→野地板→胴縁→野地板という,
    通気層を別に設ける構造の方が,
    いろいろ安心なので,依頼するときには建築会社に相談してみようと思います。
    今は色々情報を収集している段階です。
    今後もためになる記事を楽しみにしています。
    丁寧に教えて下さり,感謝しています。

  2. オーブルデザインの浅間 より:

    お隣さん こんにちは。
    >寄棟で屋根断熱する場合、野地板の内側に通気層を作ると、四隅の部分はどうやって棟から換気するかがイメージ出来ませんでした(棟全部に換気部材を設置する?)。
    多分、お隣さんがおっしゃりたいのは、
    http://www.what-myhome.net/30ho/hougyouyane.htm
    の方形屋根のことではないかと思います。この場合は、棟換気は取れません。昔から住宅の屋根としてはふさわしくないとされている所以です。もし寄棟でもてっぺんに棟がある今回の記事のような屋根なら、写真の2枚目でその通気流れがわかると思います。
    天井や屋根に使われる断熱材で繊維系ならば、防風紙の代わりとして合板が貼られことで、理論どおりの断熱性能が発揮される事からもお勧めです。コストは・・・合板と通気胴ぶちの材料・手間となります。重量は雪荷重から見ればほんのわずかなアップです。12m合板一枚が7kg/m2(70N/m2)位です。これはソーラーパネルの半分くらいでしょう。

  3. お隣さん より:

    こんにちは。いつも勉強させていただいてます。
    寄棟で屋根断熱する場合、野地板の内側に通気層を作ると、四隅の部分はどうやって棟から換気するかがイメージ出来ませんでした(棟全部に換気部材を設置する?)。
    野地板を二重にして通気層を作れば、確実に排気出来ますし、熱も伝わりにくそうで、結露や雨漏りの被害も出にくい、間違いない構造に感じます。
    ただ、コスト&重量upがどの程度かは気になります。屋根はけちるべき部分ではないとは思いますが…