基礎断熱と床下断熱 査読論文から その1

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

base5

基礎の断熱材は何を使用しているか?と質問が有りましたので追記です。
素材はフェノバボードλ=0.019w/mkと断熱材の中で最も高性能な素材を120mmですからそのU値は0.16w/m2Kで、これはλ=0.028w/mkのスタイロフォーム断熱材換算で175mm相当の厚さになります。異常でしょうか・・・。

ご存じ「緑の家」のSSプランの家基礎断熱部分。白アリ対策がしっかりされている基礎。

「緑の家」の基礎は基礎断熱の床下暖房を行っているので、新潟県では過剰と言えるほどの断熱材が基礎外周に設置されており、そのU値は0.016w/m2Kと相当高性能になっております。県内でも床下暖房を行う会社は多いですが、ここまで断熱材を厚くする理由はなぜでしょうか?

cci20140318_3

以下グラフ、図などはこちらの論文からの抜粋

 

昨年年末の建築学会の査読論文(今タイムリーなあの査読論文です)の中に、上のような断熱の第一人者の坂本先生共著により床下暖房の熱負荷に関する論文があります。この論文が基礎の厚い断熱材の理由といえるのでご紹介します。

cci201403182

青線は当方が勝手にひいたもの

この論文の目的は、上にあるように

「一般的なエアコン暖房は室内壁掛け型で使用するが、床下暖房時には床下に温風を吹き出すので、床下は温度が高くなりまた気積も増えるので熱負荷が増えるとおもわれるので、その負荷を定量的に把握し評価に役立てる」

cci20140318_0007_2

床下内の温度が上がり、外皮、気積が増えただけのロスではないのでこのような検討になったと思われる。

との記載があり全く理由を説明するにはふさわしい論文ですし、共著である坂本先生はとても実績の高い研究者であるので、シミュレーションではありますが信用性が高い論文といえます。

 

その前におさらいで床下暖房とは・・・上の図のようにコンクリートの基礎の囲まれた床下内に暖かい空気(冷たい冷気)を送り、床下をチャンバー空間として扱い、階上に暖気(冷気)を行き渡らせる空調方式です。

cci20140318_0005_4

普通に考えても同様な結果。数値が有るのでわかりやすい。

で・・・早速まとめにいきましょう。

「室内の人が感じる快適指標を同じくしたときに、通常の壁掛けエアコン方式に比べエアコンによる床下暖房方式は13%も負荷がふえた」とのことで、これは13%余計に暖房費がかかるということです。

なぜでしょうか?

cci20140318_0007_3

シミュレーションの条件

想像どおりで、床下に暖かい空気を吹き入れる事で、床下内は通常の室内より温度が上がります。温度が上がれば基礎周囲から逃げる熱も増えるので、当たり前と言えばあたりまえです。また通常は暖房しなくてもよい基礎内を暖める事で外皮が増える(床下暖房だけではなく基礎断熱なら同じく外皮は増える)事で熱が逃げるのです。

 

cci20140318_0001_3_2

緑色の丸が暖房時の結果。

 

緑色のところが暖房条件の時で、床下内温度は室内温度より4~5℃高いです。無論床下からの貫流熱負荷は外気(周囲の温度)10℃の時で1.7倍ほど15℃の時で2倍以上の熱が逃げます。

ここからわかるとおり、基礎周囲の断熱性能は床下暖房を行う時は、しない時に比べある程度厚くする事が必要になります。これは高基礎でない場合のシミュレーションですから、基礎や床下が大きくなれば更に配慮が必要です。

このような理由で、「緑の家」では新潟県では過剰過ぎるほどの断熱材を基礎の立ち上がりに使う事を6年前、つまり床下暖房を標準にした時から実施しております。床下暖房をするときには、こういった配慮を最初から気づいて提案すること・・・

つまり建て主さんの立場になれば床下暖房と基礎断熱強化は一体の仕組みです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする