2014年06月12日に緑字を含む大きな訂正しました。
5月はなんと・・・基本設計8つを精一杯ご提案しました。ハウスメーカーさんやデベロッパーさんに従事する設計者さんは、そのくらい8日間で行うでしょう。しかし私は、何時も自分の自邸だと思って、楽しみ、苦しみ、ワクワクしながらプランするので時間はかかり心身共にへとへとになります。デスクに向かっていない時も、何時も頭の中はどのように空間構築するか考えているので・・・。
だからブログの更新もサボりがち・・・するとブログ訪問者さんも少なめで、多分みんな残念な気持ちになります。しかし・・・また今月は一生懸命書きますね。今月の重点は実施設計だから・・・。ただし4つは確実に重なりそう・・・こなせるようにガンバります。
さて本話題は、ちょっとマニアックでスルーする人も多いはずの
換気と消費エネルギーについて・・・・
おおー「気」の入るテーマです。
エアコンと換気扇は住宅の設備中で基本中の基本。
覚えてますか?3年前の2011年にこのブログの中で、
関東以南は熱交換型換気扇を使うより、消費電力の少ない第一種熱交換無しセントラル換気システムのほうが省エネになりそうと宣言したこと・・・。だから再び標準はダクトレスの壁付け第一種熱交換無し換気扇に戻りたいと思っておりました。昨年からの新Q値計算でこの換気の影響が無くなったので(定数になった)、あとは寝室の冷気感の問題が解決できれば・・・戻りますし、戻っております。
えーっと・・・
影響がなくなったというより、熱交換無しのほうが省エネと証明されましたと言った方が積極的表現でしょうか。
これは以前も紹介した低炭素住宅認定用の一次エネルギー消費量算出ソフト(昨年国認定)で実証されております。
全く同条件で換気を熱交換有りのロスナイ(三菱さんの商品名ですがパナさんならQhiファン)と熱交換無しの壁付けセパレート型換気システムで計算すると、
条件 新潟5地域 エアコン暖房でエアコンCOP区分は上から2つめ
上は熱交換有り
下は熱交換無し
一次消費エネルギーはほぼ同じ、つまり壁付け熱交換型換気と壁付け熱交換無しの換気は結局同じくらいのエネルギー消費になることがわかります。無論、熱交換有りの換気設備の比消費電力が0.58と大きめなのでここを半分の0.3くらいの物を選べばよくなります。0.3以下の物はDCモーター採用のトップ機種でしょう。
一方上の条件はエアコンのCOP性能は上から二つ目ですから一番よいCOP数値を入れると、今度は熱交換無し換気扇が多少有利になります。「緑の家」は一番よいエアコンを使いますから熱交換しない換気計画のほうがよい結果になることが証明されました。
さて・・・
この計算をしているときに事務所内でちょっとした問題勃発。
壁付け第一種(熱交換型)換気扇は10年くらい前から24時間換気として使われるので、有効換気量が通常はしっかり記載されております。この有効換気量は何かというと、実際屋外から取り入れる空気は50m3/h近くになるのですが、この機械内でリーク(漏れ)があり、本来排気する空気が16m3/hほど給気に混じってしまうのです。だから有効換気量が34m3/hとの記載になります。この時のJISにおける熱交換率が70%と表記されます。
一方、ダクト式の換気扇は換気量が自由に可変してしまうので、有効換気量という表現ではふさわしくなく、有効換気量率を表記しております。これは決められた条件でどのくらいリークしているかという事を示し、例えば有効換気量率が90%だとすると、外から取り入れる空気が50m3/hの時には45m3/hの外気と5m3/hの室内空気を足して50m3/hとなります。この有効換気量率を先ほどの壁付け第一種(熱交換型)換気扇に当てはめると50m3/hのうち有効換気量が34m3/hだから68%の有効換気量率となります。ですのでこのソフトの入力時には比電力は普通の給気量で入力し、有効換気量率を有効換気量率/給気量で入力する事になりそうです。ただ68%の有効換気量率では熱交換の意(エネルギー削減)味がなくなるとこのソフトは判断します。詳しくはこちらで。
話題がそれますが巷の殆ど方が誤解する事があります。それは・・・
ダクト式の換気扇は150m3/hの風量があったとしても有効換気量率が90%なら実際は135m3/hとなり、法律で決められた換気回数計算の時はこの135m3/hを使わないといけません。しかし殆どの方多くの方が勘違いをして熱交換換気扇の実測風量が150m3/hあればそのままそれを換気回数計算量に使ってしまいます。極端にいうと、有効換気量率50%の換気扇は、熱交換していなくとも熱交換率50%になると考えられます。無論半分は室内空気そのものです。つまり換気回数0.25回/h ああーー恐ろしい事です。
つまり換気扇の性能は・・・
有効換気量率×給気量×熱交換率=有効換気量×熱交換率
となる事をしっかり理解する必要があります。
さて事務所内の問題勃発とは・・・
上の一次エネルギー算定プログラムでは、熱交換換気をした時にこの有効換気量率を聞かれますが、有効換気量表記の換気扇に対し、さらに有効換気量率を間違っていれてしまったのです。そうなれば著しく消費エネルギー量が多くなり、熱交換する意味がなくなります。これは直ぐ上の事で解決しましたが、実はとっても腑に落ちないことがあります。このプログラムには「熱交換率」を入れる項目がありません。と言うことは、この有効換気量率と比消費電力(消費電力/換気量)だけで判断しているのでしょう。これって・・・。
コメント
赤林先生へ
コメントありがとうございます。ようやく返信出来る位しっかりしました。
少し調べた事もあるので続報をアップします。
秋葉の監督と書いた覚えはありませんが、なぜか名前が変わってしまいました。
赤林先生 秋葉の監督様、コメントありがとうございます。
>これからの給湯のスタンダードはなんだと思いますか?
低温の熱(85度以下)を作り出すのは今後もヒートポンプが主役ですからエコキュートに変わりないでしょう。
>あと、主たる居室の大きさをなるべく小さくする方がエネルギーの削減になるのでしょうか?
これは赤林先生・秋葉の監督さん?と同じです。
あえて言えば評価の中でエネルギーが減る事は大事ですが、実際の生活ではエネルギーに使うコスト削減のほうが大事で、私が超高断熱を薦めるのは、一次エネルギーの削減ではなく家計の経済性ですが、その前に家本来の目的です。従ってUa値が下がっても窓は大きく、主たる居室は大きくです。
>高速道路を走っているとなんてプリウスが多いんだろうと思います。
私も強くそう思います。さらに・・・一般道路でも一番多く見かけます(^-^;
ついでに言えば車も同じですね。私の車はリッター10kmしか走りませんが、プリウスはリッター20km位は走るようです。でも私の車はほとんど同じ車に会いません。高速道路を走っているとなんてプリウスが多いんだろうと思います。こんな個性のない車に乗りたいとはいくら燃費がよくても乗りたいとは思いません。住宅も全くとは言いませんが、似ているのではないでしょうか。
「冷暖房を高性能のエアコンにして、熱交換なしの3種換気で換気回数を減らす場合が一番の一次エネルギー削減になるのでしょうか?」 武田氏のブログにあるように1次エネルギーの削減にそれほど興味はありません。予算を取ってくるための方便に使うことはありますが。熱交換なしの場合に吸気口からの冷気をどう処理するかが問題ではないでしょうか。冬には給気口は大抵閉められてしまいます。CASBEEの様に、快適性を負荷で割り算して値の大きな住宅の評価を高くするのは合理的と考えます。一がいるときだけ換気するのは合理的ですが、たとえば人感センサーをつけて、人がいるときは必ず運転するようなシステムが必要です。基準法では換気設備を設置しなければならない書いてあるだけで運転しなければならないとは書いてありません。止めるのは居住者の自由ですが、それで病気になっても設計者がきちんと説明していれば訴えられることはありません。
住宅の価値は省エネや快適性だけにあるだけではないと考えています。もちろん、最低限の快適性、安全性、健康性を持っていることは必要ですが、特に注文住宅は自分の個性や主張をするものでもあります。住吉の長屋が評価されるのは(私は全く評価していませんが)そのような価値が住宅にあるからだと考えています。吹き抜けの大きなリビングが好きな人にはきちんとどんな環境になり、どの位エネルギーを消費するかを説明して納得して貰えばよいのではないでしょうか。ところで、我が家は高い電気代で悩んでいます。今更熱源を変えることはできません。薪ストーブでも置こうかと悩んでいます。
あと、主たる居室の大きさをなるべく小さくする方がエネルギーの削減になるのでしょうか?
大きな吹き抜けを持つリビングは時代遅れになるのでしょうか?数値化されたものだけでの判断で奥様たちの会話が『お宅の達成率はなんパーセントだった?やっぱり○○○ハウスはさすがね~』なんて会話が当たり前になったらとてもつまらないですね。
冷暖房を高性能のエアコンを(い)にして、熱交換なしの3種換気で換気回数を減らす場合が一番の一時エネルギー削減になるのでしょうか?実際に活動時に排気してれば十分ですし、(不在時には換気しなくてもいい)暖房時以外は窓を開けていることが多いわけで、高性能の熱交換換気システムは不用なんでしょうか?それよりも給湯のエネルギー削減に努力する方が良いと思いますが、どうでしょうか?これからの給湯のスタンダードはなんだと思いますか?
赤林先生
コメントと資料ご紹介、ありがとうございます。
>きちんと計算しようとすると大変な事になりそうです。
おっしゃるとおりです。このソフトは如何に簡単に入力するかがポイントですから、きっと熱交換率はある換算式がるのかもしれません。少し根拠を探してみます。
>1次エネルギー換算値に9.97MJ/kW(電力の場合)を使用するのは誤りです。この値は火力発電所のみの1次エネルギー換算値ですので、実際の電力の1次エネルギー換算値は時刻で異なります。
なるほど・・・時刻によって変るのですね。それも結構大きく変っているように思えます。図5の例では夏季で25%も違っておりますから、この差分は大きいと感じます。それも深夜の方が効率?がよいのですね。
実務の事はよく知りませんが、確かに熱交換効率を入れる箇所がないのはおかしいですね。でも、全熱交換機の場合には潜越と顕熱とそれぞれ熱交換効率異なりますから、きちんと計算しようとすると大変な事になりそうです。ついでですが、1次エネルギー換算値に9.97MJ/kW(電力の場合)を使用するのは誤りです。この値は火力発電所のみの1次エネルギー換算値ですので、実際の電力の1次エネルギー換算値は時刻で異なります。詳しくは http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/ronbun/heisei25/osawa.pdfをご覧ください。