高断熱浴槽は必要か?査読論文から その2

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緑字加筆しました。19時10分

実験をすると時に予期せぬ事実を目の当たりにすることになります。
今回の論文中の実験結果でその部分にあたるのがこの図・・・

Ubtが大きいほど熱が逃げやすい。ピンクの室温が高いほど熱が逃げやすいという結果には・・・おっ驚き

この図は浴槽の熱損失係数を実測結果から算出した結果です。

Ubtが所謂熱損失係数で

パラメーターは
・室温(浴槽を取り巻く温度)
・断熱材有無
・蓋の開閉
です。

すると・・・

ピンク色のパラメーターに注目下さい。蓋を開けっ放しにすると室温10度の方が室温25度より熱損失係数がよくなります。つまり室温10度の方が25度の時に比べ熱が逃げにくい・・・。

この結果にはびっくりしました。普通に考えると、室温が低い方がお湯の温度は冷めると感じてしまいますが、水と空気の境界での接触による温度のやりとりは大変小さく、湯が影響を大きく受けるのは・・・

「気化熱」

が殆どなのです。

冷静に考えればあたりまえのことですが、気化熱は目や触感で感じられないためどうも鈍感になるようです。皆さんもうどんを食べるときにふーふーするとあっという間に冷える事を知っていると思いますが、お風呂のように巨大だと熱くてもふーふーしませんからね。というか水を入れますし・・・(笑)。補足しますが、25度の時の方が10度の室温時よりも相対湿度が低くなり、すると空気と水境界空気の水蒸気圧に差がついて気化が促進されます。気化が大きくなれ気化熱が多く奪われ・・・つまり湯が冷めると言うことです。

筆者らはこのUbtは高断熱浴槽と断熱無し浴槽の熱の逃げを定量化する事を目的としてでまとめたと思いますが、思わぬ発見(再認識)がありました。これも蓋開け有りと蓋開け無しで実測して頂いたからからだと思っております。研究者らには感謝です。

ホント、気化熱って凄いですね。逆に言えば、空気中の水蒸気が持っている潜熱(気化熱)は保水物質(人も含む)には大変影響が有るということです。だから夏の空調は湿度が大きな影響を及ぼすのでしょう。湿度低くなりすぎて体が冷える場合は、汗線を閉じ湿気を出さないようにする事で体温を簡単に維持できますが、室温が低いことで体温を維持しようとすると汗線を閉じてもダメで服を着るしかないですから・・・。

因みに、論文には↓のように解説があり実験室で造った人工環境は、湿度の制御までしておらず多分湿度は成り行きで行われたようです。だから25度の方が水蒸気圧が低くなり湯が気化されやすくなったのです。

一応このページ全文を↓に載せます。

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コメント

  1. ぺーやん より:

    こちらで勉強させていただいてます。
    当方、これから千葉で家を立てる予定ですが、当然ながら外断熱か内断熱かを悩みました。
    費用対効果を考えるうちに、外断熱の家をもっと有効利用が出来ないかと考えるようになっていたところ、ネット上で家を建てた後の悩みを検索するうちに、吹き抜けに関するデメリットとエアコンの室外機の位置について、気になるようになりました。
    聴覚障害の家族が気兼ねなく少し大きな音でテレビなどを楽しめるように、吹き抜けは作らずに全室空調を考えました。しかし、流行りの空調システムでは、部屋ごとの防音が悪く、普通のエアコンに頼るしかないとの結論に達しました。
    しかし、普通にエアコンを設置しても省エネになるわけもなく、どうしたものかと考えた結論が、基礎を深基礎にし、家との間を断熱の上、室外機を基礎の中に入れようと思っています。もちろん、ただ入れるのではなく、それなりに工夫しますが。
    その際にふつうのエアコンかマルチエアコンかで悩んでおります。
    マルチエアコンは需要がすくないので、種類が無く選べないのです。