2018年に加筆修正 緑字
高断熱高気密で使う家庭用エアコンのお勧めを数年ぶりにご案内します。
但し、実機を使っての体験、実測談ではなくカタログやメーカーに聞いての評価なのでその点はご容赦ください。また2014年度のカタログ、仕様からの内容ですので2014年度にしました。
選んだメーカーはここ数年お勧めの
パナ
東芝
日立
三菱電機
の4社で、「緑の家」の床下暖房メイン機のダイキンは今回の話題から外しました。
というのは・・・床下暖房という特殊条件で使う器機としてはダイキンの市場価格の安さと性能の魅力には変わりありませんが、床下暖房以外の一般的に使い方はあまりお勧めしないこと、また今回は冷暖房期間の評価としてお伝えしますから外しました。機会があれば比較します。
まず第1回目は夏を考えた時のお勧めです(無論高断熱高気密の家の場合)。
冷房の能力及び性能は比較するとあまり差はありません。全ての機種で定格冷房時COPは低下しており大体5前後です。10年前の6.5から見る影もありません。またメーカートップ機種又はそれと同じ性能の機種であれば今は特に各社に大きな違いはありません。違うのは・・・除湿の考え方になってきたと言えるでしょう。
日射遮蔽を考えた高断熱高気密の家は冷房負荷が小さくなるので、1台の8帖用のエアコンだけで小さな家1件分の冷房は可能です。そこで家中全て空調してしまうことになりますが問題は除湿です。除湿は高断熱だからといって小さくなる事はあまりありません。無論、全熱交換換気扇で湿気まで交換した上で局所換気をしないようにした場合は(「緑の家」のCS使用時)、潜熱負荷は小さくなる場合があります。この場合はエアコン1台でも配置や使い方を考える事で1台のエアコンの除湿量で湿度を60%くらいに維持で来ます(1日の除湿量25L以下)。これを50%にする場合や、顕熱交換換気使用時、又は局所換気量が大の時は1日あたり30L以上の除湿が必要となり、1台のエアコンでは難しくなります。そこで複数台のエアコンを使い除湿する事になります。またこの時日射遮蔽がされた高断熱の家は、顕熱負荷が小さいので温度を維持しながら(27度~28度)湿度を下げる為には再熱除湿のような強制除湿システムが必要です。
ですので殆どの場合再熱除湿のある機種を選択しないと湿度は下がらないし温度が下がりすぎて不快になります。一方冷房時のCOP(APF)は暖房期間に比べ1/4の消費電力量ですからあまり気にし無くともよいと思います。
その点で見ると
お勧めは(2015年2月12日)
一位 三菱 ZW224~ZW284
二位 東芝 221GDR~251GDR ←過去最悪の機種でした。2017年11月から2018年1月のブログに記載
三位日立 Z22E~Z28E
です。
この3社は再熱除湿量も殆ど変わりまりあません。違いはそれぞれのその他の特徴で、
三菱がセンサーや品質・国内生産に拘っている点、日立がステンレスケース・清潔に拘っている点、東芝がPM2.5等以前から空気質に拘っている点です。
後は市場価格ですね。現時点で三菱は8.5万~、東芝は11.5万~、日立が19万~ですから、ここは価格の順に評価しました。よって価格が変われば順位の入れ替えがあると思ってください。
どうして止めたの?電話で聞いてもこの方式は再熱除湿より除湿量は少ないとの事
今まで必ずお勧めトップ又は上位に入っていたパナソニックはAPFが7を超えているのですが今年度の機種から再熱除湿を止めたので冷房用として使うには力不足です。ですので10年ぶりにお勧め機種から除外しました。ダイキンさんといい、パナさんといいどうして近年再熱除湿を取り入れなくなったのでしょうか。今の技術で再熱除湿はSHF(顕熱比)が0相当にできる最も現実的な方法です。確かに消費電力は倍以上になりますが室温を維持しながら湿気だけ取る良い方法の一つですから湿度50%維持を望む人には必要な機能です。
因みにJRA基準時の再熱除湿量は1.2L/h~1.1L/hありますから1日24Lくらい除湿できると思って良いでしょう(消費電力0.4Kw/h~0.8Kw/h機種による)。
コメント
はじめまして。
いつも記事を楽しみにしております。
ひょんなことから目にした三菱重工のビーバーエアコンは比較的にシンプルで良さそうだなぁと感じたのですが、エアコンマニア的に選外の理由などあるのでしょうか?
再熱除湿のついたモデルもありますし、表示スペックは値段の割に良さそうに思います。
売上など、将来的な観点なのかメーカーのサポートを心配して、など?
感想などありましたら是非お聞きしてみたいのですが如何でしょうか?
としちゃんさん
コメントありがとうございます。
ビーバーエアコンは自宅に2011年から2016年まで使用しておりました。
塩害で壊れる事もなく稼働しておりましたが、再熱除湿がない機種だったので、思ったような空気環境にならないので現在トラブル中の東芝エアコンに変えました。
三菱重工は標準で室外機に耐塩害処理がされていたことが決め手になり購入し、確かにその点では優秀だったと思われます。よって再熱除湿があればよい選択かもしれません。
浅間さん
ありがとうございます。
実際に使用されていたんですね。
数年後のリプレイスの際は再熱付のビーバーにしてみようと思います。
センサーなんて要らないので、メーカーさんには再熱だけつけて安く売ってもらえると助かるのですけどね。
色々な意味で、そういう時代が来るといいなあと思います。
とうちゃんさん
>業務用エアコンの壁掛けタイプは今でも1200mm程度あるのですが、効率ってどうなんでしょうか?
業務用は実測したことがないのではっきりとわかりませんが、カタログ値を見る限り家庭用と比べ良さそうではありません。家庭用トップ機種の方が一般的に優れていると思います。
>以前に、エアコン室内機の幅を半間に納める為に狭くなって、効率が落ちたとの記事を拝見した覚えがあります。
そのとおりです。が・・・
メーカーも考えるもので、巾がダメなら奥行きで・・・
と言うことで今やエアコンの形状はエイリアンのように前に400mm(汗)近く出ているタイプもあり、そこに熱交換器を拡張して面積を大きくする方法を殆どメーカーで行っております。もう形が異常です・・・。
>大きめのリビングとかには使えるような気もします。値段は10万円程度です。
この値段ならいいですね。業務用は機能がシンプルで且つ操作性がよいのでそのところは大変お勧めです。タイマーセット動作も別々に選べる所が良いです。
浅間様、返信頂きありがとうございます。
結局、東芝のGDRH402を購入し、一階LDK18畳と和室6畳+αを暖房していますが、能力的には十分で設定温度は20〜22度、電気代はオール電化で現在1日100〜120円ほどです。
ただ、快適性という観点からは2kw二台の方が優れていると思います。
これから夏になり、どこまで再熱除湿を活用するか、それとも冷房のみでいけるのか、楽しみです。
浅間様の過去の記事も参考に試行錯誤したいと思います。
以前に、エアコン室内機の幅を半間に納める為に狭くなって、効率が落ちたとの記事を拝見した覚えがあります。
業務用エアコンの壁掛けタイプは今でも1200mm程度あるのですが、効率ってどうなんでしょうか?
一番能力の小さいタイプで、単相200v「能力目安:事務所 24~35平方メートル (1.5馬力)」なので、大きめのリビングとかには使えるような気もします。値段は10万円程度です。
ごんたさん
コメントありがとうございます。
そういえば夏前に建築中だったとのこと・・・如何ですか住み心地は。
>空気清浄機能と除加湿器を一体化した製品がよく売れている
なるほど・・・。そういう背景もあるのですね。
>PHJのメルマガにて、PHPPのバージョンアップに伴い、複数点のCOP入力が必要になりエアコンメーカーと交渉中
いいことですね。PHJに申請はしたのですが、省エネ建築診断士の資格がないと入会条件を満たさないと言うことで保留状態です・・・ので初めてしりました。
もともとJRA(日本冷凍空調工業会)取り決め出版のエアコン能力算定やそれを元にしたJISのエアコンのAPF算定では、
冷暖房時の定格COPと
冷暖房中間時のCOP
暖房低温時のCOP
の冷房2ポイント暖房3ポイントのデータからAPFが計算され算出しておりますから、メーカーが公表するのは義務に近い行為だと思うのですが不思議に2007年以降申し合わしたようにデータが表にでなくなりました(メーカーに聞いても教えてくれない)。
ここ3年はAPFはほぼ横ばい、定格COPは低下とエアコン業界の技術進歩は残念な感じで、性能も横並びのためどの機種を使ってもあまり変化がないかもしれません。ですので現在の経済性は機種よりその使い方で決まると言っても良いでしょう。
以前にも一度コメントさせて頂きました。
なんとなくエアコンの除湿は電気代が高い、というイメージが広がる一方で、空気清浄機能と除加湿器を一体化した製品がよく売れているメーカー(パナ、ダイキン、シャープ)がエアコンから再熱除湿機能を外すのはある意味合理的な判断なのかもしれません、、と個人的に考えます。
話は変わりますが、PHJのメルマガにて、PHPPのバージョンアップに伴い、複数点のCOP入力が必要になりエアコンメーカーと交渉中という情報がありました。
浅間様もずっとおっしゃっておられますが、エアコンの特性を把握して機種を選択できる時がもうすぐ来るのでしょうか。
ぜひとも風穴を開けて頂きたいですね。