「緑の家」の防火の考え方

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前日に「緑の家」は耐震性にとても配慮しておりますが、防火性能は特に大きな拘りがありません。その理由は・・・

総務省HPから

過去25年間における地震による倒壊数は不明ですが、圧死などの死者数は概ね6700人(津波死者は除く)で年間に直すと300人弱、一方火災による死者数が年間1500人以上・・・。火災の大元である「火」は生活になくてはならない大事な自然現象ですから単純に比較は出来ません。死者数だけを見ると5倍と圧倒的に火災で亡くなる人が多いことがわかります。でも・・・

総務省HPから 火災統計

出火原因の第一位は放火(放火の疑いを含む)です。続いてたばこ・・・。

少し整理する為に条件(家の中、たばこは吸わない、放火・火遊びは防ぎようがないので無視)を加えると・・・

第一位にはコンロ、続いてストーブとなります。

更に条件を加えて(IHコンロ※で暖房はエアコン)とすると
出火原因の第一は火入れとなります。火入れとはなんだかよくわかりません。ネット辞書でしらべると多分・・・「野焼き」のことのようです。ですのでこれと焼却炉も除外すると、

電灯・電話等の配線が第一になり、つまり我々建築供給側で気をつけることの第一は漏電やトラッキングし難い計画となります。つまり・・・家の中での火災原因の第一が電気配線やコンセント部分ですからその対処は単純で、配線における施工ミスをなくしトラッキングが起きやすい位置にコンセントは設け無い事につきます。トラッキングとはネットで調べるとわかりますが、殆ど住まい手側のメンテナンス・使用法や器機選択になり、私共設計者は冷蔵庫のコンセントを見えやすい位置や埃が溜まりにくい上部壁にという事にだけになります。

このあたりが耐震性と大きく違うので、「衝撃的な論文 火災と通気工法」で申し上げた「緑の家」は類焼性とともに防火性能に気を使わない理由なのでしょう。また地震と火の大きな違いは、地震は人が生活する上でなくとも困りませんが、火がないと生活が成り立ちません。火によって恩恵を受けているので多少危なくと社会に受け入れられているのです。一方地震は全く役にたたないので死亡者の数に拘わらずその防止策を取り入れなければなりません。このあたりは自動車も同じで年間5000人以上という犠牲者があってもまだ道路を運転免許一つあれば走り続けられるのです。

とにかく一戸建て住宅(共同住宅や長屋、事務所等を除く)は火災に対して、早期発見で早期避難、復帰は保険で・・・が基本だとの考えです。無論、建築基準法及び消防法は厳守で、それ以上の性能は標準で必要ないと考えます(構造によって火災保険がやすくなるといった経済的な理由は個々に判断が基本)。

※・・・IHコンロでも異常加熱したフライパンに急に油を注ぐと生火がでる可能性がある。

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コメント

  1. 四国の施主 より:

    いつも勉強させていただいております。
    過日は四国での高性能住宅のポイントについてご教示いただき、ありがとうございました。
    これまで気密測定すら実施したことのない工務店さんですが、「何としてもやります!」と、契約書に「C値1.0未満」を快く記載してくれました。
    前置きが長くなりましたが、浅間様の防火に対するお考えは、基本的に間違いはないと思います。
    トラッキングも含め、ストーブ、タバコなど火の不始末については、住まい手が気をつけるべきこと。
    また、放火については、侵入窃盗などと合わせて対処すべき“防犯”の話です。
    可燃ゴミなど燃えやすい(着火しやすい)物を屋外に置かない、センサーライトを設置するといった一工夫でかなりのリスクを低減できます。
    要は、隙を作らないことが肝要です。
    私も、戸締まりは当然のこと、玄関等を夜間は点けっぱなしにしております。
    突然のコメントで失礼いたしました。
    超高性能かつ素敵な“緑の家”のお施主様達をはじめ、新潟の皆様方が少しでも不安なく、快適に過ごせるよう願っております。