「て・こあ」でのある一日 六拾壱 復習気化熱

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「て・こあ」での昼食の準備・・・

まず並べるのは笹の葉・・・。

キッチン横には小さなミョウガ藪があり、そこに笹も生えておりますから、その都度新鮮な笹を取るところから昼食の準備は始まります。まるで茶の湯のような感覚・・・

さて昨日は猛暑となり各地で今期一番の暑さとなりました。
しかも熱帯夜も重なったところも有ります。・・・が、真夏の熱帯夜より随分ましな暑さです。

明け方で暑さのポイント「湿度」は70%台で、真夏の95%くらいのときと比べると随分寝やすいと思われます。

「て・こあ」の全景
。緑に覆われる築約100年(大正6年築)。

そんななか古い民家がなぜ夏ひんやりしたか復習です。

よく土壁がその一端を担っていると言われますが・・・

土壁は家の中の空気を冷やすほど力はありません。
このあたりは自然住宅派の人は感覚で説明するのでは無く、数字でお願いしたいところです。

「て・こあ」はほぼ築100年で土壁の家です。
早速その土壁の温度は

50年以上前の正真正銘の土壁

30.3度・・・

中は藁の本物のタタミ

タタミは30.7度

無垢の杉板

板の間(玄関)は31.4度・・・多分気温並みです。

防湿フィルムなしのコンクリート土間

玄関土間30.9度

・・・とこの部位殆どがほぼ外気温並みの温度となっております。

次に3年前に改築したキッチン土間のコンクリート温度

25.4度・・・結構低い事がわかります。更にその隣接する50年前ほどのコンクリート土間は

結露する土間。右土間は結露していない。

24.3度・・・写真の左側が最近の土間、湿っている右が50年以上前のコンクリート土間。
隣接しているのに1度以上もちがう・・・何が違ってこの温度差がでるのでしょうか。

答えは簡単でコンクリート下に大地の湿気を通さない「防湿フィルムがあるかないか」です。古い土間は防湿フィルムを敷いていないので、大地の湿気がじんわり室内側に移動します。その湿気が大気中に気化するときに大量の気化熱を奪い低い温度になるわけです。無論コンクリートの厚さも影響しておりますが、この結露したコンクリートが古い家ではもっと大地の湿気を室内に呼び込む「たたき」(土を水酸化カルシウムで固めたもの)だったら更に影響が大きくなります。無論この様々な温度からわかるとおり日陰になることが大原則です。

よくわかりますよね。古い家のあの冷やっとする感覚・・・実際の室温も低ければそれは「たたき」が大きく左右していて、土壁は殆ど関係ありません。土壁も木に比べて1度低い温度でしたが、それはタタミと変わり無いくらい・・・。このように土壁とタタミは若干室温より低いので輻射熱がなくそれでも冷やっとしますが、室温は下げる効果はほぼありません。

気化熱を利用するならそれが随時放出される土間でないと影響は極わずかです。
では現代の家に「たたき」を持ち込もうと思われた方・・・それはそれで結構ですが、たたきから放出される湿気は必ず「カビ」を増殖させます。古い家がそうであったように「カビ」との同居を肯定できる方(住い方)が、この土間やたたき(三和土)を利用できるのです。

あっ・・・防湿フィルムを設置したキッチン土間コンクリートは気化熱冷却は利用できません。それより蓄冷熱があるので低い温度であったということでしょう。

参考に裏の森林で日陰の表面温度(葉っぱ)は・・・

27度・・・とキッチン土間より高いのです。多分午前中日射に照らされて地面が少し高い温度だったかもしれません。

次に屋外日陰のコンクリート土間(防湿フィルムなし)・・・

31度

最後に日射のあたる屋外駐車場のコンクリート土間(防湿フィルムなし)・・・

44度・・・大地からの湿気供給が間に合わないので気化熱は殆ど意味なく大量の日射で温度は上がります。

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