想定外は必ずあるので安全率 その1   壁内結露

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「緑の家」普及仕様の壁内結露算定表

最近の仕事は県外も多くなり、新潟県とは違った様々な外気環境になります。
山形、福島、栃木、群馬、富山に愛知、千葉・・・等々

新潟より温暖地もあれば寒冷地寄りの場所もあります。
特に寒冷地寄りでは冬期の壁内結露の心配は払拭しておかなければなりません。
それにはまず・・・科学的根拠によることが大事でしょうから、壁内の水蒸気圧算定を行います。

今までは単発的に手計算で行って十分でしたが、「緑の家」建築地域が広がったため条件を簡単に変えられるようにエクセルを組みました(当方スタッフKによる・・・感謝!)。

室内条件を相当悪くして(15度湿度80%と押し入れ奥の隅部分)定常計算してもNGはない。

さて・・・

「緑の家」では最近の普及タイプのほうでまず検討します。これらを見ると、

外気-10度で湿度90%、室内22度45%の条件でも安全率2でクリアーします(飽和水蒸気圧に対し半分程度の水蒸気圧)。さらに国の条件である室内側15度湿度50%においても安全率2以上、更に条件を悪くして15度湿度80%の室内条件でも安全率1.3で、全く問題ありません。

この計算は定常計算で行っており、より実際の環境条件に近い非定常計算によれば更に安全性は高まりますが、木造住宅において透湿抵抗が釘などの貫通物量によって変わる施工方法では、コンクリート建築物のように釘などの貫通物が壁にない施工方法と同じ考えではダメで、条件をきつく考えないといけないと思います。

木造住宅では大工さんが時には間違い、壁の釘の量が倍だったり、タッカー釘の留めつけが悪くて、貫通穴が大きかったり、予期せぬ事が多すぎます。この時、肝心の防湿の要である透湿抵抗が高い防湿シートや合板に多くの穴が開いてしまった時には、「想定する」透湿抵抗が下がり、ギリギリで成り立っていた内部結露防止を阻害する可能性があるからです。

木造住宅ではRC(鉄筋コンクリート建築物)などと違い、施工は釘、ビスといった貫通物に頼るという施工方法の違いをしっかり認識し、定常計算、非定常計算結果を判断する必要があります(住まい方が悪いのは仕方無し)。

「釘の本数は想定外だった」

とならないように・・・。

この写真に写っているぶぶんだけで気密シート固定用タッカー釘37箇所(青丸)。特に問題のある施工ではないが、複雑部分にはこのくらいは使う。この上にPBを留めるためビスが更に数十本これから施工予定。


こちらは気密シートの透湿抵抗を釘穴などが2倍以上になって半分に下がった時の算定結果。それでもNGにはならない。

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