少し怒りを覚えた・・・
「緑の家」がギリギリ基準内とは?

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建て主さんの中でも知っている人が少ない令和3年のこの4月から行われる省エネ説明義務化。住宅を新築するにあたり省エネ法の基準値内なのか、それとも基準から外れた熱の逃げやすい建物なのかをあらかじめ説明する法律である。
この基準値の計算を行うと・・・UA値0.27w/m2kという超高断熱の「緑の家」Bグレードがギリギリでしか満足しない結果になる(試行版)。そんな事って・・・あり?

まず4月まであと5日もない3月26日において、まだ国交省のHPには試行版しかない。この試行版は現在の標準計算が使えない人のために設けられた簡易版のチェック方法であるため、当然オーブルデザインは使う事がない。しかしどんな感じになるかと思って行ってみると・・・

「緑の家」の性能でギリギリOKにしかならない。一次エネルギーの基準値が100以下ならOKとなるが「緑の家」は97とわずか3ポイント余裕しかない。こんな評価って正常な人が作ったのか・・・?

その一次エネルギー簡易評価に対し順をおって解説する。

暖房はエアコンであるし地域は5。

新潟市ならⅤ地域で暖房方式はエアコンなのでシートはⅤエネ-2をつかう。ここで省エネ法に定められたUA値以下と一次エネルギーが100以下になって初めて基準をクリアーする。

2つの基準値以内になることを証明するシート。一つは省エネ法に定められたUA値以下であり、もう一つは一次エネルギー評価が基準値以下になること。このシートでは一次エネルギーを、5項目で簡単に評価出来るようになっているこの4月のために作られた簡易版シート。今まではWebにある標準計算シートでおこな方法しか無いが、これだと難しい?ので簡易版が作られたらしい。当然「緑の家」は標準計算で行っていたし、これからも標準計算でおこなうので支障はないが・・・。

簡易版の記入部分のシートは全部でたったの4枚。

まず最初は冬期の日射取得である・・・

えっ

今までの標準計算ではこの冬期の日射取得の評価は小さかった。何故急にこれが大きな割合で入ってきたのだろう。確かに冬期の日射取得が暖房エネルギーに大きく影響を与えることは事実である。しかし、現在の日本の多くの住宅敷地条件を考えると、敷地が大きくないので太陽高度が低くなった冬期に日射が窓から入る保証はない。そんな曖昧な条件に100ポイント中「緑の家」の断熱性能で34ポイントも加算される。下表を見てもらえばわかるが、ηAHは「緑の家」の場合は1.0であり2を超えることはない。これはガラスを日射取得をトリプルガラスでよいランクの0.5にしても同様である。

次ぎに冷房期における日射取得であるが、こちらは冷房エネルギーに直結する。特に近年エアコンで夏期に冷房する習慣が普通になり、夏期の電力制限が設けられるくらい多くのエネルギーを使う。この冷房エネルギーは特に窓の日射遮蔽の影響が大きいことは様々なエビデンスがでているが、こちらのポイントは100ポイント中わずか最大でも6であり、上の暖房期に比べ与える影響は1/100・・・。ホントにこんな評価でよいのか?

更に理解できないのが換気方式である。

下の表の通りダクト式第一種換気設備が最も悪い評価。よく見ると換気方法に熱交換有無しが無いのである。熱交換しないダクト式の第一種換気設備を私はみたことがないし、そんなシステムって市販されているのか?

そして最悪なのが給湯設備のポイント数。設備だけで全体の2/5以上を占める勢い。これについてはホントに5地域のエネルギーの実態なのか。今までの古い住まい方ならそのようなデータも作れるが、これからの住まい方で、給湯エネルギーが家全体の2/5以上を占める生活を行うのか・・・。

あと照明器具によるポイントだが、これから家を建てて住まう人が白熱灯を選ぶはずも無いだろう。そもそも白熱電球の国内生産は10年以上前にほぼ終わっているレガシー器具。これが15ポイントをしめ、冷房エネルギーの最大6ポイントの三倍の評価となっていること自体相当想像力の欠けた人が作ったプログラムとしか言いようがない。

ちなみに同条件で従来の一次エネルギーの標準評価を行うと達成率が61%に対し、上の表で行った場合は97%と大きな差が生まれる。

これは試行版だから今後かわるかもしれないが、これをみると何か恣意的な事を感じる。冬期の日射の過剰評価、夏期の日射所得熱による評価の異常さ、換気の低評価は一体何を意味するのだろう。

読者さんも自分で試してほしい。下のリンク先から入手できる。

https://house.lowenergy.jp/excelsheet_simple_beta

UA値の他にηAが必要なのでそれは同じ所にある外皮側の簡易シートで算出する。

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