引き続き300万円以上する熱画像カメラを巧みに操る東京大学の前先生の写真です。吹き出し温度は46℃。3m位離れた天井付近温度は36℃のピンポイント表示。上水管で熱を吸収されていることがわかる。
こちらの写真は床下から床上を見あげ床下エアコンの吹き出し口周囲の温度を測った所です。空気温度をサーモグラフィーで測る事はできませんから、温風がどのように流れるかは、接触した物質の表面温度から推測します。
エアコンは暖房時冷媒温度が低い方が効率が良くなります。ですので10年前の効率上昇期には出来るだけ低い温度で大量に循環させ大風量(爆風)で運転し効率アップ(COP)をしました。
しかしこの方法ですと普通の住宅は間歇暖房する習慣により、生ぬるい「風」をより多く感じるので肌寒くクレームになります。よって現在エアコンメーカーは様々な技術を駆使して、温度が高めの冷媒運転時でも効率アップさせ、また制御をきめ細かくすることで、効率試験(APF)に合わせ効率が高くなるようにアルゴリズムを組んでおります。
床下用エアコンから12m離れた和室畳にある吹き出し(アクティブ)の温風温度は28.4℃
今のエアコンでは、多少温度が高い冷媒でも以前より良い効率で運転できます(これが寒冷地用エアコンですと更に高温度を無理やり作る)。そこで「緑の家」の床下暖房方式は、温風温度の高いところつかう事で、一番遠くの(12m)以上離れた所でも28℃の温風で床から吹き上げることを考えております。このエアコンによる温風温度が低いと12mも移動するまでの間で、温風が接する床面裏(温風は上にたまる)から一階床表に熱が逃げ(伝え)、12mも移動したときは室温とほぼ同じ23℃くらにしかなっておりません。こうなると一階床面上でムラが出来ます。
ただエアコン吹き出し高温風の欠点は、エアコン設置周囲床面が26℃~28℃にもなるので長時間滞在すると暑く感じ他の部分との温度ムラを感じてしまいます。
だからこそ・・・
「緑の家」の床下暖房用エアコンは洗面脱衣所や、クローゼットといった長時間滞在しない所に設置してあるのです(設置できない場合もある)。特に洗面脱衣所の設置は、入浴時の着替えや、洗濯物乾燥時に抜群の効果を発揮します。
そして床下用エアコンから遠く離れたリビングでは下の写真用に温度ムラが最小限度の床下暖房が生まれます。
吹き抜けからの見下げ。右上部がエアコンの設置された洗面脱衣所。そこは床面26℃以上であるが、リビングは24℃でほぼ一定。
上の写真の熱画像のピンポイント温度は少し変で、これはピンポイント部分が遠く6m以上先にあるため温度の捕集面積(平均化すすための面積)が少し大きく広がり、温度の低い梁まで含めた平均温度と思われます。
さて・・・不思議な写真を一枚・・・こんな部分も撮影頂いたようで、
SA吹き出しは向かって左でRA吸い込みが右側。よく熱交換されていて吹き出し温度は多分・・・18度以上と良好。
こちらの写真は「緑の家」の標準で使う常時換気扇である分散型第一種全熱交換換気扇です。この換気扇一つで同時給排するのでショートサーキットする心配をよく聴きます。ただこの件は10年以上前に論文が全て出し尽くされ、CFD解析でもトレーサーガスの実測でも、概ね換気ができているとの結果になっております。この写真をみて皆さんでもご判断ください。
その④に続く