「無難」な愛される家を目指す「緑の家」その①では屋根の形状について少し話をしました。
その②では屋根の素材を考えたいと思います。
・・・無難な材料の第一はガルバニュームとなります。
そしてファイバーシングル・・・積雪地方でなければ次に瓦となります。
「緑の家」の屋根で一番多くつかわれる素材は・・・
ガルバニューム鋼板です。
この素材は新潟では一番無難な屋根素材です。
ガルバニューム鋼板の良い点は・・・
① 耐久性が30年以上で安価・・・
② 屋根の上に人が上がって作業しても壊れない
③ 雨仕舞いが良い
④ 軽くて、重ね葺きができる。
⑤ 太陽光パネル施設時でも取付け穴をあけることが無い。
です。
①の耐久性が30年以上では・・・
現時点での実績は既に30年経った家が結構あります。何れも錆びて今すぐ葺き替えというレベルでは無く、そろそろ検討の時期に入ったかなというレベルです。そのくらいこのガルバニュームは30年メンテナンスフリーです。加えて初期費用も新潟県では一番リーズナブル。雪の降らない地域ではあまり多くないので他の素材より高い場合があります。
②の屋根の上に人が上がって作業しても壊れない・・・
これは新潟県では大変重要視されます。これは新潟県が雪が降るのでどうしても人が上がる事が避けられないからです。この時瓦では、あがり方で割れる場合もあり、スコップなどを当てれば殆どの場合、ヒビが入ります。この点ガルバニュームでは、アルミスコップならまず穴の開くことはありません。また完成までの間、多くの踏みつけがあっても割れることはありません。
③の雨仕舞いが良い・・・ですが
通常他の素材(陶器やアスファルト成形薄板、セメント板)より柔軟で加工性に富みますからあたりまえです。加工性がよいと言うことは、雨が漏れやすい箇所に無難に対応できるからです。
④の軽くて、重ね葺きができる・・・ですが
35年くらい経過すると葺き替え時期になります。この時、鉄くずの引き受け価格が低ければガルバニュームを剥がさないでその上から再びガルバニューム鋼板葺きにすれば廃棄代がなくなります。そしてガルバニュームは軽いので、設計時に屋根積載量を100N/kgを加算して構造計算しておくことで、耐震性を維持したまま屋根の葺き替えが出来きるほど軽いのです。これ以外の屋根では一度屋根を剥いで新たに施工しますから、その時に天候にも左右されるので価格も新築時より上がる事になります。また廃棄時に鉄くずとして何時の時代でもお金になる素材ともいえます。
⑤の太陽光パネル施設時でも取付け穴をあけることが無い・・・ですが
これはガルバニューム以外の屋根の場合は、一般的には穴をあけてソーラーパネルを設置します。瓦屋根でも瓦の継ぎ目に架台受けを差し込んで防水シートに穴をあけます。この防水層は瓦屋根にとっては大事な一次防水もかねますから、瓦に直接穴が開かなくとも穴をあけていないとは言い切れません。ガルバニューム葺きはこの金属で一次防水の機能を発揮し、2次防水が防水シートです。両方とも傷を付ける事無くソーラーパネルの設置が可能な事はメリットです(但しはさみ金物によるパネル設置)。
瓦は矢印部分が隙間があいているから必ず防水シートが重要部材。つまり防水シートは一次防水も兼ねるといえる。
最後に悪い点は・・・
デザイン的にファイバーシングルより堅い(鋭い)印象ということ、また工事中の傷が避けられないことでしょう。この傷防止の点では瓦やファイバーシングルが無難です。
また木の外壁には経年変化するファイバーシングルの方が似合いますが、殆ど変化の無いガルバニュームはそれがちょっとだけデメリットでしょうか。
コメント
勉強になりました。
屋根は、ガルバにします。
新しい耐久性の長い ガルバも
あるみたいですし。
雨音は気になりませんか?
また、雨音対策はどうされますか?
ぴか様
コメントありがとうございます。
>どうして新潟県は瓦(新潟県産)を葺いた住宅に補助金を出しているのか理解できません。
えっ・・・補助金(県産のみ)があるのですか。
知らなかったです。
年々減る瓦葺き建物・・・。瓦の関連業者さんが無くなると困りますから理解できなくはないですが、新規商品でも無い瓦に補助金を出しても、淘汰される業者さんは自然となくなります。補助金という税金が無駄にならないように願っております。
ただ妻入り瓦屋根の町並み形成で必要な出雲崎海岸部などではどんどん補助金はだしてほしいです。
建物の耐震性を考えると、屋根は軽い素材の方が良いことは間違いありません。新潟のように多雪地域では、雪の重みが加わるため、屋根葺き材は軽くすべきです。敷地に余裕があれば、自然に落雪するような勾配で屋根を作る方が良いと思います。でも、デザイン性も優先した上でのことですが・・
瓦屋根はガルバリウム鋼板よりも20㎏/平方メートル程度重いです。和瓦はさらに重いです。なのに、どうして新潟県は瓦(新潟県産)を葺いた住宅に補助金を出しているのか理解できません。
公立保育園の耐震補強を設計した際には、既存の瓦屋根を撤去して、ガルバリウム鋼板に葺き替えしました。野地板を構造用合板の厚板にするという理由があったからでもありますが、新築だけでなく、耐震改修する際には、ぜひ屋根を軽くすべきですね。