意地の張り合いで建て主さんの負担が増えたこと。

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コメントでご指摘頂いたのでご紹介します。

上下開放された玄関ポーチの壁。奥側の壁下は開放されている。

この玄関ポーチで本来必要も無い建て主さんの金銭的負担が増えることになりました。家を建築するときには、所轄の行政に確認申請を建て主さんが提出する事に法律で決まっておりますが、実際は建て主さんの代理となって設計者が提出します。

当然私共が確認申請を提出するのですが、

何しろ行政はサービスが悪く、又お上意識があるのか今もって確認申請の郵送を一切受け付けません。必ず「持って来てください」と言われ、遠方でもその扱いは一緒です。

また何か提出書類に不備があっても、郵送による差し替えは一切認めず、面前での差し替えになります。私共も書類に記載ミスがある場合があり、また行政によって書き方・見解もちがう場合もあるので訂正はつきものです。ですのでそのたびに県外の行政に出向いていたら、確認申請の代行料は法外の価格になってしまいます。そこで20年ほど前から始まった民間の確認申請機関で殆どの確認申請を行っており、民間なら郵送での申請もOKで且つ訂正も郵送でOK。一度も出向くことなく終了します。また市に持って行くと「なぜ民間にださないのか?市の仕事が増えるだろう」的な事も言われますからなおさらです(笑)。

この玄関ポーチのある家も、複数県に支店をもつ規模の大きい民間の確認審査機関に提出し、無事確認申請がおりました。ここまでは特に問題ありません。

ところが確認申請とは別の長期優良住宅申請は、所轄の行政でしか認定はしません。よってT市に持参して長期優良住宅を提出すると、

「この玄関ポーチはT市規定では床面積に算入されます。確認申請と長期優良住宅で床面積がちがうのは都合が悪いので確認申請の修正をお願いします」

と言われました。

「えっ・・・でも民間の確認審査機関さんでは床面積に算入する必要はないとの見解ですが」

というと

「市の権限が上です。よって修正して頂けるように御願いしますし、市から民間の審査機関に言ってみます」

との事で、言って頂けるなら問題ないと思っていたところ・・・民間の審査機関さんでは、

「特に他県も含め審査基準に問題はなく、これはT市さん独自判断だから修正はしない」

「もしどうしても修正が必要ならもう一度確認申請を提出してください。無論費用が掛かります」

オーブル「はっ?何で費用が掛かるの?」

「当方の審査では問題ないからです」

オーブル「でもT市さんは都合が悪いと言っているし、そうしなと長期優良住宅の認定は出来ないといっているが・・」

「だから一度出し直ししてください」

というこ無慈悲(泣)な回答です。

実際の図面。柱で囲まれた面積は3.46m2と畳2枚分。傘立てと宅配ボックスで精一杯と思われるが。

客観的にこのくらいの大きさの玄関ポーチでは、国の指針において床面積に算入しなくと良いことになっており、明らかに収納など玄関ポーチ以外の用途に使う場合は床面積に算入する決りです。写真を見てわかるとおり、上下塞がっていない壁から玄関ポーチ以外考えられしょう。そこでT市さんに

「意匠的にも大きさも、明らかに他の用途に使う事はないとおもうがそれでも算入する必要があるのか?」

と問い合わせしたところ数日後に

「その判断は建築主事の権限で算入となります」

と言われました。

となると民間確認審査機関のT市独自の基準を見落とした不備でないか?なら修正してほしいというと、

「当社も法律によって規定された権限をもつ確認申請機関でその判断は変える必要がない」

とのこと。

板挟みになった私は、国交省住宅局に電話して聞いてみると、

「審査機関として同じであるが、見解が異なった場合は行政の方に従うことになる」

とのこと。なら最初から同じ権限ではないだろうーと思う。

民間の審査機関がそれを知らないはずはないのに、そこを曲げない姿勢、またT市も建築主事の判断(明文化された規定もない判断の床面積)で変えることができる程度の玄関ポーチなら、確認申請が降りているのでそれに合わせた判断でよいだろう・・・と建て主側からみればそう見えます。業務での互い意地の張り合いなんて、まさしく子供の喧嘩よりたちがわるい・・・。

長期優良住宅を取得出来なければ、今まで掛かった審査費用が無駄になるので、泣く泣く民間の審査機関に出し直ししてT市の言い分に合わせました。無論この申請費用は建て主さんが負担されました。

後で聞くと、T市さんの建築主事さんは、ちょっとかわった判断をする事で有名らしいです。こんな時に政治家をしっているとちがうのかな~と思ってしまう事件でした。

PS

実はまだこのT市で続きがありますがこれは気の向いた時にご紹介します。

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コメント

  1. ぴか より:

    床面積の算入規準については、国交省住宅局が各都道府県に通知をしています。T市(高崎市?)の建築主事も知っているはずです。また、特定行政庁連絡会議でも、法運用について統一をしようという流れのはずです。私なら、T市長宛に苦情のメールなりを送り付けます。

    • Asama より:

      ぴか様
      コメントありがとうございます。
      なるほど・・・確かにそのとおりです。

      T市窓口担当者はまだ若い人で、本心ではこちらの言い分をそのとおりと感じていることがわかりました。上司がとんでもない考えだと部下は可愛そう・・・その人のためにも市長に伝えたほうが良かった・・・のかもしれません。

  2. MOTO より:

    浅間さま

     早速の対応ありがとうございます。

    気になって確認申請について調べたところ、
    「申請前に民間検査機関に相談に行くと、
    法的に判断が微妙なものについては、
    民間検査機関が役所に問い合わせてくれる」
    との記述がありました。
    それを考えると、虚しさが更に増しました…
    建て主さんの心中お察しいたします。

    P.S
     リコメントをどちらの記事にするか悩みましたが、
    過去ログURLを貼付けることで、こちらに書きました。

    https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2017/06/20/post-11901/

     新ブログはコメントのついた記事が5個しか表示されず、
    直ぐに見えなくなってしまいます。
    「コメントのついた記事のみ検索できたら便利だなぁ~」
    と思う今日この頃です。