「て・こあ」でのある一日 弐百四拾壱 
カワハギをさばく

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「て・こあ」の薪小屋1号の屋根の写真。特に何も変哲もなさそうだが、私はすぐにわかった。

弱点の頭はしっかり隠し胴体を暖めているところ。2つに折り曲げている体は全長1m弱くらいか?

青大将が昼寝をしているのである。このように屋根に昇る蛇は青大将しかいないので安心。上から蛇が頭に落ちてきても決して「マムシ」ではないのでありがたい。

さて・・・

今度はウマヅラハギではなくカワハギが入手出来たので「て・こあ」の土間キッチンでさばいた。

あの憎いエチゼンクラゲを食べる魚として重宝される。ただし歯が鋭いので網を切り裂くから外道として嫌われることが多い。矢印は既に処理したひれやトゲ部分。

確かに顔はウマヅラではない・・・。魚屋さんで背びれのトゲと腹のトゲを処理してもらい、えらびれははさみで切ってある。

眼球までこの外皮に覆われている。矢印ところだけ刃物で切断する。

私は口を1cm落としてそこから皮を剥ぐ。まるでウエットスーツを脱ぐかのように綺麗に表側ははげる。ピンクいろの光っているところが薄皮でこれは3枚に下ろした後にひく。

次に頭を落とすのであるが、ここがカワハギ特有の落としかた。上の写真の矢印のところにだけ包丁をあて、背骨を断ち切る。その切れ込みは2cm程度。これ以上は肝に包丁があたる気がするので入れない。

次にそこから指を中に少し入れ頭を引きちぎるようにして胴体から離すと・・・

青矢印の先に立派な肝がありその奥に見えるのが卵。つまりメスのカワハギ。

このように胴体と内蔵付の頭に分かれる(娘から教えてもらった)。

おおー
なかなかの肝である。このように手で割くと肝に一切傷を付ける事がないので、流水で洗うときに楽である。

しかしまだ気は抜けない。

肝と血管や他の臓器と繋がりを一番根元で離すことが肝心。

写真の白矢印の奥にはさみを入れ、頭を開いて目元まで突っ込んで慎重に肝との繋がり切ってゆく。

頭から肝が離れれば、後は外科手術のように肝を覆っている腹膜やその他の臓器をゆっくり丁寧に分離しながら外していく。脾臓や肝臓などの管がでてきて思わず

「鉗子!」

と手を差し出しそうになる。

ここまでくれば後は3枚に下ろすのであるが、ここで再び特有の包丁の入れ方がある。背びれや腹びれからの骨が背骨にまで伸びているので、これに沿って包丁を入れると簡単に綺麗に3枚に下ろせる。骨についている赤身(血合い)はスプーンでこそぎ落として薬味を混ぜたタタキにするとおいしい。

カワハギはウマヅラハギより高く一匹500円(35cmクラス)であるが、この値段でこれだけおいしければ庶民のお魚の代表である。肝は最高だが身もタンパクで癖がないので、拙宅では鯛よりおいしいとの高評価。部位にもよるが泥みの少ないヒラメと白キスの中間のような触感である。

気軽に魚をさばける・・・土間キッチンは楽しい大人の遊び場である。

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