上棟、建舞(たちまい)、建て前、棟上げ・・・等々言い方はそれぞれだが、このような状態になると直ぐに屋根の仕上げ材を葺く。つまり住宅建築では屋根が一番最初に仕上がる。これは日本が3日は1日は雨という気候であるから、木が濡れないように直ぐに屋根を仕上げることを優先している。
上棟後まず行うのは・・・
屋根の下地材で重要な防水シート敷き。「緑の家」では通常ゴムアス系のアスファルトルーフィングを用いる。
以前も紹介しているが・・・
この防水シートが、雨漏りを防ぐ要材。この写真の状態で雨が降っても雨は漏れない。もし漏れたらそれは大問題。この防水シートを紫外線と風から守る為に、瓦や板金、コロニアル等の仕上げ材があるとも言える。当然最初の防水で頑張るのは瓦屋や板金、コロニアルであるがそれを乗り越えて中に侵入してきた水をこの防水シートで防ぐ。これは瑕疵担保保険に加入する為の必須事項だから国が定めた仕様であると言える。
この防水シートの良いところは、小さい屋根なら1時間で敷き終わること。だから直ぐに雨が降りそうなときにはあっという間にに防水対処できる。この状態で仕上げ材が貼らなくとも7日間くらいは雨が降っても平気であるが、風にはめっぽう弱いので、風で飛ばないように抑える事が必要。そこで下のように留め付けタッカー釘以外に平状の鉄板のコマ切れを捨て張りする(ピンクの矢印)。
そしてこの鉄板は剥がさないでこの上から仕上げの瓦や鉄板をはるのである。
何故か?
それはこの防止シートが釘差しやタッカー釘が刺さった状態では漏水しないが、その釘やタッカー釘を抜くと、穴が残りそこから必ず雨漏りがおこる(じわっと漏れる雨漏りで蒸れ劣化の原因になる)。
昔の瓦屋さんは、杉のバラ板を張っていた頃と同じようにこの防水シートを捉え、どうせ瓦を留めつける釘で漏れるのだから、釘を抜こうがそのままだろうが変わり無いだろう・・・と誤解した判断で下のような木で抑えてしまう人もいる。当然この後この木を撤去するとルーフィングに釘穴は残る。
このような防水シート養生は厳禁な方法である。もしこのようにしてしまったら原則もう一度重ねて防止シートを葺くか、剥がしてやり直しするしかない。わずかな箇所ならブチル系シーリングの上ブチルテープの保護も止むえない。
大手ハウスメーカーはこのように間違って木で抑えないように防水シートに粘着シートが貼られている割高な防水シートを指定する。私もファイバーシングルで3寸以下の勾配時には粘着剤付のシートを使う。これは養生が確実でも葺き職人さんの足や工具で痛めることもありその防止にも役立つ。
防止シートは下地材と見られがちだが、実は屋根仕上げ材と一体の屋根材といえる。だから防水シートの養生がとても気になるのである。